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PC-386BookLは今度こそダメなのか!?

 そろそろ半年が過ぎた頃かなと,PC-386BookLを立ち上げてみたときのお話です。設定や日時などを記憶しておくためのバックアップバッテリが半年ほどで切れてしまうため,動作チェックも兼ねて電源を入れてみました。

 すると予想通り起動しません。これはHDDのセクタサイズがデフォルトの256バイトに戻って閉まったからで,ここを512バイトに再設定すれば何の問題なく立ち上がるはずでした。

 しかし期待通りには行かず,起動しません。これはコンパクトフラッシュが死んだ可能性があるなあと,フロッピーから立ち上げたりしばらく触ってみたりして,問題の原因を探っていました。

 するとLCDの表示が出たり出なくなったりするようになり,しばらくするととうとう表示が出なくなってしまいました。バックライトは点灯しているのでLCDそのものの表示が出てこないというのは,なかなか深刻な問題でしょう。

 そうこうしているうちに,今度は焦げ臭い臭いが!

 これはいよいよまずいです。最近時にビビリになっている私にとって,爆発や爆音,感電などは絶対に避けたい体験です。あわてて電源を引っこ抜いて,遠巻きにPC-386 を眺めておりました。

 幸いにしてそれ以上のトラブルはなく,焦げ臭さも薄れていったのですが,もう電源を入れる気にはならず数日ほったらかしにしていました。

 翌日,意を決して分解して見たのですが,ぱっと見たところ問題はありません。焦げ臭いのですから,なにか燃えているとか,高温になって変色しているとか,そういうことがあっても良さそうです。

 残念ながらそうしたわかりやすいものはなかったわけで,次に調べるのはヒューズです。PC-386にはあちこちにヒューズが入っていて,なにかあると簡単に切れます。切れてくれる方がありがたく,回路の破損を防ぐ事以外に,どこが壊れたかに目処を立てる武器になります。

 今回は,どうもLCDの電源ラインに問題があったようで,ここのヒューズ(2.0A)が切れていました。少なくともこれではLCDが動くはずはありません。そこで同じ容量のヒューズに取り替えてみましたが,やはりLCDは動作せず,焦げ臭い臭いもそのままでした。

 こうなると大元の電源基板を調べるしかありませんが,電源基板は4級塩の電解コンデンサでボロボロになっていますから,これまで騙し騙し動かしていた状態から,いよいよ問題を引き起こしてしまったのでしょう。

 回路を1つ1つ見ていくのも面倒で,こういう場合の最後の作戦が丸ごと洗浄です。純水は手に入らないので,ここはIPAを使って洗浄を試みました。口の部分を切り取ったペットボトルにIPAを入れ,基板をつけ込みます。1時間ほどつけ込んで見ると,透明だったIPAがヘドロのような色に変わっていました。

 これで試してみますが,やはり問題は解決しません。1次側の15Vは2.5Aという強烈な電流が流れています。そして焦げ臭い臭いが・・・

 よく調べてみると,コイルの1つが発熱しているのがわかりました。このラインを追いかけるとDC-DCコンバータのトランスにダイオードを介して繋がっています。ダイオードの破損やパターンのショートを考えて調べましたが,どちらも問題なし。

 いろいろ調べてみましたがおかしな物は見つからず,もうあきらめようかと思った時に,最後のチェックとしてICを調べてみました。4端子の電源ICっぽいものの端子をテスターであたってみると,1ピンと2ピンがショートしていることがわかりました。

 ICを取り外して再度調べてみたところ,パターンではなくICそのもののショートであることが判明,早速このICの型番を調べてみたところ,松下のAN6535という負電源用の可変レギュレータであることがわかりました。

 幸運にも見つかったデータシートによると,1ピンはコモン,2ピンは入力ということで,ここがショートしていてはそりゃー発熱もします。えらいことになるところでした。

 よく観察してみると,1ピンと2ピンの間にクラックがありました。電解液が染み込んだ製なのか,偶然ショートしたのかはわかりませんが,どちらにしてもここがショートして発熱ことは間違いなさそうです。

 このICを外した状態で通電してみると1次側の電流は600mA程度に落ち着き,焦げ臭い臭いもなくなりました。原因はこれで間違いなさそうです。(ちなみのこの時のAN6535への入力電圧は-70V近くあり,感電の期間があるとわかってからはビビりまくっていました。)

 しかし,原因がわかったところで交換の部品が手元にある訳ではないので,ダメモトで売っていそうな所を調べてみましたが,怪しげな中国のサイトでも引っかからないほど,見事に入手不可能な品種でした。これは絶望的です。

 今度こそ諦めようか,ああPC-386BookLよ,1年間ありがとうと思ったのですが,もう少し考えて見ることにします。

 AN6535のデータシートを見ていると,特に特別なスペックのICではなく,それこそ古典であるuA79MGそっくりです。ピン配置だけ微妙に入れ換えてあるところに変な意地を感じますが,それ以外はなにも変わったところはありません。

 なら,普通に負電圧のレギュレータでいいんじゃないかと閃いて,手持ちのLM337への置き換えと回路変更を思い立ちました。

 まず,AN6535の設定電圧を調べます。3ピンと4ピンの間の抵抗は18kΩ,4ピンとGNDの間の抵抗は半固定抵抗で3.1kΩでした。データシートの計算式から計算すると出力電圧は-20.225Vと出てきます。約-20Vに設定されているようです。

 なら,LM337で-20Vを出すように考えると,出力とADJの間は手持ちの関係で100Ω,ADJとGNDの間は1.5KΩで大体-20V程度です。これを基板の改造なしに取り付けるためには,LM337の1ピンと3ピンの間に100Ωをハンダ付けし,ADJ端子に1.5kΩを取り付けて,他の端子と長さを揃えて基板に取り付けるのが良さそうです。

 しかしここでもう1つ心配な事が。このICの入力電圧は先程実測で-70Vもありました。しかしこのICも,AN6535も入力の耐圧はせいぜい-40V程度です。こんなの一発で吹き飛んで消し炭になってしまいます。

 ただ,スイッチングレギュレータは負荷を繋がないと安定した電圧が出てこない物なので,軽く負荷をかけてみると電圧が下がってくれることがわかりました。そもそも-70Vも出ていたら,ここに入っている電解コンデンサが爆発しますしね・・・あーこわいこわい。

 ということで,LM337を取り付けて通電します。すると出力は-20Vと期待通り,入力電圧は-23Vとこれもまずまずの電圧になっています。どうも上手く動いているような感じです。

 いよいよLCDを取り付けて動かして見ると,無事にLCDの表示が戻ってきました。修理成功です。今回ばかりは入手困難なICの破損でしたので,もう諦めるしかないと思っていましたが,同じような機能の部品を使って回路を作り直してやれば,修理出来るんですね,当たり前のことですが。

 これで組み立て直してしばらく動かしましたが問題なし。焦げ臭さも当然なくなりましたし,うれしいことに内部温度の上昇と共に漂ってくる電解液の臭いも随分消えてくれたので助かりました。

 これで一応PC-386BookLは復活しました。我ながらよくやるわ・・・
 
 さて,これでおしまいではありません。コンパクトフラッシュからの起動が出来ていません。とりあえず電源や断線をさっと確認し問題がないことがわかったら,バックアップしてあるイメージを書き戻してみました。

 するとちゃんと起動します。よかったです。

 ただ,ファイルが読めなくなってリセットが必要になったりする現象は以前にも増して増えていて,さすがに看過できないレベルになっていました。そこで以前試して認識しなかった128MBのコンパクトフラッシュを再度確かめたところ,どういう訳だか認識して起動もできるようになりました。

 ラッキーとばかりに,現在の256MBのコンパクトフラッシュからフロッピーディスク経由でデータをコピーして,128MBのコンパクトフラッシュで運用を試みます。しかし残念な事に,すべてのデータのコピーが終わり,再起動させるとマウスドライバの読み込みでフリーズします。

 ドライバを外せば動くのですがそれでもかなりの頻度でフリーズが発生します。これでは使いものになりません。

 そこで,256MBのコンパクトフラッシュに戻すことにしましたが,ここは不良セクタをはじくため,ローレベルフォーマットをかけてから書き戻しました。さらに,マウスドライバも外しておくと,これまでの不調が嘘のように,フリーズしなくなりました。

 これほど安心して使えるPC-386もいつぶりかなと思います。いやー,よかった。

 ということで,このお盆休みの実績の1つが突然壊れたPC-386BookLの修理でした。役に立たないことに心血を注いで,九死に一生を得て復活したことはうれしいのですが,これを他の人に理解してもらえないことがやや残念なところです。

 お盆休みの実績は,まだあります。続きは後日。

P6201を2つも手に入れた

 さて,先日アクティブプローブのP6201を手に入れた話を,結局2465Aのメンテを行いことになったと言う形で書きましたが,今回はその続きです。

 10:1や100:1のアッテネータがないために実用的に使えないじゃないかという話はあるものの,とりあえず調整をやってみることにしました。うまく調整ができれば壊れていないという証にもなりますし。

 P6201はプローブですから,調整は不可欠です。ただちょっと面倒なのでやってない人も多いでしょう。ということでマニュアルを見ながら調整を進める事にするわけですが,高速な立ち上がりのパルスを発生させる機材もないし,1GHzの帯域を持つオシロスコープもありませんので,そこはもう自分の届く範囲でと言うことで割り切り他ありません。

 ところで,調整方法が書かれたマニュアル(サービスマニュアルではない)は新旧2種類があるようで,わかりやすさで言えば旧,確実性で言えば新ということになりそうです。今回は新マニュアルで進めます。

(1)まずは分解です。ネジを外して,上下のケースを外します。まるで三枚おろしのようになると思いますが,この状態でオシロスコープに接続します。もちろん電源も繋いで下さい。
そうそう,電源ラインに入った抵抗がかなり熱くなるので注意。

(2)まずはスイッチ類の設定です。50ΩTERMはINT,DC OFFSETはOFF,COUPLINGはDCに設定します。

(3)ではオフセットから調整します。オシロスコープの入力を1MΩのDC,最小レンジに設定し,この時輝線が0VになるようにR250を調整します。R250はDC OFFSETのスイッチがある面の端っこにあり「OUTPUT ZERO」と書かれています。

(4)次にバイアスの調整です。Q300というトランジスタ(マイクロディスク型とは珍しい)のベースとGNDの間の電圧をテスターで測定し,-3.3V±25mVになるようR230を調整します。Q300は先程のR250とは反対の面にあり,R230はR250と同じ面にあり「BIAS ADJ」と書かれています。

(5)実はこの2つの調整は温度変化に弱いので,上下のケースを仮組みして20分放置し,再調整を行います。

(6)高周波のゲインを調整します。ファンクションジェネレータで10kHzの方形波を作り,プローブに入力します。オシロスコープは0.2ms/div,50mV/divに設定しておき,波高値が5divになるようにファンクションジェネレータを調整します。

(7)出てきた方形波が綺麗な方形波になるよう,R370を調整します。R370はQ300同じ面にあり「H.F. GAIN」と書かれています。

(8)設定などはなにも変えず,今度はC220というトリマコンデンサを,方形波が綺麗に表示されるように調整します。これは高周波のクロスオーバー位相調整というらしいのですが,よくわかりません。とりあえずC220はDC OFFSETのスイッチと同じ面にあります。

(9)もしアッテネータがあれば,アッテネータを取り付けて,アッテネータの横についているトリマコンデンサを調整して方形波が綺麗に出るようにします。


 たったこれだけです。オフセットをゼロにすること,内部のトランジスタのバイアスを調整すること,そしていつもの方形波が綺麗に表示されるように2ヶ所同時に調整すること,だけです。

 実は,プローブ内部の調整もあるのですが,ここはそれほど狂わないだろと言うことと,壊してしまうかもしれないのでやめておくことにしました。

 また,低周波のゲインや50Ω終端抵抗もチェック対象なのですが,ここはチェックをするだけで調整出来ないので,結局意味がないということでキャンセルしました。一応見ておいた方が壊れていない証明になって安心出来るとは思います。


 さてさて,こうしてP6201の調整が終わり,ちゃんと観測出来ることが分かったので,いよいよ本気でアッテネータを手に入れる必要が出てきました。

 しかし,P6201の付属品ですし,これだけ手に入れるのは難しそうです。どうしたものかと考え込んでいると,耳寄りな情報が!

 とある中古測定器の業者さんが,無保証のジャンクとしてP6201を3000円ほどで売っているのを見つけました。プロの業者さんがジャンクで3000円ですから間違いなく壊れている(それもどうしようもないほどに)のは当たり前としても,付属品が一式揃っているというのが目を引きます。

 そう,ケースこそないんですが,それ以外の付属品は揃っているんです。アッテネータが壊れているという可能性は低いだろうし,仮に壊れていてもこれくらいなら直せそうです。

 こういうのは売り切れている場合が多いんですが,幸いにして在庫ありとのこと。すぐに購入して手に入れました。

 届いたP6201は思った以上に程度が良く,付属品も問題はありません。まずアッテネータのチェックをすると全く問題なしです。いやー,これですでに3000円の元は取ったなあ。

 次にP6201本体のチェックですが,実はこちらも問題はなさそうでした。調整も出来ましたし,先に手に入れたP6201と比較するために同時に同じ信号を測定して波形を重ねてみましたが,ぴったり重なりました。故障もなければ,特性のばらつきも(私の見える範囲では)小さくまとまっていそうです。

 ということで,結果的にアクティブプローブが2本も手に入ってしまいました。アッテネータが1つしかないのは残念ですが,1:100のものを上手く使えばなんとかなる場合も多いでしょう。水晶発振や高速クロック,バスの信号波形の確認に威力を発揮しそうです。


 ・・・こうなってくると,いちいち2465Aの電源を入れるのが面倒ですよね。1101Aという電源ユニットが未だに人気なのはP6201を現在のオシロスコープで需要があるからですが,その1101Aも決して安いわけでも,数が出ているわけでもありません。

 そこで世界中のマニアが自作を考えるわけです。±15Vでせいぜい500mA程度の綺麗な電源を出す電源器があればそれでOKなので自作の難易度は低いのですが,なかでも最高難度のものが,あの電源コネクタの入手です。

 古い2400シリーズから取り外す人,保守パーツを探し出して手配する人などいろいろいるようですが,どちらにしても簡単ではありません。

 私も1101A相当品を作ろうと思っているのですが,やはり難しいのは電源コネクタの入手です。

 ん,そういえば部品取りにと2445を1つ押し入れに入れてあったなあ。これから取り外してみますか・・・必ずしもついているとは限りませんが。

 

2465Aのプチメンテ

 計測器関連で,あると便利かなと思うようなものは,もうないかも知れないと思っていた矢先,ふとしたことからアクティブプローブの故障品を入手しました。テクトロニクスのP6201というものです。

 オシロスコープが誰でも買えてしまう測定器になって久しいですが,だからといってプロとアマチュアの間の差が縮まったかと言えばそんなことはなく,そこに横たわる最も大きな差はおそらくプロービングでしょう。

 最近は最初のオシロスコープが新品だったという人が増えたこともあり,付属してくる1:10プローブを無意識のうちに使うようになってきていると思いますが,残念な事にここ止まりなのがアマチュアだと言い切ってしまいましょう。

 パッシブプローブは安価ですし,使い勝手も良い上,万能選手ですのでこれで不満が出ることは少ないと思いますが,これで不満が出始めるともうプロ級です。検討する回路の範囲が広がって行くに従って欲しくなるプローブは自ずと特殊性が高くなるわけで,その代表格が電流プローブとアクティブプローブでしょう。

 電流プローブはその名の通り電流を測定するプローブで,電流の波形が見たいとき,例えばスイッチング電源のコイルに流れる電流の波形を見たい時にはこれがないとお手上げです。

 一方のアクティブプローブはFETプローブとも言われていて,プローブの入力部がFETで受ける様になっているものです。パッシブプローブと違って測定対象から見た負荷がFETだけになりますから,回路に与える影響が小さく出来ます。(その代わり電源が必要になります)

 通常のパッシブプローブだと入力容量は10pF程度になりますが,アクティブプローブ(P6201)だとわずか3pF,1:10のアッテネータを用いると1.5pFになります。

 水晶発振子が発振しているかを確認しようとして,プローブを当てたら発振が止まったり,逆に発振していないんじゃないかと思った水晶発振子がプローブを当てると発振したりと,10pFで結果が大きく変わるような回路の測定が上手くいかなかった経験のお持ちの方もいると思います。

 あるいは100MHzを越えるようなデジタル信号の波形を見ようとして,パッシブプローブを当てたら回路そのものが動かなくなってしまったりとか,そういうことも思い当たるかもしれません。

 これ,いずれも10pFという容量が悪さをしています。水晶発振についてはこの容量のせいで発振が止まらずとも,周波数がズレてしまうものですので,パッシブプローブではもうお手上げなのです。

 そこでアクティブプローブです。かつてはこうした用途での測定に用いられる特殊なプローブという扱いでしたが,1GHzを越えるような高速オシロスコープでは,標準搭載されることも普通になってきました。

 で,P6201というアクティブプローブは,名門テクトロニクスのプローブの1つで,1970年代初期に発売になって,1990年頃まで現役だったロングセラーです。900MHzまで使える帯域の広さ,汎用性と安定した性能から,国産のスペアナなどの測定器も,P6201を使う事が前提になっていたほどです。

 電源はオシロスコープ本体から供給される仕組みですが,別売りの外部電源を用いれば現在でも十分に使えるもので,古き良きアナログ全盛のテクトロニクスの商品にあって,現在でもなかなかの人気商品だったりします。

 私も過去に何度か仕事でアクティブプローブの世話になり,その都度「いいなあ」と思ってはいたのですが,高価ですし個人で持つにはしんどいなと,今まで入手を考える事すらしてきませんでした。

 しかし,今回ふとしたことから入手し,俄然興味がわいてきたというわけです。

 P6201を動かすには,まず電源です。幸い私のアナログオシロ,2465Aにはオプション11というプローブ用の電源コネクタが用意されているので,とりあえず電源はここから確保です。

 電源ON,しかし残念な事にP6201はまったく動きませんでした。もともと故障品という事でもらったものですので期待していなかったのですが,入力部のFETが死んでいるくらいだろうと思っていたので,これほどうんともすんと言わないとは,思っていませんでした。

 P6201は,実は高周波と低周波で内部の信号経路が違います。高周波ではMMBF4416というRF用のJ-FETに入るのですが,低周波ではLM308AというOP-AMPに入ります。それぞれの出力は最終段のドライバで上手く合成されるようで,経路には切り替えスイッチなどはありません。面白い回路です。すばらしい。

 で,問題はこのJ-FETで,過大入力があったりすると,割に簡単に壊れるそうです。静電気もそうですし,GNDのミノムシクリップが外れたりするとGNDから浮いた信号で壊れたりすることもあるそうです。

  FETが壊れてもOP-AMPは壊れていませんから,100kHzくらいの周波数だと問題なく動いてしまい,FETの破損に気が付かないそうです。

 私はこのJ-FETの破損を予想していたのですが,1kHzでも全く波形が出てきません。これはかなり厳しい故障です。

 まず手始めに電源電圧を見てみました。すると,+15Vと-15Vが供給されるべきラインの電圧が,それぞれ+15Vと+5.5Vとなっています。あきらかにおかしいです。

 電源電圧ですので,これは2465A側の問題かもしれません。そういえば,10年前(もう10年もたってしまいました・・・)の大レストアの時に,プローブ用電源のコネクタの接続に迷ったことを思い出しました。

 気なってしまうと,もう確認をしないわけにはいきません。

 早速2465Aを分解して確認です。しかし,間違いはなさそうです。

 おかしい。

 ここから2465Aや別売りの電源ユニットである1101A,もちろんP6201についても調べてみることに時間を費やしました。すると,今回の件には関係ないのですが,2465Aには電源ブロックに持病があり,部品の交換が定番になっているという情報を得ました。

 なるほどと思ったのは,それが俗にXコンデンサと呼ばれる,ACラインにまたがって入る,ノイズ対策用のコンデンサの焼損だったからです。

 ACに入るコンデンサですので使用中はずっと高圧がかかり続けますし,万が一ショートでもすれば発煙発火騒ぎになります。以前AppleIIが煙を出しましたが,あの時も原因はこのXコンデンサのショートでした。

 この時代のアメリカ製のMPコンデンサ(メタライズドフィルムコンデンサ)は結構破損し,しかも故障モードがショートになるものが多く,壊れる前に交換するのがお約束になっています。

 2465Aも壊れやすいメーカーのコンデンサが使われているそうで,これを交換しないと安心出来ません。そこで取り急ぎ交換することにしました。

 あいにく,0.068uFという元の容量のXコンデンサに使えるような部品は手持ちがなく,定番の0.1uFを使うことにしたのですが,ここは測定器の性能に影響は与えませんし,むしろ容量が大きいくらいが都合が良かったりするので,これに交換します。Yコンデンサについても0.01uFだけは,手持ちの0.022uFに交換しておく事にします。

 しかし,2465Aってこんなに分解にしにくかったかなあ。10年前はサクサクと分解した記憶があるんですが,今回はえらく手こずりました。

 交換後は当たり前ですが問題なく動作。ついでにSRAMバックアップのリチウム電池の電圧も確認すると,3.3Vとまだまだ十分です。

 さて,本来の目的だったプローブ電源なんですが・・・

 改めてP6201を繋いでみたら,なんと+15Vと-15Vが来ているじゃありませんか。波形もそれっぽいものが出てきているようです。うーん,コネクタの接触不良ですかね。

 ということで,P6201はこれから本格的に故障診断と修理,そして調整をすることになります。そしてその前に2465Aの延命処置が終わって,一安心というところです。

 P6201が動き出したら,外部電源を作って他のオシロスコープでも使えるようになったら便利です。特にTDS3054Bで使えるとメリットがあります。

 その前に,実は手に入れたP6201には付属品が一切なくて,1:10や1:100のアッテネータがありません。特に1:10のアッテネータがないのは致命的で,これをどうするかも実は大きな課題だったりします。

 どうするかなあ。

 

 

CE-150互換機の製作は失敗に終わる


 PC-1500はなかなか個性的なマシンで,ビジネスで使うことを想定した本格的なマシンですから,当然カナの表示や入力,印刷も可能になっています。

 しかし,標準ではダメというのがまず謎。そして別売りのオプションもROMとカセットと2つ用意されていることがなかなか興味深いです。

 後者はカナテープと呼ばれていて,約2kBのマシン語を読み込むと,以後はカナが使えるようになるというものです。なんでカナにそんなにメモリがいるのかとか,そもそもROMに焼いておくべきだろうとか,今なら当然思うのですが,PC-1500ならではの事情があったのだと思います。

 思うに,カナのビットマップデータだけではなく,プロッタプリンタのベクトルデータも持つ必要があり,それでデータ量が大きくなったのではないかと。そしてそのデータをROMに置くのは容量が足りず,ROMカートリッジかテープによる供給かを選ばざるを得なかったんじゃないかと思います。

 さて,私のPC-1500はメモリがフル実装されています。そうなるとカナが使えるようになるといいなと思う訳で,しかしカナテープは入手困難ですし,そもそもカセットインターフェースを持っていません。ROMカートリッジはRAM増設の関係で使えなくなっています。

 カナテープは某所にWAVファイルが落ちていたのでなんとかなったのですが,カセットインターフェースが最大の問題です。PC-1200シリーズのように簡単に自作出来ればいいんですが,PC-1500はそれが出来ないのです。

 PC-1500は,60ピンの拡張スロットがCPUのバスそのものです。ここにオプションを取り付ける時に,同時にROMもぶら下げて,サポート用のソフトを一緒に供給する仕組みを持っています。

 カセットインターフェースはプリンタのCE-150と同時に提供されるのですが,CE-150に内蔵されたROMがないと,CLOADやCSAVEといったカセット関係のコマンドが使えないのです。(ハードウェアは本体側のPIOが担っています)

 ということで,壊れやすくて利用価値もそんなにないプリンタを避けてきた私も,ここへ来てもう一度CE-150を手に入れる必要が生じたのでした。

 もう一度と書いたのは,かつてCE-150を手に入れたことがあったからです。この時はCE-150に入っていたPIOをあてにして入手したため,電池の液漏れで復活出来ないほどに壊れたCE-150はさっさと捨ててしまいましたが,まさかこんな形で必要になると思いませんでした。(ちなみに当時のCE-150には壊れたPC-1500もついてきたのですが,綺麗だったLCDが交換されたあと,修理して動くようになっていましたが,先日みると壊れていました。キーが入力出来なくなっていました・・・)

 今回はプリンタがダメでもカセットインターフェースを目的にしているので,なんとしても修理したいと思って,とにかくジャンクを手に入れて見たのですが,これが想像を超える状態のひどさで,もうとにかく手の下しようがないという状態でした。

 Ni-Cd電池の液漏れが強烈で,基板も無数にパターンが切れていますし,ICの足も真っ青に錆びています。一番厳しいのは基板と本体を繋ぐフレキで,これが腐食していたり,基板から剥がれたりしていて手の施しようもありません。

 ちょっとだけ修理を試みましたが,とにかく破損箇所が多くて追いつかず,回路図を見ながら基板の修復を行う手間を考えたら,もういっそのこと作り直した方が早いいうことになっていて,基板からROMとPIOを移植してカセットインターフェースをどうやって作ろうかと思案している状態です。

 ここのところレトロゲームやレトロPCの値段が上がっていて,気軽に楽しめるような感じではなくなってきました。CE-150はもともと生存率が低いですし,不人気だった時代が嘘のように値段も上がっていますので,悩ましいところです。

 てなわけで,CE-150からROMとPIO,そして60品ピンコネクタを摘出し,カセットインターフェースの機能だけを持つ新しい基板を起こし,組み立ててみたのです。

 実際に回路図を書いて基板を作って見ると分かるのですが,後悔されているCE-150の回路図というのが結構間違いが多く,信号名が違っていたり,誤字があったりと,これもまた一筋縄ではいきません。

 加えて特殊なLSIにあわせたマクロ(フットプリント)も自分で作る必要があったりして大変ではありましたが,万能基板を使って手配栓をするよりはずっと楽だと思います。

 今回はJLCPCBさんに発注しました。評判通り爆速で爆安。万能基板よりも安いくらいです。

 ワクワクして組み立てて見ますが,全然動きません。それどころか暴走します。PIOが死んでいるかも知れないと生きているPIOに交換すると暴走することはなくなりましたが,やはりカセット関係の命令が有効になりません。

 ROMのアドレスを読み出してみても正しい値が読み出せず,これはもうROMが死んでいるという結論になってしまいました。(もちん回路のミスで読めていない可能性もあるのですが,今ある資料と実際の波形から,最善を尽くした回路です)

 ROMのイメージも実は入手出来たので,これをEPROMに焼いて試すことも考えたのですが,もうそこまでする気力もなく,あきらめました。もともとカナテープを読み込んで,かなが扱えるようになることが目的でしたからね・・・

 そこでアプローチを変えます。

 某所にて,PC-1500にシリアルポートを介してPCと通信を行う方法が紹介されていました。PC-1500側に短いローダとセーバをあらかじめ手で打ち込んでおく必要があるのですが,逸れさえ済んでしまえば高速でPCとの送受信が可能です。

 問題は,このローダとセーバのアドレスが,カナテープとぶつかってしまうこと。ならよければいいじゃないかと考えたのですが,カナテープのバイナリが実はリロケータブルであることを知るのはずっと後で,この時は別のアドレスにロードしてから転送する方法を考えていました。

 入手が難しい60ピンコネクタは手元にありますし,今や失敗作となった基板も流用出来そうです。この基板をちょっと改造して,USB-シリアル変換基板からの配線と取り付けて,PC-1500とPCの間の通信が出来るようにしました。

 結果は上々で,カセットなんかもう使えないと思うほど快適です。

 ただ,問題はこのローダ/セーバがどういう動きをしているのかわっぱりわからないことです。そこでハンド逆アセンブルし,初めてのLH5801のニーモニックを読んでみました。

 やってることは割に単純で,BASICのテキストエリアのRAMを,そのままバイナリとして転送しているだけのようです。ならば,スタートアドレスを書き換えてやれば,任意のアドレスにバイナリをロード出来そうです。

 ということで,試行錯誤の末,カナテープのロードの成功しました。

 詳しい手順は次回。

スタンバイ電流が極端に多いPC-1251

 私が所有するPC-1251のうち,最後に入手した,最も程度の悪い(ゆえに常用機)の電池が切れてしまいました。

 まあ,電池が切れることそのものは普通の事なのですが,その電池の減りが随分早いのです。修理してまだ2ヶ月ほど,その間ほとんど使っていないわけで,それでこれだけ早く電池が切れてしまうと,1年間に6回も電池を交換しなければならなくなります。

 これはおかしいと調べてみると,スタンバイ電流がやっぱり120uAと大きな値を示しています。正常なPC-1251は大体20uAから多くても30uAくらいですから,これはやはり多すぎます。

 動作そのものに問題はないので,どこかにリークしているのでしょう。これはなかなか厄介です。

 ちょっと難しい修理になるだろうと思いつつ分解します。目処を立てたのは,LCD周りです。このPC-1251は,付けっぱなしになっていたCE-125のNi-Cd電池の液漏れと,ケースからの謎の液体の染み出し(おそらく可塑剤)によって「汁まみれ」になっていて,かなり基板にも被害が出ていた個体です。LCDも水没に近い状態になっていて,基板の金メッキも剥がれていました。LCDを交換した時もなかなか上手く表示が出てこず,散々苦労した覚えがあります。 

 圧電ブザーを外して分解,この段階でスタンバイ電流は少し減って60uAから80uA程度。続けてLCDを取り外し,導電ゴムを交換します。古いものは粘り気が出ていて,もしかしたら絶縁不良からリークが出ているかも知れないと思ったからです。しかし結果はNG。交換してもスタンバイ電流は減りません。しかもまた表示不良です。いやー,困った。
 
 導電ゴムはこのままオリジナルを使うこととし,今度はLCDとベゼルを固定する両面テープの厚みを稼ぐために,テープを貼ることにしました。両面テープは剥がしてあるので,その分だけ厚みが減っています。なので,よく似た厚さのテープを貼って厚みを調整するわけです。

 もともと基板は薄く,しかもベークの安い両面基板です。ここに液体が染み込んでいるので厚紙みたいにふにゃふにゃになっていますから,ベゼルを無理に固定すると,基板がたわんで端子が浮いてしまいます。

 なんどか調整を行って取り付け完了。一応表示は出るようになりました。(後述しますが,時間が経過すると表示が乱れたりする問題が後になって出てきました。)

 さて,スタンバイ電流が多い理由はLCDではなかったわけで,ここからがリーク探しの旅になります。次に疑ったのは基板の不良です。電解液によるレアショートが原因になることが多いので,まずは目視です。しかし,見た限り金メッキの腐食箇所も大丈夫そうです。

 さらにチェックを進めます。テスターで手当たり次第に抵抗値を見ていきます。ここで1MΩ以下になっている箇所が見つかったら,回路図と照合してその値が正しいかどうかを確認していきます。すると,拡張コネクタの隣り合う端子の両端の抵抗が1MΩ以下になっている箇所が見つかりました。

 コネクタの外観は問題ないのですが,実はこのコネクタには液体が染み込んでいて,CE-150側のコネクタはレアショートしていて,プリンタが動かなくなっていました。本体側のコネクタも内部でショートしているのではかいかと思います。

 そこでコネクタを基板から取り外して再度抵抗値を測定,やはり1MΩ以下になっています。IPAにつけ込んで揺すると,青いサビがポロポロと出てきました。コイツが端子間をショートさせていたんでしょう。

 洗浄後に抵抗値を測定すると,600MΩ以上。これで絶縁は保たれました。このコネクタを外した状態で本体のスタンバイ電流を測定すると40uAから60uAくらいで,少し減っています。これが原因だったことは間違いなさそうです。

 これで組み上げて再度測定したところ,なぜか80uAから100uAに増えていました。スタンバイ電流は不安定なのでこれくらいは増えるかもなあと思ったのですが,冷静に考えると100uAならやはり数ヶ月しか電池が持ちません。他の個体が20uAから30uAですので,まだどこかおかしいはずです。

 そして問題がまだ2つあります。10分ほどすると表示がおかしくなる問題と,メモリが化けるもんです。短いプログラムは問題ないのですが,大きなプログラム,特にマシン語をロードすると暴走します。

前者はベゼルのカシメを少しずつ緩めてなんとか解決しました。2つ目はメモリ基板とメイン基板を繋ぐ導電ゴムを面倒くさがらずにその都度アルコールで拭くことと,内部のフレームをきちんと取り付け,かつ圧電ブザーの配線を上手く取り回して,部品で挟んでしまわないようにすることで,メモリ基板を浮かないように取り付けることで,なんとか解決しました。これ,なかなか大変です。

 ROMのアドレスと低位のRAMアドレスがきちんと繋がっていれば,とりあえずマシンは起動します。しかし,高位のアドレスへのアクセスが発生すると暴走するわけですから,とりあえず起動しました,ではダメなのです。

 メモリ基板の取り付け方でもスタンバイ電流が変わります。メモリのエラーが出るときは多めですし,上手く取り付けられた時などは20uA程度まで下げる事が出来たりしますが,こういう時はメモリエラーは出ません。アドレスが浮いたりするんでしょう。

 スタンバイ電流が30uAくらいになってきたので,いよいよ本格的に組み上げます。しかし,最終チェックで60uAから80uAに戻ります。一晩経つと100uAを越えているので,絶望的な気分になりました。

 スタンバイ電流が増えたときの差分を冷静に考えると,圧電ブザーを取り付けたのが差になっています。もしやと思い,圧電ブザーを付けたり外したりすると,やはりスタンバイ電流が大きく変わります。

 さらに元々の圧電ブザーの直流抵抗を測定すると,数百キロΩと異常に低い値です。正常なものは無限大でなければなりません。

 たぶんこれが原因です。新品の圧電ブザーに交換するとスタンバイ電流は20uA程度になりました。この後,メモリチェックも完了,ようやく修理が完了しました。

 結果として,リークはコネクタのレアショートと,圧電ブザーの不良でした。基板やLCDには問題がなかったということになります。どちらも単純な構造の部品ですし,寿命はないようなもので,壊れてしまうことも想像しなければ,壊れた後に何が起こるかは,接触不良や音が出ない程度の想像はできても,スタンバイ電流が増えるという事まで想像出来る人は少ないでしょう。そもそも圧電ブザーって壊れるんですねぇ。

 今回も苦労しました。液漏れが本体のあらゆる箇所を蝕むという,恐ろしい病気のような元凶になっていることをまざまざを見せつけられました。多くのポケコンがこうした深刻な事情で故障しているkとをを考えると,修理など一筋縄ではいかず,結局修理出来ていないまま使われているものや市場に流れているものも多いのではないでしょうか。

 世の中には,ジャンクのポケコンを修理して売って小遣い稼ぎをする人がいるようですが,彼らがここまできちんと見ているとは思えませんし,仮に見ていたとしても修理出来るだけのスキルを多くの人が持っているとも思えません。

 もし,ポケコンが欲しいなら,やっぱり自分で修理出来るだけの技術を持つことが重要だなあと思いました。

 

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