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訳あり品でスピーカーを作ってみた

 昨年は12月に入ると急に寒くなってしまい,思いつきで始めた工作が寒さとの戦いになってしまったのですが,無事に年内に終わってホッとしています。

 なんの工作?スピーカーですよ,スピーカー。

 何年かに一度,急にスピーカーが作りたくなって手を出すのですが,結局使い道がないまま押し入れにこっそりしまい込まれてしまう,可愛そうな奴です。

 ラジオ用の5cmのスピーカーをプラケースに入れただけのものを起点に,粗大ゴミのステレオセットから取り外したスピーカーを3mmの薄いベニヤで作ったエンクロージャーに入れただけの2ウェイで自らの木工技術の低さを思い知り,その後は大人らしくパイオニアのPE-101に専用のエンクロージャーをセットで購入,歴史に名を残すフルレンジの実力を堪能しました。

 大人の科学だっと思いますがスピーカーユニットの組み立ても面白がって試したし,その後雑誌の付録のユニットを使って,これも雑誌の付録だったバックロードホーンのエンクロージャーのキットを組み立ててみたこともありました。

 いつかは試してみようと思っていたバックロードホーンと,中学生の頃から買う機会をうかがっていたフォステクスのユニットを念願叶って買って作ったのはいいものの,やはりレンジの狭さや乾いた音に抵抗があって,結局押し入れに肥やしになっています。

 その間完成品のスピーカーもちょいちょい買ってみたのですが,結局B&WのCM1,KEFのQ350,それからJBLのSTAGE A120(これはペアで16000円以下とは思えない音がしました)あたりが結局生き残り,自作品は完全にしまい込まれています。

 しかし,自作品が期待通りの性能を出し実用品となることを目指して歩んできた工作人生,スピーカーでもなんとか「これならどうだ」と思うようなものを作って使ってみたいと思っていたところへ,偶然面白そうなユニットを見つけてしまいました。

 NFJという会社が「訳あり品」として激安で販売しているユニットに,ケブラーコーンの10cmウーファーを発見しました。これに組み合わせると面白そうなシルクドームツイーターも激安です。

 ウーファーは細かいスペックはわかりませんが,ケブラーですから安い物ではないでしょう。大きなマグネットもしっかりした低音が出そうな感じです。フレームにゆがみなどがあるという事で,お値段1つ1980円。

 分かっている範囲でスペックを書くと,コーンはケブラー,エッジはゴム,フェライトマグネットでインピーダンスは4Ω,定格入力は40Wで最大80W,口径は4インチで101mm,重さは955gです。

 一方シルクドームツイーターはキズがあるという事で1つ1280円。なんとデンマークの老舗Peerlessの物だそうです。ほんまかいな。

 高域は20kHzは余裕,正面なら40kHzもクリアするという特性が謳われていますが,なによりシルクドームならではのとげの刺さらないしなやかな高音が期待出来そうです。

 こちらのスペックはそれなりに公開されていて,口径は1インチ,シルクドーム,マグネットはネオジムでインピーダンスは4Ω,入力は80Wで最大160W,再生周波数は2.5kHz~20kHz,F0は1084.63Hzで能率87.8dB,重さは46gとのこと。

 ペアで揃えても6500円。これは安い。失敗しても悔しくないです。

 ということで早速購入,こういうものはスポット品ですので,欲しい時に買うのが鉄則です。(といいつつ随分昔から在庫があるようですが)

 手元に届いたユニットは,ウーファーがフレームのゆがみとエッジのへこみがありましたが音は正常です。ツイーターはキズがありますがこれは気にならない程度でした。

 どっちもいかにもいい音が出そうな感じです。

 しかし,ここで苦手な木工と向き合わねばなりません。私の場合,綺麗に切断できず隙間だらけになったり床と3点でしか接しないなんてことが起きてしまいますし,塗装も下手くそですのでいかにも素人の工作になってがっかりです。

 その前に材料の調達も大変です。近所にホームセンターもありませんし,かといって自動車もありません。材料が手に入らず加工も苦手と来ればもはや話にならないわけですが,そこで登場するのが我らが自作派の味方のフォステクスの「かんすぴ」です。

 かんすぴは安価なユニットとエンクロージャーを組み合わせて自作のスピーカーを作るというありがたいシリーズなのですが,標準的なバスレフのエンクロージャーが大きさで何種類か選ぶ事が出来,しかも吸音材やターミナルまで取り付け済みという手軽さが素晴らしいです。

 登場時は本当に安くて心配になるほどでしたが,ここ数年は頻繁に値上げが行われていて,私が購入したP1000-Eはすでに1本3740円になっていました。それでも十分安いと思うのですが,これを年末のクーポンを使って直販サイトから購入しました。ちょっと容量が足りない気もしますが,まあなんとかなるでしょう。

 さて,ここからが本番です。

 まず,ユニットの動作確認です。音は出ることは分かっているので,エンクロージャーとの相性を見ます。仮組みしてウーファーだけをスイープでならしてみますが,60Hzあたりでもバスレフポートからバフバフと大きな音圧が出ています。これはなかなか良さそうです。DR-100mk2(PCMレコーダをです)でスイープさせた音のレベルを測定してみますが,上も4kHzくらいまでなら-3dBまで出ていそうです。

