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遅ればせながらPSoC

  • 2009/02/20 15:06
  • カテゴリー:make:

 MicrochipのPICマイコンが成功を収めたことで,国内外の小型マイコンは新しい方向性を模索するようになりました。かつて,Z80や8086,68000あたりの汎用CPUはなんとかアマチュアにも使えるだけの環境を整えることができたのですが,組み込み用のマイクロコントローラについては,数は膨大なものがあるにもかかわらず,開発環境はおろか技術資料さえもアマチュアには手に入りにくい関係で,長く「知られざる存在」でした。

 90年代前半まで,マイクロコントローラの開発環境はICEとコンパイラで100万円,技術資料は分厚いデータブックしかなくメーカーに頼んで購入するしかありませんでした。

 アーキテクチャは特殊で文献は皆無,仮に苦労の末開発が出来てもそれを実機で動かすために,プログラムをマイコンのROMに書き込むライターが何十万円,さらにマスクROMに書き込むには数千個の注文が必要と,全くアマチュアの利用を想定していません。

 そもそも,20年ほど前の電子部品というのは,プロもアマチュアも共通でした。2SC1815はアマチュアでは長く定番ですが,当時のプロの設計者でも定番でした。そんな中で,プロ用とアマチュア用で完全に分かれていた数少ない部品がマイクロコントローラだったといっていいでしょう。つまり,半導体メーカーにとっても売り上げが大きい主力商品であったマイクロコントローラは,秋葉原の部品屋さんでは買うことの出来なかった部品だったわけです。(たとえ手に入っても全く使い物にならないので買う人もいないのですが)

 余談ですが,プロの設計者の部品が面実装品になり,アマチュアが使う部品との差が大きく広がった今日,アマチュアが使える定番部品は使用量が減り,どんどん生産中止になっています。在庫もかなりありますし,中国などではまだ大量に使われているので現地のメーカーが生産を続けていますから,プロのおこぼれをもらうアマチュアにとってそんなに慌てるような話ではないにせよ,アマチュアが真空管などのプロが絶対に使わない部品で工作を好んでするようになったこともあり,いつまで電子工作というホビーが生き残れるのか,不安になります。

 前置きが長くなりましたが,そんなマイクロコントローラの世界を大きく変えたのが,PICです。PICそのものは意外にマイクロコントローラ黎明期から存在する古典的プロセッサを源流に持つものなのですが,当時の米国系マイクロコントローラでメジャーだった8048や6801,8051や68HC11に比べて,

・パッケージが小さく8ピンから20ピンくらい
・機能を絞り込み低価格
・低消費電力で電池で動く,その割に結構高速
・アセンブラなど開発ツールが無償
・技術資料やデータシートも無償
・ICEもライターも安い,ライターは自作も可能
・そして参考書や使用例が豊富にある

 と,アマチュアにとっての障害が,ことごとく取り払われていることが画期的でした。アメリカでプロアマを問わず広く使われるようになり,日本でも90年代中頃に,アマチュアからブームとなりました。今ではプロも製品に組み込むことが普通になった,草の根からメジャーに上り詰めたマイコンです。

 こうしたなか,アマチュアをバカに出来ないと思いを新たにしたかつてのマイクロコントローラ先進国,日本のメーカーも,PICと同じ方法でアマチュアへの売り込みを図っていますが,なかなか浸透しないのもまたマイクロコントローラの世界で,思うようにアマチュアに使ってもらえていないような感じです。(私に言わせれば,全然日本のメーカーは分かってないです)

 しかし,アメリカではその後も実に面白いマイクロコントローラがいくつも生まれています。AVR,MSP430,dsPIC,そして今回のPSoCもそうです。どれも先に挙げた特徴を最低限のものとして備え,さらにそこから特徴のある個性を主張しています。

 私はPIC以外ではAVR,MSP430を触ったことがある程度なのですが,以前から気になっていたのがPSoCです。果たしてPSoCがマイクロコントローラなのか,と問われれば,必ずしもそういう「狭い」言い方が正しいとは思いません。PSoCにとってマイクロコントローラは機能の1つである以上,PSoCの本質はさらに深いところにあります。

 PSoCはアメリカのCypressが作るマイクロコントローラで,Programmable System on Chipの略とされています。簡単に言うと,PICに見られるマイクロコントローラの特徴に加えて,

