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Si5351Aを検討する その1

  • 2016/03/03 14:42
  • カテゴリー:make:

 秋月の新商品を眺めていたら,Si5351AというICが売られているのを見つけました。なになに,クロックジェネレータ?

 外付けに水晶発振子を1つ付けると,3kHzから200MHzまでのクロックを任意に生成可能,複数の出力があり,それぞれに周波数設定が出来る,低ジッタ100ps,しかも安いという,大変美味しそうなICです。

 私は以前から,安価なTCXOに自分が欲しい周波数がないことに悔しい思いをしてきており,12.8MHzのTCXOからPLLで10MHzを作ったりしました。

 これはこれでうまくいったのですが,元々のTCXOの安定度が悪かったり,任意の周波数を作るには分周器の制約が多すぎて,やっぱり生成出来ない周波数がほとんどだったりと,なかなか思い通りに行かないのです。

 最近困ったのは,aitendoの時計キットの原発である12MHzと,周波数カウンタの原発である9.765625MHzの2つです。

 前者の12MHzについては,オーディオ用にと800円ほどのTCXOが売られていたのでこれで解決,aitendoの時計は笑っちゃうほど正確な時計になりました。

 後者の9.765625MHzについてはちょっと説明が必要でしょう。元々秋月の周波数カウンタキットだった私の8桁周波数カウンタの原発は10MHzなのですが,2.4GHzを測定する場合には1024分周のプリスケーラを通します。

 1024分周ですから,測定値を直読するには原発を1000/1024しないといけないのですが,それが9.765625MHzです。

 ですが,こんな半端な周波数のTCXOなど標準品では売られておらず,仕方がないので鈴商で買った15MHzのTCXOを改造して使っているのが,現在の状況です。

 実力は温度変化に対しても3ppmくらいに入っているようなのですが,改造品ですし,改造に使った水晶発振子もごく普通の特性のものですので,TCXOに使うには不安があります。

 まあ,2.4GHzなんて測定することはありませんので,オマケ程度に考えて,10MHzの低周波域の原発をTCXOにして使っていました。しかし,9.765625Mhzもちゃんとした原発にする,というテーマは,ずっと未解決のままでした。

 そこへ,このSi5351Aです。Si5351Aはクロックジェネレータですが,要するに高性能なPLLですから,いろいろな周波数を生成出来るシンセサイザという素性は,そのまま原発の精度で任意の周波数を作る事が出来るという,まさに夢のようなICと読み替えることが出来るのです。

 いや,まてよ。

 Si5351Aは,水晶発振子専用の安価なバージョンです。外部クロック入力が可能なのはSi5351Cという上位版だけです。

 SI5351Aを使う限り,水晶発振子(それも25MHzか27MHzのどちらか)で使う事になり,そうすると結局普通の水晶発振器と同じ20ppm程度の精度しか得られなくなります。

 Si5351Aの主な目的は,1つのクロックソースでUSBやらHDMIやらに必要な様々なクロックを一気に生成出来ることですから,まあやむを得ないとは思うのですが,これでは私の夢がかないません。

 悲しんでいても仕方がないので,データシートを見ます。すると,Si5351Aでも水晶発振子の代わりに,外部から信号を入れる方法が書かれていました。ただし1Vp-pの正弦波でないとダメで,0.1uFのコンデンサで直流カットも必要です。

 しかもご丁寧に,こうやって信号を入れる場合でも25MHzか27MHzと指定されています。

 わざわざそう書いてあるのですから,ちゃんとした理由があるのだと思いますが,アマチュアには知った事ではありません。データシートを見ても,最低25MHz,最高27MHzと書いてあるだけで,他を入れたらダメとは書いてありません。

 なら,26MHzならどうだ。25MHzと27MHzの間だし,速度的には問題ないはず。というか問題など考えつかない・・・確か26MHzならTCXOが秋月で安く売られていたはず。

 ぱーっと明るい日が差して,私は涙で曇った目を擦りながら,秋月に早速注文です。変換基板と26MHzのTCXOも一緒に注文したことは言うまでもありません。Si5351Aが150円,26MHzのTCXOが2個で350円です。安い。

 さて,届いてみたものの,SI5351Aは生成する周波数の設定をレジスタで行うもので,I2Cで書き込むことが必要です。設定値の求め方を見ていると,まず原発から数百MHzの高い周波数をPLLで生成し,これを分数分周比を設定出来る分周器で,最終的にズレのない周波数設定を行うとあります。

 分数分周?あまり馴染みがないのですが,なにせHz単位で誤差なしの設定を行うために,分周比の設定は桁数が多く,手で計算していたらきりがありません。それに,PLLで逓倍する周波数も何通りもあり,どれが最適値かわかりません。

 うまくPLLでの逓倍を行えば,分数を使わず整数での分周で欲しい周波数が生成出来るので,スプリアスの少ない,より高品質な周波数を得ることが出来ます。でもそんなに人の手で計算するのは,とても大変です。

