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PC-1245の奇跡の復活

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 ある日,PC-1245などLCDに持病を抱えるポケコンの現状が気になり,google先生に尋ねてみました。

 すると,なんとPC-1250系に互換LCDを作った人がアメリカにいて,その人から購入したLCDでPC-1251を復活させた人の話が飛び込んで来ました。

 いやー,とうとうこういう人が現れましたか。交換するしか修理の手立てがないLCDの問題を,こうして根本的に解決するというのはなかなか出来ない事ですが,昨今のレトロPCブームのおかげで個人ではなく会社やお店がやってくれるんじゃないかと,ちょっとだけ期待してはいました。

でも,まさか個人でやってるとは。

 考えてみれば,LCDのカスタムメイドは初期費用も大きいですが,1回で製造される数が膨大です。1つ1000円で作れたとしても,最低3000個とかいわれたら,それだけで300万円ですからね,ポケコンの修理代として300万円はあまりに非現実です。

 ですが,昨今中国でLCDを作ることが当たり前になりました。初期費用も数万円程度,単価も100円とか200円とか,そんなもんで,数も少なくて済むケースがあると思います。仮に1000個で作ってもらえたら,30万円ほどで作れちゃうんじゃないでしょうか。

 そしてそのLCDを欲しい人に3000円くらいで買ってもらえて,そんな人が100人もいれば元は取れてしまいます。中国でLCDが作れることが,これだけ物事を変えていくと言うことでしょう。

 このアメリカの方はPC-1250系だけではなく,PC-1210系のLCDも復刻させています。価格は良心的な$17程度で,送料を入れても悔しくない価格です。

 私はPC-1251とPC-1211を持っていて,どちらもLCDが死んでいるので迷わず注文しました。

 そして,ついでにPC-1245のLCDも同じように作っている人がいるかもと思って調べてみたのですが,そうするとなんと,日本の方が作ってくれていました。昨年あたりから一部の人の間で話題になっていたようで,私は乗り遅れていたような感じです。

 あわてて注文をします。価格は5500円と結構高価ですが,修理代として出せない金額ではありませんし,なにより自分では出来ない事をやってくれているのでから,そこは感謝です。

 4つまでの購入制限があるので,我が家の3台のPC-1245に予備を1枚でなんとかギリギリ。金額的にも厳しいので4つだけ買うことで辛抱しましょう。

 さすがに日本だけって数日で到着。うれしくてその日のうちに交換作業を敢行しました。

(1)MC-2200

 いきなりこれか,という声が聞こえてきそうですが,そう,セイコーにOEM供給されたPC-1245である,MC-2200です。

 同じ大きさ,同じキーボード配列ですが,真っ黒なボディカラーにクリーム色と真っ赤なキーがアクセントになった,なかなか格好いいマシンです。PC-1245のLCDが左にオフセットしているのに対し,MC-2200は中央に配置されています。

 実物を目にした人が少ないということでなかなか貴重なマシンとして扱われているようなのですが,これもPC-1245と同様にLCDが劣化しますので,完動品はほぼ絶滅でしょう。

 私はLCDが死んだものを安く入手してありました。もしかするとLCDを復活させる方法が見つかるかも知れない,もしかするとLCDだけ生きている壊れたPC-1245が手に入るかもしれないと,入手しておいたのです。

 それがこうして役に立ちました。

 湿気を吸っているため,基板にゆがみが出ていますが,慎重に作業を進め,復活しました。最初の交換作業ということもあり,上手く表示が出ずに何度かやり直す羽目になりましたが,最終的には上手くいきました。

 MC-2200がちゃんと動いているなんて,夢を見ているようです。


(2)PC-1245

 2台目は,私が中学生の時に買ってもらったPC-1245,そのものです。10代の私は常にこれを鞄に入れていました。中学でも高校でも大学でも,いつもこれが私の計算機能を担っていました。

 処分価格で出ていたものをねだって買ってもらったのですが,これがこんなに長年の友となるとはその頃思っていませんでした。

 面白がって改造し,RAMは10.2kBまで増設してあります。これも若気の至りと言いますか,結構乱暴な改造をしてあったりしますし,使っているSRAMもよく分からずに選んでいた感じもあって,恥ずかしいものです。

 社会人になって日頃の仕事にも活躍してくれていましたが,10年ほど前からLCDが黒ずみ始め,現在は真っ黒になってしまいました。少しずつLCDが見えなくなるのを見るのは辛く,不治の病に冒されて朽ちてゆく長年の友をなんとかしようとするも,交換以外に方法がないという現実を受け入れ,同じ大きさで同じように使えるPC-1246を主力機にするという決断をしたのでした。

 それがまたこうして,甦ります。感激です。

 で,会社に置いてあるPC-1246は,気分だけでもPC-1245を継承したいと,PC-1245オリジナルのゴムキーを,PC-1245が持つプラスチック製のキートップのキーボードに交換してしまいました。

 手元のPC-1245は確かに中学生の頃から使うPC-1245に間違いはないのですが,キーボードだけはPC-1246のものに交換されてしまっています。

 いずれPC-1246は会社から取り返してくるとして,先にこのPC-1245のLCDを交換しましょう。

 MC-2200で困った点を注意して,作業を進めます。

 古いLCDをフレームから取り外すのが難しいのですが,私はアセトンなどの溶剤を使わず,ドライヤーで熱を加えて外しました。この時,腕時計の裏蓋を外す工具をLCDの表面からフレームに差し込み,少しずつ隙間を広げていくと上手く外れます。

 裏側からこじるとガラスが割れてしまいますので,無理はしない方が安全です。

 ゼブラゴムは同じ場所,同じ面を使わずにローテーションすると上手くいきます。それから汚れを綺麗にアルコールで拭き取らないと,表示が書けたりリークで余計なドットが表示されたりします。特にLCD側に接触する面にゴミがあると,簡単に表示不良になりますので注意が必要です。