 ここにツイーターを3.3uFを介して取り付けてみますが,高音が出てくるだけで輪郭もはっきりしてくるし,みずみずしさも出てきます。多少耳障りな感じもしますが,ボーカルの定位も抜群で,期待度もうなぎ登りです。

 ツイーターの位置を前後させてウーファーとの干渉がないような位置を探すのですが,どうもツイーターの位相を逆にした方がバッフル面と同じ位置に出来そうで好都合です。低域カットのコンデンサは3.3uFにすべきか2.2uFにすべきがで悩みましたが,まずは3.3uFで進めることにします。

 さて,エンクロージャーを加工せず,ツイーターは上面に乗せておくだけというのも考えましたが,ここはもう少し手をかけましょう。ちょうどバスレフポートがツイーターの大きさとぴったりだったので,ここにツイーターを置くことにします。

 するとバスレフポートが潰れますので,これは背面に移設します。ウーファーを下に配置したいので天地をひっくり返すため,ターミナルも上下を反転させて取り付け直しましょう。

 全体の計画が見えてきたところで,早速加工開始です。まずエンクロージャーの中に手を突っ込んでポートを力尽くで外します。木工ボンドで接着してあるだけですので割に簡単に取れます。

 そしてもとのバスレフポートと同じ高さの背面に25mmの穴を開けます。MDFですのでサークルソーを使えば簡単です。

 穴が開いたらポートを裏側で接着しこのまま一晩放置。

 バスレフポートが完成したら,ウーファーの取り付け穴がこのままではちょっと小さいので加工します。ただ私はこういう時専用の工具も器用さも持ち合わせていないので,ゴリゴリとカッターで広げていくほかありません。

 このウーファーはフレームとエッジの間が狭く,あまり穴を大きくしすぎるとバッフルとの間に隙間が出来てしまいます。すり鉢状にして広げる必要があるのですが,そこはどんくさい私の事,真円にならず綺麗に仕上げることが出来ませんでした。

 気を取り直してツイーターです。これは元バスレフポートの穴がそのまま使えるのでここに取り付けることにしましょう。

 さて,ここまで来ればあとは配線の準備です。ターミナルから出ているケーブルを取り外し,ターミナル側の圧着端子にコンデンサをハンダ付けします。もう一方の圧着端子とコンデンサの足から配線を引っ張り出し,新しい圧着端子を付けてツイーター用とします。これで配線終了

 作業がやりやすいようにまずツイーターから取り付けます。先に圧着端子をツイーターにはめ込んでから,amazonで調達した木ネジでバッフルに固定します。

 そして重いウーファーを配線して取り付けて完成です。ターミナルをひっくり返すことも忘れずにやります。さあ,音を出してみましょう。

 アンプはかつて雑誌の付録になったラックスのアンプです。これ,ホントにいい音がするんですが,こういう場合にもってこいの手軽さも持ち合わせているので助かります。

 ・・・なかなか良いではないですか。

 P1000-Eは121x243x179mmで3.6Lという小さいエンクロージャーなのですが,このサイズには似合わないたっぷりとした中音域と,物足りないながらもタイトな低音,そして耳障りの良い伸びやかな高音が出てきます。ウーファーとツイーターの繋がりはいまいちなのですが定位感は抜群で,特にニアフィールドではまさに楽器が点で聞こえます。

 この大きさで,自作品,それも1万円ほどでここまでの音とは・・・素晴らしい。

 なにより,私が好む傾向の音です。これは何よりも代えがたい魅力です。ちょっとポンポンいいますし,高音も出すぎているのでドンシャリの向きはありますが,なにより位相が揃っているので定位は抜群,音の艶と言いますか,立体感も申し分なく,低音も無理をしないでしっかり出ているのでとても楽しいスピーカーです。

 しばらくならして当たりを付けたあと,ウーファーをツイーターの重なり部分を減らす目的で,コンデンサを2.2uFに減らしてみます。高音はやや引っ込みますが,ウーファーが担当する中域が広がりより自然に。

 よし,これでいこう。90cmのテーブルに並べて,1mほどの距離で2時間ほどいろんな音楽を愉しみました。硬めの木材を足にして浮かせてやれば,低音がぼやけずにしっかり出てきます。

 大きな編成のオーケストラはさすがに厳しいですが,楽器の分離がよいので5,6人までのジャズコンボにはその表現力で,ロックは元気の良さと中域の豊かさで楽しく,いつまでも聴いていられる音が出てきます。そしてボーカルの再現性がとても良くて,ちゃんと歌っています。市販品でもこれ以下のスピーカーなんていくらでもあるんじゃないでしょうか。

 ということで,今回のスピーカーの自作は大成功です。音の良さもそうですが,この大きさであることもとても重要です。見た目もケブラー特有の黄色いコーンが格好よくて,うまくまとまっていると思います。

 さて,今回つくづく思ったことが,スピーカーのサイズによってスピーカーの間隔が決まるということです。

 よくベストなリスニングポジションは,左右のスピーカーの間を一辺とする正三角形の頂点の場所だといいますよね,そこに座ってみると,スコッと真ん中が抜けてしまうことがあります。

