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夏休みの工作 - PC-6001のキーボードをUSBに!〜 分解清掃編

 今年の夏休みは,恒例の夏休みの工作が全く出来ませんでした。小学3年生からずっと続けている習慣がこれで途切れてしまうのももったいない。

 そこで,ふと思いついた小ネタ夏休みの工作としたいと思います。

 ことの始まりは,きつい日差しです。


日差しがきつい ->
プラスチックの黄ばみを強力に漂白できる ->
そういやPC-6001の部品取り機のキーボードがひどい変色をしてたな ->
漂白するのはいいけど使ってないキーボードを漂白してどうする? ->
じゃ使えばいいんじゃないか ->
USBに変換して最新のマシンでPC-6001のキーボードを使うというのはおもろいかも

 ということで,決定です。

 冷静に考えてみると,最近流行の自作キーボードでは,自分でキーマトリクスを組んで,それにあわせてキーボードマイコンのファームを修正して動かしていますよね。いってみれば,PC-6001のキーボードをそのまま使うことで,キーボードマトリクスを組む作業をすっ飛ばして,自作キーボードをつくるようなものですので,実は全然大した事ではありません。

 何はともあれ,漂白です。9月には行っても日差しはきつく,    黄変と言うより茶変という感じで,まるでタバコのヤニみたいなヤケ方をしている予備のPC-6001のキーボードを分解して漂白を開始します。

 今回はジップロックで密封して漬け込みましたが,さすがに3日もかけると漏れてくるもので,後で掃除するのが大変でしたが,とりあえず変色は綺麗になりました。特徴的なオレンジ色がやや褪せてしまったのが残念ではありますが,かなり綺麗になったと思います。

 ちょっと余談を。

 PC-6001のキーボードって,いわゆるスカルプチャー型のキーボードではないため,チクレットキーボードと揶揄されることが多いのは,ご存じでしょう。

 今でこそ,私は40年も前にディスクリート型のキートップを実装した先進的なキーボードだと思っていますが,当時は後継機のPC-6001mk2ではスカルプチャー型になり,絶賛されたものです。それほどPC-6001のキーボードを難点に挙げられていたのです。

 当時の私も含めて,このチクレットキーボードというのはコストダウンだろうと思っていました。兄貴分のPC-8001が168000円,2年後に出たとは言え一部の機能はPC-8001を凌駕しているPC-6001が89800円ですから,こういうところでコストダウンが行われているんだろうとみんな思ってたわけです。

 しかし,今回の分解と清掃で,それが誤りであることを確信しました。

 PC-8001と比べると,確かにメカニカルスイッチではなく後にメンブレン方式と呼ばれるものには違いないのですが,リモコンや電卓のようなラバードームとキートップが一体になっているいわゆるゴムキーではなく,ラバードームと軸が別体で,軸には2色成形のキートップが差し込まれている,本格的なキーボードだったのです。

 この構造は評判の良かったPC-6001mk2のキーボードと同じなわけですが,PC-6001も同じ構造であることから,決してPC-6001がローコストを狙った訳でも,PC-6001mk2が評判の悪かったPC-6001のキーボードをお金をかけて改良したわけでもなかったのです。

 また,アメリカに輸出された北米版のPC-6001Aでは,キーボードが国内版とは違っていて,本格的な見た目のスカルプチャー型になっていました。PC-6001ファンとしてはこのキーボードが羨ましく,完璧なPC-6001の姿に見えるわけですが,配列が全く同じであることからも,わざわざ専用のキーボードユニットを作ったと言うよりは,キートップだけを交換した物というのが正しいでしょう。

 なら,なぜわざわざこんなオモチャみたいなキーボードにしたのか,疑問ですよね。

 その答えは,オーバーレイシートです。PC-6001は国産のホビーマシンとしては初のROMカートリッジのスロットを備えていて,電源を入れたら即座にソフトが動作するような,簡単に使いこなせる家庭用パソコンを目指した,志の高いマシンでした。

 パソコンはソフト次第でどんなことにも使えることが素晴らしいわけですが,まだまだキーボードに不慣れな日本人が多かった時代の話ですから,当時「キーボードアレルギー」と呼ばれた,キーボードへの抵抗感を減らして,専用機に匹敵する使い心地を考慮する必要があったのだと思います。

