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DSO Shell DIY kit を買ってみた

  • 2017/05/12 10:46
  • カテゴリー:make:

20170512105027.jpg

 秋月で買いたいものが少し溜まってきたので,そろそろ通販をお願いするかとカートにポンポン部品を入れていた時のこと,概ね片付いてから,他に面白いものはないかなといろいろ見ていたら,ミニオシロのキットに面白そうなものを見つけました。

 5年ほど前にちょっとブームになったミニオシロか,モノクロLCDの基板上バラックキットか,そのくらいのもんだろうとスルーしかかったんですが,なかにきちんとしたケースに入ったキットが目に付きました。

 DSO Shell DIY kit (15001K)と書いてあります。


 白くて丸い上品なケースに,今どき4:3の小さなカラーLCD,入力端子はBNCで汎用のプローブやケーブルが使えそうで,電池駆動もOK。

 それで値段が3500円ということで,これまで完全に見逃していました。

 惜しいのは1現象なことくらいで,帯域の狭さは値段相応と割り切れるポイントです。調べて見ると1年くらい前からその界隈では話題になっていたもののようで,もともと基板キットだったものをリファインし,ケースまで用意したもののようです。

 基板キットというのは工夫の余地がありそうに見えて,昔と違って基板を分割したり回路を分けたり出来ないので,結局適当なケースに収めることも出来ず,実用性が落ちてしまうものですが,今回のキットは基板も筐体に合わせた専用設計をやり直しているようですので,使いやすく小さく収まり,テスター代わりになると考えても3500円なら買ってみてもよいでしょう。

 てことでカートに入れて決済完了。果たして連休直前に届きました。

 連休中はなかなか取りかかることも出来ず,伸ばし伸ばしになっていたのですが,目ざとく見つけた5歳の娘が毎日のように「オシロスコープ作った?作った?作った?」と聞いてくるので,プレッシャーに負けて,連休終盤の夜中に作る事にしました。

 久々ですね,こういう完成して当たり前の工作をするのは。説明書をよく読んで,決められた部品を取り付けていく楽しさ。これはこれで夢中になるものがあります。

 組み立て前の確認から完成まで2時間程度。幸いミスもなく一発で動いてくれました。上下ケースもきちんと勘合してくれて,ネジバカになったネジが1つだけ出てきた事は残念としても,それ以外はとてもうまくまとまってくれました。

 調整は高域と低域のレスポンスをトリマコンデンサであわせ込むのですが,完成させてからでは調整は出来ないので,何度も慎重にやったつもりでしたが,完成してみると高域がちょっと落ちていてしまいました。

 余っていた60MHzのプローブを繋いで矩形波で調整をしてみますが,これも調整出来るところまで追い込めず,いまいちな結果となりました。10:1のプローブが使えると,使い道が随分と広がるんですけどねえ。

 電源はACアダプタでは面倒なので,これも余っていた006P型のNi-MH電池を使うことにしました。内蔵できないので背面にベルクロで張り付けています。でもなかなか収まりが良いです。

 早速娘に見せると,ふふふと笑いながらボタンをおして,つまみを回し,遊んでいます。なにがおもしろいのやらと思うのですが,こういうものに免疫がないというのはさすがに子供らしく,これで1つの関門を越えたかなと思いました。(なんの関門だ?)

 完成後,きちんとした評価はしておらず,測定結果が信用出来るか,どのくらいの範囲で使えそうかがはっきりしていないので,実戦投入はしていません。感触では,オーディオ帯域でもややあやしく,出てきた波形がどれくらい実際と異なっているかを心得ておく必要があると思っているのですが,それはまた後日。

 機能的なところで,随分良く出来ているなと思ったところも多かったので,それをいくつか書いておきます。

 まずそのコンパクトさです。以前からLCDを使った簡易オシロは,キットや完成品を問わず出ていたのですが,綺麗にまとまったオシロとしてはかなり小さい部類でしょう。手のひらサイズでどこにでも置けて,さっと片付けることもできます。

 小さい割にはUIも良く出てきており,操作に困りません。操作感も悪くなく,サクサクと動いてくれます。画面も見やすくて,楽しく測定できると思います。(この楽しくと言う要素はとても重要で,楽しくない,苦痛という事態は,あらゆる作業の質を低下させますし,意欲を削ぐものです。)

