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ちょっとした編み物ブーム

 昨年のことですが,娘がお世話になっている学童で,編み物をするとアナウンスがありました。小学1年生の娘が,手編みのマフラーなど出来るはずもなく,少なくとも私はやらないものだと思っていました。

 しかし,本人はやる気です。友達もやると言ってるらしいです。学童の先生も「大丈夫です」と言い切ります。聞けば,機械を使うとのこと。

 機械?

 編み物の機械と言えば,編み機です。多数の編み針が並んだ上を,ハンドルの付いたキャリッジが左右に行き来する,あれです。

 確かに,左右に動かすだけなら子供でも出来るかも知れませんが,それでも機械編みは教室に通って習って初めて出来るものです。だから大人がほとんどやるんだろうと思っていました。

 始まってみると,その機械というのはなにやら手作りという話です。ますますわからなくなり,現場を見せてもらいました。

 すると,ペットボトルを半分に切り,割り箸を何本か立ててものを使い,これに毛糸を引っかけて,筒を編んでいます。リリアン編みというやつですね。

 娘は2日でポンポンまでついたマフラーを完成させて,上機嫌です。

 これに味をしめた娘は,正月番組のCMで見た「ラブあみ」なるおもちゃを欲しがりました。これ,編み機というより,機織り機です。

 確かに面白そうだと思った私は,度重なる我々両親のうっかりを埋め合わせる事もあり,早速リサーチを開始します。しかし複数ある商品セットごとの構成や価格の違いがわからず,また買い足すオプションで何が出来るようになるのか理解出来ず,この商品は却下しました。

 代わりに買ったのが,リリアン編みの本格的な道具である「ニットクイックルーム 帽子作成編み台」です。ペットボトルを使った自作品では,ペットボトルの太さの筒しか編めません。マフラーは出来るかも知れませんが,太いものが欲しい時,あるいは帽子はお手上げです。

 そこで4サイズの輪っかがセットになってるこれを使えば,すでに習得した技術で帽子を編めます。実はこれが本命でした。

 しかし,これだと「ラブあみ」と違うという指摘に抗しきれません。そこで用意したのが,上位機種と考えて良い「モコもじオリーナ」です。

 縦糸と横糸のある機織り機ですが,パンチカードによる文字や図形を織り込む事が出来る優れものです。パンチカードってのが痺れますよね。

 で,これを探しているときに,偶然見つけたのが「あむかわアミーナ」です。

 そう,これこそ,あの機械編みを行う編み機を,子供向けにアレンジしたものです。

 私の母親も,他例に漏れずまるでギターかキーボードかと思うような大きな編み機を担いで教室に通い,機械編みをマスターしていました。大きく重くかさばり,機械で編める部分は速いけど,それ以外の部分は手作業になり,トータルではそんなに楽できないという根本的なことに気が付いて,母親も熱が冷めてしまい,引っ越しの際に編み機は処分されたことを覚えています。

 なら,なにが編み機の魅力だったのかと思えば,やはり既製品と同じような風合いが手作りで得られる事にあったのでしょう。手編みが尊ばれ,その風合いこそ正義とされる現代においてはにわかに信じがたい面もありますが,当時は既製品が高価で,手作りの理由が「安い」ことだったことで手作りが既製品よりも低く見られる風潮もあって,自作派は一歩でも工業生産品のクオリティに近づこうと頑張っていたのです。

 だから,「レストランの味をご家庭でも」という触れ込みで編み機が入り込むことも,まあわからなくはなく,しかし次第に変化する価値観の中で,すっかり忘れられた存在になっていました。

 と思っているのは私くらいのもので,確かに編み機は30年ほど前に最終製品が出てから消えてしまいましたが,今でもマニアはメンテをしながら使い続けているそうですし,最終品はフロッピーディスクで図案を流し込めるようになっているらしく,これをハックしてUSBでPCに繋げるようにする改造が海外で報告されるや,任意の画像を毛糸を編んで描画できる「プリンタ」として,maker達の間でブレイクしているらしいのです。

 本当かどうか知りませんが,6本の色を切り替えて,キャリッジをモーターで動かす事の出来るようなバケモノのような編み機も存在したらしく,これは稼働するものが世界に数台というレアモノで,伝説となっているそうです。

 一方で,特に女の子向けのおもちゃとして,手作り道具をオモチャにした物の再販がここ数年で続いています。確かに私が子供の頃には,こうしたクラフト系のオモチャがたくさんあったように思うのですが,しばらく見ていませんでした。

