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カテゴリー「make:」の検索結果は以下のとおりです。

Si5351Aを検討する その3

  • 2016/03/07 14:19
  • カテゴリー:make:

 さて,前回までで,SI5351AがTCXOで動き,しかもその精度を維持したまま任意の周波数を生成出来ることがわかりました。I2Cで設定するだけで動くのですが,そうはいってもI2Cですし,100バイトを超える設定値ですので,マイコンを使う以外の選択肢はありません。

 それでmbedを使いましたが,これでは大きすぎて,あるいはもったいなくて,組み込めません。安いマイコンを使いたいところです。

 私が慣れているAVRのATtiny2313を使えばいいと思っていましたが,これ,I2Cがありません。ソフトでエミュレーションして動かせばどうにかなるだろうと思ったのですが,もうAVRも長く使っていないので,頭がまわりません。

 google先生にいろいろ聞いてみたら,ありがたいことにサンプルコードがいくつか見つかりました。I2Cって,単純な書き込みであってもリードをしないといけない部分があるので,ソフトでの実装は案外面倒なのです。

 ちょっとした試行錯誤はありましたが,そこは使い慣れたAVRです。tiny2313でSi5351Aを設定する事に成功し,10MHzと9.765625MHzを生成することが出来ました。

 で,最新のtiny2313の値段を見てびっくりしたのですが,なんと随分値上がりして,230円になってるんですね。私は100円でたくさん買ったのですが,こんな値段になっているんだとすると,大切に使わないともったいないです。

 I2Cは2本で通信するものです。他にマイコンで制御しないなら,2313は確かにもったいないです。ならばと8ピンのtinyを探してみれば,tiny13Aというのがありました。50円。安い。

 これなら今回の目的にぴったりでしょう。ただし,メモリが小さいので,ちゃんと実装出来るかどうか不安ですが・・・

 とりあえず,tiny13Aを10個ほど入手。どうせ大した事はしていないので,そのままリビルドすれば動くだろうと思ったのですが,さっぱり動きません。

 ここからが長いのです。続きます。

Si5351Aを検討する その2

  • 2016/03/04 15:05
  • カテゴリー:make:

 前回は,Si5351Aと26MHzのTCXOを買い込み,設定値をツールで作り,I2Cにはmbedを使って試して見ようというところまで書きました。今回はその続きです。

 ともあれ,回路を作らねばなりません。SI5351Aは10ピンのSOPですので,0,5mmピッチの変換基板にのせて,DIPに変換します。こういう場合,0.1uFのパスコンをチップで一緒にのせてしまうとよく効くし,綺麗です。

 ついでに,TCXOものってけてしまいましょう。裏側にベタGNDがありますから,ここにTCXOをハンダ付け,ちょこっと配線をして完成です。さらにI2Cはプルアップ抵抗もここに取り付けてしまいます。

 これをブレッドボードに差し込み,mbedのI2Cと繋ぎます。

 mbedのサイトを見ていると,同じmbedのNXPのチップ用に,Si5351の設定プログラムがアップされていました。ありがたいことです。早速使わせてもらうことにし,STM32F401用に修正してコンパイルしました。

 動かしてみたところ,I2Cは動いているようなのですが,Si5351Aは黙ったまま。おかしいなあと見直して見ると,なんとVDDとVDDOが繋がっていません。VDDOというのは,出力ポートの電源で,本体のVDDとは分離されています。これで,クロックを与える相手の電源に合わせる事が出来るのですが,ここをうっかり配線するのを忘れていいました。

 繋いで見ると,あっけなく波形が出てきます。本当にあっけなくです。0.4ppm程のズレがありますが,それは原発の26MHzのズレがそのまま出ているようですので,気にしても仕方がありません。計算すると,とりあえず10MHzも9.765625MHzも,ちゃんと出ているようです。