 しかし,キーボードに専用の機能を一々印刷するわけにもいきませんし,専用のキーやスイッチを設けることも出来ません。そこで,その頃よく見られたオーバーレイシートを使うことになります。

 オーバーレイシートはその名の通り,上から被せて使うシートですが,PC-6001の場合は本体のキーボードの面にぴったりフィットする大きさのシートに,キーが頭を出すように穴をあけ,専用機能の文字などはここに印刷することにしました。シートをソフトごとに付属し,使う時に交換すれば専用キーボードの出来上がりというわけです。

 標準ではカナが印刷されたオーバーレイシートが付属していました。グレーとオレンジのキーに,焦げ茶色のオーバーレイシートはとても映え,本体色のクリーム色ともマッチして,とてもフレンドリーでありながらも,デザイン的に洗練されていたと私は今でも思います。(蛇足ですがPC-8001は底板が金属,上ケースがFRPで成型されていたので成形時の制限もあったのですが,PC-6001は下ケースも上ケースもABSで,曲面を多用した非常に凝ったデザインが実現していました。ケースにABSを使ったNEC初のマシンでもあったのです。)

 実際,当時からPC-6001のキーボードのことを悪く言う人は実際に使ったことがない人か,AppleIIやPC-8801,FM-7などの本格的なキーボードを使っていた人が多くて,私自身はPC-6001のキーボードって,いわゆるゴムキーのような悪い物ではないなといつも思っていました。特にPC-6001mk2と比べても遜色ないというか,はっきり言えばどっちもそんなに良くないというか・・・

 その謎が確信に変わったのが今回のオーバーホールの結果だったのですが,こうして今実際にPC-6001のキーボードでこの文章を書いてみても,全然違和感がないですし,快適なのです。さすが往年のアルプス製と言いますか,反発力の調整が絶妙で,押した時は軽いのですが,徐々に重くなっていって,底打ちは余程の事がないと起きません。ぐっと反発力が増すところでさっとキーインされるあたりもまるでメカキーのようです。これはかなり本格的なタイピングが可能だと再認識しました。

 SHIFTキーやRETURNキーのような長いキーは丁寧に左側の軸とは別に右側にも軸が出ていて,これがキートップの穴に高精度にはまり込んで上品にストロークします。グラグラしないですし,左右のどこを押しても均等に沈み込んでくれます。しかもダンパーまで用意されているので打ち心地は快適です。

 また,当時から評判の良かった赤色のLEDも美しくて,今どきのギトギトしたレインボーカラーよりもこういうシンプルな表示の方が気が散らなくて好ましいです。

 残念なのは,やはりキートップが小さいので誤入力が起きやすいことと,ブラインドタッチが難しいことがあると思います。こういう異形のキートップは当時も今も熟練者ほど違和感を感じるのでしょう。

 それと,これは致命的とも言えるのですが,Nキーロールオーバーに対応しておらず,3つの同時押しにも対応しません。例えば大文字でLEDと入力するときに,SHIFTを押しながらEを押し,Eを離さずにDを押すと全然違うキーが入ります。これはゲーミングには使い物にならないでしょう。当時のPC-6001もこうだったっけなあ?

 とまあいうことで,PC-6001のキーボードを再生し,その志の高さが誤解されて安物扱いされた不運な歴史を語ったところで,次回は完結編,このキーボードをUSBで繋ぐことにします。

 まて次号。

Q.スマホの通話音声が聞こえないときは?

A.内部のレシーバーの接点を掃除してください

 先日,とても大切な問い合わせを電話で某所に行った際,つっけんどんな言葉の割にはとても親切な相手が,詳しいことを調べて折り返してくれると言ってくれました。

 かけた電話は家電話ですが,折り返しの電話は先方に登録された私の携帯電話に折り返すとのこと。

 とてもありがたいと,その電話を待っていたのですが,いざかかってくると相手の声が全く聞こえません。通話の時間のカウントは進んでいますし,どうも私の声は聞こえている様子。咄嗟にスピーカーに切り替えると相手の声が聞こえました。