 私たちが子供の頃は,親がやっていることを真似したくて,それで親の道具をオモチャにした物が人気を保っていたのだと思いますが,やがて大人が自作をせず,価格の下がった高品質の既製品を買うようになって,子供がこれらに憧れることがなくなったのでしょう。

 しかし,ここ最近,本質的にモノづくりが大好きな子供達の間でブームが到来し,織機や編み機が復活しているという話を聞きました。だから,「モコもじオリーナ」も「あむかわアミーナ」もここ数年で出た新製品ですが,我々と同じ世代の反応は「持っていたものと同じだ」「いやはやなつかしい」となってしまうわけです。

 まあ,こうしてブームは回っていくものです。私としては,知らずに育ってしまった世代と知って楽しんだ世代の違いが,なんだかんだで大人の都合だったりすることを理不尽だと思いつつ,我が子にこうした機会が訪れたことを素直に喜んで,買うことにしたのです。

 ところが,このうちあむかわアミーナについては,ちょっと様子がおかしいのです。元の値段が1万円超えなのに,特価で1500円です。いくらなんでも安すぎます。

 レビューを見ると,星1つの最低のものがならんでいます。読めば最悪だの子供が泣いているだの欠陥品だの金返せだの責任者出てこいだのと,もう散々です。

 確かに機械編みは難しく,道具も調整が必要なものですが,それらを簡略化した子供向けのオモチャが,話にならないほどの完成度というのは大手メーカーの製品としては信じがたいものがあります。

 しかし実際この価格ですし,調べてみるとクレームが殺到し販売中止になっていることから,まるっきりウソでもなさそうです。つまり,売る側と買う側の想定がズレていたということでしょう。(その原因は価格である事も忘れてはなりません)

 なら,過度な期待をしないで使いこなして見ようと意気込んで,自分用にあむかわアミーナを買ってしまいました。

 週末に少し時間が出来たので,家にあった毛糸を使って試してみました。

 ・・・全く編めません。

 なにより精度が出ておらず,キャリッジが引っかかり進みません。無理に動かすと針が曲がってしまいます。

 なんとか頑張ってみましたが,2時間格闘して8段が最高記録です。

 で,説明書をもう一度見てみると,7号の棒編みの毛糸は使えるが,アクリル100%はダメとあります。手元の毛糸のラベルを見ると,アクリル100%でした。

 ならばと付属の少し細い毛糸で試してみたら,サクサク編めます。いや,おもしろい。

 確かに説明書通りで,欠陥ではないんでしょうけど,本当ならアクリル100%でも編めるようにするべきなんでしょうし,買う側はそれを期待しますよね。

 機械編みとは言え,あむかわアミーナは針の数も少なく,目も粗いですから,糸は太くないと実用的なものを作る事ができないでしょう。

 良く出来ているなあと感心する反面,おそらく昔のまま再版されたこの商品は,十分な検証もされず,また現代のニーズや購入者のスキルを推し量ることが出来ずに,欠陥商品扱いを受けることになったんだろうと思います。

 機械編みは前述の通り,手動で操作する部分がかなりあります。特にセーターなどは袖の部分の太さを変えるところや袖のゴム編みなど,完成までに大変な手間がかかります。

 私はニットを作る趣味はなく,むしろ苦手ですのでこうしたものを完成させることに興味はありませんが,キャリッジを左右に動かす事でなぜ1本の糸が面になるのかをようやく知る事が出来て,それでもう満腹になっています。

 私が平編みや模様編みを綺麗に出来るようになったら,娘に払い下げる予定です。娘は実用品を作る事を目的にしているので,きっとあむかわアミーナも使いこなして。マフラー何かを作る事をするでしょう。

 父親としては,それがどこの馬の骨かもわからん奴のために作られることがないように,心から願っています。


 追伸:モコもじオリーナは娘も面白がって遊んでいます。パンチカードで模様が編めることもおもしろいらしく,寝食を忘れて編んでいるのですが,いかんせん最初と最後やミスをしたときのリカバーを自分で処理できず,結局母親の手を患わせてしまうので,買い与えた私は不評を囲っています。

 しかし,娘は自分の祖母に名前入りのマフラーをプレゼントしたいらしく,一生懸命です。けなげだと思う一方で,自分の作ったもので他の人が喜ぶことの楽しさを味わってくれて,私はよかったと思っています。

 