・アナログ回路をチップ内に作ることが出来る
・デジタル回路もチップ内に作ることが出来る
・もちろん普通のマイコンも入っている
・それぞれ自由に繋いで使う事が出来る
・実に多くのライブラリが完備されていて,下位レベルをほとんど自分で書く必要がない
・開発ツールにGUIが多用されており,気が付いたら使えるようになっている

 という点が際立っています。

 アナログ回路をチップ内で作ることが出来る,というのはPSoCの最大の特徴で,オペアンプ,コンパレータ,PGA,ADコンバータ,スイッチトキャパシタを内蔵しており,ユーザーはそれらを組み合わせ,またパラメータを設定して純粋なアナログ回路をチップ内部に作ることが出来ます。

 デジタル回路についても同様ですが,PLDとは違って論理回路を合成できるわけではありません。ただ,基本的な論理演算回路が複数入っており,これを組み合わせてタイマやカウンタ,CRC演算器,乱数発生器やUART,I2Cなどを作ることが出来るようになっています。マイコンのペリフェラルもこれで作られます。

 マイコンは大した性能は持っていませんが,最大24MHzで動作,4MIPS程度の能力を持つ8bitのプロセッサです。ただ,PSoCはアナログデジタル混載のプログラマブルシステムLSIを標榜しているので,マイコンも「システムの1つ」に過ぎない扱いです。事実,そのアーキテクチャについて詳しく知る必要性はほとんどありません。

 そしてこれが最大の特徴なのですが,ライブラリがあまりに豊富なのです。

 Cypressでは,先程のアナログ,デジタルの回路のうち,よく使われるものを雛形として提供しています。これをユーザーモジュールと呼んでいるのですが,開発ツールであるPSoC Designerで使いたいユーザーモジュールをGUIで配置し,パラメータを設定すれば,後は基本的な回路ブロックを組み合わせて構築し,初期化のプログラム,そしてアプリケーションからアクセスするためのライブラリまで自動的に生成してくれるのです。

 例えば,先程のスイッチトキャパシタを使ってバンドパスフィルタを作る場合,ユーザーモジュールとして既に用意されているバンドパスフィルタを使えば,フィルタの仕様だけで所望のバンドパスフィルタをPSoC内部に実装し,しかも初期化プログラムに加えてマイコンからパラメータをいじるためのAPIまで完備してくれるというわけです。

 アナログでもここまでやるのですから,デジタルでは当たり前の話で,なんとSDカードのインターフェースのようなものまでユーザーモジュールになっています。

 こいつはすごくて,ハードウェアはSPIを使ってSDカードに接続,ソフトウェアはそのSPIの初期化やドライブはもちろん,低レベルのアクセス関数はおろか,FATファイルシステムまで完備されており,ユーザーはファイルを開いて閉じてするだけです。いっときますが,これがワンチップのマイクロコントローラで出来るのです。汎用OSも搭載されていなければ,SDカードインターフェースをペリフェラルで持っているわけでもないのです。

 さらに面白い例があります。秋月電子などで16桁x2行のLCDキャラクタ表示モジュールが売られており,内蔵されているHD44780互換のLCDコントローラはすでに業界標準になっていますが,これを前提にしたLCD表示も,ユーザーモジュールで出来てしまうのです。

 従来,この手のLCDモジュールは,4bitもしくは8bitのデータバスとE信号やRS信号,R/W信号のコントロールバスをマイコンのGPIOにつなぎ,ソフトでそれぞれのポートをタイミング良くソフトで上げ下げして使っていました。慣れた人だと簡単なのですが,それでも自前で用意することは変わりません。

 GPIOの初期化に始まり,LCDの初期化,データの送受信,1文字の表示,そして文字列の表示と,階層を1つずつ上げてソフトを自前で用意しないといけないのですが,PSoCではユーザーモジュールをぽんとGUIで置けば必要なGPIOがLCD用に確保され,それらを初期化して動かすAPIが用意されます。

 例えば,LCDの左上から3文字目の所に「TEST」と表示するプログラムは,

  LCD_1_Start();           // LCDの初期化
  LCD_1_Position(0,3);     // 書く場所を指定
  LCD_1_PrCString("TEST"); // 書く

 と,わずか3行です。本当にこれだけです。他の部分になにかおまじないを書かないといけないとか,一切ありません。mainの中にこの3行を書きさえすれば,LCDにTESTと表示されます。