 大切な電話でしたが,これでなんとか事なきを得ました。しかし,相手の声が聞こえないというのは電話にとって致命的で,見過ごすわけにはいきません。

 気のせいかと嫁さんに電話をかけてもらいましたがやはり聞こえず,設定の問題かと調べてみましたがそうでもなく,有線のヘッドフォンなら聞こえますし,Bluetoothのワイヤレスイヤホンでも問題なく聞こえます。

 うーん,これはもう,私の愛機であるF(X)tec Pro1xの故障でしょう。

 もう一度言いますが,スマートフォンも電話ですから,通話できないというのは致命的です。嫁さんは気楽に「電話がかかってきたらさっとヘッドフォンを出して繋げばいいんじゃない?」とクスクス笑いながら言うのですが,緊急時にこういうことがあったら命にかかわるかも知れません。

 もはや買い換えなのか,OSを入れ換えてもうちょっと使いたかったなあ,などと思っていたのですが,こういう場合はgoogle先生にとりあえず相談です。しかし今回の案件にはさすがのgoogle先生もお手上げのようで,なにも有益な情報を私に与えてはくれませんでした。

 どうせダメなら,とりあえず分解してみようというのが私の生き様です。ヘッドフォンやイヤホンなら相手の声が聞こえるのですから,深いところで起きている問題ではなさそうです。

 可能性が高いのはレシーバのボイスコイルの断線。その次はレシーバ駆動アンプの故障です。後者なら気軽に手を出せませんが,前者ならまだ望みはあります。

 早速分解。パネル裏の5本のビスを外せば,簡単にパネルが外れます。レシーバはここにくっついていて,ピンで向かい合った基板に圧接して導通しているという,ごく普通の構造です。

 レシーバの断線かどうかは,レシーバのピンの導通をみればすぐにわかります。調べてみると,直流抵抗で27Ωほどです。これなら断線していないでしょう。

 一応このレシーバから音が出るかどうかを別のアンプに繋いで確かめましたが,問題なく音は出ています。ということは接点の不良かアンプでしょう。

 ただ,アンプはそんなに簡単に壊れるものではないので,ここは接点の問題と考えて,金メッキされた端子やピンをアルコールで綺麗にしておきます。それから,レシーバのピンを少し起こしておき,接触圧を強めにしておきます。

 Pro1xはちょっと不思議な構造になっていて,パネル側の基板から一度本体側の基板にピンで導通させ,その基板からパネルにあるレシーバのピンにもう一度導通させるという面倒な仕組みをとっています。

 それならわざわざ接点を増やさず,パネル側でレシーバに繋いでしまえば完結するだろうとおもったのですが,きっと厚みの関係で基板のレイアウトに制限があり,一度本体側に回して再度繋ぐという方法をとったのでしょう。

 このことで,都合2つピンと基板との接点が発生してしまうわけで,これが信頼性を下げてしまうことは自明なのですが,ぶつぶつ文句を言っても仕方がないのでどちらの接点も綺麗にして,仮組みします。

 この状態で通話音量を調整すると,確認の音がちゃんとレシーバから出てきます。早速嫁さんに電話をかけてもらいましたが,無事に声が聞こえました。(今回ほどあなたの声が愛おしいと思った事はないよ,というと,失礼な!と速攻で切られました)

 そう,昔から携帯電話のレシーバはピンの接触不良で音が出なくなることがしばしばあり,清掃せずとも一度分解して組み立て直すだけで治ったりするものです。今回もまさにそういう状況だったようです。

 ともあれ,唯一無二のF(X)tec Pro1xを諦めずに済みました。もう少し使うつもりですが,この手の問題は再発することが確実なので,またいざというときに相手の声が聞こえないという問題でオロオロしそうな感じです。これが災害時だったりすると本当に怖いのですが・・・

 まあ,仮に故障がなくても,こんな変態スマホをメインに使って,しかも音声通話をあてにしているような変人は世界中で私だけでしょう。

 すでに満身創痍なPro1xですが,気に入ったマシンなので仕方がありません。セキュリティの不安とかありますが,その辺も含めて,考えながら使っていこうと思います。

 最後に,通話の音声が聞こえなくなったら,とりあえず分解してレシーバの接点を綺麗にして組み直すこと。

 あ,危険ですし法的にもどうなのよという感じがしますから,あくまで自己責任でお願いしますね。

AppleKeyboardをUSBでつないで,ああいい気分

20240618133833.png 

実家の整理をしたとき,古いMacintosh関連のものもいくらか出てきました。今にして思えばもったいないことをしたと思うのですが,当時はとにかく捨てないと,という気持ちが勝ったこともあり,なにを捨てたかよく覚えていないほどです。