 設定値は200近くあります。きちんと設定するべき設定値だけでも100近くありますので,手で計算するのは,間違いが出ることも含めて非現実だと知りました。

 最初の挫折はこれですが,メーカーのサイトを見ていると,やっぱりありました。設定値を計算するツールが。

 そりゃそうですよ。ユーザーが任意の周波数を作れることが売りなのに,計算がややこしいから使えませんは,通りません。ツールをダウンロードしてウヒョウヒョいいながら使ってみます。

 次の挫折はここです。Si5351Aでは,原発の設定が25Mhzか27MHzのどちらかしか出来ないようになっていました。いや,Si5351AはそういうICですので,文句が言えないんですけど・・・

 しかし,これも正面突破。Si5351Cは外部入力が可能な上位版ですが,これで設定値を計算することはできないものかといじってみました。ビンゴ,Si5351Cを選べば,原発を好きな周波数に設定出来るようになっていました。

 ここで26MHzを設定,欲しい周波数として10MHzと9.765625MHzを入力すると,10MHzは整数で,9.765625MHzは分数で生成,近似値ではなくジャストの周波数を生成出来る設定値が出てきました。

 このうち,Reg.15のクロックソースの設定を水晶発振子モードに手作業で修正すれば,Si5351A用のレジスタ設定値が完成です。

 次はi2Cです。

 Si5351Aも初めて使いますし,しかも正しい使い方ではありません。動作しないときに何に原因があるのかがわからないと対策も打てないし,結局ダメだった時にあきらめがつきません。もし,I2Cのしょーもないミスに気が付かず,Si5351Aをあきらめてしまったら悔しいじゃないですか。

 そこで,I2Cが確実に動く物を用意します。今回は,偶然手元にあったmbedを使ってみます。

 実のところ,mbedも初めて使うんですが,聞けばとても簡単だそうですので,使ってみようと思ったわけです。I2Cは旧フィリップスが開発した機内用シリアルインターフェースですが,すでに特許が切れているので誰でも使う音が出来るようになりました。

 ただし,なんちゃってではI2Cを名乗るわけにはいかず,事実AVRなどはI2Cとは言っていません。でもmbedではI2Cと言い切っているんですね。気休めでしょうが,安心です。

 手元にあるのは,STMicroのSTM32F401 Nucleoです。秋月でも1500円ほどで売られている安価なボードですが,これでmbedが使えるんなら安いですね。

 mbedはArduinoのようなプロトタイピングツールです。Arduinoの盛り上がりに危機感を抱いたARMが,ARMでも出来ないもんかと作ったのがmbedというところでしょう。

 純正のコンパイラにライブラリが無償,開発環境はWEBアプリで,PCにインストールする必要すらありません。ブートローダは書き込み済みで,出来たオブジェクトはUSBで繋がったターゲットボードにマスストレージで書き込むだけで則動作するという簡便性です。

 開発言語はC++で,Arduinoのような変な言語ではありません。ただ,デバッガは使えませんので,やっぱり簡単なプロトタイピング向けというところでしょう。

 それにしても,ちゃんとしたCで書けるということと,32bitのCPUで80MHzを越えるパワーですから,随分いい世の中になったものです。

 長くなったので,続きは次回に。

ミニパンチの復活

  • 2016/03/01 14:30
  • カテゴリー:make:

 そう,あれは私が中学生の時でした。中学校で初めて,同じ電子工作の趣味を持った友人に出会った(なんかスティーブ・ジョブズっぽい)のですが,彼は私よりも1歩も2歩も先を進んでいて,私の知識や技能が一気に進歩したことがありました。

 改めて考えてみると,今の知識や技能のベースは,この時に手に入れた物だったりします。タッパーにハンダゴテで穴を開けてケースを加工するのではなく,アルミケースにドリルで穴を開けるようになったのも,この頃の話です。

 子供の工作から大人の趣味へ。ちょうど変化点だったように思います。

 で,彼と話をしていると,「ミニパンチ」なるものを教えてくれました。

 9mmや10mmといった,ドリルで開けるにはちょっと大きく,でもリーマーで広げたりヤスリで削ると綺麗な丸穴にならないという苦労は,ケース加工をやったことのあるホビーストなら経験したことがあると思います。

 かくいう私もそうだったのですが,彼の工作物はとても綺麗なのです。聞けば,ミニパンチを使っていると言うことでした。

 ホーザンという工具メーカーから出ている「ミニパンチ」は,真空管のソケットの穴開け用に用意された工具「シャシーパンチ」の小型版です。

 シャシーパンチはウスとカッター,そしてセンターボルトからなる工具で,ウスのくぼみにカッターがねじ込まれることで,間に挟まれた板が切れるという仕組みの物です。

 センターボルトでねじ込むということ以外は,プロが使うプレスと同じ仕組みで,とても簡単に綺麗な穴を開けることが出来ます。

20160228210545.JPG

 写真の通り,ミニパンチも同じ構造をしていて,サイズに合わせて4種類が販売されていました。7mmと8mmがK-71,9mmと10mmがK-72,12mmと13mmがK-73,14mmと15mmがK-74という商品名で販売されていたのですが,20年ほど前に生産終了となり,現在は補修部品さえも手に入りません。