 この時,スピーカーを大きな物に変えてみると抜けなくなるんですが,先程の抜けてしまったスピーカーがダメなスピーカーかといえばそんなことはなく,もう少し正三角形を小さくして近づいて聴けば,見事に立体的な音像が浮かび上がるわけです。

 違いはなんだといえば,それはスピーカーの大きさです。スピーカーからの距離が離れれば離れるほど,小さい口径のスピーカーでは点音源に近づいてしまい,中が抜けるのではないかと思います。

 だから,大きな部屋なら大きなスピーカーを,ニアフィールドなら小さいスピーカーを選ばないといけないんだと,ようやく気が付きました。

 あれほどいい音がするCM1をリビングに置くとどうもいい音がせず,Q350にすると定位が向上するのが不思議だったのですが,やっぱりスピーカーの大きさという単純なパラメータが影響しているように思います。

 また,特にウーファーの口径は,距離が離れるほど大きくないといけません。ヘッドフォンのドライバの口径が小さいこともそうでしょうし,小さいスピーカーも近くで聴けばしっかり低音が出ていることに気が付くのも,このことの証でしょう。

 そんなわけで,今回の自作は成功で,スイープで周波数特性を見た事,ツイーターの位置で位相を調整したこと,コンデンサを繋がりを調整したことなど,なかなか良い経験をさせてもらいました。

 結果,ケブラーコーンへの期待を裏切らない,実に良いスピーカーが完成しましたし,さらにいうとスピーカーの大きさとリスニングポジションの問題も関係性が見えてきたように思います。

 そして最後に,フルレンジにはフルレンジの良さがあるとは思いつつ,やっぱり小型スピーカーなら2ウェイだなあと思いました。

 とまあこんな良い成果を上げたスピーカーですが,やっぱり置く場所がないのでしばらくは押し入れの肥やしです。次に登場するのはいつになることやら。

古いテスターMD-150Cをレストア

 少し前の話になるのですが,古いテスターを手に入れました。サンワのMD-150Cです。

 1982年生まれですから実に40年も前のもので,わずか3.5桁,レンジ切り替えは手動ですし,導通チェッカーもブザーもありません。当然容量計もダイオードチェッカーもありませんし,高圧に対する安全規格が出来る前なので,カバーなどの対策もないくせに1000Vまで測定可能という恐ろしい仕様です。

 兄弟機としてMD-200Cがありますが,これはテスターの手前側にオプションを取り付けると,温度やhFEなどを測定する事が出来るという拡張性を備えていました。MD-150Cは拡張性がない代わりに,DC20uAのレンジを備えています。

 今のテスターが持っていないもので,MD-150CやMD-200Cが持っているのは,その薄型のデザインでしょう。私は小学生だった当時,MD-200Cをみて格好いいなあと思ったのですが,それが今でも心のどこかに引っかかっていたようで,同じデザインを持つMD-150Cを手に入れた時は,久々にワクワクさせられました。

 思えば,当時はアナログテスター最後の時代で,CMOSタイプのLSIによってデジタルテスターが作られるようになったこの時期,ようやく安価で実用の高いデジタルテスターが登場して,徐々に置き換わりつつありました。

 アナログテスターは測定器の定番として,プロも現場で使っていますから,その形や操作方法はどれも同じようなものになっていて,あまり代わり映えがしなかったように思います。(しかしサンワのBX-85TRのようなアナログテスターは,薄型で色も形も格好良かったです)

 しかし,デジタルテスターはメーターのような可動部がないので部品レイアウトの自由度も高く,高さに制約のある部品がなかったことから,大きさも厚さもデザインもいろいろ試せたんじゃないかと思います。

 それから40年,今見るデジタルテスターは,どれも同じようなものになっています。プロが現場で使うと,安全で確実なデザインになっていくということでしょう。

 MD-150Cは,そうした試行錯誤があった時代の製品です。なんと言っても厚さがわずか20mmしかありません。カード型のテスターならこれくらい珍しくもなんともないのですが,テスターリードが交換可能なテスターでこの厚さは今はもうないでしょう。

 LCDは数字しか表示されず,単位の表示さえないシンプルなものですが,文字の大きさは今のテスターと変わりません。余計な情報が出てこないだけ視認性は高く,当時のLCDらしい独特の下地の色がレトロっぽくて好印象です。

 レンジ切り替えは自動ではなく,アナログテスターと同じく手動切り替えです。しかしこのロータリスイッチは良く出来ていて,そのまま回せばクリック感がありますが,少し押し込めばクルクルと軽く回転するので,レンジ切り替えもスムーズです。しかも大きくて操作しやすいです。

 電源スイッチは側面のスライドスイッチなのですが,これがまた使いやすいです。オートパワーオフがないのもよいです。

 もう1つ特徴的なのは,抵抗レンジで印加される電圧を2種類から選ぶ事が出来ることです。Hiだと1.2V,Loだと0.35Vで,通常は精度と速度から1.2Vを使いつつ,回路に入ったままの状態で抵抗を測定するときや,定格電力の小さいものを測定するときなど,電圧を下げたいときにはLoに切り替えます。

