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PC-1246メモリ拡張大作戦

  • 2008/02/01 01:02
  • カテゴリー:make:

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 機械語が使えない,グラフィックも使えない,実は4bitCPU,見るからに安っぽい,ってな理由でポケコンマニアからも見放されているPC-1246。私もPC-1245を中学生の時に手に入れて以来,PC-1246は邪道も邪道と,そんな風に思いこんでいました。

 とはいえ,大きさはPC-1245やPC-1251などと同じで小さく,実はBASICの処理速度はPC-1200シリーズ最速ときて,実用レベルとしてはなかなか高いポテンシャルを誇っているのもまた事実。この後のモデルPC-1248がシートキーになるなど,さらにコストダウンが進んで使い勝手さえも犠牲にされてしまったことを考えると,結構気になる存在ではありました。

 登場からすでに20年以上の時間が経過した今,結構な人気機種になっているような感じもあり,オークションではそこそこの値段がつくようになっています。

 私も,当時のOh!MZの新製品紹介のページで見たPC-1246が忘れられず,とうとう手に入れてしまいました。決して安いという値段ではなかったのですが,程度もよく,説明書も綺麗な状態でしたので,よかったと思います。

 分解掃除をしてから実際に使ってみると,なかなかBASICのサクサク感が素晴らしく,これはいける,という感触をつかんだのですが,PC-1245がリファレンスの私としては,許せない問題が2つ。

 1つはBEEPが出ないこと。BEEPだけではなく,カセットからの音が聞こえないのはちょっとどうかなと思います。

 もう1つはあまりにメモリが小さいこと。PC-1245は2.2kByteですが,PC-1246は2kByte。1割も小さいというのはかなりです。実際フリーエリアを調べると,PC-1245は1486バイトなのに,PC-1246は1278バイトです。

 それに,私のPC-1245は10.2kByteにメモリを増設していたので,窮屈感はさらに高まります。BEEPよりも許せないです。

 ところが,PC-1247というPC-1246の上位機種では,この2つは解決しています。BEEPは鳴りますし,メモリは4kByteとなんとか実用レベルです。

 悔しいので,PC-1246をなんとか改造出来ないものかと,検討を始めました。

(1)BEEP

 BEEPについてはすでに知られているように,部品の追加で比較的簡単に利用可能になります。トランジスタと抵抗3本を追加するのですが,それ用のパターンは用意されているので,部品さえ手に入れば特に難しいことはありません。

 BEEP命令は削除されていないので,PC-1246でもBEEP1と打ち込めばピーッと音が出るはずです。

 ジャンク箱をあさっていたら,ちゃんと部品が揃いました。試してみるとちゃんと鳴ります。これは解決。

(2)メモリの増設

 これはなかなか大変でした。

 そもそもそういうことが出来るのかどうかから考えないといけません。実際,PC-1401はPC-1402というメモリ増設モデルがあるにもかかわらず,CPU内蔵のROMのバージョン違いによって1402と同じように増やしたメモリを認識できません。

 PC-1246は6116が1つ使われていますし,PC-1247は4kByteですので,理屈通りに考えれば6116をもう1つ取り付ければ増設は出来そうです。その場合,2つ目の6116のCEをどうやって探り当てるかが鍵になります。

 回路図があれば一発ですが,私は見つけることが出来ませんでした。やはり不人気機種の情報は少ないですね。それに改造ネタも,海外を含めほとんど見あたりません。

 そんな中で,PC-1247の基板の写真をドイツのサイトで見つけました。なるほど,6116が2つくっついています。アドレス線を1本増やしてメモリを増やすのではなく,CEを別に用意して増やしているということがはっきりしました。

 もう1つ重大な情報として,CPUがPC-1246と同一の「SC61720D03」であることもわかりました。これがPC-1248などになると,後ろの「D03」が変わることで,内蔵のROMの内容が違っているとわかります。そうすると,CPUのピンアサインが変わり(シャープのポケコン用のCPUはそういうものです),増設出来るかどうかわからなくなってしまいます。

 PC-1247とPC-1246は同一のCPUであるとわかれば,これはもう,もう1つ6116を増設できると考えて間違いなさそうです。問題はCEをどうやって見つけるのか,です。

 まず,CE端子ですから,普段はHighでないといけません。また,不用意にLowになったりするものでもないので,そのあたりから調べます。

 オシロスコープで調べていくと,これか,と思う端子がいくつか見つかります。しかし,それらは元々の6116につながっていたり,カセットI/Fにつながったりと,明らかに違うとわかります。

 1つだけ,どこにもつながらず,ずっとHighを出している端子がありました。しかし,リセットをかけても動きませんので,メモリを認識する動作をしていないということから,違ってる可能性も高いと思われました。