 それから偏光板です。オリジナルはLCDの表面に偏光フィルムが貼り付けられておらず,偏光板が鉄のフレームの上から重ねられています。しかし今回のLCDは偏光フィルムが最初から貼り付けられているので,オリジナルの偏光板は必要がなくなります。

 もちろんあっても表示は出るのですが,暗くなるので外さないといけません。そうすると偏光板の厚みだけ薄くなりますので,LCDの表面を覆うプラスチックの透明カバー(風防と言います)がガタガタします。でも,それはそれで大した問題はないのでOKとします。

 そして,組み込みの際には,電源を入れて動かしながら行います。鉄製のフレームから出ている爪は基板の穴に差し込んで裏側で折り返すわけですが,先にすべての爪を曲げてしまわず,左側から表示を確認しながら1つずつ曲げていくのです。

 爪をさらにきちんと曲げて強く固定し,交換完了。最終組み立てを行って電源を入れますが,起動しません。あちゃー,壊してしまいました。

 ああ友よ,さっきまで君は元気に動いていたじゃないか。

 なのにリセットをかけてもBUSYと出るばかり。

 なにせ私にとっては特別な1台ですから,急遽修理を始める事にします。まずは電源とリセットですが,これは大丈夫。ならばクロックを確認しないととオシロスコープの電源を入れて確認をすると,これも大丈夫です。

 バスのアクセスはどうなっているかと確認すると,これはリセット解除後からずっとパタパタ動いており,少なくともCPUやROMが死んだというわけではなさそうです。

 概ね,基板,それもスルーホールやパターンが切れたんだろうと今度はテスターでパターンを追います。回路図を見ながらCPUとROMとRAM, そしてLCDCのデータバスとアドレスバスを見ていきます。

 すると,一部データバスがショートしているのがわかりました。これは面倒くさいです。バスのショートはハンダのブリッジが主な原因ですが,どこでブリッジしているかは目で追いかけるしかないからです。

 それでも見つからないと,今度はICの不良の可能性を疑うことになりますが,その段階で修理を終わらせるのはかなり困難になってしまうことが確定です。

 バスのショートは,どういう訳だか2本ではなく3本のショートであることがわかりました。そして偶然,LCDのフレームともショートしていることがわかったのです。

 取り付け中までは正常動作していたのですから,問題が起きたのはその後,つまり爪を曲げ直ししたところで起きたのでしょう。強く曲げすぎたせいで鉄製のフレームが基板のどこかに接触してしまったのかも知れません。

 そこで爪を少し起こして緩めてやると,今度は無事に起動しました。あー,よかった。

 同じような失敗をしないように慎重に最終組み立てを行って完成。今度はちゃんと動きます。
13歳の私が初めてにしたモバイルマシン。私の計算能力のほぼすべてと記憶の一部を担った真のポケットに入る小型コンピュータがここに復活です。


(3)PC-1245

 PC-1245は特別なマシンですので予備機を1つ,機会があるときに購入してありました。程度は良く,綺麗な状態で手に入ったので無改造のままです。部品取りになるか,置き換えになるかはわかりませんでしたが,もう1つあるという安心感こそが重要でした。

 これがやはり,LCDの劣化という不可避の病を発病してしていました。

 分解と交換作業は手慣れたもので,手際よく進みます。爪を曲げすぎると暴走するという問題もそのまま再現し,爪を起こして正常動作をするようにしてから最終組み立てを完了です。

 この個体は常用しませんので電池は入れないのですが,少し使ってみると程度の良かった昔のPC-1245を思いだし,そういえば中学生の時の病院の待ち時間で,随分活躍してくれたなあと,懐かしい思い出が蘇ってきました。


 ということで,うちにあるすべてのPC-1245が復活しました。もう完全にあきらめていただけに,この喜びは大きく,こういうチャンスをくれたことに本当に感謝しています。

 期間限定であり,これを超える形での修理はもう二度と出来ないだろうと思うのですが,今回はうまくチャンスをつかまえることが出来ました。

 高価だとは思いましたが,5000円で修理出来ればありがたいくらいです。そして今後は,別の機種にも手を広げて下さるとうれしいのですが,PC-1245やPC-1250のような数の出たモデルではあなく,品種も増え,しかもそれぞれに異なるLCDを持つものばかりですので,難しいだろうと思います。

 私が持つLCDに持病を持つポケコンは,PC-1401,PC-1246です。どっちも不人気機種でしたし,LCDの交換をしてまで修理しようという熱意のある人はいないと思います。PC-1246はマシン語が走りませんから不人気と言うよりも悪者扱いでしたので,私は好きなマシンですがこれはもうこのままになってしまうでしょう。

 さて,次はアメリから届く予定のPC-1211とPC-1251です。まだ発送もされていませんし,海外から届くので時間もかかるでしょう。本命はPC-1251ですが,性能面で実用性の乏しいPC-1211も,実はあの独特の表示を見るのが楽しみです。



浴室乾燥機を交換する

 ここ数年,風呂場の換気/浴室乾燥機が異音を発生していて,困っていました。

 最近はすっかり慣れてしまったのでいつからこんなにひどくなったのか,もう覚えていないのですが,あのベアリングが劣化したゴロゴロいう大きな音に加え,ここ1ヶ月ほどは「チリチリ」という金属が当たるような音まで出るようになりました。

 そんなにうるさければ止めろという声も聞こえてきますが,我が家も24時間換気が必須となっている住宅で,風呂場の換気扇がそれを担っている以上,止めるわけにはいきません。

 モーターのベアリングが悪いことは明白ですので,交換用のモーターが手に入ればそれで修理出来そうなものですが,残念な事にそういう対応を行ってくれるメーカーは限られているでしょう。

 ならば交換か出張修理となるわけですが,この手の住宅設備というのはなにかと高額なもので,私はやむを得ないと思いつつも,これだけ家電の値段が下がっている昨今にあって,どうも割高感を拭えずにいます。

 だって,枯れた技術で作られた,なんでもないファンモーターのベアリングが死んだだけで,交換費用も含めて10万円コースですよ?

