エントリー

カテゴリー「make:」の検索結果は以下のとおりです。

300Bシングルのハム退治

  • 2007/03/12 16:32
  • カテゴリー:make:

 ここのところずっと検討していたのが,300Bのシングルアンプの改良と測定でした。

 あるホームページで,身近にあるもので歪率を測定するという方法が紹介されていたのを偶然見つけたことがきっかけです。

 24bit/96kHzのUSBオーディオインターフェースをPCに接続し,フリーのスペクトラムアナライザのソフトウェアを使って歪率を測定しようというものです。

 この場合でも歪率の低い正弦波発振器が必須になるわけですが,それもPCのサウンドカードを使って代用しようという試みも紹介されていましたが,私の場合はそれなりにちゃんとした低周波発振器がありますので,これを用いれば済むことです。

 電子電圧計は,手持ちがあるにはありますが,今ひとつ精度に不安があるので,ハンディスコープのSTA55Gを使います。これはかつてソニーテクトロニクスから出ていたもので,大きめのデジタルテスターの形をしていますが,ボタン1つで帯域5MHzのオシロスコープになってくれます。

 まあ,画面が小さいこと,値が直読できないこともあり,オシロスコープとしては全く役には立たないのですが,高機能デジタルテスタとしては優秀で,交流電圧計はどんな波形でも実効値で測定が出来ます。trueRMSという機能ですね。

 早速試してみたのですが,結果は今ひとつ。測定の度に大きく値が変わる,100Hzの値が悪すぎる,10kHzの値もなんだかさっぱり信用できない,と散々な結果でした。

 測定に時間ばかりかかって,得られる結果がこれでは悔しいので原因の究明です。

 まず100Hzの値が悪いことですが,これはどうもハムが悪さをしているようです。

 測定してみると,8Ω負荷,入力ショートで2.5mV以上も出ています。入力を入れるとさらに増えて,実際スピーカをつなぐと昼間でも「ブーン」という音がかなり耳障りなほどです。

 これが測定値を悪化させていることは明かです。

 私はハム退治がとても苦手です。これほど理論値を大事にしているのに,ハム退治については出たとこ勝負になっています。とはいえ,これほどハムが出ていることを放置するのは確かに気になります。

 そこでちょっと本腰を入れて頑張ってみました。対策だけではなく,配線ミスも見つかりました・・・

(1)300Bのフィラメントを3端子レギュレータで安定化
 これは前回の再組み立てで行ったことですが,実はあまり効果がありませんでした。

(2)電源のリプルを確認
 電源のリプルを確認します。300Bのフィラメントの直流は2mV程度,450VのB電源も20mV程度で,これだけ小さければ残留リプルが主たる要因とは考えにくいです。

(3)初段管のヒーターを直流点火
 初段管の6J7は傍熱管なので直流点火までは必要ないと思っていましたが,試しにやってみると聴感上大きな改善が認められたので採用することにしました。

(4)初段管のシールドの配線ミス
 初段管の6J7には,シールドが内部に用意されていますが,なんとこれが配線されず,浮いていました。手をかざすとハムが激増するのはそのせいでした。お恥ずかしい。

(5)グリッドキャップのシールド
 初段管のグリッドキャップはタイト製で,シールドはされていません。シャシー内部へはシールド線で引っ張り込んでいますが,グリッドキャップの部分はシールドがなされていません。電源トランスに近いLchで特にひどいハムはこれが原因で,銅箔テープを使って対策すると激減しました。えらいもんです。

(6)入力ピンジャックのアース
 入力ピンジャックのアースは,シールド線のアースは接続せず,わざわざ別のアース線で1点アースにつないでいましたが,結果としてアース線が長くなり,他のアース線とループを作っていたことか,もしくは電位差が発生したことがハムの原因となっていました。そこでこのアース線を外し,シールド線のアースを接続したところ,これもかなりハムを減らすことが出来ました。