 その端子は,CPUの5番ピン。QFPのピン番は,左下のマーキングを1番とし,反時計回りに2,3,4...と数えていきます。

 とりあえずえいや,で試してみます。6116を元々ついていた上にもう1つ重ねてハンダ付けします。いわゆるカメカメですね。

 そして上にのせた6116のCEを,CPUの5番ピンにつなぎます。電源をつなぎ,スイッチをいれ,リセットをかけてから「NEW0」と打ち込みます。これが重要。

 お,見事に3326と表示されます。やりました,見事に4kByteのメモリを認識しています。

 RAMの厚みが増した分,内部フレームに穴をあけて,組み立てられるようにしておきます。

 これで,私のPC-1246はPC-1247相当品となりました。

 当時はこういう改造も行われたのではないかと思うのですが,中途半端な機種だし,時期的にも過去のネタになっているせいで,ネットではひっかからないんですね。

 この検討の過程で,いろいろ面白いことがわかりました。

 まず,4kByte以上の増設の可能性ですが,これは残念ながら無理そうです。というのは,アドレスバスがA10までしか出ていないようなのです。6264を使うにはもう2本アドレス線が必要ですが,このCPUの全ピンを調べてみても,結局アドレスが吐き出されているような線はA0からA10までの11本しかありませんでした。

 次,クロック。PC-1245は512kHzという低速っぷりですが,PC-1246は1MHzにパワーアップしています。CPUが全然違うので単純比較は無理ですが,クロックは高速な方がいいにきまってます。

 しかし,クロックは高速になると電池を食うのが世の常。そこでPC-1246では巧みに消費電力を低減させています。電源をいれてある状態で,なんの処理も行っていないときは,この1MHzのクロックは止まっています。代わりに36KHzくらいの低速クロックがCR発振で常時動いています。

 この低速クロックはLCDの表示を行う為のクロックと,同時にキーの入力などの割り込みを取り込むためのクロックになっています。キーが押されると割り込みが入り,直ちに1MHzのメインクロックが起動,処理を行ってからすぐにクロックは停止状態になります。

 こうして,普段は電池を食わないようにしておき,処理が必要になったら全力でぱぱーっと処理を終えて,すぐに休みに入る。そしてトータルの電力消費を押さえる。この考え方は,今でこそ常識ですが,1984年の段階できちんと実装されているとは少々驚きでした。

 あと,RAMは8bitアクセスです。CPUは4bitなので,つまりこのRAMは完全にデータエリアとして使われていると想像できます。下手をすると,I/Oとして接続されているのではないでしょうか。

 内蔵の18kByte程のROMにBASICインタプリタを含むファームウェアを全部収めておき,実行形式のバイナリはここ以外には配置できない構造になっているとすれば,PC-1246が機械語を封印された事実は説明がつきます。つまりユーザーに開放されているメモリは,BASICの中間コードを記憶するだけのデータメモリに過ぎないということです。

 てことは,LCDに表示を出すためのVRAMも,このRAMにはマッピングされているはずがありません。PC-1245が直接データをVRAMにPOKEする方法でビットマップのグラフィクスを可能にしていたのに対し,PC-1246ではその方法が全く使えないことも,これで説明がつきます。

 しかし,悪いことばかりではありません。結局RAMはデータをためるI/Oデバイスの1つという位置づけですので,プログラムカウンタの大きさによるアドレッシングの制約はありませんから,64kByteの壁もなくメモリマップも自由自在です。だから,このCPUを使ったポケコンの中には,フラッシュメモリを扱えたり,100kByteを超えるようなRAMモジュールが利用できる機種もあるのです。まあある意味で,この点がすでに「ポケットに入るパソコン」という感覚を薄めているように感じますね。

 そんなわけで,この情報で,未だ現役のPC-1246がパワーアップされればいいなあと思います。

 私はバリバリ使うことにしましょう。

 

MCヘッドアンプは計装アンプだ

  • 2007/11/13 17:20
  • カテゴリー:make:

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 今年の7月頃に,K&Rという会社のイコライザアンプキットを作ったことを書きました。このイコライザはおかしな味付けをせず,何も足さず何も引かずを設計思想に持って生まれたのですが,そのせいか解像度も高く,一方で大変にソリッドな音がするものでした。

 それまで私が使っていたイコライザは中域に特徴があり,ボーカルにふくよかさ加味される反面で奥行き感や解像感が薄いものでした。これはこれでいいんですが,性能としてどちらが上ですか,と言われれば,間違いなくK&Rのものになると思います。

 それで,その第二弾として,MCヘッドアンプが新発売になったというので,早速買ってみました。キットで9800円。イコライザアンプに比べちょっとお高くなってはいますが,ギリギリ4桁に収まっています。