 とまあ,そんな事情もあって,今まで面倒で放置していたのです。

 問題となっているのは,マックスという会社のBS-141H2という製品です。24時間回り続けるファンですから壊れてもおかしくないのですが,設計寿命を10年としているのに5年ほどでゴリゴリ言い出すというのは,ちょっとマズいんじゃないかと思います。

 調べてみるとこのシリーズの製品に同様のトラブルは定番らしく,あちこちで「壊れた」「うるさい」といった文句を目にします。うーん,住宅はどんどん壊れるようになってきているような印象です。

 せっかく電気工事士の資格を持っているのですから,自分で交換することも考えてみます。水栓を交換したときにも書きましたが,以前は専門家しか取り付けできないものは市販されておらず,製品の値段で工賃を捻出するような感じだったわけですが,最近はありがたい事に製品だけ販売してくれる業者が増えてきました。

 BS-141H2は製造中止品でした。後継はBS-161になるとのこと。取り付け穴もほぼ同じで,交換にはうってつけです。

 個人的には,モーターの寿命を見積もれなかったマックスは敬遠したかったのですが,他のメーカーにだと取り付け穴が異なるので,かなり大がかりになる上,失敗のリスクも大きくなります。不本意ながら,マックスのものを第一候補とします。

 結局,amazonが一番安いことがわかり,BS-161を発注しました。値段は36000円ほど。言ってみれば電熱ヒーターとシロッコファンに4万円ですから,ボロ儲けだなあと思います。こんなの半額でなくっちゃ。

 さて,届くまでにあれこれを作戦を立てるのですが,最大の難関は高さが十分ではない作業スペースで,どうやって排気口と本体をアルミテープで固定するか,です。

 アルミテープを貼り付けた裏側に手が回りませんし,眼で見ることも出来ませんので,多分上手くいったという想像で作業を進める必要があります。

 加えて,3kg以上もある大きなものを,片手で持ち上げつつ片手でネジを締めるという離れ業をやってのけなくていけなくて,ここがかなりきついだろうと思っていました。

 届いたBS-161は想像していたほど大きくも重くもなく,これなら3時間もあれば作業できるんじゃないかとふんで,夕方から交換作業を決行します。

 最初は古いBS-141H2の取り外しです。まず点検口から手を伸ばし,ダクトを外し,電気の配線を取り外していきます。アルミテープを剥がすのに苦労しましたが,まあこれは大丈夫。あとは電動ドライバーでさっさとネジを外し,落とさないように外してしまいます。

 次にBS-161を持ち上げ,元のネジ穴にネジを入れて固定します。

 しかしこれが大変でした。片腕で持ち上げて位置決めをし,もう片腕でネジを差し込み回さないといけません。最低2本はネジを締めておかないと,重さに耐えかねて落下する危険性もあります。

 なかなかうまく位置決めできず,もうヨレヨレになってようやくネジを差し込むのですが,大きくズレてしまっていて元のネジ穴に刺さりません。刺さっても少し斜めに入り込むと天井の裏側の穴からズレてしまうので,途中で回らなくなってしまいます。

 これを6本でやるんですから,もう大変です。

 しかも,このうち3本は点検口から見えない位置にあります。ネジがきちんと飛び出して固定されているかが目視できないのです。こわいです。

 しかも,頼みの綱の電動ドライバーは,力が強すぎてネジ穴を壊してしまいそうです。ここはしんどいですが,手で回すドライバ-を使いましょう。

 40分ほど格闘して,ようやく固定に成功しました。このうち1本はネジ穴を潰してなめてしまったのですが,ここだけの秘密です。

 次はダクトです。ダクトはフレキシブルパイプをそのまま流用し,本体にはめ込んでアルミテープで固定します。なにせ取り付け箇所が手に入らない場所ですし,目で見えない場所でもあるので,とにかく難しい作業になることを覚悟していました。

 その予想は当たり,ここも40分ほどかかってしまいます。しかも点検口から体を入れての作業で,少し高さの足りない脚立のせいもあって,作業は困難を極めました。

 アルミテープを少し長めに切って,ぐるっと向こう側を回して貼り付けるのですが,アルミテープの端がこちらに来てくれません。無理に回そうとするとくしゃくしゃになったり,他にくっついたりして手に負えません。

 脚立の関係で,片腕は体を支える必要があり,作業に使えるのは実質1本の腕だけです。何度もやり直して,ようやく固定できました。それでも見えているわけではないですし,5mm程の太さの電線を向こう側に回し,引っ張って押して接着したので,上手くいっているかどうかは自分の腕を信じるしかありません。

 心配していてもキリがないので先に進みます。

 次はリモコンです。元のリモコンケーブルは使えませんので,新しいケーブルを古いケーブルの先に巻き付けて,壁側から引っ張ります。すると新しいケーブルの先端が壁から出てきますので,新しいリモコンに取り付けて固定。

 まあ電気屋さんですからね,これくらいは休憩みたいなもんです。

 最後に電源の配線です。これも簡単。被覆を剥いて端子台に差し込むだけです。

 点検を目視で行い,ブレーカーを戻します。一通り動作確認を行い,本当にフラフラしながら作業を完了します。

 音が格段に静かになったことをエネルギー源に,散らかり汚れた風呂場を片付けて掃除します。この時すでに私の体力は限界近くになっていました。

 掃除まで終わったのが,作業開始から3時間後。ほぼ予定していた通りの時間だったのですが,プロはこれをもっと短時間で,しかも一日何件もやるんでしょう?すごいですよね。

 私は夕食も担当ですので,この力仕事の後ご飯も作りました。もう動けないんじゃないかと思うほど疲労していましたが,作業が上手くいき,家族の評判も上々とあれば,そんなに悪い気もしません。

 ということで,36000円ほどで交換作業が終わったわけですが,特別安いという気もしませんし,しんどかったこと,体が痛いことも含めると,なんと面倒くさい話かと思いました。