地デジとBSを安定して受信する作戦

  • 2018/12/10 10:16
  • カテゴリー:make:

 さて,さらに良好な受信状態とシンプルな配線で高い信頼性を得るために,アンテナまわりの改善を進めているのですが,ようやく決着しました。

 前回までは,地デジとBSを外で混合し,引き込んだケーブルに地デジブースタと15Vの電源を挟み込んで暫定運用としました。

 この問題点は,地デジブースタがBSを減衰させるので高周波帯でレベルが大きく低下して映らなくなる,電源が別の地デジブースタの付属品なので供給能力が低く,BSコンバータを安定して駆動出来ない,の2つです。

 そこで,地デジブースタを広帯域増幅器に置き換えて,地デジもBSもまとめてブーストする作戦を考えました。

 以前1000円くらいで買ってあったDC~2GHzの広帯域アンプ基板を引っ張り出し,地デジブースタの代わりに入れます。すると,地デジもBSもレベルは上がるのですが,ノイズも多いらしくC/Nが絶望的に稼げません。

 そこでこの案はボツ。基板上のMMICをかつて秋月で買ってあった高性能なSGA-4586に載せ替えてみます。SGA-4586は4GHzまでの動作を謳うMMICで,ゲインも高く,NFも優れています。

 すると,まずまずのレベルとC/Nです。これならいいんじゃないかと手応えを感じ,以前作ったFMブースタと中身を入れ換えました。ついでに15Vの電源を貫通するような仕組みもいれて,BSコンバータはテレビから給電されて動くようにします。

 完成して設置をしたのですが,全然映りません。

 15VのショートやMMICの破壊など,いろいろなミスが重なって動かなかったのですが,どういうわけだか期待された信号レベルとC/Nを出す事が出来ず,このアイデアはボツになりました。悔しい。

 元に戻してつくづく考えたのですが,挟み込んでいる地デジブースタがBSの信号を減衰させ,15Vの電源を通さないことに問題があるんだからとシンプルに考えた結果,地デジブースタを地デジアンテナの直下に置く事にしました。

 電源が付属していたという地デジブースタは屋外設置用のもので,ゲインは小さめですがNFが小さく,C/Nは稼げそうです。しかし直下に置くものなので,高所での無理な姿勢による作業という大きなリスクがあります。

 しかし,もう家の中に閉じこもっていてはいけません。私は外に飛び出し,ブースタを取り付けて家の中に戻ってきました。

 しかし,地デジが映りません。混合器の電流通過スイッチをOFFにしていたせいで動かなくなっていました。スイッチをONにして電源を通します。

 すると無事に地デジもBSもまずまずのレベルで映るようになりました。電源供給能力の高いテレビからの15Vに切り替えて,これでシステム完成,と喜んでいました。

 しかし,どうも時々別の部屋に設置してある地デジPCが録画に失敗するようになりました。そうです,どうもテレビの15Vは,自分の電源がOFFになると15Vも止めてしまう仕様になっていたのでした。

 説明書を読んで常時給電にできないか調べてみましたが,出来そうにありません。暫定的に地デジブースタ付属の電源を挟み込みましたが,これは給電能力が低くて,危険です。

地デジPCからも電源を供給すればよいのですが。PT3からの供給にも不安があるし,それにテレビもPCも止まれば動かなくなるというのでは根本解決にはなっていません。

 それに,15Vの供給が2箇所から同時に行われるケースは,本当に大丈夫かわかりません。逆流防止用のダイオードがはいっていないなら,電圧印加を検出して自分の電圧を止める仕組みが必要ですが,そんな仕組みが貼っているとはどこにも書かれていません。

 そこで,電源供給のための電源器を探してみます。安いものは2000円ほどでありますが,ちょっと信頼性に不安があります。15Vで500mAほど供給出来ると安心なのですが,そうしたものはやはり5000円を超えます。

 実は強力な地デジブースタとセットの方がちょっと安いくらいとわかりましたが,さらに調べると,BSも地デジもまとめて強力にブーストするブースタが9000円で出ている事を発見しました。

 BSももともとレベルが高くなく,BSの受信機を増やせば厳しくなることは目に見えていたので,この機会に地デジもBSもしっかり増幅して,受信機の増設にも耐えられるようにしておくことに方針変更です。

 話が大げさになってきましたが,このブースタ「GCU433D1S」は,混合器に43dBという強力なブースタを内蔵した屋外設置対応品で,これを今の混合器に置き換えてやればすべての問題が解決しそうです。