 そんな中,奇跡的に生き残った物に写真のAppleKeyboardがあります。

 ある世代以前の方にはとても懐かしい物のはずですが,MacintoshSE,MacintoshIIが登場した時に用意された標準的なキーボードの,日本語版です。モデルナンバーはM0116Jです。

 1986年に登場,日本のアルプスが製造を請け負ったものなのですが,この,今で言うメカニカルキーボードはそんな経緯もあり,キースイッチはアルプス製です。接続はもちろん,ADBです。ADBはキーボードやマウスなどの今で言うHIDをデイジーチェイン出来るインターフェースで,ケーブルでごちゃごちゃする机の上を実にスッキリさせることが出来ました。国産機になれていた私は,当時この段階でアメリカ,そしてAppleの配慮にクラクラしたものです。

 この当時の製品にはありがちですが,紫外線による黄変が進んでおり,当時の美しさは失われていますが,それでもフロッグデザインによってデザインされたキーボードは,ただのキーボードを越えた美しさを放っています。

 さて,このキーボード,どうも私が最初に手に入れたMacintoshSEと一緒に買った物のようなのですが,大切に当時の元箱に入れてありました。ほら,白い段ボールに赤い林檎の印刷があるやルです。

 キーの配列も標準的で,コマンドキーが左右にあり,カーソルキーの配列も綺麗なAppleExtendedKeyboardIIに乗り換えるのはその後なのですが(余談ですがAppleKeyboardもAppleExtendedKeyboardもそれぞれIIに世代交代したとき,AppleKeyboardIIはメンブレン式になってしまったのに対し,AppleExtendedKeyboardはスイッチが変更になったもののメカニカルのままだったので,私はこちらに乗り換えました),乗り換え後も大切に元箱に入れて保管してあったようなのです。

 箱入りですから紫外線も浴びておらず,驚くほど美しかったのですが,実家から持ち帰るときに箱を捨てて中身だけで持ち帰ったことから,急激に黄変が進んでしまいこのざまです。

 捨てるに惜しいからと持ち帰ったはいいものの,ADBを持つ本体など捨ててしまって持っていませんし,今さら買うようなことも考えられません。そのうち中古で売ってしまうか,などと思っていた所,先日ぱっと閃いたのが,ADBをUSBに変換すればこのキーボードが現役に復帰出来るんじゃないのか,ということでした。

 世界中にADBのキーボードを愛する人がいるはず,今ならきっと感嘆に実現出来るはずだとサーべて見ると,iMateという私も知っている往年の変換器が高値で取引されているという話でした。

 もう少し調べると,キーボードの自作で定番化していたSwitchScienceのProMicroを使ったものが公開されていました。もともとArduinoですが,32U4を搭載したマイコンボードとして使うもののようで,書き込めばすぐに使えるバイナリも用意されています。

 ならこれを使ってみようと,ProMicroを早速手配。昔は安かったそうですが,今ではAliExpressで頼んでも1つ700円を超えます。送料を無料にしたかったので無理に3つ買い,届いたのが一昨日のことでした。

 まずはArduinoIDEをインストールし,初期不良がないか動作確認です。ちゃんと動作したので次に進んで,バイナリを書き込みます。これ,コマンドラインから書き込むのってなかなか面倒で,IDEが吐き出したバイナリのフォルダを探し出し,ここに書き込みたいバイナリをおいて,コマンドラインから書き込むのですね。

 試行錯誤を少ししましたが,無事に書き込めたようです。

 はやる気持ちを抑えられず,とりあえず部品集めです。ADBのコネクタはMiniDINの4ピンですが,ちょうどいい物が手持ちにありません。S端子のビデオケーブルを見つけましたが,悪いことに輝度と色のGNDが内部で繋がっているものだったので今回の用途には使えません。