 静かなことは良いのですが,もともとこれが普通だったことを思い出すと,これまでなんと劣悪な環境だったのかとため息さえ出てきます。

 どうせ数年でまた壊れるでしょう。過度な期待をしないでおこうと思います。

 さて,前述の通り私は電気工事士の資格を持っているので交換作業を行うことが出来ました。これから死ぬまでの間に,こういうことを経験することもそうそうないと思います。壊れたこと,それが自分の手で交換可能なことは,なかなか体験出来ない作業を経験する希有なチャンスと考えて,今回の作業を楽しく行うことが出来ました。

 時間がかかっても,極端に言えば失敗しても自分だけの問題ですから,納得するまでやっても,せいぜい家族が文句を言う程度の話です。アマチュアとは気楽でいいものです。

 そして,私はつくづく体力がないなあと思いました。腕も知識も十分だと思う訳ですが,決定的に不足しているのは体力と経験。経験はやむを得ないとしても体力はもうどうにもこうにも足りないです。

 わずか1件,それもフラフラになりなりながらの作業です。これを毎日毎日何件もこなす仕事は,私には出来ないなあと思いました。別の人生は,こういう理由で閉ざされるものなんですね。

 水栓,浴室乾燥機とくれば,次は食洗機でしょう。

 重量物,電気工事,水道工事,狭い場所での作業と,その難易度はSクラス。本当に自分で出来るのかも疑わしいわけで,出来ればやりたくないものです。

 あと数年,寿命を迎えるまで動き続けてくれることを祈りたいと思います。


 

N-30がES9028で音を出す

 うちにはN-30という安いネットワークオーディオプレイヤーがあります。まだパイオニアがオーディオメーカーとして存在していた頃に,最も安い価格で登場したフルサイズのコンポーネントです。

 SACDの次はネットワークだと予想して,実際にその通りになった現実を見ていると,そのための再生環境がなかなか厳しい事に気が付きます。

 国内メーカーの製品はどれもマイナーな存在,一応10万円クラスの中級機はあるにはありますが選択肢が少なく,そこから上という事になると海外製の超高級機になりますが,そんなものは私にとってはないも同然です。

 中級機で気を吐くのがマランツですが,個人的に言わせてもらえばマランツと言うよりデノンのネットワークオーディオのUIや安定性がとにかく好きになれず,これが理由でマランツはアウトなのです。

 今さっと調べてみると,実売3万円でヤマハの製品が売られており,これがなかなか高評価です。ディスプレイを割り切ってスマートフォンで操作するというUIはこれはこれで潔いかも知れません。

 そんなことを考えていると,N-30を改造するネタを思いつきました。N-30が気に入らないのは音質ですが,これは本気のオーディオはアナログレコードかSACDと考えていた(別に言い方をすれば逃げていた)からで,音質よりはCDを持ってこなくて良いという利便性を優先していた結果です。

 しかし,新しいディスクは買うことがめっきりなくなり,手軽さとフォーマットによる制約から逃げるために私も配信の音楽を買うことが増えました。そうするともうこちらも本気のオーディオにするしかありません。

 かといって,今から20万円の予算を組んでネットワークオーディオを構築するのもなんだかもったいなくて,それならとN-30の延命を考えました。

 N-30の音質は重心が高く,ザラザラとして芯が詰まっていない印象があります。典型的な低価格機の音なのですが破綻はしておらず,安いなりに精一杯頑張っていると思います。

 ただ,これがRaspberryPiとVolumioで作ったプレイヤーに,安いDACを組み合わせたようなライトな感じをを漂わせていて,聴き込んでいこう気分を削いでしまいます。

 N-30はDACがAKMもAKM4480,後段のフィルタはNJM4580で構成されています。AKM4480は安価な機器によく使われているエントリクラスのDACです。悪くはありませんが,やはり軽い印象です。

 NJM4580は安いし手に入りやすいのでバカにされがちですが,私個人はとてもいい音がするOP-AMPだと思っていて,これを上手く使いこなした機器であればわざわざOP-AMPを交換することなどないと思っています。歪率などのスペックもデータシートに書かれた値よりも実力は良かったりするので,下手に海外製の高級OP-AMPにする必要などないなと思う訳ですが,音の傾向はやはり軽めです。

 アナログレコードの音を基準の1つとして考えている私としては,解像度よりも密度や重心の低さを楽しみたいわけで,ならばとN-30を改造することにしました。

 調べてみるとN-30はメイン基板からDAC基板への配線が判明していて,ごく普通のI2Sです。ただ,DAC基板にはそこで使う±15Vにアナログ用電源の回路も搭載されていて,電源の入力はAC30Vです。

 これにあうものを探してみると,ありましたりました。ESSのES9028Q2Mを搭載し,I2S入力のアナログ出力,電源回路込みというまさにおあつらえ向きのボードが3000円弱です。

 この手の基板モジュールは,最近特に中国のメーカーから有象無象に出ているものをよく見かけるようになりました。よく知られているのがLCDとコントローラ基板です。この2つがあればHDMI接続のディスプレイなどは簡単に作れてしまうわけで,私が以前購入した10インチのディスプレイも,これらを使ったものでした。

 コントローラとLCDの間は規格化されているので,まさに目的に応じた物を選んで差し込むだけで出来上がります。確かに中国では,以前ほどではないにせよ人件費も安いと言われていて,それがさも製品価格の安さの理由になっているような印象を受けますが,モジュールを大量に作るメーカーがあり,これを自由に組み合わせてさっと製品を作ってしまう水平分散の産業構造も安さの秘密ではないかと思いますし,そのために彼らは合理的なモジュールの規格化を進めてきたのだと思います。

 オーディオもしかりで,ES9028のような部品レベルで素人が手に入れる事が難しいものでも,こうしてモジュール基板で安価に手に入ります。安くて便利で,夢のようです。

 早速頼んでみましたが,良い設計をしていると一方で,品質管理や保管環境が今ひとつだと感じました。このあたりはもう一息だと思います。

 この基板が搭載するES9028Q2MというDACはかのESSのハイエンド向けDACです。前作のES9018はDACの世界を変えたと言われるほどの高音質で知られていますが,その後継品種として登場したものの1つです。