 作業は屋外なので日中しかできず,土日にやるしかないのですが,先日ようやく作業がおわりました。

 結果ですが,信号レベルを上げるとC/Nが思った以上に悪化しますし,BSでは低い主波数より高い周波数の方がゲインが高いようで,低い方で上限ギリギリに合わせると高い方でオーバーしますから,何度かゲイン調整のために外と中を行ったり来たりする羽目にはりました。

 この際だからと地デジアンテナの向きも再調整し,気になる事は全部片付けてゲインの調整を行ったのですが,結果としてはレベルはしっかり稼げてもC/Nはそんなに改善されず,悪くないと言う程度におさまりました。

 分配器を1つ追加してもしっかりとレベルは稼げていますし,C/Nも安定していることをみると,ブースタの設置は概ね期待通りであったと思います。

 この系に,FMアンテナからのVHFもFMブースタで増幅してから混合器で混ぜてやり,分離せずそのままFMチューナーに突っ込んでいますが,分配器を増やしたせいか少しレベルが低下しています。しかし,チューナーのRFプリアンプをONにすれば問題なし。ノイズも小さく,良好です。

 振り返ってみれば,新築時に地デジだけ見れればいいやと,壁面アンテナを付けてもらって,最小限度の部屋に分岐しただけの最安のシステムだったものが,BSアンテナ設置にブースタによる送り出しとLNB電源の常時給電と,フルシステムになったのでした。

 BSアンテナも,もしかすると屋根裏に置く事になるかもと,少しでも高感度を期待出来る50cmを選びましたが,こうやって屋外に出し,しかもブースタを付けるなら安い45cmでも全然大丈夫だったはずで,これは失敗だったかも知れません。

 ブースタも,43dBのゲインを持つ,UHFとBS/CSに対応したものは本来3万円位するものですし,ゲインを調整出来る仕組みも本格的なものです。これが9000円だったのですからそこは満足で,それは結果にも現れています。

 これでしばらく大丈夫でしょう。そのうち,電波をアンテナでつかまえてテレビを見るなんて話がなくなると思いますし,作業そのものはなかなか楽しかったですし。

 これで年末年始は,テレビ漬けです。

 

 

DR-100mk2のLCDも交換出来た

  • 2018/11/29 14:17
  • カテゴリー:make:

 さて,先日DR-100m3を買って満足という話をしましたが,DR-100mk2のLCDを修理して使う選択肢も捨ててはいません。

 LCDに横線が入ってしまってもPCMレコーダとして機能するわけですし,捨てるのはちょっと考えられません。ですがこのままでも実質使えないわけですから,なんとかしないと思うのもこれまた自然な流れです。

 ただ,mk3を買って満足の私には緊急度は低く,いつまでにないと困るという時間的制約もなければ,最悪壊れてもいいやと思うくらいの緩さが,アマチュアの流離らしいなと思います。こういうのは楽しいものです。

 ドライバICがガラスから浮いていたりしないかなあと考えてぐいぐい押してみたり,熱をかけて溶着を試みたり,透明電極の切れ目を補修できないかと擦ってみたりと悪あがきをしますが,当然のことながら事態を悪化させただけで終わってしまい,完全に表示が出なくなってしまいました。

 うーん,全く表示がでないと,もうどうにも使い物にならん。

 ここに至って,私から我慢して使うという選択肢が消えてなくなり,LCDを交換するという事でしか,DR-100mk2を復活させられないことになりました。

 とはいえ,前途は多難。前回も書きましたがLCDは特注がほとんどで同じ物が普通のお店で買えたりはしません。

 互換性のあるものを探そうにも,LCDの動作電圧,接続インターフェース,ドライバICの種類の違い,ソフトの互換性,パネルごとに違う設定の最適値の違い,透過率,サイズ,コネクタの形状と,同じ物は1つとしてないといっていいくらいです。

 例えば,同じドライバICだったとしても,そのドライバから出ている信号がすべて外部に出ているとは限らず,せっかくドライバICがI2C,SPI,4bitパラレルに対応しているのに,コネクタに来ているのはI2Cだけとか,そういうことがあります。

 信号も同じなのに,LCD駆動電圧の昇圧方法のオプションの違いで,最適なパラメータが違ってきて,そのままでは真っ黒とか,そういうこともあります。

 実際,同じような品種だろうとソフトを流用してうまくいかなかったという例はいくらでもあり,まさに死屍累々。パラメータを少し修正すれば済む場合も多いのですが,今回のようにファームウェアをいじれない場合はもうお手上げです。