 で,基本機能ですが,帯域が狭いことを除けば,いっちょ前に通常のオシロスコープと変わりません。入力はAC/DC/GNDの切り替えが可能ですし,垂直感度は5mV/DIVですので,特に困ることもないでしょう。

 水平軸は10us/DIVが最小なのですが,これだと50kHzから100kHzくらいの波形を確認するのが精一杯でしょう。

 帯域幅が200kHzということですが,実力はもう少し低い印象です。矩形波の観測ではざっくり10倍の帯域がいりますので,前述の掃引速度からも,用途としてやっぱり20kHz程度の音声帯域の観測に限定されるのではないかと思います。

 しかし,トリガは結構切れ味が良くて,UpとDownのエッジも切り替え可能,トリガレベルももちろん可変できるので,欲しい波形をスパッと取り込めます。これでノイズ除去や高域除去があれば本格的だったんですがねえ。

 もちろんノーマル,シングル,オートの3つのモードを選べますので,単発現象も拾えます。

 波形の取り込みを止めることも出来るので,デジタルオシロの便利さは損なっていません。トリガボタンの長押しで,トリガレベルを50%にする機能があるのは,実際に使ってみるととても便利な機能で,よく考えてあるなあと思いました。

 プローブ調整用の1kHzの矩形波も出ているので,きちんとした波形を見ることが出来ますし,なにより,測定前には調整するという基本的な習慣を身につけることができるところが,こういうところをおそろかにしないという点で好感が持てます。

 使っていると,リードアウトとカーソルがないことにがっかりして,これでこれはもうゴミだなあと思っていたのですが,説明書を読むと電圧や周波数の測定値の表示が出来る事がわかりました。

 試してみると,やや波形にかぶりがちですが,とても綺麗にまとまっており,一発で波形と各種測定値が一覧できる便利さに,最近のオシロと同じ利便性の高さを感じました。

 実際,カーソル機能は,こうした測定値を手動で見るために使われていたケースが多いので,最初から一覧で出してくれれば,そんなに必要になることはありません。確かに,オマケでいいからカーソルは欲しいのですが,これはまあ,将来に期待しましょう。

 それと,セットアップの保存が出来ません。これは結構残念で,前回の測定状態が再現されることと,測定を新たに仕切り直ししようとした時を,両立するために有益な機能だったりします。

 これも簡単な機能なので,アップデートされるかもしれないですね。

 写真は,ファンクションジェネレータで生成した「ハート型」の波形を,TDS3054Bとこのミニオシロで表示させたものです。生意気に,けどけなげに,同じ波形を出してくれていますよね。感心感心。

 さて,可愛い外観にしっかりそろった基本機能と使いやすさで,なかなか見込みのあるこのミニオシロキットですが,実用性はと問われると,やっぱりちょっと疑問符が出ます。

 これは私に限った話なのかも知れませんが,音声帯域で波形を見たい事って,あんまりないのです。デジタル回路では最低でも10MHzくらいきちんと見えてくれないといけないし,トリガの条件もあれこれと駆使しますので,これでは物足りません。

 音声帯域で波形を見るのは,発振の有無を確かめるとか,ノイズや歪みをぱっと見るくらいなのですが,発振を見るには20kHzでは全然足りませんし,ノイズや歪みは波形で見るより定量化できるオーディオアナライザを使いますから,あんまりうれしくありません。

 正弦波か矩形波かなんてのは音を聞けばわかるし,やっぱり音声帯域を可視化することの意味って,あんまり見いだせないのです。

 唯一,シリアルポートの確認に使うことがあるなと思いましたが,これも最近は動く事が当たり前になっているので,波形をみて追いかけることなど,ほとんどしません。

 I2Cでも200kHz以上ですもんね。そう思うと,波形が出ますという面白さと,測定値が一揃い出てきますというテスター的な便利さくらいが,このミニオシロの価値なのかも知れません。