 2ch専用にすることで回路を簡略化し,小型化と低消費電力化を行ったものがこの基板には使われていますが,基本的な構成と性能は上位のものと同じとされています。この価格でESSの音が楽しめるなんて,ウソみたいです。

  ESS9028Q2Mからの差動電流出力は,NJM5532を使ったI-V変換に入り,差動電圧出力に変換されます。バランス出力端子にはここからの信号が出てきます。

 さらにNJM5534を使ったバランス-アンバランス変換とLPFを兼ねた回路に入力されて,シングルエンド出力として出てきます。

 電源はAC30Vでセンタータップが必要,これに加えてロジック用のACが必要で,これはAC7V程度もあれば十分です。

 入力信号はES9028Q2Mに直接入るもので,MCLK,BCLK,DATA,LRCK,DATAという普通のI2Sです。フォーマットは・・・調べてないのでよく分かりません。

 よく分かりませんが,N-30から取りだしたI2Sをそのまま突っ込むと,都合良く音が出てきました。いろいろなサンプリングレートにも対応するので,問題なく動作しているようです。

 音が出るところまで確認出来たら,後はアナログ部分のアップグレードです。まずI-V変換のOP-AMPを交換です。I-V変換は音質への影響が大きいので,ここは高精度,高音質なものを使いたいです。PCM1704を使った自作のDACでは,迷わずOPA627を使ったところです。

 あいにくOPA627は手持ちもないですし,差動で使いますから合計4つも必要です。そこで手持ちのOPA604の2個入りであるOPA2604を使うことにしました。

 LPFのNE5534は,シングルの音質の良いOP-AMPが手持ちにないのでこのまま使うことにしようと思っていましたが,回路を追いかけると位相補償もオフセット調整も行っておらず,これらの端子はすべてオープンでした。

 ということは,2回路入りのうち1回路だけ使うという作戦がとれます。

 腐るほどある面実装のOPA2134を変換基板に取り付けてDIPにする時,ちょっと足を入れ換えてNE5534として使えるようにしたところ,これが上手く動作してくれました。よし。

 あとは音質に影響のありそうなコンデンサと抵抗を入れ換えていきます。

 まずコンデンサはLPFの時定数に関係する390pFと100pFをマイカコンデンサにします。手持ちの関係です。

 抵抗はI-V変換の560Ω,LPFの時定数に関係するものをすべて金皮に変えます。これも手持ちで済ませたいので,並列に繋いでなんとか値を作り出しました。

 電源は,AC30Vはそのまま流用,デジタル用の電源は流用出来るものがないため,AC8Vのトランスを1つ追加しました。


 少しずつ作業をして3日ほどで完成,今回はトラブルもなく,難しい改造もしないようにしたため,悩むことなく終了しました。

 さて,肝心の音ですが,狙い通りです。これまで硬質で薄い殻のようだった音が,しっかりと中身の詰まった重心の低い音に変わっています。ザラザラとした荒っぽさもとれ,滑らかで上質な音になりました。

 また,位相特性も改善されたのだと思いますが,定位感が抜群になりました。それぞれの楽器がバチッと定位するのはもちろんですが,知れらが平面的ではなく,ちゃんと奥行きが出ています。定位の精度が高まった結果,それぞれの音の発生機構の容積を表現出来るようになっているのだと思います。

 とにかく,密度の高い音である事が素晴らしく,簡単な改造でこれだけ改善するというのは素晴らしいです。

 うちではもっとも高性能なDACが作り出す音が,N-30から出てくる事になりました。N-30をもうバカには出来ません。うちのメイン機材に昇格することになりそうです。

 ところで,20年以上前に作ったPCM1704のDACのアップグレードも検討中です。このDACは私にとっては記念碑的なものであり,現在の私の有り様を決めてくれたありがたい存在です。

 製作当初はPCM1702にSM5842APという組み合わせで最高の音を狙っていましたが,10年ほど経過したところでPCM1704にアップグレードしました。

 8倍オーバーサンプリング24bitデジタルフィルタと24bitのマルチビットDACによる音は他を寄せ付けないものだったのですが,ハイレゾに対応しないため使うことがなくなりました。

 そこでハイレゾ対応にする計画を立てたのですが,あいにくSM5842APの後継に当たるチップはなく,TI純正のDF1706はすでに入手不可能,ここに至って現行システムをそのままハイレゾ化することはあきらめざるを得なくなりました。

 そうなると手は2つあり,1つはデジタルフィルタをなくして直接DACにPCMを突っ込む方法です。一部のマニアの間で評判の方法で,デジタルフィルタが発生させるプリエコーなどの有害な信号が原理的に発生しないことが評価を得ています。

 ハイレゾの時だけ直結という動作も考えたのですが,サンプリング周波数が変わってしまうとポストフィルタの設計を見直さなくてはならず,またここはディスクリート構成のOP-AMPに1次のLPFを担わせて,緩やかなフィルタリングを行うというコンセプトで作ったものですから,安易に変えられません。

 そうなるともう1つの手です。デジタルフィルタとして,非同期型のサンプルレートコンバータを使うのです。

 SRCというのは,極論するとDACで一度アナログにした音をADCで再度デジタルにする処理のようなものです。サンプリングレートを極限まで上げ,量子化ビット数を極限まで上げると,アナログになります。

 サンプリングレートを上げることも,量子化ビット数を上げることも,結局フィルタを通すことですので,SRCも結局はデジタルフィルタです。

 ただ,同期型ではなく非同期型というのは,入力側と出力側のサンプリングレートの比率によって波形や特性が変わってしまうことを覚悟しないといけないので,単純なデジタルフィルタの方がこういうケースでは望ましいと思います。

 非同期SRCを使うとは言え,出力のサンプリング周波数が192kHz止まりじゃ意味がありません。PCM1704が動作する768kHzまで上げられないとダメなのですが,そういうSRCってほとんど見当たりません。