 とまあ,取りかかる前からお手上げなんですが,先の見えない遙かな地平にこぎ出して,私がようやく見つけたのがaitendoのLCDでした。

 まず。mk2のLCDの品種からLCD単体の仕様を探します。全く同じ品名ではないのですが,形状や大きさ,ピン配置からこれだろうと思うものが見つかりました。案外,完全なカスタム品種ではないのかも知れません。

 そしてこのLCDに搭載されているドライバISを探ります。するとサムスンのものと判明。これに互換性のあるドライバICは幸いにも多いです。

 今度はこうしたカスタムLCDが何故か流れてくるお店を片っ端から探します。これまた幸いなことに,aitendoで,一回り小さいが同じピクセル数,同じドライバ,同じインターフェース,同じ電源電圧のものが見つかりました。

 とはいえ,ピンの数や配置は全然違います。あくまで4線式SPIというだけで,昇圧回路の構成も異なる可能性が高いです。

 ドライバICのコマンドを見比べて見るとこれは大丈夫。

 1つ400円ほどの安いLCD(実は何度か特価されてもっと安いときもあったらしい)ですので,壊す気でためしてみましょう。

 このLCDの仕様書を見て,電源周りのコンデンサを直接フレキに付けていきます。これで電源関係は配線完了です。オリジナルのLCDはV1からV5まで電圧が外に出てきていて,それぞれにコンデンサがぶら下がっていました。

 次はSPI関連の配線,そして3.3VとGNDを細いポリウレタン線で引っ張り出し,DR-100mk2の基板に仮にハンダ付けします。

 ワクワクして電源を入れますが,全く表示が出ません。

 やっぱりダメか・・・と思ったのですが,とりあえず配線ミスを調べたところ,SPIの配線が入れ替わっているのが発覚。これを修正すると,なんとまあ綺麗に表示が出たじゃありませんか。

 

20181129141833.jpg

 あとはもう勢いです。古いLCDとバックライト部を分離し,LCDを交換します。やや小さいので光が漏れないようにテープで遮光し,フレキをうまくたたんで基板に取り付けます。よし,問題なし。

 今度は筐体です。これが一番大変でした。

 LCDが小さくなったので,そのままでは表示エリアから外が見えてしまいます。ですから一回り小さい枠を目隠しとして用意する必要があります。

 いろいろ手を考えましたが,結局マスキングテープで範囲を区切り,上ケースの窓の枠を黒の塗料で塗りつぶすことにしました。ガンダムカラーエアブラシシステムが今回も大活躍です。

 マスキングが少なかったり,せっかく塗った塗装が剥がれたりと何度か失敗しましたがなんとか決着をつけ,無事に組み立て完了。

 まさか,ここまでうまくいくとは思いませんでした。というか,こんなチャレンジをしようなどと,普通はバカらしくて思わないでしょう。

 しかし,期せずしてDR-100mk2も使える状態になってしまいました。案外安く修理が出来たのもうれしいですが,それ以上に自分の工夫が功を奏して,ここまでうまくいったことがうれしく,その意味での愛着が加算されたような感じです。

 この手のLCDは,自分でソフトを書く人にしか縁がないと思っていましたが,案外こうした用途にも使える事を知って,私も勉強になりました。

 

1700円のデジタルテスタも較正してみよう

  • 2018/11/21 10:30
  • カテゴリー:make:

 較正失敗による大ピンチをなんとか乗り越えたDL2050,Errで使い物にならなかったFLUKE 101の復活,そして新しいFLUKE 101やアナログテスタも含めた,測定結果の統一と,なかなか今回の測定器祭りは良い結果に繋がっているのですが,最後の仕上げとして先日中国から届いたばかりの新鋭機,ZT109も較正を試みます。

 実はこれもFLUKE 101と同様,較正の方法がよく分かっていません。海外の掲示板でそれらしい記事を見たと思ったら質問だけで回答がなかったりと,較正を行うことにたどり着けないので,較正データをバックアップした上で試行錯誤を試みました。