 さらにジャンク箱をゴソゴソ探したところ,8ピンのMiniDINの壊れた奴が見つかりました。なにを思ったか端子が3本しか残っていません。残りの5本はどうしたんだよ・・・昔のわたし。

 ですが,ADBは1選式のシリアルインターフェースです。実は3本あれば問題なく使えます。(もう1本はPowerKeyです)

 そこで急遽ピンを組み直し,MiniDINの4ピンのコネクタを作りました。1本足りませんが,ここを使わないPowerKeyにあてがえば3本で問題ありません。

 このコネクタに3芯のケーブルを繋ぎます。そしてProMicroのジャンパをショートしてVccに5Vが出るようにした上で,VccとGND,そしてDataを繋ぎます。

 Dataは32U4のPD0が割り当てられていますが,ProMicroでは3というシルクがあるランドに出ています。ここをVccから1kΩでプルアップして接続すれば完成です。

 中国からの荷物を受け取ってから40分ほどで完成。なんの問題もなくあっさり動いてしまいました。

 30年ぶりに味わう,AppleKeyboard。なんと心地の良いことか。

 コマンドキーとスペースの間に”`”キーが挟まっていて,ここがミスタッチを連発することになるかもなあと思っていましたが,やはり体は覚えているもので,ちゃんと親指がコマンドキーの真ん中をとらえていました。なにも引っかかる物はなく,とても快適に使えます。

 音は大きいのですが,しっかりした剛性感も,手に馴染む湾曲の具合も,またちょうどいい傾斜も,やっぱりからだが覚えているんだなあと思います。カーソルキーもストレスなく使えますし。

 今日の艦長日誌はこのAppleKeyboardを使って書いていますが,もう毎日使いたいキーボードです。当時は本当にいいキーボードが作られていたんですね。コストダウンばかりが能じゃないんだと思いました。

 とまあ,AppleKeyboardを絶賛するのは,過去の記憶や慣れの問題もあるので偏りがあると自覚しているのですが,それにしても昔のキーボードのなにがそんなに魅力的なのかなとつくづく考えてみました。

 スイッチについては,今も昔もCherryの同じ物が買えますので,スイッチが今と昔で変わったという線はないでしょう。ならやっぱり剛性感でしょうか,それも大きさから来る安定感や接地感でしょうか。

 気付いたことは,キートップです。キートップの肉厚が太く,重くてしっかりしているのです。私のAppleIIplusのキーボードも実に心地よくタイピング出来るのですが,やはりキートップが分厚く重く,押し込んだ時と離したときの慣性が,最近のキーボードとは違うと気が付きました。

 先日のワイヤレスキーボードも心地よかったのですが,これもキートップが重いものでした。一方d,今常用しているキーボードは,スイッチこそCherryのものですが,やっぱりキートップが軽くて完成が小さいのと,おそらく材質がABSではないせいで,音も軽いんだと思います。

 重さとバネの力からその物体の運動は定義されるわけですが,おそらくキーボードについても同じ事が言えて,わずかな違いであっても,人間の体はその僅かな違いを感じ取り,心地よかったりそうでなかったりという感覚を得るのでしょう。

 昨今キーボードブームなわけですが,ともすればスイッチばかりに目が行きがちちな中,形状も含めてもっとキートップにこだわってもいいのではないかと思います。

 ということで,うちのキーボードのもう1つ選択肢が増えました。しかも極上です。とはいえ,私の中では未だにPC-9801Rシリーズ用のキーボードが一番だという意識が残っており,これをUSBか出来たらいいなあなどと思っていますが,悲しい事にPC-9801のキーボードは捨ててしまって手元には残っていません。ああなんと残念な事か。

 私の当時のPC-9801のキーボードは,CTRLキーとCapsLockが左右に並んでいるというPC-9801の最大の問題点を改造で解消したもので,CTRLキーを大型化してありました。キートップはEWS4800のキーボードから移植したもので,使う事のないCapsLockは存在が消されているというキーボードです。

 とにかく快適に使うことにこだわったキーボードだったのですが,音もそんなに大きくなく,滑らかで1.5倍は速くタイプできる,良いキーボードだったと思います。そしてCTRLキーが大きくて使いやすくて,UNIXでも便利,カタカナ入力でも便利と,本当に捨てなきゃ良かったです。