 こんな具合にまさにProgrammableなSystem on Chipをアマチュアが作る事の出来るPSoCですが,アナログ回路とデジタル回路,そしてマイコンの3つが同時並行で動くことを十二分に活用しマイコンに頼らないリアルタイムシステムを実現するのもよいでしょうし,ライブラリが充実して手軽に動かせるという利便性でPICの代わりに使うことだってよい使い道です。例えばUARTで受けたデータをSDカードに保存するというシステムを,PICで作るとかなり大変ですが,PSoCならあっという間です。

 それにデジタルのブロックがUARTやI2C,SPIに化けてくれるので,そもそも製品の品種が非常に少なく整理されており,手元に2種類程度のPSoCを置いておけばどんな用途に使えてしまうフレキシビリティも,アマチュアにはうれしい話です。

 アマチュアが手軽に使えるマイクロコントローラはPICによって開花し,内蔵メモリの増大や処理能力の向上,あるいは低消費電力という観点で進化してきましたが,結局それらはマイクロコントローラを越えたものではありません。

 はっきりいって,多少のアーキテクチャの差はあっても,結局出来る事はどれも同じ,マイクロコントローラの差はメモリの大きさと内蔵ペリフェラルの種類と数,そして価格と消費電力だという話の裏返しであり,もう大した興味も沸かないという方は多いと思います。

 それなら使い慣れたPICやAVRで十分となるのですが,PSoCの面白さは自由度の高さを高機能に振ることも,扱いの簡便さに振ることも可能であるということと,ユーザーは最終的にやりたいと思うことの実現に専念出来るということにあります。

 これが,System on Chipたるゆえんなのだと思います。アナログの回路をマイコンからサクサク叩いたり,デジタルのユーザーモジュールと連携させたり,果てはダイナミックコンフィギュレーションを行ってみたりと,従来なら様々な回路を組み合わせ大規模にせざるを得なかった回路をワンチップで(しかも自前で)作る事が,低レベルの関数の整備やレジスタの初期化など面倒で非創造的な作業で手を汚すことなく出来てしまうことに,ただただ感服するばかりです。いやー,アメリカはすごいなあ。

 欧米では,プロアマを問わず,プロトタイピングという「でっち上げ」をつくることがとても重要視されています。マイコンを応用したでっち上げは,電気回路の専門家とソフトウェアを書く人がいないとダメなのですが,これでは工業デザイナーや企画担当者が思いついたことをすぐに実現出来ません。

 そこで,そんな非専門家でもマイコン応用機器が作れるような環境がメジャーになっています。よく知られているArduinoはAVRベースで,習熟の容易なプログラム言語が通るシステムプログラムが書き込み済みです。

 PSoCは,チップ単体でこのプロトタイピングが可能なくらいに簡便化されています。同じ事をやるのに簡単な方がいいに決まっています。

 頭で「ほーすごいなあ」と思って半年,実際に触ってみないといけないと考えて半日触ってみましたが,まさにこの面白さは新次元です。

 さてさて,そんなPSoCですから,何を作るか,がとても重要です。

 アナログのユーザーモジュールを使い倒さないとPSoCの真の姿は見えてきませんし,だけどPICよりも簡単に使える簡便性でPIC16F84の置き換えとしても捨てがたいです。
 
 なにを作りましょうかねえ。

甦るwristPDA

  • 2009/01/21 12:25
  • カテゴリー:make:

 スケジュール帳やアドレス帳をPDAに任せるようになって随分になります。電子手帳に始まり,ザウルス,そしてPalmと移行してきましたが,残念ながらPalmの次がなかなか現れず,レガシーなシステムに私の記録と予定をゆだねていることに,ちょっとした焦りを感じるようになっています。

 よく言われることですが,Palmは非常に良くできたシステムで,情報が欲しいときにさっと開いてアクセス出来ることが最大の利点だと思っています。また,紙に匹敵するくらい入力が楽に出来ることも特筆すべき点でしょう。

 今さらPDA論をぶつのもお笑いぐさなのですが,PDAは紙の手帳と列ぶことが最低必要で,そこからどれくらい便利になるかが勝負です。Palmは紙かPDAかを議論するに値する,唯一の存在だったと今でも思います。

 スマートフォンがPDAに取って代わるといわれて久しいですが,かつては普及を待ち遠しく思った私も,冷静に考えてみると携帯電話のビジネスモデルにPDAが適するとは考えにくく,やっぱり別々に持つしかないなあという結論に至っています。

 しかし,PDAを持ち歩くのもやや煩わしく,アドレス帳とスケジュール帳とメモくらいの,薄くて軽い入力が楽ちんなPDAが出てくれればいいのになあと思っていたりします。