 ただ,3500円とちょっとした組み立ての手間で,ここまでのものが手に入るのは正直驚きです。オシロを学ぶ人にとっては,ここで得た知識と経験が上位のオシロスコープでも必ず役に立ちますので,この値段で初めてのオシロスコープが手に入ってしまうという事そのものが,価値であるのかもしれません。今の若い人は羨ましいです。

 純粋にかわいいし,面白いものです。実用性云々は,野暮ってもんです。

 そういえば,私が始めて手に入れたオシロは,5MHz帯域の1現象で,リードアウトもカーソルもない,単純なものでした。

 当時バイトしていたデジットに入荷したいくつかのジャンク測定器のうち,どれか1つを買って帰りたいと店長に相談したところ,ちょっと高い(とはいえ5000円)けど,これがいいと選んでもらったものでした。

 当時はプローブのことも全然知らず,同期方式の違いもわかってなくて,気が付いたらそれがトリガ同期式だったという感じだったのですが,後日店長にトリガのツマミをどういじるのかを尋ねたところ,これが使いこなせたら一人前とニヤニヤされた覚えがあります。トリガがオシロスコープのキモである事を,その時知ったのでした。

 使いやすいものではなく,結局あまり出番もないまま,2465Aを手に入れてから他の人に譲ってしまったので手元にはありませんが,とても大事にしていた事はよく覚えています。テスターもそうなのですが,最初の1台というのは,心に残るものですね。

54645Dが壊れていた~完結編

  • 2017/04/25 11:07
  • カテゴリー:make:

 毎日ちょっとずつ進めている54645Dのレストアですが,昨日ようやく終わりました。やり残した事もあるのですが,部品入手の都合もあるので,今回はここで一区切りです。

 まず,ファンの交換。元々のファンは風切り音だけではなく,コリコリというベアリングの劣化が進んできた時の音が耳障りになってきていますし,ファンは消耗品ですので私は積極的に交換するようにしているので,今回も交換することにしたと,前回も書きました。

 最近はPCパーツの静音化のおかげで,静音を意識したファンが簡単に入手出来るため,交換するだけで静かになるというのもありがたいです。

 で,交換したCFZ-80LAというファンは確かに静かだったのですが,風量が足りず,排気の温度が明らかに高くなっていました。それでも動くとは思いますが,コンデンサ類の劣化は言うに及ばず,長い目で見た時にASICの劣化も進むだろうと思いますので,やっぱりこれは風量を増やしておかないとまずいと思いました。

 そこで買い直したのが,高速タイプと銘打ったCFZ-80RAです。2800rpmで41.15CFMの風量で,そのかわり騒音も29.9dBと大きくなります。前回使った標準タイプであるCFZ-80LAでは2000rpm,2911CFM,19.5dBでああったことを考えると,風量アップに期待が持てます。

 交換した結果ですが,風量は期待した程ではなく,数字の上では2倍でも,3割増しくらいの印象です。その割には騒音は思った以上に大きくなり,音量もそうなのですが風切り音が大きくなっただけではなく,モーターが回る音も混じるようになってきました。かなりうるさいという印象です。

 でも,以前の劣化したファンに比べれば随分ましです。風量もオリジナルの方が大きいようで,風切り音ももっとしますから,これでいってみましょう。

 ケースを閉じると,そんな強い排気がでるわけではないのですが,確実に温度は下がっています。1時間ほど放置してみても,温度は上がっていないので,これなら安心です。音はそれなりに大きいので,交換前の「ファンレスか」と勘違いするような静かさはないのですが,オシロスコープで無音というのも違和感があって,私はこれでもよいと思いました。


 そして仕上げです。自己校正です。

 Verticalの校正はトリガの修理の時に出来る事を確認していますが,改めて行います。これも難なく終わり,次にDelayの校正です。やり方がよく分からなかったのでやってなかったのですが,今回はマニュアルをよく見て実行します。

 普段使いのプローブと,ロジックのプローブのCH0を正面の校正用矩形波の端子に取り付けて、校正を開始します。これで3つの入力の遅延のズレ(スキュー)が揃います。

 結果ですが,ばちっと揃いました。AD96687を交換した時には2nsほどのスキューがあったのですが,これが補正されて,CH1とCH2の波形がぴったり重なるようになりました。トリガレベルをCH1とCH2で同じにして,トリガのかかるタイミングを見ても,以前のようなズレが消えていて,綺麗に揃っています。いやはや,完璧です。