 唯一見つけたのがAKMのAK4137です。ハイエンド向けのSRCということで性能も良いのですが,音質については今ひとつという評判です。

 このSRCを使った基板モジュールも中国製の物を見つけました。時間はかかるでしょうが届き次第,どんなものか確認してみたいと思います。

 同時に発注したCS8416と組み合わせ,192Hzの24bitでPCM1704をならしてみたら,どんな音になるのでしょうか。ワクワクします。

キッチンの水栓を交換することで考えた

 コロナですっかりカタツムリになってしまった私ですが,毎日の夕食を担当するなかで劣化がひどくなってきたものに,キッチンの水栓があります。

 そりゃもう7年も使っているんですから,悪くもなるでしょう。

 一番ひどいのは,シャワーとストレート,そして浄水の3つを切り替えるレバーが,ギーギーと鳴くようになり,気持ちよく切り替える事が出来なくなってしまったことです。

 切り替えそのものは出来ているので実用上はなにも問題はないのですが,レバーが重くなったことに加え,クリック感がなくなりきちんと回しきるのが大変になったこともありますし,気分的にもよくありません。

 この部分の分解清掃をやってはみたものの,効果は数日で薄れてしまいます。

 ならばと,子部分の部品交換を考えたのですが,シャワーの付いたヘッドを丸ごと交換しないといけないらしく,あろうことか24000円もするというんですよ。

 高いなあと思いつつ,ちらっとamazonがお奨めする物を見ていると,水栓丸ごとでも2万円まで買えるようです。もともと6万円ほどする物ですからね,パチモンかも訳ありかも知れないですし,取り付けをどうするんだという話もあるので,あまり真面目に見ることはしません。

 しかし,このヘッドの交換を検討する時に,TOTOのWEBで後悔されている部品構成図などを見ていると,この製品の後継機種をたどっていけるようになっており,まさにこの機種が18000円ほどで買えることが分かりました。

 水栓は10年くらいでもう使えなくなるものと考えても良いので,交換出来ればそれは歓迎すべき事なのですが,古い物が製造中止で安く出ているかと思って探してみると,それはむしろ高価なくらいです。

 どちらかというと,現行商品が安く出ているようなので,思い切って交換してみることにしました。後継品種ですから,基本的にはリプレース可能でしょう。

 交換前の機種名は「TKHG38P」,後継の現行品は「TKS05308J」らしいです。

 取り付け穴も同じ,配管の長さはちょっと違うのですが,まあどうにかなるでしょう。

 デザインは大きく変わっているので慣れるのに時間はかかるでしょうが,悪い物ではなさそうです。

 TOTOのWEBサイトに取説など一式アップされているので到着までの時間で予習しておきます。

 ということで,土曜日の午前中に,新しい水栓が届きました。欠品がないかを確認し,揃っていることを確認出来たら作業開始です。

 まず古い水栓を取り外します。いやー,綺麗に使っているつもりでも汚いですね,水回りは触るのが嫌になります。

 先に配管を外します。この時代の水栓はワンタッチカプラーなる物で配管されているので,これを流用出来れば簡単だったのですが,現行品には採用されず,ナットで接続するタイプに戻っていますから,カプラーごと外してしまいます。

 シャワーの接続も外してしまい,その後水栓の下部にあるネジをアレンキーで外して,慎重に引き抜きます。おお,なんだかイカの解体みたいです。

 取り付け用の台座も流用出来そうにないので外して,新しい物に交換です。これは簡単簡単。

 続けて新しい水栓を取り付けてしまいます。配管を穴に通し,台座にネジ留めします。配管を通すのがちょっと面倒ですが,別に問題はありません。

 次からはもうシンクの下側の作業で,座りっぱなしです。配管を上手く取り回し,ナットで接続していきます。実は過去の水栓がシンクの裏側の面から370mmの位置に接続点があったのですが,新しい物は400mmを指定しています。3cmの違いならどうにかなるだろうと思っていたのですが,あまった配管を取り回すにはちょっと中途半端な長さで,冷水側の配管を少し急に曲げてしまい,折り曲げ跡を作ってしまいました。

 問題なさそうなので気にせず先に進めます。シャワーの接続も終わると,後はもう開栓しても問題はありません。きちんと水が出てきて,漏れないことを確認したら,あとはもうお片付けです。

 ここまで1時間ほど。さすがに予習をしただけあって,スムーズに作業が進みました。

 使い勝手は大きく変わりましたが,あっという間になれてしまいますし,快適な操作性なのでなにも文句はありません。通常,6万円の定価に工事費用が数万円で合計10万円コースだろうと思うのですが,最終的に2万円以下で済んでいます。

 「安く上がって良かったですよ」という話をしたいわけではなく,私が考えたのは,一体何が適正な価格なんだろうか,と言う疑問です。2万円なら私のように壊れる前に交換しようと思う人がいるでしょう。5万円なら壊れてからの交換になるでしょうが,納得して出せる価格ではないでしょうか。

 しかし,10万円の出費というのは,ちょっと抵抗がありませんか?いや,積み上げれば仕方がない金額になるんだろうし,工務店の方々がぼっているっていう話をしたいわけではなく,あくまで私の金銭感覚で10万円は簡単に出ないよという話です。

 10万円が納得出来ないからやめときます,という話にならないのが住宅設備関連です。水道が壊れてしまえばそりゃ生活が出来ませんから,30万円ですと言われても出さざるを得ませんよね。

 こういうことを悪用する人々がいても,不思議じゃないかも知れないと私は思ったのです。

 私の推測はこうです。工務店は本来,工事を2万円くらいで引き受けていたら赤字です。そこで,品物の利益でそれを補填します。2万円くらいで仕入れるが出来る水栓を,メーカーの標準小売価格である6万円で売るのです。

 これになにも問題はありません。かつての水道工事というのは現物合わせが主体となる大変な作業ですので,以前なら納得する人も多かっただろうと思います。

 しかし,2つの変化が訪れます。1つは工事を簡素化するために,メーカーの製品が標準化を進めていき,取り付けに際する現物合わせを極力排除したことです。このことで作業時間は短縮され,交換品の在庫も流用も持てるようになり,しかも作業スキルによって仕上がりが変わったり,スキルの低い人でも工事が出来るようになりました。