 この機能は使う人も少ないのか,今どきのテスターには搭載されていませんが,使いこなしという点で私は今でも欲しい機能です。

 そしてなにより,この格好良さです。色はクリーム色で,僅か20mmの厚さに今のテスターに見慣れた目からは平べったく目に映る幅広のボディです。レンジ切り替えが手動ですから,機能ごとに淡い色でまとめられた,たくさんの文字がわかりやすく書かれたパネルが,いかにも測定器らしくてワクワクします。

 この時代の測定器ですから,調整や自分で出来るように配慮されていました。内部の2つのVRで,直流電圧と交流電圧を調整する方法が説明書に記載されていました。

 さて,手に入れたMD-150Cは随分汚れていて,触るのも憚られるほどでした。傷だらけでしたし,クリーム色の筐体はすっかり日焼けして茶色くなっていますし,パネルの文字も薄くなっています。テスターリードもありませんでした。

 電池をとりあえず入れてみると動くようなので,早速分解して洗浄しました。そしてこの忌々しい日焼けをなんとかするために,レトロブライトを敢行しました。

 結論から言えば今回のレトロブライトは失敗です。漂白の程度が上ケースと下ケースで違ってしまったので組み立てるとツートンカラーになってしまいました。

 それに,パネルの文字はますます薄くなり,特に赤の文字はほぼ消えてしまいました。SANWAのロゴも消えましたし,淡い色のグルーピングもすっかりなくなっています。

 かなりがっかりしましたが,これを対策するのは難しいので,LCDの上にかかっている風防を磨き,組み立てを済ませました。一通りの動作確認をした後調整を済ませて,精度の確認です。

 もともと3.5桁ですから精度もクソもないのですが,一応いつものようにHP34401との比較をやってみたいと思います。

 いつもの標準電圧発生器の出荷時の値は以下の様な感じです。

2.500V・・・2.50165V
5.000V・・・5.00302V
7.500V・・・7.50454V
10.00V・・・10.00533V

 測定日からすでに7年も経過しているので,ズレていても仕方がないのですが,あらためて現在のHP34401Aを調べてみますが,1年前の値と比べてもほとんど変わっていません。

2.5018V
5.0034V
7.5052V
10.0063V

 次にHP34401Aの現在の値と,MD150Cとの比較です。

2.50V -1.8mV -0.0719%
5.01V 6.6mV 0.132%
7.51V 4.8mV 0.064%
10.02V 13.7mV 0.137%

 桁数が少ないのでどうしても差が出てしまいますが,それでもこの精度です。HP34401Aを3.5桁に丸め込んだら5Vと10V以外はドンピシャ,十分実用レベルです。

 表示の更新速度はこの時代のものとしてはごく普通の2回/秒で,この点は少々残念ですが,連続した変化を読み取るにはアナログテスターを使えと,使い分けが当たり前だった時代であることを考えると,特に悪い物ではないように思います。

 使い勝手でいえば,繰り返しになりますが横にある電源スイッチが使いやすいです。ロータリスイッチを回すタイプの淵源スイッチが多い中,片手で電源を入れることが出来るというのはなかなか便利です。

 そんなわけで,制度面でも問題なく,電流を含めた豊富なレンジを持ち,使いやすく見た目も格好いいMD-150Cは出番が多くて,すっかり私の常用機になっています。これ一台で何でも出来るという絶対性能の高さはありませんが,ちょっとした測定に便利で,いつも私の手元においています。

 逆の言い方をすれば,テスターなんてのはこの程度の性能があればそれでもう十分なんじゃないかということでしょう。

 昨日,MD-150Cを使っていてふと思ったのは,高価でもこれを当時手に入れていれば,もしかしたら別の人生があったかもなあ,ということでした。高校生の時に手に入れた初めてのデジタルテスター(そして人生で2台目のテスター)であるRD-500も随分と活躍してくれましたが,これがMD-150Cだったら,もっと測定作業が楽しくなったんじゃないかと思ったのでした。

 

XD-S260の修理

 先日からカセットやLPレコードなどの音源をデジタル化してFLACにするということをコツコツとやっているのですが,この作業はとにかく時間がかかるのが問題です。

 楽しい音楽ならいいのですが,必ずしもそうではないところが「すべての音源」を目標にすることの厳しさで,まるでお経を聴いているかのような気分になることもしばしばです。

 だから途中で嫌になってやめてしまうのですが,数年するとまた「そろそろやるか」と重い腰を上げることになります。今回もわりとそういう間隔で始まった気がします。

 ここで数年というブランクが引き起こす悲劇があります。FLACにしたファイルの格納場所を忘れてしまい,デジタル化していないと勘違いしてもう一度取り込みをやり直してしまうことです。

 今回も,ふとDATの音源を探してみると,なんとMP3に変換した物しか見つかりません。当時はMP3で圧縮するのが容量的にベストであったとしても,今はそんなことで情報量の欠落を言い訳出来ません。やり直すしかないなあと,うちのDATデッキに目をやります。

 うちのDATデッキは,ソニーのDTC-59ESJと,アイワのXD-S260です。XD-S260の方が先に購入し,DTC-59ESJはいよいよDATが市場から消えるというタイミングで,バックアップとして買いました。