 
 ということで,これで54645Dの修理は完了です。まだまだしばらく使っていけそうです。今回,あちこち触って見ましたし,普段使わないような機能も動かしてみましたが,やはりいちいち使いやすいです。使っていてジワジワとうれしくなります。


 今回は,よく頑張りました。まさかトリガがかからないデジタルオシロを修理出来るとは思わなかったです。いつも修理が出来ると思うのですが,今回はたまたまラッキーで,次はこうはいかないでしょう。

 そう思ってはいても,成功体験は大きくて,壊れたらとりあえず調べるという癖が付いたことは,ひょっとするとパズルを趣味にしている人と同じ感覚なのかも知れません。

54645Dが壊れていた~一難去ってまた一難編

  • 2017/04/24 13:07
  • カテゴリー:make:

 ここで修理完了としてもよかった,HP54645D。でも,もうちょっと頑張ってより快適に使いたいと思うじゃないですか。そこでここから先,より快適に使うための改造を行う事にします。まあ,やらなきゃ良かったという話になるかも知れませんが・・・

(1)空冷ファンの交換

 54645Dには,12V,80mmのファンが付いています。空気を吸い出すのではなく押し込むタイプで,かなりの風量があります。エアフローはよく考えられていて,電源ユニットやCRTを冷やし,メイン基板のLSIの放熱器の直下にあいた廃熱口にまとまって吐き出されます。温度の低い順番に空気が流れていくように作ってあるのだと思います。

 ですので,外側のケースを外した状態では放熱されず確実にダメージを受けるだろうし,またそのケースに余計な穴が開いていたりすると,空気の流れが変わってアウトでしょう。空冷というのはなかなか奥が深い世界です。

 で,20世紀の商品にありがちなのは,ファンがうるさいということです。2000年以降,PCの世界では「静音」が1つのトレンドとなり,それまで無頓着にブンブン回っていたファンが,静かになるように工夫を重ねてきました。

 回転数を低く抑えて風切り音を小さくすること,回転数を調整してその時々の最低限の風量に制御すること,流体軸受けを使って騒音と振動を押さえること,そして羽根の設計を見直し風切り音を小さくするなど,様々な方法が実用化されています。

 ですので,20年前のファンを交換すると,その騒音の違いにびっくりします。ファンが回っているのかどうか分からない位に静かになり,ファンが作る騒音が以下に集中力を削ぐのかがわかります。

 もともと,20世紀のファンはボールベアリングの軸受で,回転数も大きく,10年も回していればゴロゴロと大きな音を立てるように劣化するものです。常時回転しているものでもありますし,信頼性の要ともいえるファンの交換は,静音化だけではなく故障の防止という大きな意味もあるのです。

 ところが,結構悩ましいのが,先程のファンの風量です。昔のファンの風量は大きいのですが,その風量が本当に必要なのかどうかが,わからないのです。PCパーツがどこでも簡単に買える世の中になったのでファンの入手は楽ですが,そのファンは昨今のPCの低消費電力化と静音化の流れで,どうしても風量が少なめになります。

 私が今回選んだアイネスのCFZ-80シリーズは,なんと4タイプあり,風量と騒音で選ぶ事になっています。秋月で売られていた200円のファンが手元にあったので,先にこれで試したのですが,やはり風量が少なくて不安があったために,CFZ-80シリーズのうち標準タイプを選んでみました。

 結果は,やっぱり風量が足りません。秋月で買ったものよりも少しばかり増えたかなという程度なのですが,あまりうれしくない結果になりました。

 まあこれでいいかと,交換して試して見ました。底面から出てくる排気は非常に熱く,これは心配です。しかし筐体そのものの温度は上がっておらず,きちんと廃熱は行われているようです。

 しかし,これから熱くなる夏場は心配ですし,ラックに押し込んでしまうとなお心配です。熱源はASICですから,ここが熱で劣化したり壊れると,取り返しが付きません。

 どうしたものかと悩んだのですが,結局高速タイプに交換することにしました。高速タイプが届き次第交換します。


(2)ロータリーエンコーダの交換

 CH1の垂直感度と掃引時間の切り替えのロータリーエンコーダの劣化がひどく,なかなか綺麗に切り替えが出来ない事がイライラの原因だったので,これを対策するために分解掃除をしたのが,今回のレストアのきっかけでした。