(7)入力ケーブルのループ
 ピンジャックからボリュームまでの配線はどうしても長くなりますが,LとRの2つが輪っかを作ると,ここからハムがのってきます。そこで2つを密着させて誘導が起こらないようにします。

(8)ハムバランサの追加
 今までハムバランスがなかったわけではないのですが,15Ωの固定抵抗2本で代用していました。300Bを直流点火しているので高価な半固定抵抗を使うほどもないだろうと勝手に考えたのですが,LとRでハムの大きさが違う原因はこれではないかと疑ってみると,やはりその通りでした。1つ800円もする巻線型の半固定抵抗を買ってきてハムが最も小さくなるように調整をすると,これも効果てきめん。

(9)アースラインの見直し
 アースに関しては,人それぞれいう事が違います。ループを作らない,電位差を作らないというセオリーがあるにせよ,その具体的な手段にはまとまったものがありません。私の場合伝統的に1点アースを行っていましたが,まずそれを疑ってみます。結果として,初段管は近くで写シャシーに落とすというニアバイアースを,出力管はそのまま1点アースを踏襲し,電源回路はリプル電流が流れないようにこれもニアバイアースで処理しました。試行錯誤の結果なわけですが,これもそこそこ効き目がありました。

(10)ついでに
 ついでに,初段管と出力管のカソード抵抗に並列に入るコンデンサを,ちょっと高級なものに交換しておきました。


 と,こんな感じです。

 とにかく,自分のやってきたことを否定して疑ってみることから始めたのですが,思いこみや生半可な知識で勝手な省略をやってしまうと,やっぱり痛い目に遭います。

 特にハムバランサですが,直流点火しているのにどうしてハムが出るのか,またどうして半固定抵抗でキャンセルできるのか,理屈ではさっぱりわかりません。直熱管のフィラメントはカソードを兼ねているから,少しのハムでも影響が大きいのかも知れません。

 もう1つ,初段管のシールドですが,銅箔テープでこれほど押さえ込めるとは驚きでした。グリッドキャップにシールドがあるようなものは見たことも聞いたこともないので,こういうことで困っている人は少ないのだろうと思いますが,効き目が絶大だったということは,やはり私の部品配置がまずかったのでしょう。

 ここまでやってハムのレベルは8Ωで2.0mV。2mVの壁を破れなかったのは残念ですが,入力をショートしなくてもこの値を維持できていることと,50Hzの高調波である100Hzが激減しているため,実使用でのハムはかなり小さくなりました。私のスピーカは能率が低いので,2mVでも3mの離れて聴けば,ほとんど気にならないレベルになるでしょう。

 私の技術力ではここまでが限界。部屋も散らかり放題,睡眠時間も不足するので,もうこれ以上の追い込みはしません。初段管を取り外してもハムの大きさは変わりませんので,出力管で出ているハムでしょう。アースの取り方もいろいろ試してみましたし,ちょっと手詰まり状態です。

 やはり大事なことは基本に忠実なこと。ループをなくす,電位差をなくす,トランスからの誘導をなくす,でした。以前,MOS-FETのパワーアンプを作ったときもハムが出て困ったのですが,これも配線の取り回しをやり直して,電源トランスを避けるようにするだけでぴたっとおさまりました。

 いかに直熱管とはいえ,ハムが盛大に出ているアンプはみっともないです。あれだけのハムが出ていたかつての300Bシングルは,とても人前に出せるようなものではなかったわけですが,これでようやく「普通」になったかな,という所でしょうか。

 同じように,適当な配線で「こんなものかな」で済ませていたアンプが2つ残っています。これもいずれ検討をしないといけないですね。

 そうそう,歪率でしたね。ハムが減ったことで100Hzの歪率はそこそこ測定できるでしょう。あとは10kHzですが,これはどうもハンディスコープの周波数特性が10kHzまで伸びていないことが原因のようでした。

 だって,オシロスコープモードなら5MHzの帯域ですよ。なんでそれがデジタルテスタモードだと数百Hz止まりなわけです?