 このXD-S260は私にとっては画期的な一台で,これが当時のエアチェックの問題のすべてを解決してくれたのでした。

 FM放送を録音することをエアチェックといいました。今でこそFM放送は録音する価値などないものになりましたが,1980年代や1990年代は,FM放送でしか聞けない音源が流れていました。代表的な物はスタジオライブでしょうか。

 特にNHK-FMのスタジオライブは,当時でも音の良さで定評のあった505スタジオで録音されたものが毎週かかっていて,出演者のレベルの高さと相まって,本当に素晴らしい音源でした。今でも楽しく聴けてしまうのがすごいです。

 問題はこれをどう残すか,でした。もちろん,FM放送をそのままカセットに録音すれば良いだけなのですが,1時間の番組を切れ目なく録音することは出来ません。必ず裏返す必要があります。

 しかし,きっちり30分で演奏を切ってくれるわけもありませんし,裏返す時間がかかってしまうと,次の演奏の頭が切れます。それに,ただただ裏返しただけだとB面の録音時間が短くなってしまいますから,出来ればギリギリ,ベストなのはB面を巻き戻してから録音することです。(この点で言えばオートリバースデッキは役に立たない機能だったと言えます。)

 最後まで録音できなかったという最悪の事態はもちろん,ライブですから,MCも含めて切れ目がないのが楽しいのに,切れ目があるととても残念ですよ。

 そこで,一度出来るだけ長い高音質のテープに録音し,あとでダビングすることを思いつきました。とはいえ,当時のカセットデッキはA-450と,ジャンクの再生専用の改造カセットデッキだけですし,高音質のテープに120分のテープは売られていませんから,90分のテープを使っても,どっかで一度は裏返す必要があるのです。(裏返すのではなく別のテープの交換すればよかっただけではないかと,今思いつきました・・・)

 ところが,そうやって時間の問題を解決しても,ダビングによる音の劣化が問題です。まともなカセットデッキがなかった当時はもう深刻で,せめてメタルテープが使えたらと何度持ったかしれません。(A-450はメタルテープは使えないのです)

 ある日,日本橋でアルバイトをしていた私は,休み時間に近くのニノミヤムセンのオーディオ売り場を見ていました。すると,特価品としてXD-S260が忘れもしない,39800円で売られていたのです。夢にまで見たDATが,たった4万円で買える!

 悩むことなく買って帰ってから,その素晴らしさに感動しました。DATは標準録音時間がが120分ですから,1時間の番組など余裕です。16ビット/48kHzのリニアPCMですから,FMの音なんか「そのまま」です。いわば,私のためだけに再放送を何度もやってもらうような感覚なのです。

 ここから劇的にスタジオライブの録音品質が向上しました。当時の録音を聴いていると,A-450しか持っていなかった時でもDATからの録音だと十分音楽として聴くに堪えうるものが残っています。

 使っていて思ったのは,XD-S260はなかなか優秀で,ミニコンポサイズで安っぽい外観ではありましたが,音質もナチュラルでしたし,なんといっても信頼性が抜群でした。ドロップアウトもほとんど経験していませんし,DATにありがちなテープを傷めることはなく,安心して使うことが出来ました。

 その割には動作はキビキビしており,DTC-59ESJ等ではイライラさせられることもしばしばです。

 DATは,一応互換性は保たれている物の,やはり録音したデッキで再生するのが一番安定します。XD-S260で録音されたテープが多いのですから,XD-S260を出来るだけ維持しておきたいと思うのも人情です。

 一度,大がかりなレストアを数年前にやってはいるのですが,この時はベルトの交換と電解コンデンサの交換だけでした。電解コンデンサはこの当時の常として四級塩電解コンデンサの漏液がありましたが,基板の破損まではなかったので軽く見ていたのです。

 今回,久々にXD-S260を引っ張り出してみたのですが,やはり動きません。

 あれ,なんで私ワクワクしてるんだろう・・・・

 そんなわけで,修理開始です。症状はテープのトレイが出てこないからスタートです。

 トレイが出てこないのは想定内で,これはベルトが切れているか緩んでいるかです。交換すれば済むだけの話なので簡単で,あとは外観を綺麗にしたら終わりかなあなどと緩く作業をやっていました。

 しかし,テープが無事にロードされても,再生をしようとするとCAUTIONが出て全く動きません。これはなかなか面倒な事になってきました。

 注意して見ていると,早送りや巻戻しは出来る時があります。しかし再生は全くダメで,テープが回っている様子もありません。ということはキャプスタンかピンチローラーです。
 
 指でキャプスタンのモーターを回してみますが,なにから擦っているような感触があります。キャプスタンもーたーをメカデッキから取り外してみると,やはりローターがなにかと擦れているようです。

 モーターの故障ですから,普通はここでもう終了なのですが,諦めないのが私の良いところ。モーターを分解して見ると,ステーターのコイルに擦れた跡があります。何らかの理由で,どうもローターとコイルが接近しすぎたようです。