 これもおそらくですが,世界で最初にZT109の較正に成功したアマチュアではないかと思います。

 では早速その方法を,といきたいところですが,その前に見つけた改造記事があって,これがとても参考になったので私も改造を行います。

 やっている改造は,ZT109の電源の強化と,基準電圧の品質向上です。書いてしまうと全然違うことをやっているようですが,実は同じ事を対策しています。

 まず電源の強化ですが,このままだとノイズが多いのだそうです。そこで電源ラインに0.1uFと1uF,そして10uFのセラミックを追加します。

 次に基準電圧ですがの品質向上ですが,電圧リファレンスIC(ICL8069)の出力に入るコンデンサが,このICのデータシートの推奨値に全然足りないらしく,これをデータシート通りにするため,0.1uFから4.7uFのセラミックに交換します。,

 本当は電源ラインの電解コンデンサを低ESR品に交換することも書いてあるのですが,私の手元にあいにく100uFの小型で低ESR品などなく,これはあきらめました。

 やった人は,これで34401Aなみになったよと書いていましたが,電源のノイズを取って精度が向上するというのもちょっと考えにくく,私の場合は案の定結果になにも変化はありませんでした。ただ,小さい電圧の測定ではその精度や安定度に差があると思いますし,理にかなった改造なので,これはぜひやっておきたい改造です。

 さて,ここまでやってから,較正を行います。

(1)まず裏蓋をあける。基板をむき出しにしたまま電源を入れることが出来る構造なので,FLUKE 101のように外部電源を用意しなくて良い。

(2)基板の右上にあるJP1をハンダでショート。これでCALモードに入る準備が出来た。

(3)おもむろにロータリスイッチを回して電源を入れる。

(4)セルフチェックが走ったあと,画面になにやら数字が出るがADCの読み取り値らしく,無視してよい。その後ほっとくとErrが出るが,これも気にしなくて良いが,Errが出てしまうと先に進めないので,右側のSELボタンをErrが出る前に押して,CALモードに入る。

(5)較正したいファンクションを選ぶ。ここではDC電圧を較正する。

(6)左側のRANGEボタンでレンジを選ぶ。FLUKE 101と違って,各レンジで較正を行う必要がある。

(7)さて,ここからが肝心。ZT109に入ってるチップのDTM0660は,各レンジでの較正値を選べるようになっていて,基準となる電圧にあわせて調整が出来る。データシートにあるリファレンス回路では,その較正値をボタンで選べるようになっているが,ZT109はボタンが足りない。

(8)SELボタンを押すと,較正値が下がっていく。例えば,10Vレンジだと,9,8,7,6・・・と言う具合に,較正値が1Vずつ減っていく。

(9)そしてこれがミソなんだが,SELボタンを「長押し」すると,今度は1Vずつ増える。

(10)例えば5.000Vを用意し,10Vレンジを調整する場合,SELボタンを使って5.000Vを選んでやる。こうすると自動的に入力された電圧を5.000Vとしてプリセットしてくれる。

(11)同様に他のレンジでもやる。100Vレンジでも30Vくらいで較正すれば,とりあえず使いものになる結果が得られる。

(12)他のファンクションでも同じだと思うが,私はDC電圧以外に較正する必要性を感じなかったので,ここで較正を終了。電源を切ってJP1を切り離し,電源を再投入する。

 これで,較正は終わりです。

 うまく言葉に出来ない部分もあるのですが,EEPROMのバックアップをきちんと取ってから試行錯誤をやってください。しばらく触っているとわかると思います。

 さて,こうして較正を行った結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.506V 1.46mV 0.019454890%
10.00V -5.33mV -0.053271606%
 
 おお,さすが5Vでの値はこれ以上ないくらいの一致を見ています。また,10Vまでが同一のレンジだということで,7.500Vでも高い精度を誇っています。10Vについては,まあこんなものだと思います。

 このテスタは10000カウントですし,10Vは小数点以下2桁しか出ませんので,10mV単位です。ですからこのテスタでは10.005Vの電圧を測定すると,10.00Vと10.01Vのどちらかになるのが正常ですから,誤差の割合を見ることにあまり意味はないのかも知れません。

 ちなみに,較正前の値が以下なのですが,全体的にばちっとあっているのがわかります。

2.500V -1.65mV -0.065956469%
4.999V -4.02mV -0.080351468%
7.500V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 抵抗や電流も一応スペックに入っているので,変に較正を自分でやらない方がいいと考えておいたわけですが,DC電圧だけはこの結果を得たいがために,頑張って見ました。

 この数字を見ると,やって良かったなあと思います。これで,34401A,DL2050,2台のFLUKE 101,そしてZT109,アナログテスタが揃いました。気分がいいです。