 1つ1000円ちょっとと,そんなに安くもない工具だったのですが,特にRCAピンジャックなどで,綺麗に揃った穴を複数開けるときにとても重宝しました。

 友人にお勧めされた9mmと10mmのK-72だけを買って便利に使っていたのですが,切れ味が落ちてきたことと,もう少し小さい径の物が欲しいと言うことで,K-71も一緒に買ったのが,25年ほど前の話です。

 しかし,工具の扱いが荒っぽく,かつ鈍くさい私は,このK-71を買ってすぐにこわしてしまいます。K-71は7mmと8mmですので,センターボルトがM4と細く,K-71のM5に比べて折れやすいのです。

 厚みはそれ程でもなかったのですが,アルミの厚さにムラがあり,斜めにカッターが入ってしまったことでボルトがねじれてしまい,写真のようにポキッと折れてしまったのです。


20160228210546.JPG

 折れたボルトはウスからなんとか抜き取りましたが,短くなったボルトはもう使えません。強い力がかかるボルトですので,そこら辺のM4のネジでは耐えきれないだろうと,もうあきらめてしまいました。

 後年,部品注文をしよう,あるいは修理依頼をしようと気が付いても時既に遅し。すでに部品がなくなっており,結局どうにもならないまま,工具箱に転がっておりました。

 先日,そのK-71を眺めていて,手持ちの硬そうなM4のネジを使って,柔らかいアルミくらいなら切れないかとためしてみたところ,とても綺麗に開けることができました。プラスのネジでしたが,電動ドライバーでねじ込めば,非常に楽ちんでもありました。

 これなら,もっと硬いボルトを探せばそれなりに使えるんじゃないかと思い立ちました。いつかアキバに行ったときに探してみようと思っていましたが,当面行くことがなさそうなので,通販で探してみると,いろいろ見つかりました。

 とはいえ,M4で高強度,頭が六角で長さも30mmというのはなかなか見つからず,ようやく見つけたのがBUMAX88のキャップボルトというやつです。

 ステンレスというのはそんなに硬いわけではないのですが,このBUMAX88というのは,鉄製の高強度ボルトと比較し,同等かそれ以上の強度があるんだそうです。だから,それまで太い鉄製のボルトを使っていた場所に,細いBUMAXを使えば同じ強度で小さく軽く安く,ダウンサイジングが可能になるんだそうです。

 私はネジの専門家ではないので,普通に手に入る六角レンチで回せる硬いボルトがあればいいんですが,とにかくざっと探して一番強そうなものを選びました。2本で500円。高いと言えば高いですが,ミニパンチが復活するなら安いです。

 届いたものが,以下の写真のようなものです。


20160228210547.JPG

 早速試してみましょう。まず,4mmの下穴を開けます。これはラフでいいです。そして,ウスを下側に,カッターを上側にして,ボルトを通します。


20160228210549.JPG

 あとは六角レンチでぐいぐいとねじ込んでいきます。そしてあいた穴がこれです。

20160228210550.JPG


 とりあえずうまくいきました。1mmの柔らかいアルミですので問題なしだったんでしょうが,嫌な音もせず,急にトルクがかかったりすることもなく,非常にうまくいったと思います。

 以外に六角レンチを回すのに手が痛かったので,ここは小型のラチェットを使えばいいように思いますが,あまり楽に回せてしまうと負荷がかかったことに気が付かず,またボルトを折ってしまうかもしれません。まあ,これくらいがちょうどいいのかも知れないですね。

 ということで,K-71が復活です。

 ドリルで開けられる6.5mm以上で,かつシャシーパンチで開けられる16mm以下の穴を綺麗にあける決定版であるミニパンチが手に入らないことで,私は小型のホールソーや,タケノコドリルも買ってみたのですが,やっぱりミニパンチが一番です。出来れば再販して欲しい所ですが,ホーザンしか作っていなかったという話から考えても,望み薄です。

 7mmと8mmという穴も,綺麗に開けるのが難しいものです。20年ぶりに復活したミニパンチ。どんどん使っていけそうです。

標準電圧発生器で遊んでみよう[考察編]

  • 2016/02/17 09:07
  • カテゴリー:make:

 さて,電子負荷キットがめでたく完成し,我が家の測定器戦列に加わったわけですが,この時同時に同じお店から,「標準電圧発生器」なるものを買ってありました。

 これ,キットでも部品セットでもなく,完成品です。透明なアクリルで出来た高級感など全くない筐体で,当然のように中国製なのですが,なんと4000円もする高級品です。

 なんでそんなものを,と思われたかと思いますが,その名の通り,標準電圧を発生させる,いわばモノサシです。

 実はこれ,なかなかこの値段では手に入りにくいものです。

 電圧というのは身近な数値で,乾電池は1.5Vですし,コンセントの電圧は100Vです。で,それを測定する機材としてテスターがあり,電子工作に興味を持てば,まず最初に手にする測定器だったりするので,初心者の頃からとにかく電圧だけはどんどん測定することになります。これはもう大昔から変わりません。

 初めてのテスターを手に入れて,大喜びでそこら中の電圧を無闇に測定しまくった経験を皆さんもお持ちかと思いますが,その後テスターがもう1台増えると,新しい疑問が吹き出します。

 そう,2つのテスターの示す値が違うのです。

 どっちが本当だ?