 一時,これが現実になりそうな時がありました。

 2005年に,FossilがWristPDAというPalmOSベースの腕時計PDAが登場しました。随分話題になったので覚えている方も多いと思いますが,このWristPDA,PalmOS4で動いており,世代はやや古いとはいえPalmが持っていた機能はなにも妥協せずすべて搭載してあったという,なかなかに意欲的なマシンでした。

 私はFossilのものとブランド違いのABACUSのものの2つを所有していて,特に荷物の多い帰省の時などに使っていましたが,最大の欠点は電池があっという間になくなることです。

 USBから充電をするのですが,最長でも3日ほど,普通なら2日ほどで切れてしまいます。Palmは電池が切れるとメモリの内容が完全に消えてしまうので,スケジュールやアドレスのデータはもちろん,追加したアプリケーションや設定なども全部消えてしまいます。これを再度インストールするにはPC(加えて別にもう一台のPalm)が必要で,出先では絶望です。

 さらに,その電池も購入から3年以上が経過し,いよいよ充電すら出来ないほどに劣化してしまいました。電池の切れたポータブル機器はゴミです。

 そこで電池の交換をしないといけないのですが,少し前までは小型の二次電池の入手が難しく,交換は絶望的でもありました。しかし,最近はiPodShuffleなどの小型機器が数多く出ており,これに使われる電池も特別なものではなくなっています。

 我々素人でも,これらの製品を購入し,ばらして電池だけ使うことができますから,どうにか手段はあるという感じでしょうか。

 私の場合も,ある機器から外したリチウムポリマー電池を使って,電池の交換を行ってみました。

ファイル 256-1.jpg

 元々の電池はコイン型のリチウム2次電池です。直径30mmですので,縦横30mm以内の電池ならおさまります。厚さはざっと5mm以内なら大丈夫ですね。

 ということで,交換して電池の寿命を測ってみたのですが,1日半ほどしか持ちませんでした。うーん,オリジナルが3日ほど持ったことを考えると,かなり物足りない結果です。

 もう少し容量の大きな電池を手に入れる機会があれば逃さないようにし,出来れば3つほど確保して入れ替えて見ようと思います。

 ところで,実は最後のPalmとして,TungstenTXを,個人輸入代行業者に依頼中なのですが,現在入荷待ちです。随分時間がかかりそうで心配しているのですが,他の業者なら在庫があって即納だったりしたので,失敗したなあと悔やんでいます。円高ですし,今ならちょっとお買い得かなあと思って買うことにしたのですが,やっぱりよく調べて行動しないとダメですね。

スピーカーのエッジを交換する

  • 2008/11/27 00:51
  • カテゴリー:make:

ファイル 236-1.jpg
 私が社会人になった翌年だったと思いますが,小型のブックシェルフスピーカーが欲しくて,夏休みに帰省した際に買ったのがJ520MというJBLのスピーカーでした。

 2本セットで2万円か3万円かそんなもんで,JBLでもこんな値段で買えるんだなあと思って買ったのですが,音はやっぱり値段相応で,特に満足も不満もなく使っていました。

 今から7年ほど前,KT88シングルのアンプとこのスピーカ,そしてマランツのCD8000というこれまた安物のCDプレイヤーをセットにして,当時新築したばかりの実家にプレゼント(迷惑だったかも知れませんが)したのですが,母に聞くと時々は使っているようです。

 ところが,先日私が音を出してみると,どうも低音が細く,バスドラムにタイトさがありません。10cmのウーファーじゃなあ,と思っていたのですが,もしやと思ってよく見てみると,ウレタンでできたエッジがボロボロになっていました。

 いやはや,噂には聞いていましたが,これがウレタンエッジの加水分解ですか・・・

 音を出すとボロボロと崩れるような状態ではありませんが,指で押せば押したところがへっこんだままになりますし,ひっかけばめくれたようになって穴が空きました。

 考えてみれば購入して12年以上が経過しているわけで,そりゃダメになるわなあと考えた次第です。

 大したものでもないからこの際捨ててしまおうかと思ったのですが,このころのJBLって廉価版でも「Made In USA」なんですね。エンクロージャも結構しっかりと作られていて,10cmウーファーの2Wayにしては無理をしてないゆとりのある大きさです。