 26MHzの原発:25.999988MHz
 10MHz:9.99999586MHz
 9.765625MHz:9.76562085MHz

 こんな感じです。どれも-0.4ppm程度です。

 ただし,オシロスコープで周波数を計ってみると,10MHzの周波数は変動しないのに,9.765625MHzはふらふらと周波数が変動するんです。

 どうやらこれが,分数分周の副作用のようです。

 分数分周というのは言葉の通り,分周比を分数で設定出来るものですが,普通にカウンタを回していたら2のn乗しか設定出来ません。

 これ,わかりやすく言うと,10段の階段を3回で登るにはどうするか,という話です。3-3-3で飛ばして登れば,1つ余ってしまいます。そこで3-3-4という具合に,1度だけ4段飛ばすんですね。そうすれば10段の階段を3回で登ることができます。

 しかし,3段と4段とでは飛ばした段数がちがいますので,3段と4段は同じ長さではありません。長い目で見れば10段分の長さですが,1回ごとに見れば,長さが違うわけです。

 今回の分数分周も同じような話で,長い目で見れば(つまり平均では)9,765625MHzなんだけども,短い目で見れば(つまり1周期や2周期では),9.765625Hzではないのです。これはつまり9,765625MHz以外の周波数成分,すなわちスプリアスを含んでしまうということです。

 最近は無線でこの技術がよく使われるため,特にスプリアスのない綺麗な波形が必要ですから,なんとデルタシグマを使ってスプリアスをぱーっと高い周波数に追いやったりするそうですが,Si5351Aがそういう高度なことをやっているかどうかは,わかりません。

 とはいえ,私の場合,周波数カウンタのタイムベースに使いたいわけですから,長期的な精度が出ていれば全然OK。分数分周の問題は,私にはあんまり関係ないと,逃げる事にしました。

 さて,ここでまた一区切り。ここまでで分かった事は,

・Si5351Aは外部クロックを入力しても動く。
・レジスタの設定値はSi5351Cで作って,ちょこっと修正。
・I2Cで書き込めば,さくっとお望みの周波数が出てくる。

 です。私は高周波をやりませんので,波形の純度はあまり関心がなく,長期レンジにおける精度だけ気にしていれば良いという,気軽なご身分ですので,基礎検討はここまで。

 あとは,これを実用的なシステムに完成させる検討です。そう,mbedをそのまま組み込めません。そもそも,100バイトほどのレジスタ設定をI2Cでやった後はなにもすることがなく寝ているだけなのですから,mbedはもったいない。

 ここは,安価なマイコンにやってもらうことにしましょう・・・続く。

Si5351Aを検討する その1

  • 2016/03/03 14:42
  • カテゴリー:make:

 秋月の新商品を眺めていたら,Si5351AというICが売られているのを見つけました。なになに,クロックジェネレータ?

 外付けに水晶発振子を1つ付けると,3kHzから200MHzまでのクロックを任意に生成可能,複数の出力があり,それぞれに周波数設定が出来る,低ジッタ100ps,しかも安いという,大変美味しそうなICです。

 私は以前から,安価なTCXOに自分が欲しい周波数がないことに悔しい思いをしてきており,12.8MHzのTCXOからPLLで10MHzを作ったりしました。

 これはこれでうまくいったのですが,元々のTCXOの安定度が悪かったり,任意の周波数を作るには分周器の制約が多すぎて,やっぱり生成出来ない周波数がほとんどだったりと,なかなか思い通りに行かないのです。

 最近困ったのは,aitendoの時計キットの原発である12MHzと,周波数カウンタの原発である9.765625MHzの2つです。

 前者の12MHzについては,オーディオ用にと800円ほどのTCXOが売られていたのでこれで解決,aitendoの時計は笑っちゃうほど正確な時計になりました。

 後者の9.765625MHzについてはちょっと説明が必要でしょう。元々秋月の周波数カウンタキットだった私の8桁周波数カウンタの原発は10MHzなのですが,2.4GHzを測定する場合には1024分周のプリスケーラを通します。

 1024分周ですから,測定値を直読するには原発を1000/1024しないといけないのですが,それが9.765625MHzです。

 ですが,こんな半端な周波数のTCXOなど標準品では売られておらず,仕方がないので鈴商で買った15MHzのTCXOを改造して使っているのが,現在の状況です。

 実力は温度変化に対しても3ppmくらいに入っているようなのですが,改造品ですし,改造に使った水晶発振子もごく普通の特性のものですので,TCXOに使うには不安があります。