 仕方がないので,きちんとした電子電圧計を引っ張り出してみました。

 測定結果が,これです。

ファイル 111-1.jpg

 8Ω,1W時の値は,1KHzで0.475%,100Hzで1.166%,10kHzで1.497%です。1kHzの値はなかなかよいのですが,それ以外の値はさっぱり・・・この値が信用できるかどうかも疑わしいのですが,無帰還のアンプは真空管や部品の善し悪しが大きく現れるので,意外にこんなものなのかも知れません。

 ちなみに,1KHzで3%になる出力は約8.5W。これはまあこんなものではないでしょうか。

 測定が終わってから,ようやく音出しです。ハムが聞こえなくなったことは本当に快適で,うれしい結果です。これが当たり前なんだと思うと,あまりに今まで手を抜きすぎていたなあと,深く反省しました。

 音そのものは以前よりもなんとなくおとなしくなったような「気がする」のですが,それでも聞き慣れたソースはぱーっと目の前が広がるような音を出してくれますし,あまり気にするようなことではないように思いました。コンデンサを買えたことが影響しているのかも知れませんね。

 負帰還の有無については賛否両論あって,技術的に明るい方ほど負帰還については肯定的なようです。私自身は,負帰還の量によって音が変わることは事実であって,あとはもう好みの問題かなと思っていますし,どんな素材を使っても同じ品質の音を保てる負帰還の素晴らしさは認めつつも,素材の味をそのまま堪能できる無帰還も,気に入った音が出てくればそれでいいのではないかと,そんな風に思っています。

 スピーカが不釣り合いなのですが,このアンプでハイブリッドのSACDを,CDのレイヤーから切り替えてならした瞬間に,思わず「おっ」と声を上げてしまいました。

 アンプのスペックもSACDには物足りないわけですが,CDとSACDの差が一瞬で分かるという事は,このアンプとSACDの組み合わせもまんざらではない,という風に考えたいと思います。

 結局,趣味の世界ですからね。好きなのは,音楽そのもの。

秋月電子の広帯域プローブをめぐる事件

  • 2007/03/12 14:42
  • カテゴリー:make:

 艦長日誌の更新が滞っておりましたが,気分的にも時間的にも少しゆとりがなかったためで,書くに値する物事はいろいろ起こっていました。

 まず,オシロスコープのプローブを新調した件。

 先日,オシロスコープが直った件はここに書きましたが,広帯域アナログオシロスコープの中身をつぶさに見て,またそれを物量と職人芸で可能にしていた1980年代の底力を見て,これまで使っていた200MHz帯域の安物のプローブではあまりに役不足だと感じ,プローブは消耗品だという考えの基,新調することにしました。

 10年ほど前ですが,まだこっちに引っ越してくる前,所用で初めて訪れた秋葉原の秋月電子で,買ったばかりのオシロスコープにプローブを買って帰ったものを今も使っていました。

 純正(P6135)は4万円近くもします。中古で1本だけ買いましたが,もったいなくて常用する気にはなりませんし,それに1本ではどうにもなりません。

 秋月で当時購入したプローブは,200MHzで2500円ほどのものを2本,250MHzで9800円ほどのものを1本です。帯域が50MHz違うだけで価格がこんなに違うというのもびっくりですが,後者はリードアウト対応のピンがBNCコネクタの部分についています。これがないとせっかくのリードアウト機能が正常に動作しません。

 安い200MHzのプローブも性能は十分で,普段の私が350MHzもの帯域を使い切ることもありませんから,これで事足りていました。リードアウト機能については解析をし,ピンの部分がGNDから10kΩで浮いていることを突き止めていましたので,プローブのBNCコネクタの付け根の部分に抵抗をハンダ付けして,リードアウト対応に改造していました。