 ちょっともったいないなあと思って調べて見ると,やはりありました。交換用のウレタンエッジを売っているお店が。

 多くの機種に対応できており,その中からJ520Mに合致するものを選ぶのは大変そうです。サイズが少し違うんですがJ520Mに対応と書かれたものがいくつかあって迷います。

 しかしそもそもエッジを交換するということが特殊な事ですから,多少のサイズの違いくらいは気にしないのが醍醐味です。(といいつつ,実はこれがのちのち足を引っ張ることになるのですが・・・)

 外周の直径が112mmと124mmの2種類が用意されており,どちらにすべきか迷いましたが,112mmが1500円,124mmが1900円ということなので,112mmを買いました。1本400円の差ですから,2つで800円ですよ。この差は大きい。外周のサイズは小さくてもokと書いてあったので,大丈夫でしょう。

 専用の接着剤も一緒に買い,この週末,高校時代の仲の良い友人の結婚式に出席するのにあわせ,実家で作業にかかりました。

 まず,劣化したエッジを除去します。指でボロボロと剥がしていくのですが,思う存分スピーカーを壊せるという夢がかなった瞬間である一方で,案外やってみるとつまらない上,溶けたウレタンと接着剤でドロドロになったカスが指にこびりつき,気持ち悪いです。

ファイル 236-2.jpg

 フレームに残ったウレタンを彫刻刀で削ぎ,コーンの裏側に残ったウレタンと接着剤を丁寧に剥がしていきます。はっきり言ってここが一番苦痛です。

 コーンは基本的には紙製なのですが,表面は樹脂でコーティングされています。エッジを貼り付ける裏側は紙がそのままになっていますので,注意して剥がさないと破れます。

ファイル 236-3.jpg

 結局1時間以上かけて古いエッジを剥がし,いよいよ新しいエッジを取り付けます。ここまで来れば楽勝と思っていたのですが,接着剤を塗る前に試しにはめ込んで見たところ,どうもエッジがやや小さい上に,コーンの傾斜角度とエッジの角度が違っていて,密着してくれません。これはかなり難易度が高そうです。試しにオリジナルと違う,コーンの表面にエッジを貼り付けるようにしてみると,あつらえたようにぴったりです。しかし,オリジナルと違うことをしてしまうとろくな事はありません。

 なんとかなると見切り発車をしたのですが,やはり作業は難航。先にコーンとエッジを接着剤で貼り付けるのですが,エッジの内径がやや小さいため,コーンがかなり窮屈そうなのです。エッジを少し引っ張りながら接着すると,エッジが元の大きさに戻るときにコーンを歪ませたり,しわを寄せたりします。

 なにせ水性の接着剤ですので,コーンの裏面の紙から染みこみ,ふにゃふにゃになります。これも想定外でした。

 接着剤の乾きが遅く,くっつけてもすぐに浮いて隙間ができるのを指で押さえて,どうにかこうにか接着ができたのは,さらに1時間が経過してからでした。

 コーンにあたった光の反射を見てみると,明らかにコーンが歪んでいるのが分かります。きっとコーンへの応力も部分部分で違っているでしょうから,明らかにおかしな振動をしそうな感じです。

 しかしやり直せばさらにドツボにはまるものです。ここは涙を飲んで,フレームへの接着に進みます。

 もともとダンパーがしっかりしているので,センター出しの作業にはそんなに手間はかからないだろうと思っていましたので,軽く触ってボイスコイルが触っていないことだけを確認して,さっさと接着をしました。

 うまくいっていないと思っていたのですが,エッジとフレームは接着剤がなくても密着してくれているので一安心です。

 1つ目が苦労の末にそこそこのレベルになったのに気をよくしつつ,もう1つのユニットも交換を始めます。

ファイル 236-4.jpg

 ところが油断しました。劣化したエッジの除去まではよかったのですが,新しいエッジをコーンに接着するのに失敗し,ぱっと見るだけでコーンが変形しているのが分かるほどです。かなりの応力がかかっていることが手に取るようです。

 なんとか修正をしようと思いましたが,コーンがふやけてしまい,いじるほどコーンに歪みが出ます。そうこうしているうちに接着剤が乾いてしまい,びくともしなくなりました。

 まあ仕方がない。気を落とさずフレームに接着しよう。

 しかし,1つ1つの作業は丁寧にしないといけないですね。1つ目はエッジをフレームがぴたっと密着していましたが,2つ目は一部で浮いて隙間ができています。明らかにエッジが,ある方向に無理に引っ張られて変形しているようです。