 まあ,2.4GHzなんて測定することはありませんので,オマケ程度に考えて,10MHzの低周波域の原発をTCXOにして使っていました。しかし,9.765625Mhzもちゃんとした原発にする,というテーマは,ずっと未解決のままでした。

 そこへ,このSi5351Aです。Si5351Aはクロックジェネレータですが,要するに高性能なPLLですから,いろいろな周波数を生成出来るシンセサイザという素性は,そのまま原発の精度で任意の周波数を作る事が出来るという,まさに夢のようなICと読み替えることが出来るのです。

 いや,まてよ。

 Si5351Aは,水晶発振子専用の安価なバージョンです。外部クロック入力が可能なのはSi5351Cという上位版だけです。

 SI5351Aを使う限り,水晶発振子(それも25MHzか27MHzのどちらか)で使う事になり,そうすると結局普通の水晶発振器と同じ20ppm程度の精度しか得られなくなります。

 Si5351Aの主な目的は,1つのクロックソースでUSBやらHDMIやらに必要な様々なクロックを一気に生成出来ることですから,まあやむを得ないとは思うのですが,これでは私の夢がかないません。

 悲しんでいても仕方がないので,データシートを見ます。すると,Si5351Aでも水晶発振子の代わりに,外部から信号を入れる方法が書かれていました。ただし1Vp-pの正弦波でないとダメで,0.1uFのコンデンサで直流カットも必要です。

 しかもご丁寧に,こうやって信号を入れる場合でも25MHzか27MHzと指定されています。

 わざわざそう書いてあるのですから,ちゃんとした理由があるのだと思いますが,アマチュアには知った事ではありません。データシートを見ても,最低25MHz,最高27MHzと書いてあるだけで,他を入れたらダメとは書いてありません。

 なら,26MHzならどうだ。25MHzと27MHzの間だし,速度的には問題ないはず。というか問題など考えつかない・・・確か26MHzならTCXOが秋月で安く売られていたはず。

 ぱーっと明るい日が差して,私は涙で曇った目を擦りながら,秋月に早速注文です。変換基板と26MHzのTCXOも一緒に注文したことは言うまでもありません。Si5351Aが150円,26MHzのTCXOが2個で350円です。安い。

 さて,届いてみたものの,SI5351Aは生成する周波数の設定をレジスタで行うもので,I2Cで書き込むことが必要です。設定値の求め方を見ていると,まず原発から数百MHzの高い周波数をPLLで生成し,これを分数分周比を設定出来る分周器で,最終的にズレのない周波数設定を行うとあります。

 分数分周?あまり馴染みがないのですが,なにせHz単位で誤差なしの設定を行うために,分周比の設定は桁数が多く,手で計算していたらきりがありません。それに,PLLで逓倍する周波数も何通りもあり,どれが最適値かわかりません。

 うまくPLLでの逓倍を行えば,分数を使わず整数での分周で欲しい周波数が生成出来るので,スプリアスの少ない,より高品質な周波数を得ることが出来ます。でもそんなに人の手で計算するのは,とても大変です。

 設定値は200近くあります。きちんと設定するべき設定値だけでも100近くありますので,手で計算するのは,間違いが出ることも含めて非現実だと知りました。

 最初の挫折はこれですが,メーカーのサイトを見ていると,やっぱりありました。設定値を計算するツールが。

 そりゃそうですよ。ユーザーが任意の周波数を作れることが売りなのに,計算がややこしいから使えませんは,通りません。ツールをダウンロードしてウヒョウヒョいいながら使ってみます。

 次の挫折はここです。Si5351Aでは,原発の設定が25Mhzか27MHzのどちらかしか出来ないようになっていました。いや,Si5351AはそういうICですので,文句が言えないんですけど・・・

 しかし,これも正面突破。Si5351Cは外部入力が可能な上位版ですが,これで設定値を計算することはできないものかといじってみました。ビンゴ,Si5351Cを選べば,原発を好きな周波数に設定出来るようになっていました。

 ここで26MHzを設定,欲しい周波数として10MHzと9.765625MHzを入力すると,10MHzは整数で,9.765625MHzは分数で生成,近似値ではなくジャストの周波数を生成出来る設定値が出てきました。