 理由が思いつかないのも気持ち悪いですが,ローターのマグネットを貼り付けた両面テープが膨らんだとか,コイルが広がったとか,いろいろこじつけることは出来るでしょう。とにかく擦れないようにスムーズにキャプスタンを回すことが最優先です。

 よく観察すると,キャプスタンの端っこを固定するベアリングは,スリーブの先端にねじ込む構造になっていて,ネジロックのペイントで固定されています。ここを調整すればいいんじゃないかと回してみますが,すでに目一杯回っています。ぐいっとねじ込んだらローターの擦れは軽減されますが,どう頑張ってもこれが限界です。

 本当に仕方がないので,壊す気持ちで紙やすりで削り,ネジがもう少し奥まで回るようにしました。これで組み立てると擦れることはなくなりました。

 しかし,あまりスムーズに回りません。どうも,ねじるときに歪んでしまったようで,軸受が一直線上に並ばなくなってしまったようです。モーターにとっては致命的でしょう。

 これももう仕方がないので,スムーズに回る向きと角度を出しながら,少しずつ指で曲げていきます。かなりスムーズになったところで深追いはやめました。やり過ぎると,ポロッと折れてしまいますからね。

 で,この修理したキャプスタンとモーターをメカデッキに戻してみますが,ローディングが完了せず,時間表示も出ないうちにCAUTIONが出ます。これもまた厄介です。

 よく観察すると,ドラムが回転していません。おかしい。再生でなくとも,ローディングした最初にはドラムは回っているはずです。そうしないと時間を読み取ることが出来ないからです。

 ということは,ローターを回すモーターです。ローターから出るフレキを見ると,もう切れそうになっています。何度も付け外した結果です。

 ルーペで見ると,1本は既に切れているようです。フレキ切れは致命傷ですが,この頃のフレキは太いので修復が可能です。フレキの被覆を削って銅箔を出し,ここに直接細いウレタン線をハンダ付けして修復です。

 組み立ててみるとローターは回っており,ローディングから時間の表示まで問題なく進みます。これで治ったかなあと思ったのですが,再生すると3秒ほどでCAUTION表示が出て止まります。いや,テープのたるみもなくて,なにもCAUTIONになるような状況はないんですが・・・

 早送りも巻戻しも7秒ほどでCAUTIONですので,これはリールのセンサだろうと思いつきましたが,センサ自身がどこにあるのかわからなかったのと,きっと光学式だろうからちゃんと回路図を読まないとダメだろうなと,ここで一度諦めました。

 翌日,回路図を眺めつつ,海外のオーディオ機器の修理趣味人が集まる掲示板を見ていると,全く同じ症状をXD-S1100という機種で経験し,修理を完了した人を発見しました。

 XD-S1100はXD-S260の兄弟モデルで,メカデッキと主要な電気回路は共通です。この人によると,巻取側か供給側のどちらかのリールのセンサからの入力が基板の腐食で断線していて,これをくっつければ治ったということでした。

 回路図を追いかけると,確かにリールセンサはTR8とTR9というトランジスタで受け
マイコンに入っています。早速マイコンとトランジスタとの接続を見ますが,ここはOK。

 続けてセンサが繋がるコネクタとトランジスタを見ますが,こちらもOK。ならばとトランジスタ周辺の回路を見ていると,供給側のリールセンサ出力とTR8のエミッタ(つまりGND)との間に入る22kΩの抵抗が浮いているようで,エミッタはGNDに繋がっているのに,抵抗は断線してGNDから浮いています。

 これが原因です。おそらく電解コンデンサの漏液で,電解液が基板を腐食し断線を招いたのでしょう。抵抗の値も25kΩとおかしくなっていたので交換し,抵抗とエミッタと配線して繋ぎました。

 組み立てて試すとバッチリOK。再生も巻戻しも早送りも問題ありません。ドロップアウトなどの経年劣化による症状もなく,すっかり元通りです。

 丸一日ずれ込みましたが外観を綺麗にして,それからベトベトになったACコードも交換して,修理完了です。

 これで気持ちよく使えるなあと思っていたのですが,一部耐久性の良くない酒類のテープでドロップアウトが発生してしまうようです。同じテープはDTC-59ESJでは跳ばないので,再調整が必要になっているのだと思います。(DTC-59ESJは再調整を数年前に行っていますがXD-S260は全くやっていません)

 しかし,通常のテープは全く問題ありません。夢のDAT同士のダビングも出来るような環境に戻ったことに満足し,このプロジェクトは終了。

 ちなみに,MP3にしてしまったという音源は,再録音を終えた後でサーバーの置くからFLACになった物が発掘され,結局DATを修理する意味がなくなってしまいました。

 XD-S260の調子は以前ほど良くはないようです。DTC-59ESJの調子が良いのでまだ安心していられますが,もう30年も前のメカものですからね,いつ壊れてもおかしくありません。

 でも,DATは私の音楽生活を一変させた,夢のマシンです。ゆっくりゆっくりテープが回って,そこからとんでもない音が帯出すという不思議な体験は,今もってしても新鮮な感激があります。