 いやどっちも間違っているのでは?
 
 とりあえずもう1台テスターを買って試して・・・なんてことを長年繰り返して,気が付いたら身の回りはテスターがゴロゴロしているわけですよ。困った事です。

 そんなあなたに,これ,標準電圧発生器です。

 非常に高精度な電圧を安定して発生させるこの装置を使って,テスターの数字が正しいかどうかを確かめてみるのです。標準電圧に比べて大きくずれていたら,そのテスターは信用出来ないということになります。

 とはいえ,そんなに高精度な電圧なんて,簡単に手に入るのでしょうか?そう,簡単には手に入りません。まず,絶対的な精度があります。同じ5Vといっても,5Vと5.00000Vとでは,全然意味が違います。

 仮にその精度を実現した電圧があったとしても,それがずっと,長い間変化しないように作ることはとても難しいことです。電池だって,使わなくても勝手になくなってしまいますよね。世の中,変わらないことがどれほど難しいことか。

 加えて,気温や湿度,気圧の変化だって電圧に影響を与えてしまいます。もしかしたら強力な電磁波(電波)でも変動するかも知れませんし,その電圧を発生させる仕組みによりますが,元々の電源の変動が影響することだって考えられます。

 高精度になってくれば,地磁気の影響だって受けるだろうし,もっといえば人体の影響だって避けられないでしょう。もう,泥沼です。

 まあ,さすがにそこまで気にし出すともう切りがないのでそこそこにするとしても,それでもやっぱり大変です。こういう,絶対精度と経年変化を抑えた「標準電圧」は,電圧計の校正などに使われますが,とても高価ですし,精度の維持管理がとても大変です。

 これを,そこそこの精度でいいからという制約で,モノリシックICにしたものがあります。そう多くはないにせよ,機器に組み込んだ高精度な標準電圧が欲しい時だってあるんですね。

 そのICとしてよく知られたものが,アナログデバイセズのAD584です。なかなか高いICですが,今回の標準電圧発生器は,このICを使っています。だから4000円でも安いと思って買いました。
20160217092101.jpg
 さて,届いてみると,透明アクリルの板きれを組み合わせて作ったオモチャのような外見と,そんなに高級な部品を使っていない感じがして,どうもあやしい感じです。裏側には電圧の実測値がボールペンで書かれています。どれどれ・・・

 気温21℃で,測定日時は2015年とだけ書かれています。それぞれの実測値は,

2.500V・・・2.50165V
5.000V・・・5.00302V
7.500V・・・7.50454V
10.00V・・・10.00533V
20160217092100.jpg
 これが,シールに書かれた日時に,彼らの34401Aで測定された電圧です。その34401Aが十分な精度を持ち,管理されているのであれば,この標準電圧発生器の電圧もそれなりに信用出来るというわけです。

 さて,うちのテスターどもを確かめる前に,あらためてこの標準電圧発生器を考察してみることにします。

 まず,心臓部のAD584KHですが,メタルCANパッケージで,精度は2.500Vで±3.5mV,5.000Vで±6mV,7.500Vで±8mV,10.000Vで±10mVという仕様になっていて,2ランクあるAD584のうち上位ランクになります。
20160217092102.jpg
 温度安定性については,0から70℃までの範囲で15ppm/℃。いやーやりますね。なになに,レーザーウェハトリミングで出力レベルと温度係数を調整ですか,むむー,しびれますね。

 私の手元にある標準電圧発生器の誤差は,現地で測定された34401Aが誤差ゼロと仮定すれば,2.500Vで+1.65mV,5.000Vで+3.02mV,7.500Vで+4.54mV,10.000Vでは+5.33mVです。いずれもスペック内に入っています。

 ちなみに今日現在の某部品通販会社の価格は1個で3633円,メーカーの100個時の価格は18.03ドルです。これが完成品でしかも実測値つきなら4000円というのは十分安いです。

 AD584KHはメタルCANパッケージで,プラスチックのAD584KNとスペックを比べても,同一です。ではわざわざなんでメタルCANを用意するのか,と言う話なんですが,これはもう長期信頼性と堅牢性が気になる方向け,です。

 メタルCANパッケージは溶接で封止するため,完全な防湿が可能です。半導体は,素子の酸化や劣化が問題となってメタルCANパッケージが使われていた時代が初期にあったのですが,その後プレーナプロセスの登場で酸化や劣化をほぼ無視できるようになり,安価なプラスチックパッケージに移行しました。

 ただ,このプラスチックというのは水分を通しますので,半導体は湿気に晒されることになります。それでもほとんど影響がないのですが,ごく僅かに性能を変化させるため,その変化が問題となるような高精度な世界では,長期間にわたる信頼性を確保するために,こうしてメタルCANパッケージが選べるようになっています。

 もちろん,光,電磁波,機械的衝撃,磁気などにも強いことは言うまでもありません。ただ,このパッケージはピンが細くて長く,曲がりやすいこともあって,自動で基板に取り付けできません。大量生産品には使えないんですね。