 このうち,Reg.15のクロックソースの設定を水晶発振子モードに手作業で修正すれば,Si5351A用のレジスタ設定値が完成です。

 次はi2Cです。

 Si5351Aも初めて使いますし,しかも正しい使い方ではありません。動作しないときに何に原因があるのかがわからないと対策も打てないし,結局ダメだった時にあきらめがつきません。もし,I2Cのしょーもないミスに気が付かず,Si5351Aをあきらめてしまったら悔しいじゃないですか。

 そこで,I2Cが確実に動く物を用意します。今回は,偶然手元にあったmbedを使ってみます。

 実のところ,mbedも初めて使うんですが,聞けばとても簡単だそうですので,使ってみようと思ったわけです。I2Cは旧フィリップスが開発した機内用シリアルインターフェースですが,すでに特許が切れているので誰でも使う音が出来るようになりました。

 ただし,なんちゃってではI2Cを名乗るわけにはいかず,事実AVRなどはI2Cとは言っていません。でもmbedではI2Cと言い切っているんですね。気休めでしょうが,安心です。

 手元にあるのは,STMicroのSTM32F401 Nucleoです。秋月でも1500円ほどで売られている安価なボードですが,これでmbedが使えるんなら安いですね。

 mbedはArduinoのようなプロトタイピングツールです。Arduinoの盛り上がりに危機感を抱いたARMが,ARMでも出来ないもんかと作ったのがmbedというところでしょう。

 純正のコンパイラにライブラリが無償,開発環境はWEBアプリで,PCにインストールする必要すらありません。ブートローダは書き込み済みで,出来たオブジェクトはUSBで繋がったターゲットボードにマスストレージで書き込むだけで則動作するという簡便性です。

 開発言語はC++で,Arduinoのような変な言語ではありません。ただ,デバッガは使えませんので,やっぱり簡単なプロトタイピング向けというところでしょう。

 それにしても,ちゃんとしたCで書けるということと,32bitのCPUで80MHzを越えるパワーですから,随分いい世の中になったものです。

 長くなったので,続きは次回に。

ミニパンチの復活

  • 2016/03/01 14:30
  • カテゴリー:make:

 そう,あれは私が中学生の時でした。中学校で初めて,同じ電子工作の趣味を持った友人に出会った(なんかスティーブ・ジョブズっぽい)のですが,彼は私よりも1歩も2歩も先を進んでいて,私の知識や技能が一気に進歩したことがありました。

 改めて考えてみると,今の知識や技能のベースは,この時に手に入れた物だったりします。タッパーにハンダゴテで穴を開けてケースを加工するのではなく,アルミケースにドリルで穴を開けるようになったのも,この頃の話です。

 子供の工作から大人の趣味へ。ちょうど変化点だったように思います。

 で,彼と話をしていると,「ミニパンチ」なるものを教えてくれました。

 9mmや10mmといった,ドリルで開けるにはちょっと大きく,でもリーマーで広げたりヤスリで削ると綺麗な丸穴にならないという苦労は,ケース加工をやったことのあるホビーストなら経験したことがあると思います。

 かくいう私もそうだったのですが,彼の工作物はとても綺麗なのです。聞けば,ミニパンチを使っていると言うことでした。

 ホーザンという工具メーカーから出ている「ミニパンチ」は,真空管のソケットの穴開け用に用意された工具「シャシーパンチ」の小型版です。

 シャシーパンチはウスとカッター,そしてセンターボルトからなる工具で,ウスのくぼみにカッターがねじ込まれることで,間に挟まれた板が切れるという仕組みの物です。

 センターボルトでねじ込むということ以外は,プロが使うプレスと同じ仕組みで,とても簡単に綺麗な穴を開けることが出来ます。

20160228210545.JPG

 写真の通り,ミニパンチも同じ構造をしていて,サイズに合わせて4種類が販売されていました。7mmと8mmがK-71,9mmと10mmがK-72,12mmと13mmがK-73,14mmと15mmがK-74という商品名で販売されていたのですが,20年ほど前に生産終了となり,現在は補修部品さえも手に入りません。