 残念なのは,他のテスタについては,今のところあきらめるしかないということです。

 3.5桁のテスタはそもそも較正なんかしなくてもきちんと値を出してくれます。これがズレてしまうようなテスタはすでに較正など不可能なほどおかしくなっています。

 P-10も調整したいですが,これは内部の犯行低抵抗を回してもうまく調整が出来ません。なにかうまい方法があるんでしょうが,もう探す気も起きません。

 そもそも,家の中にテスタがゴロゴロしている状態というのも妙なストレスが溜まります。なんとかせねば。

 

Errの出ているFLUKE 101を修理

  • 2018/11/20 13:09
  • カテゴリー:make:

 秋です。測定器の秋です。

 アナログテスタをきっかけに,これまでにDL2050の較正が済みました。あきらめていたこれらの較正が出来た事で,一気に壁を突き破った感があります。

 DL2050の較正は,較正データを記録したEEPROMを直接いじるという方法を導入し,満足いく結果を得ました。この方法は,きっと他にも役立つはずです。

 というわけで,M68000のマニュアルに書かれた名文句"Break Away from the Past"を思い出しながら,これまでに頓挫したテーマに再度挑むことにしました。

 そう,FULKE 101の復活です。

 FLUKE 101は2014年に購入したもので,6000円程度で買える最も安いFLUKEです。最小限度の機能に絞り込んであり,見た目もとてもかわいらしいテスタです。でもそこはFLUKEらしく,作りはしっかりしていますし,内部もきちんと作られていて,安全面も偽りなしです。なによりFLUKE原理主義者を(ギリギリ)黙らせるそのご威光が最大の価値です。

 ところが,私にいわせると実力は今ひとつで,仕様そのものも中国製の安い測定器と同程度ですし,実力もその範囲にとりあえず入っているという感じです。FLUKE原理主義者が「あれは中華FULKEだ」と他のモデルとは区別したい気持ちもわからなくはありません。

 個人的にも,他のFLUKEだと較正方法が公開されているのに101(と106,107)は公開されていないところが,他とは完全に異なるポリシーを感じていて,良くも悪くも異母兄弟っぽい感じがするなあと思っていました。

 なにより,ここ2年ほど起動時にErrと出てきて,数パーセントの誤差が出るようになってしまい,もう使い物にならなくなっていたために,1700円の中国製テスタを買いましたが,もはやこれで十分に101の代わりはこなせます。

 ですが,このまま101を捨てておしまいにするのももったいないので,なんとか復活出来ないかと考えるのも,また自然な発想です。DL2050のように,正しいEEPROMの値を書き込んでやればきっと復活するはず,そう考えるととにもかくにも,手が動き始めました。

 まず,Errと出てしまう101からEEPROMを外します。24AA024という2kbitのI2CタイプのEEPROMが入っています。これを外し,AKI-PICで読み込みます。0xFFだらけでまともなデータが出てきませんから,やはりデータが壊れているのでしょう。

 先頭だけ0x00になっているので,ここを0xFFにするだけでエラーは出なくなりそうな気がしますが,それはぐっと我慢して,EEPROMそのものの物理的な破損がないかを確かめるため,いろいろなデータを書いて確認をします。

 結果,EEPROMは壊れていないことがはっきりしました。

 それならデータを正しいものにすれば問題は解決しそうで,誰か101のEEPROMデータをインターネットの海に放流していないかを調べてみますが,そういう違法行為をする人はいません。ほっとしました。

 なら,101に使われているチップのデータシートを探し出し,これにデータに関する記述がないかを調べるのが良さそうです。しかしこれも玉砕。そもそも101のチップがなにかも不明でした。きっとカスタムでしょう。

 そうなると,考えられる手段は1つ。もう1台101を買って,これからデータを吸い出し,書き込むことです。これなら違法性はありません。もう1台という所に抵抗がありますが,今は5000円くらいで買えるということもあり,修理代が5000円と考えたらまあ許せるだろうと,ポチりました。

 韓国語の純正ホログラムが貼られた怪しげな新しい101が届き,一通り動作確認をしてから早速分解して,EEPROMを摘出します。

 読み出してデータを保存,壊れた101のデータと比較すると,なるほど完全に壊れています。

 読み出したEEPROMはすぐに買ったばかりの本体に戻し,動作を確認します。

 続けて,古いEEPROMに新しいデータを書き込み,壊れた101に戻します。

 すると,Errは出なくなりました。予想通りですが,うれしいですね。

 これでとりあえず故障から復活したのですが,それでも誤差が大きすぎて使いものにはなりません。そうなると,EEPROMからデータを直接書き換えるか,真面目に較正をするかのどっちかになります。