 さてさて,ICの性能が高ければそれでOKかというと,そんなに甘い世界ではないわけで,ここまでくると実装や回路の工夫が,精度を左右します。

 まず,電源です。電源をACアダプタなんかから取ってしまうと,電圧の変動やノイズといった電源品質が,精度の足を引っ張ります。理想的には電池ですが,その電池だって乾電池では内部抵抗が高いし,電圧が安定しません。

 そこで,内部抵抗が低く,電圧変動の小さい電池として,リチウムポリマー2次電池が使われています。3.7Vで580mAhと,この回路では大きすぎる容量を持っているのですが,あまり小さいと使い勝手も悪いし,電圧変動も出てくるので,これを選んだのかも知れません。ちなみに充電は外部から5Vを供給することで行います。充電中は動作しません。これも,設計者がよく考えて作った結果だと思います。

 1つのボタンで電源と電圧切り替えを行うのですが,当然マイコンが入っています。また電池の充電回路も入っているので,システムとしてはそれなりに完成されていて,電圧だけ出ればそれでいいやという適当な作りにはなっておらず,ちょっと感心しました。

 些細なことですが,電圧表示のLEDに赤を使っているところもうれしくて,中国製にありがちな超高輝度なギラギラした青色なんかを使っていると,もうゲンナリです。

 次に基板です。両面基板ですが,しっかりとGNDを取ってありますし,配線も太く,それなりに考えられていると思います。職人が引くもはや芸術的とも言える高精度アナログ回路のパターンというわけではありませんが,それはもう高望みでしょう。

 面白いのは,AD584KHの周りに3mmくらいの穴が8個あいていることです。これ,おそらくですがパッケージの周囲の風通しを良くすることで,IC自身が発生する熱を放熱しているんではないかと思います。

 残念な所があるとすれば,出力端子でしょうか。普通のバナナプラグが刺さるような安物の端子で,配線もラグにハンダ付けです。せっかく高精度なものを使っているのだから,ここは圧着か直出しでしょう。

 それと,基板の洗浄がちょっと不足です。AD584KHの足下に,白いフラックスが残っています。こういうのが案外,精度を落としたり長期的な信頼性を悪化させたりするんです。

 とまあ結局の所,校正され管理された正確な電圧計で測定した値を,温度や経年に対して出来るだけ維持して持ち歩くための「箱」がこの標準電圧発生器です。絶対精度で一喜一憂するよりも,変化しないことを評価したいです。

電子負荷キットを作る[発動編]

  • 2016/02/15 14:26
  • カテゴリー:make:

 前回は,電子負荷キットRe:Load2を作って動作の確認まで行いました。最大で18W位を吸い込む事が出来,外部電源モードでは0Vから動作してくれます。

 ただ,12Vで1.5Aも吸い込むと,数分でサーマルシャットダウンが動作して,電流を吸い込まなくなります。

 こういう保護回路が入っているのが,BTS117の素晴らしいところで,もしなにも入っていない普通のFETだと,壊れるまでそのまま突き進んでしまいます。かといって保護回路を別途用意するのはなかなか面倒なので,これは本当にありがたいです。

 で,安定して吸い込めるのは,やっぱり12W程度な感じです。少し大きめの放熱器を,アルミのケースにがちっと取り付けているので12Wくらいはなんとかなっている感じですが,それでも非接触型の温度計でFETの表面温度を測ると100℃を越えています。

 放熱器の表面温度は60℃ほどですが,ここも出来れば45℃くらいに押さえたいところです。

 ということで,自然空冷ではこの程度ですから,強制空冷を検討します。

 まず,手持ちのファンを探してみます。探してみると,40mmのファンが3つ出てきました。いずれも20年近く前のものです。電圧は12Vですから,5Vで回すとかなりゆっくりでしょう。ここまで電圧が低いと,そもそも回るのかさえ怪しくなります。

 回してみるとゴリゴリと嫌な音がします。軸受が駄目になっていますね。ちょっと油を差してやると,ぐぐーんと回転数があがります。5Vまで電圧を下げると,ゆっくりですが,回ってくれています。

 風量は少ないのですが,これを放熱器にセロテープで貼り付けてみます。早速実験です。結果は,20Wまでならなんとか大丈夫,25Wになるとダメでした。まあ,気休めに近いです。

 次に,秋月で一緒に買ったファンです。25mmという小型のものですが,電圧は5Vです。回してみると,小さいのにしっかり回っています。

 同じようにセロテープで取り付けますが,さすがに20mmでは放熱器のフィンの全部に風は当たりませんので,部分的に冷えるだけという感じです。

 結果は,先程とあまり変わりません。25Wだとだめです。FETの表面温度も100℃を越えています。

 ならばと,この小型ファンを2つ並べてみました。並べると50mmですので,54mmの幅のあるこの放熱器にはぴったりサイズです。

 回してみると,さすがにうるさいです。2つのファンが微妙に違う周波数を出しますので,変なうなりが出ています。不快です。

 ですが,効き目はさすがにあります。20Wなら全然余裕,25Wでも大丈夫です。FETの表面温度も100℃を越えません。しかし30Wはダメです。5分くらいなら大丈夫ですが,それではこわくて実験に使えません。