 1つ1000円ちょっとと,そんなに安くもない工具だったのですが,特にRCAピンジャックなどで,綺麗に揃った穴を複数開けるときにとても重宝しました。

 友人にお勧めされた9mmと10mmのK-72だけを買って便利に使っていたのですが,切れ味が落ちてきたことと,もう少し小さい径の物が欲しいと言うことで,K-71も一緒に買ったのが,25年ほど前の話です。

 しかし,工具の扱いが荒っぽく,かつ鈍くさい私は,このK-71を買ってすぐにこわしてしまいます。K-71は7mmと8mmですので,センターボルトがM4と細く,K-71のM5に比べて折れやすいのです。

 厚みはそれ程でもなかったのですが,アルミの厚さにムラがあり,斜めにカッターが入ってしまったことでボルトがねじれてしまい,写真のようにポキッと折れてしまったのです。


20160228210546.JPG

 折れたボルトはウスからなんとか抜き取りましたが,短くなったボルトはもう使えません。強い力がかかるボルトですので,そこら辺のM4のネジでは耐えきれないだろうと,もうあきらめてしまいました。

 後年,部品注文をしよう,あるいは修理依頼をしようと気が付いても時既に遅し。すでに部品がなくなっており,結局どうにもならないまま,工具箱に転がっておりました。

 先日,そのK-71を眺めていて,手持ちの硬そうなM4のネジを使って,柔らかいアルミくらいなら切れないかとためしてみたところ,とても綺麗に開けることができました。プラスのネジでしたが,電動ドライバーでねじ込めば,非常に楽ちんでもありました。

 これなら,もっと硬いボルトを探せばそれなりに使えるんじゃないかと思い立ちました。いつかアキバに行ったときに探してみようと思っていましたが,当面行くことがなさそうなので,通販で探してみると,いろいろ見つかりました。

 とはいえ,M4で高強度,頭が六角で長さも30mmというのはなかなか見つからず,ようやく見つけたのがBUMAX88のキャップボルトというやつです。

 ステンレスというのはそんなに硬いわけではないのですが,このBUMAX88というのは,鉄製の高強度ボルトと比較し,同等かそれ以上の強度があるんだそうです。だから,それまで太い鉄製のボルトを使っていた場所に,細いBUMAXを使えば同じ強度で小さく軽く安く,ダウンサイジングが可能になるんだそうです。

 私はネジの専門家ではないので,普通に手に入る六角レンチで回せる硬いボルトがあればいいんですが,とにかくざっと探して一番強そうなものを選びました。2本で500円。高いと言えば高いですが,ミニパンチが復活するなら安いです。

 届いたものが,以下の写真のようなものです。


20160228210547.JPG

 早速試してみましょう。まず,4mmの下穴を開けます。これはラフでいいです。そして,ウスを下側に,カッターを上側にして,ボルトを通します。


20160228210549.JPG

 あとは六角レンチでぐいぐいとねじ込んでいきます。そしてあいた穴がこれです。

20160228210550.JPG


 とりあえずうまくいきました。1mmの柔らかいアルミですので問題なしだったんでしょうが,嫌な音もせず,急にトルクがかかったりすることもなく,非常にうまくいったと思います。

 以外に六角レンチを回すのに手が痛かったので,ここは小型のラチェットを使えばいいように思いますが,あまり楽に回せてしまうと負荷がかかったことに気が付かず,またボルトを折ってしまうかもしれません。まあ,これくらいがちょうどいいのかも知れないですね。

 ということで,K-71が復活です。

 ドリルで開けられる6.5mm以上で,かつシャシーパンチで開けられる16mm以下の穴を綺麗にあける決定版であるミニパンチが手に入らないことで,私は小型のホールソーや,タケノコドリルも買ってみたのですが,やっぱりミニパンチが一番です。出来れば再販して欲しい所ですが,ホーザンしか作っていなかったという話から考えても,望み薄です。

 7mmと8mmという穴も,綺麗に開けるのが難しいものです。20年ぶりに復活したミニパンチ。どんどん使っていけそうです。

標準電圧発生器で遊んでみよう[考察編]

  • 2016/02/17 09:07
  • カテゴリー:make:

 さて,電子負荷キットがめでたく完成し,我が家の測定器戦列に加わったわけですが,この時同時に同じお店から,「標準電圧発生器」なるものを買ってありました。

 これ,キットでも部品セットでもなく,完成品です。透明なアクリルで出来た高級感など全くない筐体で,当然のように中国製なのですが,なんと4000円もする高級品です。

 なんでそんなものを,と思われたかと思いますが,その名の通り,標準電圧を発生させる,いわばモノサシです。

 実はこれ,なかなかこの値段では手に入りにくいものです。

 電圧というのは身近な数値で,乾電池は1.5Vですし,コンセントの電圧は100Vです。で,それを測定する機材としてテスターがあり,電子工作に興味を持てば,まず最初に手にする測定器だったりするので,初心者の頃からとにかく電圧だけはどんどん測定することになります。これはもう大昔から変わりません。

 初めてのテスターを手に入れて,大喜びでそこら中の電圧を無闇に測定しまくった経験を皆さんもお持ちかと思いますが,その後テスターがもう1台増えると,新しい疑問が吹き出します。

 そう,2つのテスターの示す値が違うのです。

 どっちが本当だ?

 いやどっちも間違っているのでは?
 
 とりあえずもう1台テスターを買って試して・・・なんてことを長年繰り返して,気が付いたら身の回りはテスターがゴロゴロしているわけですよ。困った事です。

 そんなあなたに,これ,標準電圧発生器です。

 非常に高精度な電圧を安定して発生させるこの装置を使って,テスターの数字が正しいかどうかを確かめてみるのです。標準電圧に比べて大きくずれていたら,そのテスターは信用出来ないということになります。

 とはいえ,そんなに高精度な電圧なんて,簡単に手に入るのでしょうか?そう,簡単には手に入りません。まず,絶対的な精度があります。同じ5Vといっても,5Vと5.00000Vとでは,全然意味が違います。

 仮にその精度を実現した電圧があったとしても,それがずっと,長い間変化しないように作ることはとても難しいことです。電池だって,使わなくても勝手になくなってしまいますよね。世の中,変わらないことがどれほど難しいことか。

 加えて,気温や湿度,気圧の変化だって電圧に影響を与えてしまいます。もしかしたら強力な電磁波(電波)でも変動するかも知れませんし,その電圧を発生させる仕組みによりますが,元々の電源の変動が影響することだって考えられます。

 高精度になってくれば,地磁気の影響だって受けるだろうし,もっといえば人体の影響だって避けられないでしょう。もう,泥沼です。

 まあ,さすがにそこまで気にし出すともう切りがないのでそこそこにするとしても,それでもやっぱり大変です。こういう,絶対精度と経年変化を抑えた「標準電圧」は,電圧計の校正などに使われますが,とても高価ですし,精度の維持管理がとても大変です。

 これを,そこそこの精度でいいからという制約で,モノリシックICにしたものがあります。そう多くはないにせよ,機器に組み込んだ高精度な標準電圧が欲しい時だってあるんですね。

 そのICとしてよく知られたものが,アナログデバイセズのAD584です。なかなか高いICですが,今回の標準電圧発生器は,このICを使っています。だから4000円でも安いと思って買いました。
20160217092101.jpg
 さて,届いてみると,透明アクリルの板きれを組み合わせて作ったオモチャのような外見と,そんなに高級な部品を使っていない感じがして,どうもあやしい感じです。裏側には電圧の実測値がボールペンで書かれています。どれどれ・・・

 気温21℃で,測定日時は2015年とだけ書かれています。それぞれの実測値は,

2.500V・・・2.50165V
5.000V・・・5.00302V
7.500V・・・7.50454V
10.00V・・・10.00533V
20160217092100.jpg
 これが,シールに書かれた日時に,彼らの34401Aで測定された電圧です。その34401Aが十分な精度を持ち,管理されているのであれば,この標準電圧発生器の電圧もそれなりに信用出来るというわけです。

 さて,うちのテスターどもを確かめる前に,あらためてこの標準電圧発生器を考察してみることにします。

 まず,心臓部のAD584KHですが,メタルCANパッケージで,精度は2.500Vで±3.5mV,5.000Vで±6mV,7.500Vで±8mV,10.000Vで±10mVという仕様になっていて,2ランクあるAD584のうち上位ランクになります。
20160217092102.jpg
 温度安定性については,0から70℃までの範囲で15ppm/℃。いやーやりますね。なになに,レーザーウェハトリミングで出力レベルと温度係数を調整ですか,むむー,しびれますね。