 そうなると9800円もしたプローブがもったいないなあと強烈に感じたわけです。

 純正のプローブと組み合わせて使うかと思ったのですが,ケーブルの長さが違うため,遅延時間に結構な差が出ています。これでは立上り時間の計測が難しくなります。

 そこで,広帯域プローブを2本,贅沢にも奢ってやろうというのがいきさつです。

 とはいえ,私はお金持ちではありませんから,秋月電子を調べてみます。やっぱりありますね,激安プローブ。当時の商品とは別のものになっているようで,生産国もドイツから台湾に変わっています。

 広帯域プローブは,5500円で500MHzというのがありますね。TX6150Rという品名です。リードアウト対応ですので,これが最適です。2本で11000円ですから,値打ちを考えると十分に安いのですが,それでもなかなかいい値段です。

 1週間前に購入したのですが,喜んで試してみると1本だけ様子がおかしいのです。プローブをオシロスコープに取り付けた時にまず最初に行う事は,1kHzの矩形波が綺麗に表示されるようにトリマを回して調整することですが,1本はトリマを回すと波形が変わるのに,もう1本は調整を済ませた後もケーブルを触ったりすると大きくは系が乱れてしまいます。何度か調整をやり直しているうちに,トリマを回しても波形が全く変わらなくなってしまいました。

 おそらくコネクタの付け根の部分で断線したか,なんかでしょう。矩形波の肩が丸くなったままです。このままでは使い物になりませんから,翌日店頭に電話をします。

 すると,確認の上で交換してくれるとのこと。秋月のような安いお店に,丁寧さを期待してはいなかったのですが,それはいい意味で裏切られました。

 返品のために袋詰めをしていると,この2つは同じ商品なのに,説明書のバージョンが異なっているようです。壊れていた方についていた説明書はこのプローブ専用のものでしたが,正常な方についていたのは,帯域の違いによる複数のバリエーションで共通の説明書でした。

 帯域の違いによるバリエーションは後になって登場していますので,どうも不良品だったものは極端に古いものだったようです。

 そういう説明はややこしいので,何も言わないでとりあえず店頭に持っていくと,いつものような慌ただしさが眼前に広がっています。

 そんな中で電話を受けてくれた人と思われる方に丁寧に対応していただいたのですが,動作確認を担当する技術の方が風邪でお休みしているので,今回は確認なしで交換しますとのこと。

 待たされずに済んだことはありがたいのかも知れませんが,交換された新しいものが正常に動作するものかどうかを確認して欲しいところです。

 まあ,ごちゃごちゃいうのも面倒なので,そのまま持って帰ります。説明書は新しいものになっていました。

 家に帰って試してみると,全く問題なし。調整をさっさと済ませ,2本のプローブの遅延時間差も調整を終わらせ,準備万端。

 ところが,新しくもらってきたプローブNo付属品を見ていると,プローブチップという先端の部品が見あたらないことに気が付きました。

 実は,交換前のものにも付属していなかったので,そんなものかと思っていたのですが,普通プローブには付属しているものですし,最初から正常だった方には入っていたので,どうもおかしいなあと思っていたのです。

 説明書には付属品リストがなく,この商品に含まれているものが何なのか,ささっと確認できないことも問題でした。

 メーカーのホームページでカタログをダウンロード,そこに書かれていた付属品一覧を見ると,やはりプローブチップは付属しているようです。

 ただ,小さい部品1つでいちいち秋葉原に出向くのも面倒なので,今度は秋月電子のホームページから「欠品のようなので郵便か何かで送って欲しい」と連絡をして待つことにしました。

 すると,前回風邪でお休みだった担当の方から,郵便で送りますというお返事を頂きました。全部送り返せとか,店頭で渡すとか言われるかも知れないなと思っていたのですが,丁寧かつ柔軟に対応を頂いて,さらに高感度アップです。