 しかし一方で,誰でも出来るようになったことから,素人でも簡単にできてしまうようになりました。

 2つ目の変化は,製品の購入です。かつては工務店しか買うことが出来なかった住宅設備関連品ですが,どういうルートか楽天でもamazonでも買うことが簡単になりました。

 買うことが出来るようになったと言うだけではなく,とても安いのです。おそらく,工務店への卸値に近い価格ではないかと思います。工務店の中には,amazonから仕入れる人もいるんだとか。

 こうして,独占されていた製品の購入が開放されたこと,そして工事も素人に出来るくらいに簡素化されたことで,一気にDIYに敷居が下がったのです。

 私は水栓の交換に1時間ほどかかっていますが,交換しようと決めてからわずか24時間です。工事の決定から支払い,そして工事完了まで1日ですからね,プロの頼むよりも早いというメリットも大きいのです。

 こうして環境が整ったことで,消費者としては選択肢が一気に増えました。安いけど手間がかかる,高いけど楽ちん,様々な選択肢がある事は,消費者にもメリットがありますし,選んでもらうための競争が起きますから,業界全体が良くなる方向に向かうことは疑いようがありません。

 そう考えると,これまでがおかしかったんだなあと気が付きます。そしてそれらが変化し,現在の地点に来ることが出来た要因に,製品のメーカーが進めた工事の簡略化と独占販売をやらなくなったことがあり,結局メーカーなどの大きな会社が作った道筋に流れていくんだなあと思いました。

 今年でなんと20周年を迎えたamazonがあけた風穴には多種多様なものがあり,誰かがそれをまとめるだろうと私は期待しているのですが,絶版の本さえ注文を受けては後になってごめんなさいをするいい加減さに辟易したサービス開始直後のamazonが懐かしく思い出されます。

 必要不可欠なインフラとして定着したamazonですが,実はもっともっと根深いところで,それまでの商習慣を数多く壊していることに改めて驚くと共に,その多くが直接には消費者のメリットになっていることを思うと,amazonというプラットフォーマーが消費者の見方でいてくれて良かったなあと,思わざるを得ません。

 そう,高度経済成長期ではなくとも,明日は今日よりも良くなっている,は,ちゃんと実践されていたということです。

 さて,ここでもう1つ見えにくい問題を議論せねばなりません。

 そう,ゴミの問題です。工務店に対して支払う費用には,廃棄物の処理費用も含まれます。今回の水栓も,工務店に工事を依頼すれば古い物は当然引き取ってもらえます。

 しかし,amazonへの支払いは当然品物の代金だけであり,ゴミの処理費用は含まれません。素人のDIYではこのゴミの処理が問題です。

 個人が出すゴミで,事業者が仕事で出すものではありませんから,余程の事がなければ個人のゴミとして処理できるので心配ないのですが,本来事業用ゴミとして処理されるものが個人のゴミとして出てくるようになるのが当たり前になると,ゴミを処理する地方公共団体の処理能力が想定を越えることもあるだろうなと思ったりします。

 また,大きい,重いなどで粗大ゴミになれば当然有償ですし,そこに化学物質や有害な物,あるいはリサイクルが義務づけられているような物が含まれれば,個人で出すゴミとはいえ,産業廃棄物として処理しないといけないケースも出てきます。これらの処理費用は安くはありません。

 ここまで考えると,実は工務店に頼むことが割高になるとは言えないケースも出てくることに気が付きます。さらにいうと正規の方法で処理されることで,環境負荷を下げることにもなる場合があるでしょう。

 さて,どうします?

 

レトロPC救済作戦

 1980年代,90年代のリバイバルが,あちこちで活況です。ここ数年くすぶっていたレトロPCやレトロゲーム機ブームも定着した感があり,本家のゲームメーカーがミニ版を発売するに至って一般化した感じも拭えません。

 ただ,ミニ版で遊んでいるうちはいいんですが,やはり本物がいい,などと言い出すとその敷居は高く,多くの人は途方に暮れるでしょう。

 一番の問題は,ディスプレイです。

 コンスーマーゲーム機(ゲームコンソールといいます)は,余程の事がない限りコンポジットビデオ出力がありますので,最新のテレビでも接続出来るものが多いはずです。

 しかしこのコンポジットビデオ出力というのは,さすがにNTSCという過去の遺跡であり,これで表示される画面のひどさというのは,その当時の人々でさえも辟易していました。

 レトロPCになるとさらに事情は深刻で,MSXやPC-6001などのマシンはコンポジットビデオ出力でなんとか出来ても,RGBディスプレイを用いるPC-8801シリーズやX1シリーズ,そもそも水平同期周波数が15kHzですらないPC-9801やX68000などは,どうやっても今のテレビには繋がりません。

 そりゃそうです,当時だってこれらのマシンは特殊なテレビしか接続出来ず,基本的には専用のディスプレイとセットで使っていたのですから。

 問題はこの専用ディスプレイです。RGBであること,最低15KHz,24kHz,31kHzの3つの水平同期周波数で同期がかかることが必要ですが,人類はディスプレイをLCDに移行させた段階で,すでにこの機能を手放してしまっています。

 LCDはCRTと原理的に異なります。RGB方式というのは,いわばCRTを直接駆動する方式ですから,その画質は高くとも,LCDとは相容れない方式なわけです。

 ですのでここに辻褄合わせの回路が入り込むわけですが,これがまた高価でややこしい代物です。しかも画質がかなり劣化します。それで救えるのがレトロPCなんですから,誰が対応するのかという話です。

 この手の需要に応え続けたのが,電波新聞社のスキャンコンバータシリーズです。VGAのPCがまだ存在し,VGAのアナログRGBならまだ使える時代に,レトロPCやゲーム機のRGB信号を変換する装置ですが,目的が目的ですので,その画質やレイテンシにはこだわりがあり,現在も高い評価を得ています。