 エレクトロニッククリーナーのおかげでだいぶ良くなったとは言え,まだまだ快適にはほど遠いです。とはいえ,新品のロータリーエンコーダは入手出来ませんので,なんとかこれで行くしかありません。

 そこで閃いたのが,使用頻度の低いツマミと交換することです。

 早速やってみました。

 接着したフロントパネル固定用の爪がまた折れてしまい,途方に暮れたりしましたが,とりあえず再度接着してなんとかなりました。

 交換の結果は,やっぱり快適です。いいですねえ。

 ただ,交換されてしまった方は,ひどい状態です。使用頻度は低いとは言え,使った時に前後にウロウロされてしまえば,やっぱりイライラします。

 そこで,ダメモトで手持ちのロータリーエンコーダに交換してみました。民生品向けの24クリックのもので,1クリックで2パルス出るため,やたらと動きが速くなるのですが,仕方がありません。

 クリックありのものを試して見ると,やはり1クリックで2つ進んでしまいますから,これはさすがにダメです。そこでクリック無しのものを使って交換してみました。

 ちょっとの回転で動いてしまうので,操作感が大きく損なわれた感じはあるのですが,確実に動く事にはかえられません,

 しかし,ロータリーエンコーダは壊れやすく,しかし種類が多くて交換に適したものが毎度毎度手に入らず,困ってしまいます。なんとかならんもんでしょうかね。

 でも,これで気になった点の修理はすべて終わった,はずです。



(3)折れた爪の対策

 先程,フロントパネル固定用の爪が折れてしまい,再度接着したと書きましたが,なかなか大変でした。

 強く接着できるように折れた箇所に接着剤を盛ったのですが,これが邪魔になってフロントパネルがうまく固定できず,削って試して削ってを繰り返して,どうにかしたという,みっともない作戦を繰り広げました。

 これでそれなりに固定できたのですが,パネルに力をかけると,また爪が折れてしまうかも知れません。出来れば別の箇所に金属でパネルとシャシーを固定できれば安全です。

 そこで,キースイッチ基板を固定するビスで1mm厚のアルミのをL字に曲げたアングルを一緒に締め付け,これをシャシーにネジ留めすることにしました。これが非常にうまくいき,パネルのぐらつきもなくなりましたし,剛性感が出てきて気分もいいです。

 ただ,パネルに力がかかるとキースイッチ基板に力がかかりますので,壊れた時の被害が大きいでしょう。注意しないといけないですね。


(4)新しい問題

 自己校正を行って(これは後日書きます),ラックに収納していると,娘が様子を見に来てくれました。オシロスコープの修理が終わった話をすると,あれこれと触りたがっています。

 テストモードにある,キーとツマミのテスト画面に切り替えて,ボタンがあればとりあえず押す,ツマミがあればとりあえず回す,と言う人間の本能的な欲望を満たさせて上げようとしたところ,やはり根源的な欲求にはあらがえず,吸い込まれるようにボタンとツマミを動かし始めました。

 最初は問題なかったのですが,あるとき突然,ボタンが効かなくなったのです。

 おかしいなあと,電源を入れ直したところ,どうも見慣れないメッセージがチラチラと。それでも動いているので気にしなかったのですが,やはり時々ボタンがきかなくなることがあります。

 起動後設定が初期化されていることもあり,なにやらきな臭いです。

 よく見ると,起動直後に「キーが押されて起動された」とメッセージが出ているのに気が付きました。どうもキー周りのトラブルです。

 しばらくしてから修理しようと現象の再現を試みますが,なかなか出てきません。出てきたメッセージと同じ物がでるように,あれこれとボタンを押しながら電源を入れてみますが,同じ物は出てきません。

 ただ,ボタンを押して起動すると,設定が初期化されるんですね。

 しかし,なかなか現象が出ずにいたのですが,もしかするとパネル固定用にアルミのアングルが悪さをしているのかもと思い,分解してみます。大丈夫そうですが,念のためカプトンテープで絶縁して戻したところ,現象が出ました。