 私がMCカートリッジを使う場合は,このイコライザに昇圧トランスを使っています。ノグチトランスで安売りされていたもので,タムラのものです。

 安かったのですが個人的にはなんの不満もなく,MCカートリッジらしいさわやかな音を出してくれていました。ちょっと高域でだれてしまうのと,低域に粘りがないのが気になっていましたが,まあそれも個性です。

 ヘッドアンプに対しては悪いイメージしかなくて,半導体である以上ホワイトノイズの発生は避けられません。0.3mVを増幅するアンプですから,どうしたって「サー」というノイズが聞こえてしまいます。

 トランスはこうした雑音を発生する仕組みはありません。だから昇圧トランスを始めて使った時に,全くノイズが増えずに静寂の中でMCカートリッジが動いたときには,ちょっとしか感動を味わいました。

 ですが,キットの説明には,計装アンプSSM2019を用いたこと,抵抗には超高精度な薄膜抵抗が使われているとあります。なるほど,それで9800円もするわけですね。

 ここで普通のOP-AMPなんかを使ってしまうと,オフセットやらノイズやら歪みやらで,これまで通りの普通のヘッドアンプになってしまうのですが,計装アンプを用いたあたりに「おっ」と思わせるものがあります。

 私は知らなかったのですが,このSSM2019はプロ用の録音機材などにも使われている,音響用としてもよく知られた存在なんだそうで,そういうことならなお安心です。

 ということで,計装アンプと薄膜抵抗という,私にとって未知の部品を使ったヘッドアンプを,早速試してみたくなったわけです。

 部品点数も少なく,組み立てやすさはイコライザ以上です。しかし前作同様に基板はしっかりとしたガラスエポキシに金メッキ,抵抗はすべて金属皮膜で温度特性まで管理されています。

 コンデンサは今回はあまり重要な部品ではないのですが,それでも音質を気にしたと思われるフィルムコンデンサと音響用電解コンデンサがきちんと使われています。相変わらず部品選びからいい仕事しています。

 ちょっと気になったのは,MM用に信号をスルーするために用意されたリレーです。リレーを使ってヘッドアンプをバイパスする仕組みは結構なのですが,このリレーの素性が今ひとつ分かりません。微少信号を扱う訳ですから,それなりに気にしないといけないと思うのですが,そこら辺で見かける普通のリレーのように見えます。

 電源はイコライザと同じ±15Vです。大した電流ではないので,出来ればイコライザと同じケースにおさめて,共用にすると楽ですね。(楽をすることはオーディオの瀬愛では御法度とされています・・・)

 ついでにリレーのコイルの電源も,この電源で動かします。本当は別電源にした方がいいんですが,面倒なので共用します。

 基板が完成して,組み込みを検討する時になって,イコライザのケースを開けると,もうすでにいっぱいで,ヘッドアンプを組み込むスペースなどなさそうです。まして電源まで内蔵したので,トランスからの漏洩磁束が誘導するともう手が付けられません。

 ここで引き下がってしまうと面白くないので,なんとか押し込むことを考えます。

 ヘッドアンプの入力側は特に入力レベルが小さいですから,出来るだけ配線を短くし,トランスから離します。そうるすと出力側がトランスに近くなりますが,インピーダンスも低いですし,5mV程度ですので,なんとかなるでしょう。

 とにかく出来るだけ距離を稼ぐため,イコライザの基板から40mm程浮かせて,天板の真下あたりに配置します。

 ここで,MMとMCを切り替えるスイッチをパネルに取り付けてしまうと,もしどうしても漏洩磁束が防ぎきれず,別ケースにする場合に穴が開いたままになるので,まずはバラックの状態で試してみます。

 ・・・やはり結構のりますね。入力側は大丈夫なのですが,ヘッドアンプの出力(つまりイコライザの入力)にかなりのっているようで,配線を動かすだけで「ブーン」というハムの量が大きく変化します。

 しかし,ほとんど無音に出来るポイントが見つかったので,この距離でもなんとか防げることがわかりました。妙な自信に後押しされて,パネルにもう1つ穴を開け,スイッチを取り付けます。もうこれで後戻りは出来ません。

 漏洩磁束の対策に効果があるのは,なんと言っても磁気シールドです。薄い物でも構わないので,ステンレスの板でトランスを囲ってしまうと,ぴしっと誘導がなくなります。

 手持ちのステンレスの板を曲げてシールドを行って試すと,もう配線の取り回しでハムが変化したりしません。いい感じで押さえ込めているようです。

 ただし,それでもハムがのっています。左右でアンバランスなのり方をしているので,配線長の違いなどが原因なんだろうと思います。

 ステンレスの小さい板であちこちを遮蔽しても変化がないので,これは漏洩磁束によるものではなさそうです。GNDからの回り込みか,静電誘導によるものでしょう。

 銅箔テープでリレーを包んで見ましたがあまり変化はありません。GNDからの回り込みについても,いろいろ試しましたがあまり効果がなく,結構現状で諦めました。

 確かにハムはありますが,普通にレコードを聴いていると,スクラッチノイズによってうもれてしまう程度ですので,もうこれでよいことにします。たぶんイコライザ単体でもこれくらいのハムは出ていたはずですし。