 ならばと,先程の40mmのファンを12Vで動かしてみます。かなりの風量ですから,期待出来そうです。結果は,30Wもなんとか大丈夫でした。FETの表面温度も100℃までに入りますし,温度上昇も緩やかでした。本当は,どこかで熱的に平衡する温度まで測定したかったのですが,時間切れでした。

 ということで,今回の結論としては,放熱器全体に風を当てること,風量は出来るだけ増やすことです。頑張れば30W動作は可能です。

 しかし手持ちのファンでは12V駆動せざるを得ず,そうすると嫁さんからパクったACアダプタが使えないという悔しい事態になりますので,この際5V駆動のファンを買うことにしましょう。なんか,本末転倒な気がしますが,それはおそらく気のせいです。

 早速探してみると,50mmで5V駆動というファンがamazonで見つかりました。そんなに安いわけではありませんが,500円弱です。50mmあれば,放熱器のほぼ全体に風を当てることができますし,5V動く物ですので,今のACアダプタをそのまま使っても十分な風量を確保できるでしょう。

 マーケットプレイスなので時間がかかることは覚悟していましたが,発送済みのメールを見ていると,なにやら見慣れない中国語っぽい運送会社が2週間以上かけて運んでくれるんだそうです。

 どうも中国から発送されるものらしく,未だにトラッキングができません。なんとなくなのですが,このまま無事に届かないんじゃないかという気がしてきました。

 ちょっと他を探してみようとgoogle先生に聞いてみたら,なんとまあこの電子負荷を買ったSHOP-Uさんで取り扱いがあるじゃありませんか。しかもお値段は400円弱。メール便でお願いすれば400円台で買えます。

 もうね,届くかどうかわからないものを3月上旬まで待つなんて,バカバカしくってできません。1000円でファンを買ったと思って,SHOP-Uに注文。この土曜日に届いてしまいました・・・

 ねじ穴の位置の関係で,放熱器にネジを切って取り付ける方法が採れないとわかり,どうした物かと考える事10分,3.5mmというちょっと太めのビスで,フィンに直接ねじ込んでみます。

 穴を開けることもせず,ちょっと不安ではありますが,かなりがっちり固定できているのでこれで良いことにします。いやー,アマチュア精神炸裂です。

 そしてケースの背面に小さい穴を開けて,ここから配線を通し,5Vに繋ぎます。

 ちょっと回転数が低めで,風量も少ないなと言う印象があるのと,それと回転数が結構不安定で,ムラがあります。向きを変えても回転数が変わりますし,まあ中華クオリティってこんなものかも知れません。しかし,空冷のファンが死んだら,装置そのものも死んでしまう場合が多いと思うんですが・・・

 さて,これで実験です。まず30W。15Vで2Aを吸い込んでみましたが,ファンなしだと数分でアウトだったのに対し,1時間以上の連続動作もOKでした。FETの表面温度を測定すると106度でほぼ均衡しています。熱的に安定しているので安心です。

 ここで欲を出し,16Vで2A,32Wを吸い込んで見ましたが,これも大丈夫。17Aで2Aだと数分でシャットダウンするので,実力として32Wまではなんとか大丈夫,安定動作は30Wまでというのが,この電子負荷の仕様となります。

 ところで,30Wを吸い込んでいるときにスイッチを切り替え,セルフパワーにしてみました。すぐにシャットダウンすると思ったのですが,ファンが突然強烈に回り出してしまいました。びっくりしてすぐに電源を切断したのですが,冷静に考えたら当たり前です。

 外部電源モードでは,電子負荷本体とパネルメーター,そしてファンにも5Vが供給されています。これはいいですよね。

 これがセルフパワーモードになると,入力された電源が,電子負荷本体とパネルメーターにも供給されるようになります。セルフパワーモードでの入力電圧の制限(最大30Vまで)というのは,この電子負荷とパネルメーターの最大定格から来る物です。

 で,ファンの電源をこれらと並列に取っているのですから,セルフパワーモードでは入力された電源の電圧がそのままファンにかかるわけです。15Vを入れればファンも15Vでブン回るんですね・・・こりゃいかん。

 シリーズレギュレータで5Vに落とす事も考えましたが,そうすると外部電源モードで5Vを得るために,ACアダプタは8V近い電圧のものが必要になります。しかも,セルフパワーモードの動作下限である4Vが,ファンを回すために8V付近まで上がることになります。こりゃだめです。

 では,セルフパワーモードではファンを回さないようにすればいいんじゃないかと思いました。セルフパワーモードではファンの電源ラインを切断すればいいのです。

 しかし,そうは問屋が卸しません。

 今回使った切り替えスイッチは1回路2接点の3Pのものです。前回の検討で,一度はリレーを使ってパネルメーターの接続を切り替える作戦を立てて配線をしたところ,結局切り替えの必要がなくなって,リレーを外した経緯がありました。