 今回作ったADB-USB変換基板のファームウェアには,そのPC-9801のキーボードをUSBにするものも用意されています。もしPC-9801のキーボードが手に入ったら作って試してみましょう。

 

T50RPmk4のバランス入力端子をMDR-1A互換に改造

 先日手に入れたフォステクスのT50RPmk4。バランス接続を行う為の3.5mmジャックのアサインを変更し,MDR-1Aと同じにする改造をやりました。

 別案として,改造ではなく,変換ケーブルを作る事も考えました。部品も揃っていたのでやろうと思えば出来たのですが,それだとやっぱり取り回しが悪くて嫌になることが目に見えています。

 T50RPmk4を分解して調べてみると大した改造もしなくて済みそうで,いざとなったらすぐに元に戻せそうです。

 ということで改造に踏み切りました。いやー,届いたその日に改造とは。

 改造の方針ですが,T50RPmk4とMDR-1Aの本体側のジャックのアサインの違いである,根元のR-とL-が入れ替わっているのを,MDR-1Aにあわせてしまいます。問題は,その作業をどんな風に行うか,です。

 下の写真はL側の基板です。写真が下手で申し訳ない。

20240614150408.jpeg

 基板の下側に4つのランドがあり,L側はこのうち右の2つが使われています。白が-,青が+,それぞれがドライバと繋がっています。

 一方でR側は下のようになっています。

20240614150409.jpeg

 R側はL側と違って,下の4つのランドの左側2つを使っています。今回はR-とL-を入れ換えますので,左から一つ目と右から二つ目を図のように入れ換えると上手くいきます。

 具体的には,まずL側は白い線を外して左端にハンダ付けします。次にR側は白い線を外し,右から二つ目にハンダ付けします。これだけです。

 改造によるデメリットはなく,付属のアンバランスのケーブルも当然使えますし,音質の劣化なども理屈の上ではありません。(ただ,渡りケーブルって結構抵抗値が大きいので,左右のジャックを差し替えると音が変わるかも知れませんが,それは無改造でも同じ話です)

 当然のことですが,純正のバランスケーブルは全く使えなくなります。

 MDR-1Aが2014年,フォステクスのバランス接続のアサインが決まったのは2017年のT60RPがきっかけですから,これだけの時間差ならMDR-1Aにあわせてくれてもよかったように思います。実質的にMDR-1Aのアサインが標準になっていますしね。

 ということで,作業そのものは5分もかかりません。分解もこれまでのT50シリーズと基本的には同じ方法ですので,イヤーパッドを外して上下左右の4本のビスを外してしまえば,パカッと本体が2つに分かれます。

 するともう先程の基板が見えてきますので,ハンダゴテで筐体を溶かして泣いてしまわないように慎重に配線を入れ換えます。

 終わったら組み立て直してテスト。まあ,間違いようがない改造です。

 ということで,改造によってバランス接続が出来るようになったわけですが,さすがにその差は歴然。セパレーションが上がった事で,それぞれの楽器の輪郭が明確になりました。これだけ違うと,出来るだけバランスで繋ごうと思うようになりますね。

 そんなに難しい改造ではなく,元に戻すのも簡単,綺麗にまとまるのに副作用はありませんので,同じような問題で頭を抱えている方がいらっしゃったら,この方法で解決するのもありだと思います。


 ところで,数日使ってみてT50RPmk4の印象が変わって来ています。楽器の分離の良さや定位,すーっと高音が伸びて行く感覚はさすが平面振動板と思うのですが,あれほど違和感を感じずに使っていたMDR-M1STが,もう我慢ならないほど嫌な音になっていました。

 いやほんと,慣れるって恐ろしいと思うのですが,今慣れているヘッドフォンから別のヘッドフォンにしたときに,やはり差が大きなと思うものほど,それに慣れたときの反動は大きいもので,戻したときに「ひどい音だ」と思う前に,変えたときにも「こりゃひどい」と思うものです。

 今回のケースだと,MDR-M1STからT50RPmk4に変えたときに「こりゃひどい」と思ったなら,T50RPmk4に慣れた頃にMDR-M1STに戻して「嫌な音だ」と思う事に何の不思議もありません。