 まあ,EEPROMのデータは残してあるので,適当に較正をやっても復活出来ますから,試行錯誤をやってみましょう。

 結果を先に書くと,うまく較正ができたのです。

 少なくとも私はこの情報を探し出すことが出来なかったので,ひょっとしたら世界で最初に101の較正方法を公開した記事になるかも知れません。

(1)電池を外し,奥にある「Calibration Seal」を剥がす。

(2)ミノムシクリップで電池を繋ぐ。電池を入れてしまうと,電池の奥にあるチェックランドに当たれなくなる。お奨めは外部に電池ボックスを用意し,ここから3Vを引っ張ってくること。

(3)101の電源を入れる。較正したいモードにスイッチを回す。ここでは直流電圧にする。

(4)電池ボックスの奥にあるS3というランドを,数秒間ショートする。

(5)ピーッと音がして,稲妻マークが出る。これがCALモード。

(6)さて,ここからが肝心。101はオートレンジという事もあり,通常のテスタのように各レンジで較正を行う必要はなく,なんと4.5Vだけを合わせれば,他のレンジもすべて合う。

(7)ということで,34401Aで4.50000Vにあわせた電源を繋ぎ,この状態でHOLDボタンを押す。ピーと音がなって,4.500という表示になるはず。これで較正完了。

(8)他のレンジの電圧も確認し,問題ないことを確認して,電源をOFF。これでCALモードから抜ける。

 私はやっていませんが,おそらく他のレンジでも同様のはずです。とはいえ,どの電圧(抵抗値)で較正を行うのかはやっていないのでわかりませんが,それは各自試してみて下さい。私はDC電圧だけ合っていれば,あとはそれなりでも構いません。

 結果,私がきちんと確認出来る50mVくらいから,30Vくらいまでの間は,ほぼ34401Aと同じ値が得られるようになりました。これはすごい安心感ですよ。

 そこで,新しい101も同様の方法で較正しました。これで,34401Aを基準に,2台の101とDL2050,アナログテスタが一致するようになりました。


 では早速,高齢の精度を調べてみます。

 いつものように,基準電圧発生器を使います。製造元で製造時に測定された値は,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 です。

 まずは,新しい101を較正した結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.50V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 続けて,古い101を較正した結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.49V -14.54mV -0.193749384%
9.99V -15.33mV -0.153218335%


 まず,4.5Vで較正を行った結果として,5Vでの精度は素晴らしいです。6Vまでのレンジであれば,この2つの101は同じ結果を出すと考えて差し支えないでしょう。

 問題なのは,レンジが60Vに切り替わってからの誤差で,新しいものは比較的まともですが,古いものはあまり良い精度ではありません。

 これは外部にある分圧抵抗の誤差が見えているんだろうなと思うのですが,それでも0.2%以内ですから全く問題ないと割り切ってよいでしょう。

 つまるところ,分圧抵抗の誤差をある範囲に入れることは出来れば,相対誤差はこの抵抗の誤差で決まり,絶対誤差については,ある1つのレンジをきちんとあわせ込めばその相対誤差範囲にすべて入ってくるという考え方です。

 ただ,較正というのは分圧抵抗の誤差も較正されるべきと私は考えているので,どれか1つを合わせて後は抵抗の誤差の実力で,というのは,いわばリファレンス電圧を合わせただけともいえ,なんとも中途半端な感じがあります。(そのかわり校正作業は楽ちんなわけですが)

 ついでにいうと,古い101の較正データはAC電圧は抵抗では新しい101の較正データがそのまま入っていますから,まったくあてになりません。事実,AC100を測定してみると1V程ズレていました。1%ほどの違いがあるという事ですので,これは結構大きいです。

 ただ,DC電圧で使うことがほとんどですし,それがこの精度で揃ったわけですから,これで誤差や精度を気にせず使う事が出来そうです。

 さて,2台の101がこのレベルで揃い,34410AやDL2050とも違いがなくなってくると,先日購入したZT109もこの精度が出るようにしたいですよね。

 チップセットこそわかっているのですが,較正の方法は相変わらず不明なまま,これで多機能な中華DMMをどこまで追い込めるのか・・・続きは後日。

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