 数日後,普通郵便で小さなプローブチップが送られてきました。中にはご迷惑をお掛けしましたと手紙が1通。さすが法人営業がメインの会社です。

 ご存じの方も多いと思いますが,ちょうど秋月電子の店頭は店舗の改装で3月11日から月末まで,仮店舗で営業をすることになっています。

 私が対応をして頂いたのは,ちょうどそのための準備などで大忙しだっただろうと思います。それに,私以上にややこしい相談やクレームをいっぱい受けていると思われ,そんな中でもきちんと対応をしてくださったことは,実にありがたいと思いました。

 そんな訳で,テクトロニクス2465Aオシロスコープは新しいプローブによって,その潜在能力をフルに生かせる用意が整いました。まずはめでたしめでたし。

イコライザアンプのハムを減らす

  • 2007/03/06 16:22
  • カテゴリー:make:

 イコライザアンプ,本当にハムを減らすことは出来ないものかと,ちょっと考えてみました。経験的に,電源トランスからの漏洩磁束によるハムの影響がかなり大きいので,この線から疑ってみます。

 MCとMMのゲインの切り替えスイッチをフロントパネルに出してあるのですが,このスイッチと基板をつなぐ配線があまりにいい加減であることを思い出しました。

 そこで,ここをシールド線にし,ACラインから遠ざけることにしたところ,かなり軽減しました。(かなり,ではいけなくて,きちんと数字にしないといけないと思っているのですが,測定環境を確立していないため出来ていません・・・)

 とりあえずイコライザアンプ単体で,ハムをほとんど確認できないところまで来ていますので,これ以上の改善はもういいでしょう。

 気をよくしてプレイヤーにつないでみると,結構ハムが出てきます。こうなるとトーンアームのアースが浮き気味で,そこから入り込んでいると考えるのがよさそうです。

 ということで,今度はプレイヤーの点検をやってみようと思います。古いプレイヤーですから,ケーブルを新しいものに変えるだけで随分と違ってくるかも知れません。

MC昇圧トランスを初めて使ってみる

  • 2007/03/05 15:16
  • カテゴリー:make:

ファイル 108-1.jpg

 MC昇圧トランスを組み立てて,使ってみました。

 少し前にも書きましたが,もともとこのトランスは秋葉原のノグチトランスが2号店を出店したときの開店記念セールの1つに用意されていたもので,製造はタムラ,型番はSTU-83TWINというものです。

 1つのケースに2ch分のトランスが入っており,これ1つでステレオになります。価格は1万円だったのですが,これは安いとばかりに買っておくことにしました。(今はこの商品そのものが売られていないようです)

 忘れないように,この昇圧トランスのスペックを書いておきます。

Primary 3Ω,40Ω
Secondary 4KΩ
周波数20~50KHZ(±1dB)
パーマロイコア使用
L/R 2つのトランスを1つのケースに入れハイCPの実現
磁気シールドケース入(3重シールド)
概略寸法Φ31.5X78
リード線引き出し

 トランスから直接リード線が出ているので,これをピンジャックとロータリスイッチにハンダ付けをしていくだけで完成ですから,設計とか検討とか,そういう難しいことをする必要はありません。

 とはいえ,こういうパッシブな装置で,かつ0.3mVなどという微笑信号を扱うようなものは作ったこともありませんから,特にアース周りの処理をどうやったらいいものか,自信がありません。

 迷っていても仕方がないので,GNDに落とすのはトランスのアース線だけにして,コイルの巻き始めについてはアースに落とさず,シールド線のアース側を使ってピンジャックのアースにくっつけます。良くも悪くも,トランスのコイルはアースから浮いているわけですが,トランスのシールドやケースはGNDに落ちていますから,ハムが出ることはないでしょう。

 ところが出ました。

 いや,トランスを通る経路では出なかったのですが,MMカートリッジを使う場合もあると思って用意したロータリースイッチでバイパス回路を設けたところ,バイパスにした時にはシールド線のアースがGNDから浮いてしまう事になり,盛大なハムが出てしまいました。