 発売時期が古いことで部品の入手が厳しくなったらしく,すでに販売が終了しているものも多いのですが,一方でディスプレイ本体よりも高かったりするお値段も,本当のマニアでないと買わないという特殊な機材になっていました。

 画質はともかく,とにかく表示出来るディスプレイはないものか,当時のCRTを使い続ける人々は,いつ火を噴くともわからない時限爆弾を抱えて,焦っていました。

 そんな中で,数年おきに出てくるのが,15kHzが映ったよ,という声です。

 それは,三菱のLCDが密かに対応していたとか,ある中国製の安価なディスプレイに繋いだらOKだったとか,そういう話です。しかし,X68000のあるモードには対応しないとか,複合同期信号に対応しないとか,なにかと問題があり,完璧な対応は非常に難しいものでした。

 しかしここ最近,またこの界隈が賑やかになってきているようです。理由は,11から13インチクラスの1920x1080のLCDパネルが安くなったこと,接続がeDPで統一されてきていること,そして安価なLCDドライバを用いた,汎用性の高いLCDドライバ基板がたくさん出回るようになり,ガレージメーカーを含めた有象無象なディスプレイが,1万円程度で出てくるようになったことがあります。

 もちろん,これらは中国製ですし,玉石混淆です。でも,当たりが出たときは大きくて,X68000に妥協なく完全対応するディスプレイが現れた時にはお祭り騒ぎになりました。

 私は,今さらX68000の実機で遊ぶこともないわな,とこの祭りに乗り遅れてしまったのですが,冷静に考えてみると実家にはPC-6001mk2,X1turbo,X68000,SegaSaturn,Dreamcast,何枚かのゲーム基板と,RGB目白押しです。

 これらをどうするか,以前から頭の痛い問題ではあったのですが,今回,ふとしたことをきっかけに,これらのヘリテージをいかに残すかを真面目に考える事にしました。

 これらのRGBを問題なく受けられるLCDは,今もあるにはあります。しかし,大きかったり高価だったりとなにかと制約があります。11インチから13インチまでのLCDで,使わない時は片付けられるものが理想ですが,この理想を安価に具現化し,かつてCocopar旋風を巻き起こしたCoCoperのTX133019はすでに廃番。

 これにかわる,現在入手可能なLCDは,なかなか見当たりません。

 ですが,探して見るものです,WIMAXITというブランドのM1160という11インチのLCDが,15kHzのRGBに対応するという情報を得ました。

 少し前によく見たサブディスプレイですが,ブランドも値段もピンキリです。形が同じだからとか,値段が似ているからとか,そういう話で選んでも15kHzに対応しないことも,情報として出てきました。

 私が購入したときは13800円ほどだったのですが,今はもう少し安くなっているようです。

 届いたので早速動作確認です。HDMIで繋げば,メガドラミニもファミコンミニもPS3も問題なし。すでにこれだけで満足している私がいます。あーゲームって楽しい。

 いかんいかん,15kHzに対応しているかを調べないといけません。しかしあいにく,15kHzのRGBを吐き出す機器が手元にはありません。

 ふと目をやるとPS2があります。これを使いましょう。

 amazonで安いコンポーネントケーブルを購入,届いたら分解してコネクタだけを残しあとは捨てます。

 ここにVGAコネクタを繋いで,M1160に接続します。

 だめです,映りません。まったく映像が出ません。入力がないと判断されています。同期信号まわりですね,これは。

 念のため,RGB-VGA変換基板として一部の間で定番化しているGBS-8800でも試しますが結果は同じ。まだあきらめるには早そうです。

 いろいろ調べていくと,PS2の複合同期信号のレベルが低いのが原因だったようです。PS2では21ピンRGBを前提しにしているので,同期信号は複合同期信号で1Vp-pもあれば十分同期がかかります。

 しかし,VGAの同期信号は,複合同期でもTTLレベルです。こりゃダメなはずです。

 周波数もたかだか15kHz程度ですから,ゲートを一発通せば済む話なのですが,垂直同期も必要になることを想定し,ここは贅沢にも定番シンクセパレータLM1881を使います。

 LM1881を使えば,1V程度のビデオ信号から,TTLレベルの複合同期信号と垂直同期信号を簡単に得られます。今回はこれを使いましょう。

 さっさと回路を組み立てて接続するとあっさりPS2がRGBで表示されました。

 うれしくて縦画面にしてレイフォースをクリアしてしまいました。死ぬほどコンティニューしましたが。

 あいにくX68000がないので24kHzと31kHzを確かめられませんが,まずは15kHzが通ってめでたしめでたしです。

 さて,こうなると音が欲しいですね。

 M1160は,過去にはオーディオ入力を持っていたようですが,私のモデルはここがヘッドフォン出力になってしまっています。ヘッドフォン出力を維持したままライン入力を増設することも考えましたが,中に入っていた基板をじっと眺めていると,どうやらこのヘッドフォン出力の端子をライン入力にするためのジャンパ設定がありそうだと気が付きました。

 抵抗を外しヘッドフォン出力用の電源を切断し,ヘッドフォン出力への配線を切り替えてライン入力にジャンパを設定しました。ここで失敗したのですが,ヘッドフォン端子の配線を少し工夫しないと,入力が有効にならないことがわかり,しばらく悩みました。答えはジャックに来ている信号の1つをGNDに落とす事でした。

 これで,PS2が楽しめるようになりました。うれしくておもわずギャラクシーフォースIIをすべての機種分やりこんでしまいました。

 DreamcastはVGAアダプタがあるので問題なし,SegaSaturnやPC-6001mk2も15kHzなので大丈夫でしょう。X1turboは24kHzが微妙ですが,15kHzだけでも御の字です。

 X68000こそ問題なのですが,これも試してみるしかありません。

 残念なのはコンポジットビデオが入らないことです。これが入ればPC-6001やApple][やM5もいけるんですけど,これはもうコンバータ使って繋ぐほかないと思います。

 てなわけで,レトロPCやレトロゲームをかなり救える環境になりました。実はSCSIをCFにする基板も買ってあるので,X68000を復活させる日も,そう遠くはなさそうです。

 

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