 しかし,今回は違っていました。MDR-M1STからT50RPmk4に変えたときには,高域が良く出ているなという印象こそあったものの,とてもバランスが良い音に聞こえたのです。この段階で私は,MDR-M1STに近い音にチューニングされていて,モニターヘッドフォンというのは,最終的に同じような音に収れんしていくのだなと思ったのです。

 しかし,T50RPmk4にすっかり慣れてからMDR-M1STに戻すと,もうその違いが絶望的で,本当に嫌になるほどでした。高音がどうの低音がどうのという話ではなく,もう音がざらついているというか,聴くに堪えないというか,そんな印象に変わっていたのです。

 理由はよくわかりませんが,とりあえずT50RPmk4が,現在のうちの常用機になることは決定しました。MDR-M1STは決して悪いヘッドフォンではないと思うし,そこは間違っていないと確信もするのですが,どうもT50RPmk4に前にはくすんで見えるということだと思います。

 

LCDコントローラ基板を壊したので修理する

  • 2024/05/14 11:24
  • カテゴリー:make:

 昨年8月から放置している物に,iPad2のLCDを再利用しようと画策して購入したLCDコントローラ基板があります。

 VGA入力やHDMI,今どきDVI入力まで装備しているのは結構なのですが,VGAも31kHzからしか対応しませんし,LCDも1024x768という懐かしい解像度ということもあり,今ひとつ使い道が浮かばないこと,加えてむき出しでは使い物にならず,何らかのフレームかケースに入れないといけないということで,どうにも手が伸びない状況にありました。

 ですが先日,突然思い出したようにApple][plusに電源を入れてみたところ,このLCDがフィットするんじゃないかと試して見たところ,案外上手くいきそうだったので使い道の1つが見つかった感じがして,そろそろケースを考えないといかんな,と思っていたのでした。

 そんな流れの中,Apple][の調子が悪くなり,冷えているときには起動に失敗し,暖まってくると今度はRAMが化けるという,結局いつもまともに動かないだけではなく,その原因が時間と共に変化するという最悪の状況に陥り,場当たり的な対策に時間を取られてしまいました。

 一段落してから,ふと目に入ったiPadのLCDに繋いでみようと思ったのが失敗の始まりで,配線の取り回しに手間取り,バックライトのインバータ基板がメイン基板にちょっと触れたようなのです。

 すると画面が消え,電源ランプも消えてしまいました。

 まあ,ちょっとしたショートだろうと再度電源を入れ直しますが,表示は消えたままです。

 どうも,壊してしまったようです。

 安くない買い物だったこともありますが,こういう特殊なものは,動く物に出会うことも結構大変で,初期不調や故障はもちろん,そもそものLCDとのマッチングの問題もありますから,今動いている物を壊してしまったことは,とてももったいないことです。

 やってしまったものは仕方がありません。それほどの価値のないLCDですので,このまま廃棄するしかないでしょう。

 いやまてよ,どうせ捨てるなら,ちょっとだけ調べてみるかと,故障の原因を調べてみました。例えばヒューズが切れているだけなら交換するだけで済みますからね。

 目視でヒューズらしい物を探しますが見当たりません。残念ながら簡単には修理出来ないみたいです。

 ならばと,ACアダプタを差し込んだ状態であちこちの電圧を測定してみます。5Vとシルクのあるランドには5Vが出ています。しかし,3.3Vと書かれたシルクのランドは0Vです。

 これは本当に0Vなのか,ただGNDとショートしているのか,そこが問題です。故障の原因がショートや過電圧なら電源ICの破損かも知れず,そうだとするとICの出力端子が壊れてしまってGNDに落ちていることも考えられるでしょう。

 と,当たりを付けてテスターで導通を探っていきます。するとやはり3.3VはGNDとショートしていて,その原因はどうも5ピンのICのショートにあるようでした。

 このIC,周辺に2.2uHのコイルがあることや,5Vが入力されていることから,どうも3.3Vに降圧するDC-DCコンバータのようです。このICを外してやると,3.3VはGNDとのショートがなくなりますので,コイツが壊れたということで間違いないでしょう。