 これでは使い物になりません。

 そこで,ケースにアース点を決めて,そこにアースを集めてみました。あまり気が進まなかったのですが,トランスの巻き始めもアースに落としてしまいます。

 これでハムはほとんどでなくなりました。それでも少しブーンといっています。

 原因は,近傍に置いたイコライザアンプの漏洩磁束でした。仕方がないので30cmほど離したところ,すっかりハムは消えました。

 この時,トーンアームとターンテーブルのアース線を,先にMC昇圧トランスのアースにつなぎ,そこからイコライザアンプのアースにつないだのですが,なんとAMラジオが聞えて来ました。アース線がアンテナになってしまったんでしょうかね。

 こんな初歩的なトラブルを起こすなんてまるで中学生だなあと情けなくなりながら,トーンアームとターンテーブルのアース線をイコライザアンプにつないで見たら,ぴたっとおさまります。

 ことよどさように,アースというのは難しいものです。私は未だに手を焼いています。

 さてさて,早速聴いてみましょう。カートリッジは唯一のMCであるAT-F3/2です。

 まず,MC昇圧トランスとバイパスし,イコライザアンプのゲインをMC側に切り替えてみます。まあ,前回感じた印象のままですね。ハムは結構多めで,曲間にはブーンといっているのがわかります。

 さて,ゲインをMM用に下げて,MC昇圧トランスを40Ωにしてみます。えらいもんですね,一瞬で違いが分かるほど劇的な差があります。

 トランスを通すと,明かに高域側にレンジが広がり,ハイハットが歪まずに前に出て来るようになります。ボーカルにも華やかさが出てきて,全体的に高域の情報量が増加した印象です。(少々ざらつきがあるようにも感じますが)

 イコライザアンプのゲインを上げると,すすっと奥に引っ込み,平面的になってしまいますが,華やかさがなくなった分上品にまとまったように思います。

 これは比べてみれば,というレベルではなく,明かな違いとして分かるレベルなのですが,やはりトランスによる味付け,ということになると思います。

 まあここまでは好みの問題で良いのかも知れませんが,問題はハムとノイズの量です。トランスを通すとハムもノイズもほとんど聞こえないレベルになります。イコライザアンプのゲインを上げて使うと曲間でハムに気付くくらい,ノイズも耳障りになる状況でしたから,この差は非常に大きいです。

 イコライザアンプは,電源トランスを内蔵しているため,漏洩磁束による影響がかなりあるのでしょう。ゲインが40dB以上もあるアンプに入り込めば,結果は明かです。分かっているんですが,なかなか面倒臭くて対策をしてません。

 ということで,高域側のワイドレンジっぷりがよりはっきりするMCトランスを用いた方が,音でもノイズでもハムでも,(私にとっては)有利という結論になりました。

 MC昇圧トランスは,MCカートリッジとの相性が随分とあるといいます。高価なトランスだともっといい音がするんじゃないかなあと思ったりもするのですが,カートリッジが1万円程度の安いものですので,実は今の組み合わせって,そんなにアンバランスではないんではないかとも思うわけです。

 MCカートリッジの出力は1mV未満です。ノイズまみれになってしまうんじゃないかと覚悟をしていましたが,トランスをつかってやればもうMMカートリッジ並です。こんなにいいものなら,もっと早くに試しておけば良かったです。

 それで,随分気をよくした私は,手持ちにあるLPレコードをぱぱっと4枚ほど聴いてみました。先日もLPレコードを聴いて楽しかったわけですが,今回は音質も変わって,さらに楽しくなりました。

 それで,ちょっと思い立ってイコライザアンプの電源トランスを交換してみることにしました。

 これまでは,24Vのトランスを使って,AC24Vを整流,3端子レギュレータ安定化してDC24Vを作っていました。電流が小さいからこれでもなんとかなっていますが,ACの電圧はもう少し欲しいところですね,本当のところは。