 私の手元にある標準電圧発生器の誤差は,現地で測定された34401Aが誤差ゼロと仮定すれば,2.500Vで+1.65mV,5.000Vで+3.02mV,7.500Vで+4.54mV,10.000Vでは+5.33mVです。いずれもスペック内に入っています。

 ちなみに今日現在の某部品通販会社の価格は1個で3633円,メーカーの100個時の価格は18.03ドルです。これが完成品でしかも実測値つきなら4000円というのは十分安いです。

 AD584KHはメタルCANパッケージで,プラスチックのAD584KNとスペックを比べても,同一です。ではわざわざなんでメタルCANを用意するのか,と言う話なんですが,これはもう長期信頼性と堅牢性が気になる方向け,です。

 メタルCANパッケージは溶接で封止するため,完全な防湿が可能です。半導体は,素子の酸化や劣化が問題となってメタルCANパッケージが使われていた時代が初期にあったのですが,その後プレーナプロセスの登場で酸化や劣化をほぼ無視できるようになり,安価なプラスチックパッケージに移行しました。

 ただ,このプラスチックというのは水分を通しますので,半導体は湿気に晒されることになります。それでもほとんど影響がないのですが,ごく僅かに性能を変化させるため,その変化が問題となるような高精度な世界では,長期間にわたる信頼性を確保するために,こうしてメタルCANパッケージが選べるようになっています。

 もちろん,光,電磁波,機械的衝撃,磁気などにも強いことは言うまでもありません。ただ,このパッケージはピンが細くて長く,曲がりやすいこともあって,自動で基板に取り付けできません。大量生産品には使えないんですね。

 さてさて,ICの性能が高ければそれでOKかというと,そんなに甘い世界ではないわけで,ここまでくると実装や回路の工夫が,精度を左右します。

 まず,電源です。電源をACアダプタなんかから取ってしまうと,電圧の変動やノイズといった電源品質が,精度の足を引っ張ります。理想的には電池ですが,その電池だって乾電池では内部抵抗が高いし,電圧が安定しません。

 そこで,内部抵抗が低く,電圧変動の小さい電池として,リチウムポリマー2次電池が使われています。3.7Vで580mAhと,この回路では大きすぎる容量を持っているのですが,あまり小さいと使い勝手も悪いし,電圧変動も出てくるので,これを選んだのかも知れません。ちなみに充電は外部から5Vを供給することで行います。充電中は動作しません。これも,設計者がよく考えて作った結果だと思います。

 1つのボタンで電源と電圧切り替えを行うのですが,当然マイコンが入っています。また電池の充電回路も入っているので,システムとしてはそれなりに完成されていて,電圧だけ出ればそれでいいやという適当な作りにはなっておらず,ちょっと感心しました。

 些細なことですが,電圧表示のLEDに赤を使っているところもうれしくて,中国製にありがちな超高輝度なギラギラした青色なんかを使っていると,もうゲンナリです。

 次に基板です。両面基板ですが,しっかりとGNDを取ってありますし,配線も太く,それなりに考えられていると思います。職人が引くもはや芸術的とも言える高精度アナログ回路のパターンというわけではありませんが,それはもう高望みでしょう。

 面白いのは,AD584KHの周りに3mmくらいの穴が8個あいていることです。これ,おそらくですがパッケージの周囲の風通しを良くすることで,IC自身が発生する熱を放熱しているんではないかと思います。

 残念な所があるとすれば,出力端子でしょうか。普通のバナナプラグが刺さるような安物の端子で,配線もラグにハンダ付けです。せっかく高精度なものを使っているのだから,ここは圧着か直出しでしょう。

 それと,基板の洗浄がちょっと不足です。AD584KHの足下に,白いフラックスが残っています。こういうのが案外,精度を落としたり長期的な信頼性を悪化させたりするんです。

 とまあ結局の所,校正され管理された正確な電圧計で測定した値を,温度や経年に対して出来るだけ維持して持ち歩くための「箱」がこの標準電圧発生器です。絶対精度で一喜一憂するよりも,変化しないことを評価したいです。

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