 かなり失敗の空気が漂う中,作業を進めます。同じようにセンター出しをさくっと済ませて接着剤を塗り固定します。隙間が空くと空気が漏れるので,接着剤であなを埋めていきます。

 そして1時間ほど経過して,コーンを押してみます。ところが,ある部分を押したときだけ,「ガサゴソ」と嫌な手触りが伝わってきます。そう,ボイスコイルが触っているようです。

 つまり,エッジが変形しているのをそのままくっつけたものだから,ボイスコイルが斜めにストロークするようになったんでしょう。

 こりゃまずい。これは妥協できません。

 エッジとフレームを接着している接着剤を慎重に剥がし,さらに余計な接着剤を針で除去して,もう一度やり直しをします。こういう場合,私は大概コーンを破るとかしわを作るか,復旧不可能な致命傷を負い,再帰できなくなります。

 絶望的な,しかし失うものは何もない,という心意気でザクザク作業を進めたところ,奇跡的に成功。

 しかし,やり直しが可能になっただけのことです。次にうまく接着できるとは限りません。

 接着剤を塗り,慎重にセンター出しをしながら固定を試みます。やはりエッジが変形しているのがわかります。

 しかし,エッジを少し引っ張りながら,センターを出していきます。接着剤が乾き始める20分ほど格闘し,ようやく固定されました。

 乾いてから隙間を埋めて,さらに乾くのを一晩待ちました。

 翌日,幸いなことにしっかりと固定されており,センターも出ているようで,ボイスコイルの接触も見られません。ただ,2つ目はコーンの歪みが目立ち,どう考えてもオリジナルと同じ音が出そうにありません。しかも,左右で全然違う音が出てくることでしょう。

ファイル 236-5.jpg

 元のエンクロージャに取り付け,音を出してみます。

 まず,ビビリが出たり,歪みが出たりと,スピーカーとして動かないという状況はありません。音は普通にでます。

 エッジを交換すると,さすがに低音にタイトさが戻ってきますね。相変わらずナローレンジなスピーカーですが,以前のような「だらーん」とした音はしなくなっています。

 ただ,やはり左右で特性が違うんでしょうね,定位感が薄くなり,ちょっと散らばる印象です。まあ,リスニングポジションも良くないし,最初から期待する方が無理ではあるのですが,もうちょっとうまくできたはずと,残念でなりません。

 元々そんなに定位感のあるスピーカーではありませんでしたし,BGMとして鳴らす音楽なら,辛抱できなくないレベルですので,もういいです。3000円でこれだけの手間をかけて(都合5時間かかりました),それであまり良い結果が得られなかったので,大体最後にはどうにかしてきた私としても,今回ばかりは敗北を認めざるを得ません。

 真鍮の鉄道模型を作る私がこれだけ苦労するんですから,客観的にみてかなり難易度は高かったと思うのですが,そういうこともあって,これは他の人にお勧めできないと思いました。というか,これ,みんな成功してるんですか?うまくいったように見えて,実は結構無理をしてるとか,そういうことはないんでしょうか。

 元々安いスピーカーですし,特別音が気に入っていたわけではないので,そういう意味ではあまり悔しいわけではありません。だけど,はっきりいって,もう二度とやりたいとは思わない,そんな作業でした。

 まあいいや,とりあえず音がそこそこ出ていますし,もう5年くらいはもつでしょう。次ダメになったら,別の10cmのユニットと交換しますよ。

中国のトランジスタ

  • 2008/11/07 20:39
  • カテゴリー:make:

 川崎にあるサトー電気で,怪しげな中国製のゲルマニウムトランジスタが168円というそこそこの値段で売られています。

 私も,物珍しさも手伝って,なにかのついでに2本ほど買ったのですが,いかんせん素性が分かりません。使うあてもないので別に構わないのですが,やはり電子部品はその仕様が分かってなんぼ,のものですから,少し調べてみることにしました。

 さて,このトランジスタ,型名を3BX31Cと言います。2Nでも2Sなく,3Bです。サトー電気のホームページには,NPNのゲルマニウムと書かれています。中国では割に標準的なもののようで,かの国では教科書にも出てくるほどメジャーなものらしいです。

 お待ちかね,その仕様ですが,複数のデータを統合すると,こんな感じです。

Ge-NPN(アロイなのかグローンなのか構造は不明)
用途              : 低周波増幅用
コレクタ損失(Pc)       : 125mW
コレクタ電流(Ic)       : 125mA
コレクタ遮断電流(ICBO)    : 最大6uA
コレクタ-ベース間電圧(VCBO) : 40V
コレクタ-エミッタ間電圧(VCEO): 24V
エミッタ-ベース間電圧(VEBO) : 10V
直流電流増幅率(hFE)     : 40~180
ベース接地での遮断周波数(fb) : 最小8MHz

 VCBO,VCEO,VEBOについては,厳密にはブレークダウン電圧が記されていたのですが,おおむねそのトランジスタの耐圧と見て良いですから,ここでは最大定格としました。

 こうしてみると,ごく普通の2SDxxというゲルマニウムトランジスタという感じですね。ぱっとみると,2SB172クラスのトランジスタで,2SB172のコンプリである2SD31なんかとよく似た感じでしょうか。

 ところで,この見慣れない中国製トランジスタの命名ルールを見つけました。

 最初の数字の3はトランジスタであることを示しています。電極数を書いているような感じですね。

 次のBは構造を示しています。AがゲルマニウムでPNP,BがゲルマニウムでNPN,CがシリコンでPNP,DがシリコンでNPN,Eが化合物半導体です。

 次のXは用途です。Xは低周波小信号用(3MHz未満で1W未満),Dが低周波電力増幅用(3MHz未満で1W以上),Gが高周波小信号用(3MHz以上で1W未満),Aが高周波電力用(3MHz以上で1W以上),Kがスイッチング用,です。それとどうやらCSがFETのようです。

 次の数字,31は通し番号です。番号そのものには意味はないようで,このあたりは日本のトランジスタなんかと同じでしょう。

 最後のCは,これは同じ品種で規格が変わった改良品などを示しています。これも日本のトランジスタと同じですね。

 よって,3BX31Cは,ゲルマニウムNPN低周波小信号用トランジスタ,となります。

 他にも用途の記号はいろいろあるようなのですが,さっぱりわかりませんでした。(たぶんサイリスタとかトンネルダイオードとかPINフォトダイオードとか)
 
 最後にお約束です。ここに書かれたことには誤りがある可能性も高く,内容を保証するものではありません。この情報によって発生したいかなる直接的,間接的な損害についても,著者は一切責任を負いません。
 

 

甦ったPC-E500

  • 2008/10/27 17:06
  • カテゴリー:make:

 もう1回だけPC-E500のネタにお付き合い下さい。

 今回のメモリ増設をもって,PC-E500の改造は本当に終了しました。あとは日本語環境やファイラー,ゲームなどをインストールして終わりという感じなのですが,1年前に書きましたように,このPC-E500は私にとって2台目なのです。

 1台目は10年ほど前に入手したのですが,昨年久々の動作確認時に壊れていることがわかり,2台目を同じようにオークションで手に入れることにしました。

 その時,PC-E200,PC-2001,X-07,PX-1246やPC-1401など,何かに取り憑かれたように,目に付いたポケコンを片っ端から落札しては,宅急便のおじさんがポケコンを我が家に運び込む度に我に返るという生活を,年明けくらいまで繰り返していたわけです。

 PC-E500の故障というのは,そういう破滅的な生活のきっかけになった事件だったのですが,その故障したPC-E500は,何度か修理を試みつつも失敗に終わり,部品取りとしてジャンク箱に投げ入れられていました。

 修理の過程で部品も一部なくなっていますが,基本的に程度は良い方です。

 それは突然のことで,なぜかそのPC-E500が修理出来ると,根拠もなく確信したのです。

 当然,X-07という大物を修理した後にも修理を試みていますので,この1年で経験値が上がっているわけでも,なにか閃いたわけでもありません。ただ,なんとなく今回は修理出来ると思ったのです。

 果たして,土曜日にジャンク箱から取り出した,壊れたPC-E500を目の前にしていました。

 まずは不足している部品を戻すことから始めます。コンデンサもいくつかなくなっているので,これは回路図を調べて,同じものを取り付けます。SRAMもとりあえず256kbitのものを取り付けて元通りにしておきましょう。

 この段階で電源を入れても,やはりなんの表示も行われません。表示が行われないだけではなく,LCDに電源が入っていないような感じです。つまり,全く動作していません。

 どんなときでも,マイコン関係のトラブル対策は,電源,クロック,リセットの3つの神の手を調べることです。

 電源は・・・CPUにもメモリにも5Vがかかっていますね。これは問題なし。LCDの電源も一応供給されているようです。LCD電源用のDC-DCコンバータが動いていない可能性もあると思いましたが,なんとく動いているようなので,とりあえずそれは後回しです。

 リセットは・・・PC-E500の場合,パワーオンリセットは「ない」のです。恐ろしいといえば恐ろしい設計ですが,CPUのリセットはリセットボタンのみに繋がっており,電源ONキーが割り込みに繋がっています。

 ですから,PC-E500は電池を入れたら必ずリセットボタンを押さないといけません。電源ONキーと同時にリセットボタンを押すとメモリのオールクリアになり,初期状態になります。

 PC-E500は完全スタティックか回路ですので,電源OFFはスタンバイに入れることになりますし,電源ONも割り込みでスタンバイからの復帰をすれば良いだけです。電池交換でも,動作用電池とは別のリチウム電池が,メモリやCPUをバックアップしているので,動作用電池の交換後でも,元のようにレジュームがききます。

 そう考えると,確かにパワーオンリセットなんて必要がない,ということになるかも知れません。

 ということで,リセットは手動のみ,きちんと解除されているので,CPUは動いているはずです。

 クロックは・・・PC-E500はCR発振のスロークロック(約200kHz)が常時発振し,電源ONで2.3MHzのセラロックが発振をします。見てみるとどちらも問題なく発振しているようです。

 ということで,この3つがきちんと揃っているのに,動かないというのはちょっと厄介です。つまり,部品の不良かハンダ付けなど配線の不良のいずれかということになります。

 配線の不良ならまだ良いのですが,部品の不良ならお手上げになる可能性が高くなります。CPUも汎用品ではありませんし,ましてROMなど壊れていたら,もう本当に入手は無理です。(もちろん,ROMを自分で焼けばよいのですが)

 しばらく考えて,次のチェックです。3つの神の手が正常であるなら,CPUは少なくとも動こうとしているはずです。アドレスバスやデータバスを確認すると,なにやら必死になって波形を出しています。ちゃんと5Vと0Vを行き来しており,中途半端な電位は見あたりませんので,バスのショートはとりあえずなさそうです。

 次にチップセレクトを見てみます。リセットをかけてからチップセレクトの動きを見てみると,ROMへの信号は動いても,RAMへの信号は全く動きません。ということは,CPUはROMのアクセスをしようとして,失敗しているということでしょう。

 こうなると,CPUとROMの間の配線を見ていくのが良さそうです。データバスのD0からD7,続いてアドレスバスのA0から順に見ていきます。すると,A4で導通がありません。A3もA5も大丈夫なのに,A4だけ導通がないというのは,やっぱりおかしいです。

 そこで,とりあえずCPUとROMのA4をジャンパ線で直結してみました。

 電源を入れてみると,メモリ初期化のメッセージが画面に出ています。おお,修理が出来ました。とりあえず,どの部品も壊れていないようです。

 配線については,全部のICのハンダ付けをやり直しているので大丈夫と思っていたのですが,基板が壊れて,配線が切れていたようです。

 さて,こうして修理出来たことはうれしいのですが,あくまでこいつは予備機です。どこまで改造するべきか悩みましたが,もう1台のPC-E500がRAMをフル実装してあり,メモリカードまで潰していますので,こちらはメモリカードを使える機種として温存しておきましょう。

 ということで,RAMはS1:エリアをフル実装の256kByteとし,S2:やそれ以外のエリアには一切手を付けません。RAMは秋月で買った1MbitのSRAMを2つ使って改造します。

 SRAMを2段重ねにし,256kbitのSRAMを外して,交換します。A16まではそのままCPUから引っ張ってきて,CPUのA17を下の段のRAMのCS2に,上の段のRAMのCS2にはインバータで反転したA17を入れます。こうするとA17によってどちらかのRAMが選択されるという仕組みです。全メモリエリアをきっちり半分ずつ2つのチップで分け合う場合に,もっとも簡単な方法です。

 作業が終わって電源を入れると,ちゃんと256kByte認識しています。問題なしです。

 むしろ困ったのは,バックアップ電池のフタを固定するためにある,金属製のナットをなくした事でしょう。仕方がないので,0.5mm程の真鍮の板を重ねて,これをナットに加工して作ることにしました。

 ということで,PC-E500が2台になりました。それぞれのROMバージョンを調べると,2と3ということがわかりましたが,私にはどちらのバージョンの方が良いのか,わかりません。

 今度こそ,PC-E500のネタは終わりのはず・・・

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