 アルミのアングルが原因ではないとして,なにが問題かを考えて見たところ,ロータリーエンコーダの交換に思い当たりました。

 交換した新しいロータリーエンコーダは,ピンの向きが逆だったので,基板に抵抗の足を取り付け,ここにロータリーエンコーダの足をハンダ付けしています。この抵抗の足をハンダで付ける時,ズルズルとパネル側に落ち込んでしまったのかも知れません。

 スイッチ基板を外してみれば,なるほど少し足が飛び出ています。そしてパネル側には,熱で出来たへこみも見つかりました。このパネルは輻射対策で,導電性の塗料が塗られています。テスターで確かめると,ほとんどゼロΩです。

 足を短く切って,さらにカプトンテープで絶縁しました。組み立ててからテスターで確認して,ここに問題がないことを確かめてから組み上げます。

 動かしてみると,問題なし。もう現象も出ません。これでようやく直ったようです。


 とまあ,なかなか一筋縄ではいかないのが,私の修理です。相変わらず鈍くさいなと呆れるのですが,悪くなっては良くなってと,行ったり来たりを繰り返して直っていくのは,楽しみでもあります。

 さて,残りの問題は,風量の大きな高速タイプのファンへの交換と,その状態での自己校正を行うことです。自己校正については,一度行ったところCH1とCH2のスキューも補正されることがわかったので,とても期待をしています。

 あまりいじりすぎると他が壊れてしまいますし,ほどほどにしておかないと・・・次で最後にしましょう。

54645Dが壊れていた~CH2のトリガが復活!編

  • 2017/04/20 10:28
  • カテゴリー:make:

 CH2のトリガがかからない原因が,チャネルごとに用意されたトリガ用の高速コンパレータの不良と判明した私のHP54645D。しかし,その高速コンパレータSPT9687が入手できず,修理まで到達出来ない・・・

 様々な作戦を考えたうち,セカンドソースか互換品を探してみた結果,ちょっとスペックが落ちるが現行品のAD96687が入手可能であり,しかもdigikeyに在庫まであるとわかって早速注文したところまでが,これまでのあらすじです。

 digikeyの利用はこれで2回目なのですが,前回も超高速で届けてくれて,本当にアメリカから飛んできているのかと疑ったほどです。誰に聞いてもdigikeyでトラブったとか,遅くなって困ったという話を聞かないので,値段,在庫,スピードも最高で,しかも信頼性も抜群という,完璧超人な電子部品店が,このdigikeyです。

 勘違いしたらだめだと思うのは,そのdigikeyもプロ相手の商売が軸だという事です。我々アマチュアは,そうしたプロのためのインフラに相乗りさせてもらえるから,こんなに素晴らしいサービスにあやかることが出来ていると,ちょっと自虐的に言い切ってしまいましょう。

 これが他の業者だと,プロとだけ(つまり法人としか相手をしない)しか商売をしないケースがほとんどなわけで,digikeyは寛容にも個人に対し,プロと同じだけのサービスを提供してくれているんだから,うれしいじゃないですか。

 秋月なんかも似たようなものなんですが,秋月の場合プロとアマチュアを区別していないというのが正解なような気がしていて,そのかわり秋月にとっては個人か法人かではなく,数が多いか少ないかを問題にしているように思います。

 ともあれAD96687を在庫していて,最短で2日で届くというのですから,前回書いたように,頼んでみたわけです。

 4月17日のお昼頃に注文し,その日の23時半頃に出荷の連絡が来ました。4月19日中に届くという予定です。早いですね。現地との時差が14時間あるので,半日得をするわけです。

 その後は順調にUPSのステータスが更新され,ミネソタからケンタッキー,そしてアンカレジと通過し,成田に到着したのは4月19日の昼前です。前回はここから16時前に自宅まで持ってきてくれました。

 自宅で待っていたのですが,UPSのステータスがなかなか更新されません。そう,成田から出て行かず,配送車で配達中になってくれないのです。

 まあ,そもそもアメリカからの電子部品が中1日で届く方がおかしいわけで,その間に想像を超える多くの人の手に渡り,関門を抜けて私の所までくるのですから,そのどこか1つでミスがあれば,こんな短時間では届きません。そういうこともあるわな,くらいの寛容な気持ちでいようと思っていました。