 メカですから,いつかは壊れます。致命的な故障は簡単に起きるでしょう。それまでは,なんとか維持しておきたいと思います。修理は楽しいですしね。

 そうそう,そういえば,XC-HM86がまた壊れたようなんです。新品を買ってすぐに壊れた時と同じ,CDのトレイが出てこないというやつです。

 この時はモータードライバの破損という事だったのですが,あまりに修理がずさんで新品に変えてもらうというすったもんだがありました。

 同じ問題がまた起きたので,調べてみると同じような故障が頻発しているようです。傾向不良というやつですね。設計ミスなのか部品の不良なのかはわかりませんが,回路図を見る限りこんなところが壊れまくるというのは,メーカーの設計技術も下がった物だと思います。

 代替品で修理出来るかと思いましたがそういうわけにもいかないようで,同じ部品を手配中です。11月上旬には届くと思いますので,届き次第修理に取りかかりましょう。

 

GX-Z9100EVのメンテ

 さて,私の相棒GX-Z9100EVですが,右チャネルの録音が出来ない問題はさすがに放置できず,とりあえず分解することにしました。

 しかし,何度か録音を続けているうちに正常に録音出来るようになってしまいました。問題が出なくなってしまったので対策が打てなくなってしまい,残念ですがこの件はこのまま終了してしまいました。

 これでしばらく使っていたのですが,巻戻しと早送りが満足に出来ない問題が気になって不便で,これはもうアイドラーゴムを交換しないといけないだろうと,交換用の部品を手配しました。

 久々のメカデッキの分解ですのでもう忘れていますが,ヨタヨタしながらアイドラーを交換し,メカデッキを組み立て直します。が,なかなか上手く組めません。こんなに下手だったかなあと呆れてしまいますが,2時間もかかってどうにか組み立てました。

 次は起動時のカタカタ対策です。モード切替カムの調整不良と考えて,サービスマニュアルに従ってVR1とVR2を調整しますが,むしろ悪化してしまいました。プーリーを触ってみるとピタッと止まるので,単なる調整不良とは言えないようです。

 ちょっと詳しく書きますが,モード切替カムにはボリュームが同軸に繋がっていて,回転角に応じた電圧が制御回路に入ってきます。各モードに応じた電圧がマイコンによって生成されますが,これとボリュームが作った電圧が一致するようにサーボがかかってモーターが回転してモードが切り替わるという仕組みです。

 このサーボというのがミソでして,カタカタ音というのは行きすぎと戻りすぎを繰り返してしまうことで発生しています。行きすぎと戻りすぎというのはつまりサーボの発振ですから,位相かゲインを調整しないと根本対策は難しいです。

 では劣化が進むとなぜカタカタ音がするのかといえば,おそらくこれはベルトが緩むからだと思います。ベルトがきついと回転負荷が大きく,これにあわせたゲインでは当然問題はありませんが,ベルトが緩むとゲインが大きすぎて発振するというわけです。

 調整点をずらすなどいろいろ試しましたが,カムの位置がずれるなら本末転倒ですし,かといってベルトはまだまだ使えますから,ここはサーボのゲインを落とす事をやってみました。R420の300kΩを小さくするとゲインは下がります。そこで820kΩをパラ付けしたところ,カタカタ音はなくなり,ピタッとカムが所定の位置からずれることなく止まるようになりました。気持ちいいですね。

 本当はアジマスも調整したいのですが,ちゃんとしたテストテープもありませんし,これでこれまでのテープの再生に支障が出てしまえばそれも悲しいですから,実害がないうちはこのままでいくことにします。

 これでまだデジタル化できていないテープを再生して取りこんでいくのですが,さすがに録音から30年も経ているとテープそのものの劣化も進んでいます。レベル変動も左右別々で起きますし,そのことでDolbyも正しく動いてはくれません。カビなどはありませんが,前回(2016年)に行った時に比べて,やはり劣化は進んでしまっているというのが印象です。

 前回はすべてのテープを録音することが出来ずに途中で投げ出してしまいましたが,今回はそういうことを言ってはいられません。とりあえず手元にあるテープはすべて取りこんで,どうしても程度の悪いもの(こういうものが出てきたのも今回の録音が初めてでした)でCDが手に入りそうなものはCDを買うと言うことを行うようにしました。

 それにしても,1990年代中頃,土曜日の夜にNHK-FMで放送されていたジャズのライブ番組をたくさん残してあったのですが,そのクオリティの高さには驚くばかりです。今や大ベテランとなった方々がまだ30代という脂ののった時期に行ったライブは,とても貴重だと思います。

 すでにこの番組はなくなっているようで,とても残念な気がするのですが,結局CD化されているものについては後でお金を出せば手に入るわけで,お金を出しても手に入らないFMのライブ番組というのはとても貴重なものだったと思えるだけに,こういう点だけは昔の方が良かったなあとしみじみ思います。

Walkmanの修理~その6~WM-805(2つ目)編

 8月から突然始めたWalkmanの修理ですが,今回のWM-805(2つ目)で一区切りです。もともと最初に手に入れた赤のWM-805が再起不能なものだった場合を考えて予備(と部品取り)で2台も手配した黒のWM-805ですが,赤のWM-805が苦労の末復活したことと,黒のWM-805が2台もあることから,せめて1つくらいは復活させようと思ったのでした。