 手持ちにクリスキットのAC30Vのカットコアコア電源トランス(Uniteシール付きというのが笑えます)があったので,これに交換をしてみます。ひょっとしたら漏洩磁束も減ってくれて,さらに3端子レギュレータの入力電圧が上がったことでリップル除去比も上がって,ゲインを上げた状態で出ているハムもぐぐっと下がるかも知れません。

 何分古いトランスなのでちょっと不安でしたが,とりあえず問題はなさそうです。

 結果は,残念ながらあまり変わりません。まあトランスを変えたくらいでハムが取れてくれれば苦労はしません。そんなに甘いものではないということでしょう。

 まあ時間が出来たときに頑張ってみます。

とりあえず直ったオシロスコープ

  • 2007/02/28 14:40
  • カテゴリー:make:

 オシロスコープが直りました。いやー,助かりました。

 アナログ技術の粋を集めたこの頃のオシロスコープを修理する自信はなく,直せても校正が出来ない以上は使い物にならんなと,買い換えを真面目に考えていました。

 あるお店で,アジレントの2ch,60MHzが12万円。もちろん新品。私はアジレントのオシロが使いやすくて好きなので,これを機会に買い換えるのもよいかと思っていましたが,60MHzというとデジタル回路のタイミング測定をする場合,6MHz程度しか見る事が出来ません。さすがにこれでは,PICマイコンのデバッグも出来ません。

 最低200MHzと考えると,これがあまり安くないのです。そう考えると,古いとはいえ,アナログとはいえ,これまで使っていた2465Aが高級機であったことをしみじみと感じます。

 とりあえずサービスマニュアルと入手して,トラブルシューティングです。電源が入らない場合に確認すべきチェックポイントを順番に見ていくと,電源スイッチの直後に電圧が出てこないことが分かりました。

 スイッチの前は電圧が出ていますので,これはもうどう考えても電源スイッチの不良です。

 こういう機構部品が壊れてしまうなんてあるのかなあと半信半疑で基板を取り出し,テスターであたってみると,やはり導通がありません。

 間違いなかろうと基板から取り外してもう一度確認してみますが,やはり導通がありません。ピン配置が特殊なのかも知れないと思って,スイッチを捨ててしまう覚悟で分解します。

 すると,恐ろしいことが・・・

 ピン配置は私の想像と違っておらず,導通がないのは間違いありませんでした。それはいいのですが,接点の周りが真っ黒に煤けており,しかも固着して全く動かなくなっています。それでレバーを動かしても導通しなかったわけです。

 代わりのスイッチに交換するのが安心できる修理ではあるのですが,基板取り付けタイプのスイッチは寸法が一致しないと交換が難しく,また手持ちもないため,このスイッチの再利用を検討することにしました。

 固着した可動側の接点をまず取り外します。幸い,固着していたのはスパークによる金属の融解ではなく,どうもケースのプラスチックモールドが溶けていたのが原因のようです。

 なにが直接の原因かは分かりませんが,固定側の接点と可動側の接点の間が少しずつ開いていき,スパークが徐々に大きくなっていったのだと思われます。その結果接点温度が上昇し,固定側の接点がケースにめり込むようになり,溶けたプラスチックが固定側の接点を固着させたのだと思います。あたりが黒くなっていたことや,接点の中央部がへこんでいたのを見ると,かなり激しくスパークしていたようです。よくもまあ,火事にならなかったものです。

 次に固定側の接点を見てみますが,こちらはかなり傷んでいます。NO-COM-NCのモーメンタリータイプなので,使っていない方の接点と強引に入れ替え,新品にします。

 固定側の接点も使っていない側にするため入れ替えて,これで一応接点は新品同様となりました。

 プラスチックモールドが少し溶けているのでこれを削って整え,元の通りに組み立てます。テスターで調べてみるとうまく直ったようです。接触抵抗も低く,2接点で揃っています。

ファイル 107-1.jpg

 これは修理後の写真です。2465Aは,このスイッチを本体後方に下向きにマウントしてあり,フロントパネルの電源ボタンから長いレバーを使って操作しています。それで今ひとつ操作感が悪いのです。