 呼び鈴がなります。嫁さんが娘の洋服を買ったものが4月19日の夕方の便で届くようにしてあったので,これが届いたのだろうと出てみると,なんとヤマトがdigikeyの荷物も持ってきてくれました。

 つまり,UPSは成田から自社での配送をせず,提携先のヤマト運輸に委託したんですね。そのけっかUPSのステータスは更新されず,私の荷物は成田にとどまっているように見えたわけです。

 結果オーライ。検品も終わり,希望していた部品が届いたことを確認できたら,早速修理を開始です。

 問題となっているSPT9687を外し,届いたばかりのAD96687に交換です。作業そのものはとても簡単で,5分ほどで終了です。

 ファンクションジェネレータの出力を分岐してCH1とCH2につなぎ,54645Dの電源を入れます。うーん,画面に輝線が出ないのでびびりましたが,ちょっと操作をすると問題なくCH1でもCH2でもトリガがかかって,ピタッと波形がとまります。

 よし,修理はとりあえず出来た。

 しかし,あまり感動はありません。SPT9687とAD96687は異なる仕様の部品であり,CH2でトリガがかかったとはいえ,測定器として使い物になるのかどうかは,別の問題だからです。

 設定したトリガレベルに達してから実際にトリガかかるまでの時間にズレが出ることが予測されたので,それを測定しようと試み,2kHzの矩形波を5ns/divで重ねて表示をし,CH1とCH2を同じトリガレベルに設定して,0Vを横切る時間差を見る事にしました。

 結果は,400psほどのズレがあるということになりました。SPT9687とAD96687の遅延のスペックは,前者が2.3ns以内,後者が2.5ns以内ですので,200ps位の差なら許せるのですが,ちょっと大きいです。

 これは生きているCH1のSPT9687もAD96687に交換して揃えた方がいいかもと思い立ちました。散々まよったのですが,しないで後悔する方がよくないと思い,CH1もAD96687に交換しました。

 パターンを1つ剥がしてしまい,あわてて修復しながら交換。これで壊してしまったら目も当てられません。

 幸い動作はしたのですが,遅延差は拡大し,800psまで大きくなってしまいました。1ns近くの差があるというのは悲しいものがあります。

 そこで,自己校正をかけてみることにしました。これまでCH2が壊れていたので最後まで進まず,Failで止まってしまったのですが,今回はきっとうまくいくでしょう。ひょっとすると,この校正でトリガの時間差も修正されるかも知れません。

 ドキドキしながら自己校正をかけます。数分後無事に通り(この時はちょっと感動した),遅延時間をチェックします。

 残念ながら,時間差は変わりません。

 まあ,こんなもんかなあと思ったのですが,よく見ると波高値も違っていますし,左右の波形の時間軸のズレ(スキュー)も大きいようです。スキューは引き算をすれば済むと思っていたのですが,波高値が変わってしまうとトリガレベルも変わってくるので,かなり面倒です。

 波高値の差はプリアンプの誤差かも知れませんし,もう少し調べて見ないとわかりません。どっちにしても,今トリガのかかる時間がずれることに一喜一憂することはやめた方が良さそうです。

 ということで,CH2でトリガがかかるようになり,自己校正も通るようになるところまで確認して,この日の作業は終了。あとは気になっているフロントパネルの爪が折れてブカブカしていることの対策をすること,あとはケースを閉じて1時間ほど通電して再度の校正をかける事,そして最終的な性能の確認をすることを,ゴールとしましょう。

 中途半端な状態ではありますが,改めて54645Dを触ってみたのですが,やっぱりいいですね。心配していたトリガのキレもちゃんと維持されていますし,操作つまみのチャタリングも少なくっていて,快適な操作が出来ています。

 見たい波形がどんどん見られることの面白さ,指が迷わない直感的な操作と,使って楽しいオシロスコープであることを再認識しました。

 あともう少し調整と確認をして,主役の座に戻ってもらいましょう。

 確かにまだすっきりしていないのですが,我ながらよく修理したなあと思います。以前も書きましたが,測定器を修理するにはそれなりのスキルが必要で,部品の手配も含めてよくもまあデジタルオシロを修理出来たものだと思います。