 2台の黒のWM-805は,1台は筐体の程度が悪く印刷がなくなっています。もう1台はキャプスタンが派手に錆びていてこのまま利用するのは難しいでしょう。ピンチローラーはどちらも片側が変形しています。

 基板は1台が完全に壊れているのに対しもう1台は正常ですが,正常な基板にくっついているモーターは固着していて回転しません。

 ということで,文字通りニコイチで復活させることにしました。キャプスタンを選別し磨いて取り付け,モーターを交換してベルトをかけます。ピンチローラーも交換しておきます。

 これで動かしてみますがやはり基板の不良です。2枚あるどちらの基板も当時よく使われたの四級塩の電解コンデンサが液漏れしており,基板や部品を壊しているようです。もちろんそれらの電解コンデンサは交換してましたが,基板のうち1つはクロックの発振が安定しないという症状が出ており,直すのも面倒ということで別の基板と交換しました。

 とはいえ,基板の交換はフレキのハンダ付けを外して付け直す必要があるため,そんなに簡単にできません。壊さないように慎重に作業を進めて基板を交換し,通電して動かせばとりあえず問題なく動いてくれています。

 あとはテープスピードを調整し,完成です。

 一方,筐体の方は普段使いを考えていたため,綺麗に仕上げるつもりはなかったのですが,重曹につけ込んでベタベタを取り除いたら白っぽくなってしまい,結局クリヤーを吹き付けることになりました。

 抗して仕上げると,かなり綺麗になったと思います。ただ塗膜はただのラッカーですから,爪があたっただけで傷がついてしまいます。もったいなくて普段使いをしにくくなってしまったなと思います。

 ということで,これにて一時期夢中になったWalkmanの修理は一区切りです。あとは実際に使うことを考えたいところですが,そのためにはGX-Z9100EVで20年ぶりに録音をしないといけません。

 早速録音前の儀式であるキャリブレーションを行ったところ,BIASの調整が全然出来ない事が判明,調べてみると右チャネルの録音が全く出来ないことが判明しました。

 嫌な予感はしていたのです。製造から30年も経過したカセットデッキですし,10年ほど前に電解コンデンサの交換はしたものの,ゴム部品はそのままですから,どうしても不安はあります。

 調子を見てみると,かつて録音されたテープの音質は十分ではあるものの,前述の録音不良があります。しかも早送りや巻戻しが満足に出来ない状況ですし,電源投入時やストップモードにしたときの「カタカタ」が頻発してなかなか終わってくれません。

 そしてさらに,別件で押し入れを見たとき,大量の録音済みカセットテープが出てきました。A-450時代の録音も含め,テープはMA-Xを筆頭に,ハイポジションからノーマルポジションまで様々な種類がありました。

 中心はTDKで,MAとSA-Xです。そういえばSA-Xは物理的に弱いテープで,ドロップアウトが起きやすいテープでした。

 AXIAのPS-IIs(ダブルコーティングのやつ)も大量に出てきましたが,これは低音から高音までバランス良くとてもいい音で感心しましたし,マクセルの安定感は当時と変わらない素晴らしさです。XLI-Sはずっしりと重く,音も素晴らしいです。

 変わったところで,AIXAのSD-Masterが出てきました。これはFMエアチェック用のマスターテープに使っていたもので,わずか数回使ったところでテープのキズによりドロップアウトが発生し引退,FM802の開局記念放送をただ残しておくという次の役割に甘んじていたテープです。

 正直そんなに性能のいいテープではありませんし,当時のフラッグシップモデルというのもハーフにお金がかかっているからじゃないかと思うのですが,短命だったことを考えるとAXIAらしい垢抜けた感じもなく,音質もの特筆すべきものがありません。

 当時の事を思い出すと,PS-IやPS-IIが繰り返しの使用に耐える堅牢性を持っていたので,AXIAはエアチェック用のマスターに向いているかもと考えて,そのフラッグシップモデルを買ったということのようです。

 音質も普通でしたが,なにより期待していた堅牢性に裏切られたことで,私の中でAXIAは3番手に落ちたのでした。

 マクセルはUDIやUDIIでもいい音がしますが,XLIやXLIIは別格です。しかも安いテープでも物理的な堅牢性をちゃんと持っているので,結局ここが一番だったのかもなあと思います。

 TDKはMAとSA-Xが中心で,なかなかお金をかけていたんだなと思いますが,SA-Xはドロップアウトがすぐに発生しますし,MAもそんなに耐久性があるわけではありません。しかしMAはこれぞメタルテープと思わせる破綻のない音ですし,SA-Xは超低ノイズで繊細な音が素晴らしいです。

 今改めて聞いてみると,当時毛嫌いしていたノーマルポジションが実にいい音がしていることに気付かされました。ノイズの多さだけは問題ですが,大入力が入った時の破綻のなさからくるダイナミックレンジの広さは素晴らしいです。

 まだデジタル録音できていないテープがザクザク出てきました。懐かしいNHK-FMのセッション93などもたくさん出てきましたので,コツコツと録音していきましょう。

 GX-Z9100EVのメンテもやり直さないといけないですし,なかなか大変です。

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