 しかし,ファンを止めるには2回路必要です。ダイオードを使ったりしてなんとか1回路で出来ないか考えてみたのですが,やはり無理。かといって2階路のスイッチは手元にありませんので,ここは再び,リレーを使う事にしました。

 なんだか鈍くさい話なんですが,実はリレーを使う事のメリットがないわけではありません。

 リレーは,ACアダプタの5Vで動作します。したがってACアダプタが外されて外部電源が切れてしまえばリレーも動作しなくなり,スイッチの位置に関係なく自動的にセルフパワーモードになってくれます。

 リレーでなく,2回路のスイッチを使うと,ACアダプタが外れてしまっても外部電源モードの配線のままなので,全く動作しないという状態が起こってしまうのです。

 ということで,リレーを使うことでより完璧になりそうです。こらそこ,笑わない。

 いいじゃないですか,リレーも1つ100円もしないんですから。2回路のスイッチって結構高いですよ。300円とか400円とかしますし。安いしいいんですよ,これで。

 さっさと配線を変更して,外部電源モードもセルフパワーモードもちゃんと動作することを確認し,これで電子負荷は完成です。

ファイル 794-1.jpg

 なかなかコンパクトにまとまりました。ACアダプタの試験とか,電源回路の試験とか,いろいろ面白く使えそうです。

 以下は背面の様子です。放熱の奥行きが小さく,ファンも薄型ですので,最終的に飛び出す量がそんなにおおきくありません。
 
ファイル 794-2.jpg

 何だかんだで30Wを吸い込む物ですからね,長期試験とかいって繋ぎっぱなしにすると,それがそのまま電気代として見えちゃうので要注意です。それに,不用意に放熱器に触るとやけどします。ファンを回さないと60℃くらいになったりしますので,びっくりします。ファンを回せば冷えますが,ファンがむき出しなのでちょっと怖いです。

 ま,そういうのをそのままにしておくのも,アマチュアの特権ですね。

秋月で通販するということ

  • 2016/02/10 13:29
  • カテゴリー:make:

 電子負荷の検討を続けたいところですが,注文したファンが届くのに少し時間がかかりそうなので,先にこっちを書いておきます。

 その電子負荷キットを完成させるために,ケースなどを秋月で買うことにしたわけですが,秋月は送料が別途かかるので,まとめ買いをする癖がついてしまいました。

 このまとめ買いのクセは,私が中学生の時からついたものです。当時大阪に住んでいた私は,秋葉原など見たこともなく,まるで桃源郷のような場所だと聞かされていました。

 その秋葉原でも特に知られた部品屋さんが秋月電子なわけで,確かにここで売られている物を日本橋で買うと数倍の価格になったり,そもそも買えなかったりする上に,基本的には貴重な「資料」がついてくることが,我々ホビーストには重要でした。

 日本橋でも,いわゆるジャンク品は売られていましたが,いくら安くても使うために必要な資料や仕様書がないことが多く,結局知ってる人だけが大喜びという,間口の狭い世界だったのです。スキルはあるけど情報がないということで,腕に覚えのあるホビーストが,涙をのんでいた時代でした。

 そこへ行くと秋月は,トランジスタ1つにもデータブックのコピーを添付していて,使いこなしのスキルがあればどんどん面白い事ができました。

 今と違って,インターネットがなく,それ以前の話として部品メーカーも資料を積極的に出さなかった時代です。部品の仕様書を出すのは,その部品を正規に購入して使う技術者だけ,と言うスタンスのせいで,一般の人はもちろん,学生など門前払いでした。

 だからこそ,初歩のラジオやトランジスタ技術と言った「誰でも手に入る情報源」が重要な位置付けを保てていたわけですが,情報流通の範囲が制限されて差が作られるというのは,いい意味でも悪い意味でも一種の職業上の特権だったといえばそうかも知れません。

 私などは,情報がないせいで悔しい思いをしてきた人でしたし,展示会でも追い払われる経験をしましたから,学生の時に手に入れた技術情報はそれこそ宝物でしたし,情報をもらえる立場,是非見に来て下さいと言われる立場になることを目指して,この仕事を選んだようなものです。

 情報がなければどんな素晴らしい部品でも,ただのゴミになります。しかし資料を作る側にしてみると,それも結構な手間とお金がかかるので,ただでばらまくなどは考えられなかったでしょう。事実,家電メーカーのエンジニアには無料で配られるデータブックの中には出版社を市販されるものもありましたが,1冊数千円で売られていました。

 だから,秋月で買ったものの価値は,その部品と共に,一緒についてくる資料にも存在しました。今でもちゃんとファイルに綴じてありますし,あの独特の,蛍光ピンクや水色のインクで印刷された,いかにも切り貼りしましたという資料は,見ていてワクワクするものがあります。

 その秋月が大阪にいた私からとても遠いと感じたのは,秋葉原にあるという物理的な距離と同時に,どんな小さな物をかっても送料は一律600円という仕組みのせいでした。(秋月がとても面白かったのは,送料が余った場合に,他の部品を同封して返してくれたんですね。その部品は完全に向こうにお任せですから,何が来るのか楽しみだったのです。)