 このIC,残念な事にマーキングを調べても型名は不明で,ICの交換で修理出来る道は難しそうです。

 で,3.3Vのランドをテスターであたっていると,近くにLDOっぽい空きランドがありました。このLDOのランドはノーマウントなのですが,その端子にはGND,5V入力,3.3V出力が繋がっていて,しかも配置や大きさがLM1117とぴったりでした。

 800mAまでのLDOですから,結構大きめなんだなと思いつつも,DC-DCではなくLDOを使う場合も想定してランドだけ用意してあるというのがヒントになり,とにかくここに3.3Vを突っ込んでやれば修理出来るかもしれないと,いろいろ考えてみることにしました。

 まず,仮説が正しいかどうかを確かめるために,手持ちのLDOを繋いで見ます。ただ,LM1117とコンパチなLDOはなかったので,TA48M33を無理矢理繋いで試してみます。

 これで動けば100点,動く事がなくとも,スタンバイに入ってくれれば80点という所でしょう。結果はなんと動作しました。元の通りApple][の我慢が表示されています。

 このまま使うことも考えたのですが,LDOが触れないくらいに発熱しています。このLDOの能力(500mA)を越える可能性がある発熱ですし,そうでなくとも消費電力は大きくなるので,別の方法を考えましょう。

 手っ取り早いのはLM1117を入手すること。これがマウントされた評価ボードが見つかったので外して移植すればいいんですが,発熱の問題はある程度解決するとしても,消費電力の問題は捨てきれません。

 ということはDC-DCを使うことですが,ここでもう少し柔軟に考えを進めてみます。なにもこの基板にそのままマウント出来るようなものでなくても,小基板にDC-DCを組み立て,ここから配線を飛ばせばいいんじゃないかと。

 しかし,降圧のDC-DCなんて自分で組み立てたことはありませんし,そんな部品も買った覚えがありません。でも長年電子工作をやってきた人間ですので,一応探してみると,どういう訳だかトレックスのXC9236の3.3Vのものが出てきました。

 早速データシートを確認すると,FET内蔵,電圧固定式で外付け部品はコイル1個とコンデンサ2個ととてもお手軽です。効率92%,電流は600mAまで引ける上,私の持っているものでも発振周波数は1.2MHzと高速なためコイルが小さくて済むと言う,なかなか優秀なICでした。

 コイルは4.7uHが推奨値でしたが,手持ちにそんな値はなく,10uHを使うことにして実験開始です。多少の発熱も吸い込める両面の基板を使い,さっさと組み立てて実験を開始,ありがたい事に5V入力で3.3Vがさっと出てきてくれています。

 電流を600mAくらいまで引っ張っても安定して3.3Vが出ています。保護回路が働く直前の状態でリップル(ノイズ)は100mVp-pくらい出ていますのでかなり怪しいですが,500mAくらいまでなら全然余裕です。優秀ですね。

 TO-220くらいの大きさで作ったDC-DC基板を,LCD基板の隙間においてジャンパを飛ばし,一応ショートしてないかどうかだけ確認して電源を投入します。

 幸いない事にトラブル無くLCDに表が出ました。指で触って見たところほとんど発熱もなく,電圧も安定しています。2時間ほど使ってみましたが問題なく動作してくれたので,これで修理完了とします。

 正直,こういうトラブルで壊した基板を修理する人は少ないと思いますし,実際に修理が出来る人というのもそんなにそんなにいないでしょう。世の中には多くの部品があふれていますが,システムLSIやカスタムICでない限り,同じような働きをするICにいくつもの品種があるというのが実際で,置き換え可能な互換品でなくとも,同じ機能になるように回路設計を行えば,案外手持ちの部品でどうにかなるものです。

 さて,こういう話があったわけですから,なんとかディスプレイとして完成させたくなりますよね。もともとアクリル板か写真立てを使ってフレームを作って,きちんと仕上げようとおもっていたのですが,ハードルを下げてApple][専用のLCDとして使っても良いと考えています。

 安いスマホスタンドにLCDだけくっつけて,基板はその辺に固定しておくだけでもう十分でしょう。あまり欲張りなことをすると計画が進まず作業が進みませんし,無理に始めれば失敗しますから,ここはもう割り切って,とにかく形にすることを終戦したいと思います。

 

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