 

 もちろん,測定器の修理に高い技術力が必要と言われるには,その校正作業も首里に含まれるからなのですが,動くようにするだけでもなかなか大変なのが測定器でもあります。ただ,測定器はある程度修理も考慮されているもので,民生品のように壊れたら買い換えという話ではないだけに,修理不可能で行き止まりにぶつかることは少ないように思います。


 この話,もう少し続きます。

TDS3054Bのファームウェアアップデート

  • 2017/04/19 19:07
  • カテゴリー:make:

 我が家に縁あってやってきて,修理の結果元気になったTDS3054Bですが,54645Dの故障原因の特定にも活躍し,その実力を私に見せつけてくれました。トリガのキレも良好で,操作レスポンスもよくて,キビキビ動いてくれます。

 この時代のLCDですので,見やすいとはちょっと言えないのですが,確かにこの使い勝手ならアナログオシロから移行する人も多かったろうなと思います。

 あれ以後起動不良も起きず,全くストレス無しに使えているのですが,そうなると気になるのはファームのアップデートです。

 以前も書きましたが,最新のファームは3.41で,このセットは3.19でした。機能が増えたわけではないようなので,バグ対策でしょう。ならばアップデートしたいですよね。

 アップデートの手順は簡単で,用意するのは1.44MBのフロッピーディスクを4枚です。これをフォーマットし,disk1からdisk4までのラベルをつけておきます。そしてダウンロード下ファイルを解凍して出てきた4つのフォルダのそれぞれに入ったファイルを,フロッピーディスクにコピーします。

 disk1をTDS3054Bのドライブにいれて電源を入れれば,後は指示通りにすすんでいくという手はずです。

 しかしですね,このフロッピーディスク4枚というのが,なかなか今どき高い壁になってます。私も手持ちのフロッピーディスクを2枚しか見つけることが出来ず,。あとの2枚は保存用のフロッピーディスクからとってきました。

 古いものなのでエラーが心配ですが,やってみるしかありません。

 で,周りを見渡すと,フロッピードライブのあるPCが全くありません。これも壁ですね。出てきたのはUSB接続のドライブです。これをノートPCに繋いで使ってみましょう。

 ところが,WIndows8のマシンではどういう訳だか動作せず,昔のWIndowsVistaのマシンを引っ張り出す羽目になりました。

 なんとかここまで来ましたが,フォーマットをしようとすると,書き込み禁止になっていると怒られます。確認してもそうはなっていないので,ドライブの故障です。ライトプロテクト検出スイッチの不良で書き込み禁止になってしまうということは,実はありがちなことです。

 なんどかガチャガチャと出し入れすると,書き込みが出来るようになりました。

 フォーマットからデータの書き込みをやって,TDS3054Bに突っ込んで電源ON。

 disk1とdisk2は読み込まれることなく交換を促されました。disk3は何度もゴゴーゴゴーっと長距離のシーク音が繰り返されて,もうダメかもと思いましたが,なんとかパス。

 disk4も冷や冷やしながら読み込みを待ちましたが,トータル10分弱でアップデートが完了しました。

 再起動すると,ちゃんと3.41になっています。なっていますが,どこが変わったのかわかりません。その上,ありがちなことですが,保存して置いたセットアップが消えてしまっていました。トホホ。

 心配していたFFTなどの機能もちゃんと生きていて,なにも問題はありません。うまくいったのでほっとしました。

 この過程で少し気になったのが,垂直軸のDCオフセットです。オシロスコープには付きものの問題ですので不良でもなんでもないのですが,起動直後は中央から少し下がっていて,15分ほどかけて真ん中に来ます。

 また,4つのチャネルで中央の揃わないのも気持ち悪いです。こういうことがあるということを,頭に入れて測定を行わないといけないですね。1時間ほど放置した後,自己校正を欠けておきました。

 ということで,TDS3054Bについてやるべき事は,全部終わりました。特に故障も問題もなく,私の武器になってくれると思います。

 プローブをもう2本ほど買い足さないといけないなあ。

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