 今でこそ送料600円はリーズナブルと言えますし,今は500円ですから値下がりしているというのもびっくりですが,当時は郵便だけが通販の流通を担っていた時代で,この600円というのもほぼ切手代だったわけです。

 600円といえば,秋月なら,それこそたくさんの部品やキットを買うことが出来る値段です。送料まで考えたら,日本橋で買った方が安くなる物もありましたが,だからといってこの600円は秋月の儲けにならないわけで,なんだか理不尽だと思った記憶があります。

 ついでにいうと,送料だけではなく,支払いの手数料もバカになりません。当時は現金書留か振替くらいしかありませんでしたから,お金を払うことに何百円も取られていたのです。

 そこで,欲しいものをリストアップしておきまとめ買いをすることをするようになりました。店頭で特価品を買うことはもともと出来ませんから,常時在庫の定番品しか買えません。それでも十分面白かったのが,当時の秋月でした。

 ここから一歩進めて,友人に声をかけて共同購入もやりました。同じような思いの友人を何人か集めると,簡単に合計金額が1万円を越えるので,子供だった私はドキドキしたものです。

 そうしたクセが抜けきれず,秋月で買うときにはまとめ買い,と,自然に発想するようになりました。

 個人的には,秋月のような単価の安いお店では,送料別がいいと思いますし,そういうお店を積極的に選んで買い物をしています。amazonでも,ちょっとした部品を買うことが出来る時代になりましたが,送料無料というシステムのせいで,価格に送料が乗っていますから,単価が高いため,数を買うと大変な価格になります。

 そんなわけで,長々と秋月でたくさん買い物をする「言い訳」をしてきたわけですが,今回も余計な物をあれこれ買って,随分高額になったことを白状しておきます。

 今回高かったのは,やっぱオシロのプローブです。今どき1000円で2本買えるプローブですが,500MHzのプローブはやっぱり高いです。メーカー純正品なら数万円しますが,消耗品であるプローブにこんな値段は出せません。

 ということで,秋月で2465A用に昔に買った500MHzのプローブでしたが,同軸ケーブルが細くて断線しやすいのも広帯域のプローブの運命でして,あまり使わないうちに2つとも壊れてしまったのです。

 いつも使うわけではない2465Aですので,1本だけ購入し大事にとってあった純正のプローブを1本だけ出してきてその場しのぎをしていました。しかしこのまとめ買いの機会に2本買いましょう。いつの間にか最新版に商品が入れ替わっていて,コネクタ部分の大きさが随分小さくなっています。でも,ケーブルは弱いままだろうなあ。

 プローブ2本で8400円。高いような安いような・・・でもまあ,最近はなんだかんだで2465Aを使う事が増えましたし,いいか。

 あとは,先日電解コンデンサの交換やメカのメンテをやったDTC-59ESJ関連です。ちょうどいいコンデンサがなかったという理由で交換をサボっていた,電源周りの大容量コンデンサですが,本当はこういうところから劣化が進むので,真っ先に交換したいところです。

 事実,ロットによっては激しい漏液でやる気も失せるほど,ということですので,私のように漏液しやすいコンデンサが使われていないもので,やっぱり交換したいと思っていました。

 しかし,やっぱり,6800uFの25Vと,5600uFの35Vは,秋月には売っていません。そこで,回路図を見ながらちょっと考えてみました。

 まず,6800uFについては,デジタル系の5Vを作る電源です。25Vという耐圧は非常に妥当ですが,ここは10V程度の電圧なので16Vでもギリギリ大丈夫と踏みました。なら,8200uFで16Vというものが特価(105℃品なのにたった50円)で出ていますのでこれを使いましょう。

 次に5600uFの35Vですが,これはアナログ系の12Vを作るもので,正負両電源なので2つ必要です。ここも16V程度がかかるだけですので25V耐圧なら十分なのですが,案外売っていないものです。

 いろいろ考えた結果,15000uFの35Vが450円でしたから,これを2つ使う事にします。一応オーディオ用なんだそうですが,まあそんなことはどうでもいいです。

 さすがに5600uFが15000uFですので,ちょっと大きすぎかなあとは思いますが,突入電流が大きくなってしまうことと,電源OFF時に電荷が抜けるまでの時間がかかること以外は,むしろリプルが減ったりしてありがたいものですので,これでいってみましょう。

 それから,ACコードです。まるで電動工具かと思うような太くて取り回しの悪いコードが筐体から直接出ているせいで,とても煩わしかったのですが,ここを3Pのコネクタに付け替えて,市販のACケーブルをそのまま使えるようにしようと思っていました。

 ですがあいにく,コネクタの在庫を使い切ってしまったので,一緒に買いました。3つ買ったのですが,1つは皿ビス用にざぐったところ,失敗して割ってしまったので廃棄しました。もったいない。

 これだけの作業をささっとすませて,本当にもうDTC-59ESJの改造はおしまいにします。

 さて,今回の買い物のメインは,実は他にあります。Si5351というICと,その周辺部品なのですが,この部品が私が長年悩んできた問題を一発で解決してくれる可能性があります。

 決して簡単に使えるデバイスとは言えませんが,ぼちぼち検討していこうと思います。

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