 直ったと思われるスイッチを,もとの基板に戻して組み立てます。そしてドキドキしながら電源を入れてみると,うまく直りました。

 半導体やその他の電子部品の破損でなかったためにとても簡単に修理ができたのですが,故障の原因といい修理の手順といい,まさに扇風機か換気扇を修理するかのような低次元のお話でした。

 この修理が終わってから,もう1つ検討しようと思っていたトラブルがありました。リードアウトの表示が安定せず,画面上でチラチラと動くのです。

 最初は時間が経つとなっていたのですが,ここ最近はずっとなっていました。波形そのものはしっかり安定して表示されていますので,リードアウトの回路の接触不良か,リードアウトの表示を垂直方向の出力に混合する部分の問題だろうと思っていました。

 ところが,今回の修理後,その問題がぱったりと出なくなってしまったのです。

 時間が経つと出るかも知れないと1時間ほど放置しましたが全く問題なし。安定して綺麗に表示がなされています。

 ここで推論です。リードアウトの回路は,実は電源器版の近くに列んでいて,しかも電源スイッチのまそばにあります。

 もし電源スイッチの内部でスパークが起きていたら,ここでかなり大きな電磁波が発生していたでしょう。これがリードアウト回路に飛び込んで,表示が乱れていたという可能性がありそうです。

 それなら他の回路,特に波形表示の回路にも影響があるんじゃないのかと思うでしょうが,2465Aの場合,リードアウトの回路以外はなんらかのシールドがなされており,電磁波の影響はかなり小さくなっているのです。

 もちろん多少の影響はあったと思いますが,リードアウトに比べて小さかったために目立ちにくかったのでしょう。

 そう考えると,リードアウトの表示が乱れている間,ずっとスイッチ内部ではスパークを続けていたんですね。本当に恐ろしいことです。もし揮発性の薬剤などで充満していたら,ドカンと爆発してこっぱみじんでした・・・

 そんなわけで,とりあえず修理は完了しました。新しいオシロスコープを買う必要もなく,これまで問題だったリードアウトの表示も完治して,万々歳です。

 ついでにDIAGで使用時間と電源投入回数を見てみました。使用時間は約4800時間,電源投入回数は約2800回。結構使い込んでありますね。

 スイッチはさすがに不安ですし,一度起きたことは必ずもう一度起きるものなので,代わりになりそうなものを気をつけて探しておきます。使えそうなものが見つかったら交換してみたいと思います。

 さて,それで一通りのチェックを続けていたのですが・・・どうも垂直軸のDCバランスが悪いようなのです。校正なんて10年以上前にやってそれっきりですから,当然と言えば当然です。

 2465Aには,自動でDCバランスを校正する機能があります。問題があればエラーが出るので,校正後にエラーが出なかった今回も安心していたのですが,VARつまみを回してみると輝線が0.8div位下がってしまいます。

 悪いことにch1とch2で落ちる量が違ってしまっており,明らかにおかしいです。

 VARつまみをロックしてレンジを切り替えれば,仕様通り±0.2div以内の変動に収まっていますから,自動校正機能そのものは正常に動いているようです。VARつまみの回路がどのようになっているかによって,故障なのか調整が狂ったのか,それともこんなものなのか,判断出来るはずです。

 ということで,もう一度サービスマニュアルに目を通して見たのですが,結論から言うと「こんなもの」だそうです。

 VARつまみをロックしてレンジを切り替えた場合の変動は±0.2div以内だそうですが,VARつまみを回した場合の変動は,1div以内であれば良いのだそうです。

 ch1もch2も1div以内の変動なので,仕様通りということになります。ちょっと気持ち悪いですが,仕様という事なら調整をすることも出来ませんし,またその必要もないでしょう。

 ちょっと釈然としませんが,一応これでオシロスコープの件は終了とします。

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed