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今どきのアイロンの修理

  • 2015/08/19 15:02
  • カテゴリー:make:

 大人の夏休みがどんどん短くなっていくなあと,今年も思ってしまった夏休みですが,短いなら短いなりに密度を上げようと考えるのが大人で,この夏休みも私はなかなかいい仕事をしました。

 ネタは4つありますので,4日に分けて書くことにします。

 最初は,アイロンの修理です。

 2011年に買ったアイロンは,パナソニックのNI-WL600という機種で,前と後ろの両方が尖っている,ダブルヘッドアイロンというタイプの第一弾モデルです。それまでのアイロンと全く違った形状から,本当に使いやすいものでない限り,一発屋で終わってしまうだろうなあと思っていたら,今年も主力商品として後継機種が出ているようです。

 実際,このアイロンは使いやすく,慣れてくればますます効率よくアイロンがけが出来るようになります。うちはどうしたことか,嫁さんがアイロンがけが好きだという人なので,最近は嫁さんに任せることが増えましたが,たまにかけると自分もアイロンがけが上手になったと錯覚することがあります。

 先日,久々に自分でアイロンがけをすることになったのですが,どうもアイロンの具合が良くないのです。温度設定用のLEDが薄暗く,スイッチを入れてもカチカチ音がして温度が上がりません。

 何度かいじっているうちに温度が上がったのでそのままアイロンがけをしましたが,後日嫁さんが,とうとう「こわれた」と言い出しました。

 嫁さんはものを壊す名人なので,この故障もきっと自分のせいだろうと落ち込んでいたようなのですが,購入後4年もすれば壊れてもおかしくはないわけですし,今のアイロンは昔のアイロンと違って,華奢になっていますから仕方がないところでしょう。

 とはいえ,それなりに高価だったアイロンですので,やはりここは修理を試みるのが,エンジニアの矜恃です。

 そういえば,40年ほど前の技術家庭科の教科書なんかには,アイロンの構造とか点検方法がのってました。中学生でこういうことを勉強したというのもびっくりですが,当時のアイロンは温度で伸びる率が異なる2枚の金属を貼り合わせた「バイメタル」によって,ヒーターをON/OFFして温度調整を行うという原始的な方法でしたし,動きも故障も目で見て分かるものですから,診断も修理もたやすいでしょう。

 ですが,ボタンで温度を設定するアイロンの内部構造をみたことは,そういえば一度もないことに気が付いて,こりゃ手探りになるなあと覚悟したのでした。

 冷静に考えてみると,このアイロンはボタンで温度設定を行いますから,おそらくマイコン内蔵です。コードレスアイロンでもありますので,スタンドから離れている間(つまりアイロンがけ作業が行われている間)は,電源供給が断たれています。

 でも,スイッチの状態がリセットされることはなく,スタンドに戻せば設定した温度のLEDがきちんと転倒しているのですから,状態の記憶が行われているはずですし,そのためにバックアップ電源が内蔵されているか,あるいは不揮発メモリが使用されているか,いずれかという事になります。

 アイロンの本体は高温になりますので,電池などを内蔵する場所はちょっと難しいです。一番温度が上がらない場所に仕込むのですが,それはおそらく取っ手の部分です。この窮屈な場所に,熱に弱い部品をすべて仕込むのは,結構大変でしょう。

 と,ここまで考えていざ分解です。

 最初に,スタンドと本体の接点を磨きました。メッキを剥がしてしまうとまずいので,3Mから出ている回転式のクリーナーをリューターに取り付けて,磨きます。ピカピカになったところで動作チェックをしますが,状況は変わりません。

 スタンドを先に分解し,テスターで断線などを確認しますが,こちらも委譲はなし。こうなると本体の問題です。

 本体を分解しますが,ボタンのシートで隠れたネジが1つあり,そのためにシートを剥がさねばなりませんでした。すべてのネジが外れて,はれて中身を見ることが出来ました。

 マイコンやボタンは片面の基板にのっており,これが取っ手の中に納まっています。スタンドとの接点から直接基板に繋がっているので,この基板でAC100VをDC5V程度に変換して使っているのでしょう。ただし,トランスでの絶縁はされていないので,このマイコンの端子にさわると,感電するかも知れません。こわいこわい。

 基板に2ピンのコネクタが出ており,これがヒーターのあるベース部分に繋がっています。よく見るとガラスシールされたダイオードのような部品に繋がっています。これがどうやら温度センサのようです。

 私は今どきのアイロンの回路図を見たことがなく,この温度センサがどんなものか,まったくわかりません。200度以上の温度を測るセンサですから,半導体ではないと思いますが,かといって熱電対のような微弱な出力では扱いづらいですから,なにか便利な他のものだろうと調べてみると,なるほど,こういう用途に作られたサーミスターがあるんですね。250度くらいまでなら動いてくれるもので,形状もそっくりです。

 ただ,そこはサーミスターですから,初期値も温度に対する抵抗値の変化もたくさんの種類があります。このサーミスターがどんなものか分からない限りは,好感は出来ません。

 とりあえず,このコネクタを外し,サーミスターが繋がっていない状態で電源を入れてみます。結果は,全く変化無し。LEDは薄暗く,カチカチとリレーの音がして,しばらくすると電源OFFのLEDが点滅します。ということは,サーミスターの断線の可能性があります。

 ああ,サーミスターの不良なら交換出来ないし,残念だけどここであきらめて捨てるしかないなあと思ったわけですが,一応抵抗値を測定しておこうとテスターで測定したところ,最初は200kΩ以上あった値が,指で触ったりアイロンの温度がちょっと上がったりすると,抵抗値が大幅に小さくなることがわかりました。

 これはおそらく,このサーミスターは生きています。生きている確証はありませんが,死んでいると決めつけるには惜しい挙動なので,このまま修理を続行です。

 次に確認したのは,ハンダのクラックです。無鉛ハンダは脆く,温度が高い場所で使うと案外ひび割れたりするものなのですが,そういうものをいちいちみるのも大変なので,怪しい部分はとにかくハンダを付け直します。

 後日書きますが,前日に購入した実体顕微鏡が早速役に立ちました。

 ハンダ面は絶縁のためか,シリコーンが塗られて固められており,これを剥がしての作業になりますが,作業後の確認では,やはり改善せず,まったく同じ挙動です。原因はこれではなかったようです。

 気を落とさずに,次は電解コンデンサの確認です。電解コンデンサは名前の通りケミカルなものですので,温度が10度上がると寿命が半分になります。取っ手の温度はちょっと熱いと思うくらいになっていますから,内部の温度はそれなりに上がっているでしょう。

仮に25度で3000時間使えるなら,45度なら700時間ほどになります。5日で1時間とすれば3500日であり,およそ10年で必ずダメになります。

 それくらい脆い部品ですが,これも工業製品故に当たり外れがあり,すぐに壊れるものもいれば,案外長持ちする奴もいて,どっちにしても電解コンデンサは電子部品の中でも良く壊れる部品の1つだと思っておいた方がいいです。

 基板には,3つの電解コンデンサがあります。47uFの35V,47uFの50V,そして1000uFの6.3Vです。3つしかありませんので,取り外して容量を確認してみることにします。

 最初の47uF-35Vは,35uFくらいに容量が減っていましたが,一応機能している様子です。劣化が進んでいるので交換しなければなりませんが,交換しても直ることはないでしょう。

 次に1000uFを調べます。800uFくらいに減っています。これも原因ではないようです。最後に47uF-50Vですが,容量計の値をみて目が点になりました。1800nFです。ほとんど容量が抜けています。何度計っても結果は同じです。

 これだけ劣化していると,これが原因で故障している可能性が高いです。交換してみる価値はあります。在庫を調べると,あいにく47uFの50Vは,オーディオ用のFineGoldしかありません。アイロンに金色のオーディオ用というのももったいないですが,仕方がありません。

 交換して試して見ると,おお,LEDはしっかり点灯し,リレーがカチカチいうこともなくなりました。ちゃんと温度が上がり,規定の温度になったらヒーターが切れるようになりました。動作は正常です。やったー,直りました。

 これは推測ですが,この電解コンデンサは,電源の平滑用だったんじゃないでしょうか。5Vか3Vか,そこらへんの直流を作るのに,ダイオードで半波整流し,これを平滑するものだと考えると,この電解コンデンサの容量が抜けて,電源が脈流になってしまい,これがマイコンに供給されたことで,マイコンの動作電圧以下になって誤動作をしていたということでしょう。

 LEDが薄暗くなりちらついたのは電源が50Hzで0V付近まで下がり,しかも半波整流だと半周期はずっと0Vですから,この間マイコンは動作せず,LEDも薄暗くなったのだと思います。

 他のコンデンサ,1000uFはおそらくスタンドから本体を外したときの短時間の記憶用のバックアップ電源でしょう。これが800uFくらいになっても,大した問題は出ません。あいにく交換用の在庫がないので,このまま使う事にします。

 もう1つの47uFが気になりますが,予防的に交換しておきます。

 これで動作を最後に確認し,問題がなさそうなので組み立てて,最終チェックをします。ちゃんと温度設定も出来るし,スチームもバンバン出ますので,これでよしとします。

 ちょっと遊び心が出てきてしまい,温度設定表示用のLEDの色を少し変えてみました。OFFが緑で,低中高は黄色,オレンジ,赤です。カラフルで面白くなっただろうと期待して組み立ててみましたが,案外つまらないのでがっかりしました。

 修理後の嫁さんの感想も上々で,これでアイロンは修理完了です。

 今どきのアイロンの構造など全然知らなかっただけに,いい勉強になりましたが,バイメタル方式のアイロンと違って,こうした電子部品を使うことが寿命を短くし,信頼性を下げてしまうのだなあと,つくづく思いました。

念願のKENWOODのFMチューナーをレストア

  • 2015/07/24 09:12
  • カテゴリー:make:

 今でこそFMラジオなんて見向きもされませんが,ステレオ放送が始まった1960年代以降,30年から40年くらいは,それはそれは貴重な音楽ソースでした。

 スイッチを入れておくだけで,その道のプロが選んだ曲を,解説やコメントと一緒にどんどん流してくれるFM放送は,当時高価だった音楽を無料で手に入れる機会だったと同時に,自分からは買うことがないだろうと思うような,様々なジャンルの音楽に触れる,お試しの場でもありました。

 ここから,どれだけの音楽を知り,聴く事になっただろうか・・・

 書いていて思ったのは,これと同じメリットを声高に,今のAppleMusicやAWAなどのサブスクリプション音楽サービスが,叫んでいることでしょうか。音楽との出会いに,詳しい人の力をあてにしているというのは,いつの時代も変わらないということです。

 で,1980年代は日本がバブル景気にわいた時代で,ものを作って並べれば,なんでも飛ぶように売れた時代でもあります。オーディオ機器もしかり。今だと考えつかないですが,FMラジオを超高級化してHi-Fiオーディオ機器とした「FMチューナー」が,各社から発売されていました。

 安いものはラジオの毛が生えた程度のもので2万円くらいから,超高級機だと20万円近いものまでピンキリだったのですが,高級機と呼ばれる5,6万円程度くらいのものを買えば,放送局側がしっかりしていれば,かなり良い音でFM放送が楽しめました。

 楽しめました,と過去形なのは,もうこうしたFM放送を音楽を愉しむ道具として新品を購入することはほぼ不可能だからです。特に評価の高かったケンウッドは完全撤退しています。

 ケンウッドはもともと通信機のメーカーですから,FMチューナーに得意なのはなんとなく分かっていましたが,高周波機器としてのチューナーの性能以上に,オーディオ性能が卓越していた事実を私は21世紀になってから知る事になります。

 1990年頃だったか,展示品が安く買えるという理由でパイオニアのF-757を買いましたが,これはそれなりの値段がした割に,回路構成も音も高級機とは言えず,後日がっかりするわけですが,そのころから「やっぱケンウッドのチューナー欲しいなあ」と思うようになりました。

 ある友人が,私の持っていたSGをあてにして,KT-3030を持ってきたのですが,どうも呼称しているらしく調整が追い込めません。それでもその端整なデザインと高級機にふさわしい回路構成に,私はすっかりクラクラしてしまい,ずっと手に入れる機会を狙っていました。

 ふとしたことから,KT-1100Dという,定評のある高級機の中古品が手に入ったのが2週間ほど前です。値段は1万円ほどですが,ちょっと高かったかなあと思います。

 傷あり汚れありで外観は程ほどですが,無改造の完動品ですし,うまく調整をして性能を追い込めたら1万円の価値はあると納得しました。なにより欲しかったケンウッド,欲しかったKT-1100Dです。

 さっと動作確認とデータ取りを行い,正常動作をしていることを確認します。そして,この時期のケンウッドに多いとされる,電解コンデンサのショートや容量抜けを警戒して,すべての電解コンデンサを交換します。

 大した価格差もありませんので,出来るだけ音響用として売られているものを使います。今回は秋月で買えるものという理由で,ニチコンのFineGoldを使いました。バイポーラについてはこれも秋月で買えるMUSEですが,FineGoldで揃えられなかった容量も,このMUSEを使う事にしました。

 また,1uFや0.33uFや0.22uFなど,フィルムコンデンサが使えるところはあえて電解コンデンサから変更しました。

 もう1つ大事な交換作業として,半固定抵抗があります。友人のKT-3030もそうだったのですが,プラスチックの部分が割れていて,値が不安定になることがありました。こういうものは言うまでもありませんが,正常なものであっても,調整のしやすさから多回転型を使いたいところで,可能な限りベックマンの25回転型に交換します。

 OP-AMPの交換も行います。KT-1100Dには安価なNJM4560Dが大量に使われていますが,これはあんまり特性が良くないとされているのですね。もっとも,このOP-AMPで音作りをしているんだとしたら,無闇に交換するのは考え物ですが,気分の問題ですから,ちょっと高級なものに交換しましょう。

 検波基板は,NJM5532にします。上位機種ではこの部分に5532を使っているという話を聞いたからですが,私はあまりこの5532というOP-AMPが好きではありません。

 他の4560は,4580DDに交換です。回路構成やファミリーとしても似ているし,4580DDの低歪みは私も体験済みということもあり,その割に安いことから,もうあれこれ考えずに交換です。

 そして,4558相当とされている割に案外高音質なM5218も,4580DDに交換です。

 これで,OP-AMP自身が性能を劣化させている部分があるとすれば,かなり改善されることでしょう。


 そうそう,FMのアンテナ入力端子も交換です。この時期のケンウッドのチューナーは,F型コネクタとはちょっと違う端子を使っているので不便です。そこでこれをF型コネクタに交換するのですが,元々RCAプラグが先端についた同軸ケーブルが基板から出ていますので,RCA-F型の変換コネクタを使ってやれば,問題は解決です。

 背面のコネクタ繋がりで,ACコードも直出しからインレットに交換しました。これだけで随分メンテナンスが楽になります。

 あとは分解し,可能な限り洗剤と水で荒いって汚れを落とします。

 買い忘れや間違いがあり,交換作業に1週間ほどかかってしまったのですが,とりあえず作業は終了。ドキドキしながら電源を入れ,SGで動作確認をしてみますと,問題なく動いているようです。

 この流れで調整を始めます。

 VTの電圧が随分狂っていたりしたのですが,これは調整点がずれたと言うよりも,どうやらトリマーが壊れてかかっていて,大きく値が狂ってしまったことにあるようです。交換すべきなのですが,なんだか面倒になって,再調整で今回はすませます。

 案外スムーズに調整は進んだのですが,最終的な性能をみて私はがっかりしました。

  WIDE
歪率 MONO:0.025% L:0.12% R:0.12%
セパレーション L->R:53.7dB R->L:53.6dB
S/N MONO:72dB L:63.2dB R:63.2dB
キャリアリーク 67.3dB

 NARROW
歪率 MONO:0.035% L:0.12% R:0.12%
セパレーション L->R:50.2dB R->L:50.3dB
S/N MONO:72dB L:63.2dB R:63.2dB


 悪い数字です。モノラル時の特性は,この機種としては良くないとはいえ,許せる範囲です。しかしステレオ時の特性,特に歪率とセパレーションの悪さは信じられないレベルで,F-757よりも劣っています。

 信じられなくなり,もう一度調整をやり直しましたが,やはりこのくらいです。しかも,筐体を閉じて機内温度が上がると,特性が急激に悪くなり,セパレーションなど40dB近くまで悪化します。

 ハズレを引いたのか,それとも部品の交換に失敗しているのか。どっちにしても作業前に再調整をきちんと行っておくべきだったと反省しています。まさかこんなに悪いとは思わなかったもので・・・

 実際に音を聞いてみました。F-757と比べるまでもなく,実に心地の良い音です。サシスセソも濁らず,ノイズも少なくて,ギュルギュルというマルチパス妨害によるノイズも出ません。

 F-757はざらざらと荒っぽい音で,これは聞いた瞬間にわかる違いなのですが,数字で見るとF-757の方がちょっと良い成績なんですよね。

 モノラルの時の性能はきちんと出ている(歪みもKT-1100Dが0.025%,F-757が0.056%)のですから,これはやっぱり,FMステレオモジュレータの問題だろうと思います。

 私のVP-7635Aは非常に疑わしいもので,まずはっきりしている点としてパイロット信号の位相が調整しきれず,ずれたままになっています。なんとかしたいのですが,回路図もないし,あれこれと内部の半固定抵抗をいじっても変化がないので,もうあきらめています。

 パイロット信号の位相がずれていると,セパレーションが極端に悪くなり,歪率も悪化します。スペック上は,1kHzで歪率0.01%以下をうたっていますので,実力でも0.05%くらい出て欲しいところです。セパレーションも,スペック上は66dB以上ですから,やっぱり60dBくらいは出て欲しいです。

 ステレオ時の歪率とセパレーションは,F-757でもKT-1100Dでもほとんど同じ程度ですので,やっぱり測定器の問題だろうと思います。

 ここで,滅多に使わないけども,ないとどうにもならないFMステレオモジュレータを買い直すのが良いか,それとも今の環境で最良点になっているはずなので,実力はもっと上のはず,という勝手な予測でこのままにしておくか,大いに迷うところです。

 もう1つ,やっぱり東京FMが歪みます。これこそマルチパスじゃないかと思うのですが,どうにもなりません。F-757でも出ていた問題ですし,F-757ではNHK-FMでもダメでしたから,KT-1100Dで改善していることは間違いないのですが,これ以上はもうアンテナの向きを調整するなりしないと,手に負えない思います。

 どっちにしても,KT-1100Dの実力は噂通りのものがあり,聞いていての心地よさ,人の声のリアリティなど,アナログ技術の集大成とも言えるFMステレオ放送の送受信システムのポテンシャルの高さに,納得するという結果になりました。

 9月に毎年放送されるTokyo-Jazzも,これで録音することになるでしょう。昨年までは,F-757でも十分と思っていても,実際に聞いてみるとやっぱり悪いところが耳についたものですが,KT-1100Dであればそれもないでしょう。楽しみです。

ClipHitから音が出ないので修理した

  • 2015/05/27 13:43
  • カテゴリー:make:

 先日,とある事情があって,私が自由に使って良いとされている作業部屋(とても小さい)の整理整頓をしていたところ,コルグのClipHitが出てきました。

 あー,そういえば買ったなあ・・・

 ハードロックを聴きながら,エアドラムをすることがとても爽快である事を知った私は,やはりここは本物のドラムを買うべきではないのかと,いろいろ思案したことがあります。

 今にして思えば買わなくて良かったなと思うわけですが,叩いて音を出すというプリミティブな楽器演奏に憧れる私としては,大げさにならず安価なClipHitはまさに福音だったのです。

 ですが,買ってみて解ったことは,ドラムと同じように楽しむには,センサーをドラムと同じ場所に設置して,こいつをスティックで叩かないといけないという,小学生でもわかる事実でした。

 結局の所,場所も取るし,準備も片付けも必要なClipHitは,電池を抜くことも忘れるほど奥の方にしまい込まれていたのです。

 片付けをしている最中に,どうやら保育園で太鼓を叩くことを覚えた3歳の娘が,部屋を覗きに来ました。なにせ危険なものが散乱している片付け中の作業部屋です,小さい子供には面白そうな秘境に見えても,大人が作り出したただの無秩序なわけで,危険なことこの上なし。

 そこで「あっちいけ」というのですが,純真で無垢な3歳児には,拒絶された,否定された,と大げさに聞こえるらしく,絶望して泣きわめくのです。

 そこで私は,発掘されて手の中にあるClipHitを,彼女に見せることにしました。ClipHitは白くて丸く,子供にも違和感のないデザインです。本体を叩くと音が出ますので,本体だけで遊べてしまうのも魅力です。

 電源を入れようとしましたが入らず。電池切れとわかったので電池を交換します。娘はワクワクしながら,私の作業をしゃがみ込んでみています。なにげに幸せな瞬間です・・

 電源は入りました。しかし,音は出ません。シーンとしています。

 壊れた。

 娘は残念そうな顔をしています。電源のON/OFFは出来るので,マイコンまわりはちゃんと動いていそうです。それならとセンサ-取り付けてみますが,やはり音は出ません。

 そこでヘッドフォンを取り付けてみると,なるほど,ここからは音が出ます。本体内蔵のスピーカーから音が出なくなってしまうという故障が起きたという結論です。

 娘には「うーん,どうも壊れてしまったみたい,残念だなあ」というと,とても寂しそうな顔をして,自分が楽しむ機会を失ったということよりもむしろ,私の持ち物が壊れてしまったことが残念だという雰囲気で,母親の所に戻って行きました。

 4日かかった部屋の片付けも目処が立ち,気になっていたClipHitの修理を検討してみます。

 分解して,スピーカーを固定している部品と配線を外して,スピーカーを取り外してみます。なんか立派なスピーカーです。口径は80mm弱で,柔らかいエッジで大きなストロークが確保されています。いかにも低音が出そうなコーンです。

 そして中心部には銀色のプラスチック製のコーンがもう1つついていて,ダブルコーンによるアコースティック2ウェイになっています。おお,これで高域も出そうと言うのか!

 まあその割には磁気回路が貧弱そうで,案外大したことはないんじゃないかと思ったのですが,電源器で1Vくらいを作って,このスピーカー端子にいれてみます。

 断線していなければガリガリと音がするはずなのですが,全く反応無しです。これでスピーカーの破損で原因は確定です。念のため,別のスピーカーを付けてみて,ちゃんと音が出ることも確認しました。

 スピーカーを交換すれば修理完了になることはわかったのですが,ここでふと思ったのは,もしかすると保証期間なんじゃないのか?ということです。

 私が買ってからというよりも,発売してから1年経過していない商品です。ということは全数が保証期間中です。

 ほとんど使っていないスピーカーの断線なんて,はっきりいえばもう部品不良としか言いようがありません。しかも保証期間なのですから,これはきちんと無料で修理してもらうべきでしょう。

 しかし,最近の私はどうも手間がかかることを忌避するのでいけません。サービスセンターに送るとか,そういうのがもう面倒で面倒で,それならさっと自分で修理しちゃおうと考えるのです。これが結果的に失敗に終わることもままあるので,困ったものです。

 そんなわけで,とりあえず,交換出来そうなスピーカーを探しましょう。口径は80mm弱ですので,これはいわゆる3インチ(77mm)でしょう。秋月を見ていると,ちょうど3インチのスピーカーが安く出ています。10Wクラスで,なかなか音も良いと評判ですが,2個以上買うと1つあたり250円という安さです。

 問題は厚みです。元々のスピーカーは,マグネットがかなり出っ張っているのですが,マグネットの口径は小さいので,斜めに取り付けられたスピーカーと基板や部品が干渉してしまう可能性があります。

 しかし,あれこれ考えていても仕方がない。安いんだし,買ってから考えよう。そういえばこの秋月のスピーカーは取り付けネジ用の耳が四方についているんで,これも邪魔になるけどドンマイ。あ,なんか効率がやたらと低いなあ,そのままだと音が小さくなってしまうだろうなあ,まあやってみるか。

 その日のうちに秋月に注文を出し,中一日でスピーカーが届きました。

 見た目はアレですが,音はなかなか良さそうな構造です。仕様書にある周波数特性はちょっと出来すぎのような気もしますが,多くの先人達の評判に悪いものは少なく,むしろその実績を信用すべきでしょう。

 まずはそのままで交換可能かどうかを考えますが,どう考えても取付ネジ用の耳が邪魔です。そこでドラ○もんよろしく,切り落としてしまいます。

 これで素の取り付け用部品をネジ止めして,スピーカーを上ケースに取り付けできました。次の懸念は,大きくなったマグネットのせいで,他の部品と干渉しないかどうかです。

 仮止めの状態で組み立ててみたのですが,うまい具合に収まっているようです。隙間から見ていても,ギリギリなんとかぶつかっていないようです。

 ここまで来れば,あとはハンダ付けで配線を元に戻して,修理完了です。

 電源を入れてみると,ちゃんと音が出ます。当たり前の事とはいえ,なかなかうれしいものです。しかし,今ひとつ音量が不足しています。ボリュームを一杯まで回しても,音量が足りません。これが新しいスピーカーの効率が低いことによるものであることは,もう疑う余地がありません。

 しかし,もうそこは割り切ります。

 早速娘に「なおったよー」というと,ぱっと明るい表情を見せて,手でポンポンと叩きます。そしてスティックを持ってこいと,私に命じます。私はそそくさとスティックを取りに戻り,娘に手渡します。

 娘はまたも明るい表情で,両手に持ったスティックを交互に動かし,器用に音を出して遊んでいます。

 そのうち飽きたのか,他の遊びを始めてしまいましたが,私がいないところで母親には,直って良かったねと,ニコニコしながら言っていたそうです。

 ということで,Cliphitは修理が出来ました。秋月のスピーカーで修理出来ることもわかりました。ついでにもう2つ買ってあるので,今度壊れても全然大丈夫です。(同じ壊れ方をするんであればその原因を調べないといかんのですが)

 ただ,やっぱり手でポンポン叩くだけでは面白くないんですね。かといってあちこちにセンサーを取り付けるのも面倒なので,修理はしましたが,そのまま袋に入れて片付けてしまいました。

 

パナコラン充電器を作る

  • 2015/02/23 15:34
  • カテゴリー:make:

ファイル 735-1.jpg

 割り箸の端っこを加工して作った充電治具を用いて,なんとか使えるようになったパナコランですが,数日試したところ,なかなか効き目がある事が分かってきました。

 日によって,あるいは痛い場所によって違ったりするのですが,概ね痛みが取れるようです。ただ,内服薬のように傷みが全体に消えるわけではないし,貼り薬(うちはおきゅ膏Zかロイヒツボ膏)のように,張り付けた場所の周辺も痛みが取れるわけではなく,あくまでパナコランを張り付けた直下だけ,が効いている感じです。

 ですから,正確に張り付ける必要があるということ,そして痛みが取れるまでに少々時間がかかり,一晩では駄目で,効き目が出るまでに12時間以上はかかること,そして痛みが消えても,すぐ隣の痛みを意識するようになるので,結局痛みが消えていないと感じてしまうことに注意すれば,なかなかよいものであるとわかりました。

 使ってみると不便なことも分かるのですが,なにせ4時間充電で2日しか動きません。効き目が出るのに12時間以上かかることを考えると,予備を常にフル充電で待機させておかないと効果的に回せません。

 それに,効き目の出る範囲が狭いということは,数が少ないと駄目という事でもあるので,私の結論は「2つでは無理」でした。

 パナコランの最盛期には,4つまで一気に充電できる充電器も売られていたようですが,今はもちろんありません。

 私の場合はどうせ,パナコラン本体を交換部品で手にれるしかなく,充電器は自分でなんとかしないといけないのですから,ここは4つまで充電出来る充電器を作る事にしましょう。

・基本的なこと

 先日の解析で,充電制御は本体がそれぞれで行う事が分かっています。充電電流は約3mAで,電圧は4Vほどあれば大丈夫です。

 ここでぱっと閃いたのは,3mAの定電流回路なわけですから,ここにLEDをただ直列に突っ込めば充電インジケータになるんじゃないのかということです。

 早速実験してみると,当然というか当たり前というか,ちゃんと3mAの電流が流れ,LEDも点灯しています。電圧が低いと充電が行われませんが,4Vの充電電圧にLEDの順方向電圧である2Vを加えた6V以上があれば,ちゃんと充電が出来ています。

 充電が完了するとLEDも消えています。これで充電インジケータは簡単に実現可能です。


・構造

 割り箸の端っこを加工して作った先日の充電治具を4つ作ってしまえば,それで解決という作戦もあるのですが,実はこの治具,木で出来ているために変形してしまい,3階ほど使ったらもう固定できなくなってしまいました。どっちにしても作り直しが必要です。

 電気回路は簡単ですが,こういうのはメカ的な難しさがあります。どうしたものかといろいろ思案したのですが,目に入ってきたのが,本棚にあった「型どり剤」です。

 これ,プラリペアの武藤商事が販売している「型どり君」という,プラリペアの関連商品です。よく似た商品は昔からあり,私も昔「型想い」という商品名の型どり剤を使っていました。

 この型どり君を70℃のお湯に入れて3分ほど暖めると,水飴のように柔らかくなります。冷えると硬くなるのですが,肉やせもなく,変形も小さいので,これで型をってプラリペアで部品を作るというものです。

 固まったプラリペアが型から外せるように,冷えて硬くなった型も,カチカチになっているわけではなく,ちょっと片目のゴムのように弾力があります。これが重要です。

 この型どり君を,半分の大きさにカッターで切ります。4つ分用意したら,鍋でグツグツ煮て柔らかくします。

 箸で取り出して,粘土のようにこねて円錐型にし,上からパナコランを押しつけます。すると,電池端子の窪んだところに型どり君が入り込みますが,さらに押しつけると,パナコランの外周部からはみ出るように型どり君が広がってきます。

 5mmほどはみ出たら,割り箸を使って綺麗に整形,パナコランの外周部に沿うように割り箸を押しつけます。この時にパナコランの上側にも,柔らかくなった型どり君が回り込んで,しっかり固定できるようになるんですね。

 冷えたら型を取り外します。綺麗にパナコランの「魚拓」が取れました。

 充電端子もうっすらと型が取れていますので,ここに3mmの穴を開けます。そして大きめの万能基板にゴム系のボンドで接着です。

 先ほどの穴に合うように,基板にも2.5mmの穴を開けて,Nゲージの集電バネを通ります。基板の裏側からハンダ付けです。

 これで,パナコランのホルダーと充電端子が完成しました。見た目は悪いですが,素人としてはまあこんなもんでしょう。

 残る作業は配線です。LEDを4つのホルダーごとに用意し,配線していきます。こうして4つの充電回路を並列に繋いで,おまじないのパスコンを入れます。

・電源の確保

 6V以上の電源が必要になるのですが,製品のように乾電池で動くものにすれば,確かに便利かも知れません。しかし,パナコランは充電完了後,端子に電圧が印加されているときだけ動作を停止する仕様になっており,電圧がかからなくなると本体が動作を始めてしまいます。

 つまり,満充電でスタンバイさせるには,電圧がかかっていないといけないのです。この考え方だと,乾電池では「いつの間にか」電池が切れてしまいます。

 まあ,4つのパナコランを同時に充電しても15mA程度,アルカリ電池が2000mAhくらの容量を持つとすれば,130回ほど充電出来ますし,充電が終わってからの電流は全部で20uAほどですから,これも電池が切れることなど考えなくてもよいのかも知れません。

 ニッケル水素を使うことも考えました。4本だと4.8Vとなり,6Vには全然足りません。6本にすると7.2Vなので大丈夫ですが,ニッケル水素の充電が4本までしか一度に出来ないので,なんとか4本で動くようにしたいです。

 そうすると,5Vを6V程度の昇圧するDC-DCコンバータを組み込もうという話になります。そうすれば電池2本で動かせたり,USBで充電出来たりと夢は広がってきます。

 HT7750AというICを使って昇圧回路を検討した事もありますし,やってみようかと思ったのですが,部品集めが急激に面倒になり,やめました。

 それに,充電完了後にHT7750Aが消費する電流が見えてくると思いますので,やっぱりこの作戦は,手間がかかる一方でメリットが薄そうです。

 いろいろ考えた結果,ここはACアダプタ方式にします。ジャンク箱を探してみると,6VのACアダプタが見つかりました。スイッチング方式,実測6.2Vとちょうどいい電圧です。

・作ってみて

 型どり君で作ったホルダーは,案外がっちりとパナコラン本体をホールドするのが好印象なのですが,解析のために分解し,その後接着剤で修復したパナコランは,うまく充電出来ません。ホルダーにセットしても,上から押さえないと充電してくれないのです。

 分解していない無傷のパナコランなら,全く問題なく4つのホルダーのどれでも,ちゃんとい充電が出来ています。

 バネを引っ張って伸ばしてみたり接点を磨いたりしましたがだめ。パナコランの底部の穴を真円にするためにカッターで削りましたがそれでも駄目。仕方がないので再度分解して組み立てなおすことにしました。

 しかし,よく見ると本体のLEDが点滅しなくなっています。基板をちょっと曲げてみると点滅を開始します。あれ,こわれたんと違うの?

 分解した基板に直接電圧をかけても充電は行われません。部品のハンダが割れた可能性もあると思ってハンダ付けをやり直しましたが,改善せず。ICがマウントされている黒い樹脂を加熱したり,スルーホールにハンダを流し込むと,一応LEDの点滅はするようになりましたが,それでも充電は出来ません。

 むむー。壊してしまったようです。

 分解するときに壊したのか,カッターで穴を削るときにパターンを切ってしまったのかわかりませんが,とにかく修理不可能な壊れ方をしたのは事実です。あきらめが付くようにと,電池を予備の部品として取り外した後,基板をペキッと割って,ゴミ箱に捨てました。

 彼の貴い犠牲のおかげで,充電仕様の解析が出来,治療の効果も確認できました。かれの偉大な功績をたたえ,彼に与えられたシリアル番号「1」は永久欠番とします。

 かくして,最初に買った2つのうち1つは壊れてしまい,もう1つの番号を「2」,土曜日に購入した追加の2つに「3」と「4」,1つ壊れたことであわてて補充したもう1つに「5」を割り当てることにしました。ああ,高くついたなあ。

 日曜日の夜に4つ全部が揃ったところで,全部一気に充電している様子が,冒頭の写真です。前述の通り,4つまでなら充電出来る純正品がありましたし,急速充電が出来るわけでもなく,使い勝手が良いわけでもなく,ただ入手困難なものを自分で作っただけの寂しい工作ではありますが,これでパナコランが4つ,常に使える状態でスタンバイできるようになり,これからその使い勝手を工夫して,長年に渡る肩凝りの対策になればいいなと思います。

MX-10のレストア

  • 2014/11/10 14:51
  • カテゴリー:make:

 エフェクターで有名なBOSSブランドに,一時期BOSS PROというシリーズがありました。

 もともとBOSSは安価なリバーブやディレイなどをハーフラックのサイズに詰め込んだシリーズを出していましたが,この後継という感じで登場したのを覚えています。

 最初に出たのは,記憶違いでなければステレオマルチエフェクターのSE-50だったのですが,BOSSのくせに結構いい値段,PROのくせにノイズが多いという欠点があり,それでもステレオの空間系エフェクターとしては安かったので,私も2台買って使っていました。

 その後出た10chのミキサーMX-10は,複数台のシンセサイザーをステージで使っていた私としては,まさにぴったりの製品に思えたので,すぐに購入して私のラックに収まるようになりました。

 MX-10は10chといいながらも,ch1からch8まではステレオ入力専用で,レベルは2ch分が同時に変化しますし,パンは奇数が左,偶数が右で固定されています。また基本的にラインミキサーですので,マイク入力が可能なのはch9とch10の2つだけです。

 そのch9とch10はマイク入力に対応し,パンも調整可能ですし,レベルもそれぞれ独立したツマミでコントロールできます。

 エフェクトのSENDとRETURMはありますが,EQはありません。だからちゃんとしたミキサーというよりも,キーボードミキサーとして割り切って使うべきものです。

 ただ,8chのミキサーでもステレオだと4台分しかまとまりませんから,やっぱりこれではつらいです。だから,ハーフラックでステレオでも最大5台分が入るMX-10は,結構便利な存在でした。

 現在,RD-700とMicronしか置いていない部屋でも,MX-10だけは実家から持ってきてあり,ここで一度まとめています。ですが,どうも音質的にしっくりこないように感じていました。

 まず,RD-700のヘッドフォン端子から直接聞いた場合と,MX-10を通した場合とで明らかに音が違います。MX-10の方が中低域が大きいというか,高域が不足している感じです。
 
 ケミコンの劣化だろうなと思いつつ分解すると,見えてきたのはオーディオ用に特に気を遣ったような感じの部品が見当たらず,この時期のローランドやBOSSに多用された,三菱の4558互換であるM5218が9つ使われていることがわかりました。

 4558は悪いオペアンプではないのですが,いかんせん設計が古く,今ならもっと良いオペアンプが使えます。ここは1つ,オペアンプもコンデンサも良いものに交換してみることにしました。

 とはいうものの,M5218はよく見かける8ピンDIPではなく,8ピンSIPです。万能基板でささっと変換をしてもよいのですが,さすがに9つもあると面倒です。

 と思って秋月を探すと,やっぱりありました。SOPをSIPに変換する小基板が売られています。25枚セットで750円。1つ30円というのは,安くもなければ高くもないという絶妙な値段です。

 問題はSOPのオペアンプをどうするかですが,これは私がたまたま手持ちで腐るほど持っているOPA2134を使います。数を数えたことはありませんが,300個くらいはあるんじゃないかと思います。

 OPA2134はオーディオ用としては良いオペアンプだと思いますが,地味な音質で,高音質という評価には異論は出ないにせよ,今好まれる音ではないと思いますが,私は好きです。

 コンデンサは,22uFが40本近く使われていました。22uFの電解コンデンサだと一般品でも10円,50V品だと25円くらいです。それが秋月ではオーディオ用の50V品が1つ20円だったので,これにしました。

 何だかんだで多めに買ったので,電解コンデンサばかりで7000円近くもかかってしまいました。とほほ。

 交換前に特性を測っておきます。80kHzのLPFを通して測定した結果,歪率は1kHzで0.04%,周波数特性は20Hzから75kHz,S/Nは85dBと,別におかしくない値です。

 あれ,これでなんでそんなに悪く聞こえたんだろうなあ。

 まあいいです,とりあえず部品の交換です。まずOPA2134を変換基板にハンダ付けして,9つ分のSIP版OPA2134を作ります。

 そしてもともとついていたM5218を外し,交換します。

 この勢いにのり,電解コンデンサを一気に交換します。全部で100本近く交換しましたが,良くパターンを追いかけていくと,どうもピークインジケータのために使われているコンデンサもあるようで,これは音質に影響がないことから,交換するのをやめました。

 最後に,もともとついていなかったのですが,電源とGNDの間に0.1uFのパスコンを入れておきました。ついていないわけではなく,電解コンデンサの10uFがついていますが,高周波特性の良い積層セラミックを一緒に取り付けておくことで,保険をかけようという話です。

 さて,案外簡単に作業が終わり,目視によるチェックをしてから通電です。音を聞く前に準備が済んでいる測定を早速開始しますと,歪率は1kHzで0.03%と下がりました。周波数特性は変化無しで20Hzから75kHzです。

 S/Nは改善し,92dBになっています。これはなかなかよいですね。

 ということで,音を聞いてみますが,以前よりもずっと良くなっています。4558はザラザラした音が華やかなオペアンプですが,OPA2134はきめ細かい一方で元気がないおとなしいオペアンプという印象を私は持っていますが,その印象どおりのMX-10になっていると思います。

 ただですね,電源かいろの発熱が大きく,オペアンプ自身も随分発熱しているようなのです。触れないほどではないですから,正常動作範囲だと思いますが,M5218の時にどれくらいのい発熱があったかを調べていませんので,これで正しく動作しているかどうかは,もうわかりません。

 ざっと調べた限り,発振もしていませんし,おかしな電圧もかかっていません。なにより無理に動かせば測定値が急激に悪くなるものですけど,以前よりも改善しているわけですから,回路そのものは動作していると考えてよいと思います。

 ということで,実はあまりレストアする意味はなかったのかもしれないのですが,電解コンデンサのような寿命が短い部品を20年経って交換したことは意味があり,もう10年くらいは問題なく使えるようになったと思います。

 
 

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