 さて,組み込みも終わり,評価です。

 まず,ノイズはやっぱりありますね。MMからMCに切り替えると,途端に「サー」というノイズが耳に付きます。これだけ大きいと目立つだろうなあと覚悟をしていましたが,針を降ろしてみるみると,気にならなくなりました。

 曲間で目立つかと思いましたが,それも気になりません。この心配は消えました。

 次に音です。

 音は実に好感触。解像感が素晴らしく,奥行きがあります。また,すべての帯域がフラットで,かつ信号レベルによる特性変化が少ないらしく,エネルギーに偏りを感じません。従って大変に素直な印象があります。

 いかにも広帯域,低歪みなアンプらしく,高域には雑味がなく,透明度が高いです。しかもよく伸びます。よく伸びるなあと思ったところからさらにもう一発伸びるので,思わず背筋も一緒に伸びてしまいます。

 DL103は実はこういう音を出していたのか,と新しい発見にうれしくなった私は,とっかえひっかえ様々なレコードを試してみましたが,どれも同じような素直な傾向を示しています。

 設計思想がイコライザと共通しているというのは実に好感が持てることで,設計者が揺るぎない信念で設計を行っている証拠だと,私は高く評価をしています。

 シンプルな回路,吟味した部品,新しい半導体,そして揺るぎない設計思想から生まれる素直で解像度の高い音に,最近の半導体アンプはすごいなあと感心しました。

 私の知るヘッドアンプは,半導体で構成するにはもうギリギリのところで,ノイズも直線性もかなりの妥協を強いているように感じたものです。無理にイコライザのゲインを上げた物も世の中にありますが,そもそも低インピーダンス,極小電圧のMCカートリッジから出てくる信号を扱うのに,従来と同じ「音響用」の回路では限界があると思っていました。

 しかし,世の中にはMCカートリッジ以上に少ない出力しか持たないセンサがあるわけで,それらを使って制御を行う産業機器は,音響の世界以上にシビアでないとうまく動きません。

 そうした用途に使われる計装アンプをMCヘッドアンプに持ち込んで,しかも音響用に流用して定評のある部品をきちんと使いこなすというのは,なかなか技術力が必要なはずです。

 設計者を,ただのエフェクタ屋さんと思っていましたが,それは大きな間違いだったようです。イコライザアンプの時も「いい仕事してるなあ」と思いましたが,今回のヘッドアンプは「プロだ」と唸らせる仕事でした。

 ヘッドアンプはすでに計装アンプです。生半可な気持ちで取り組むと大失敗します。とてもいいキットですし,価格以上の価値があると思うのですが,扱いの難しさゆえに万人にお勧めできるものではありません。

 私はギリギリ失敗せずにすんだというところでしょうが,まだまだ不満があります。責めてハムは片付けたいところです。

 しかしながら,アナログの世界は面白いですね。手をかければかけるだけ,音が変わっていきます。悪くもなり,よくもなり,同じソースから新しい音が取り出せます。

 今回のヘッドアンプは,かなりの情報量をレコードから引き出していると思うのですが,そう考えるとレコードというのは非常に寿命の長いメディア,フォーマットであるとつくづく思います。

 amazonでもアナログレコードのコーナーが出来たようですし,個人的には今が一番アナログを楽しめているなあと,思います。

X-07修理の顛末

  • 2007/10/07 20:48
  • カテゴリー:make:

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 1980年代前半,8ビットのパソコンがブームになり,家庭やオフィスに入り込んでいきました。実際の所何の役にも立つこともなく,ただパソコンが動いているのが面白い,触っているのが幸せだ,というだけの話でした。

 ただ,自動で物事が処理されるというコンピュータの根本的な特徴を理解し,またそれを楽しいと思える体験をした人々が,その後のネットワーク社会を支えているんではないかと思います。

 で,今は撤退したメーカーが当時個性的なマシンを作っていました。今回の主役,X-07もそんな1台です。

 1983年,キヤノンから発売されたこのコンピュータは,すべてのLSIをCMOSで構成し,単3電池だけで動かすことが出来たハンドヘルドマシンです。その性能は当時のデスクトップマシンなどに比べても遜色なく,もっと評価されてもよいマシンではないかと思います。

 私は当時雑誌で見たことがある程度で,実物を見たことも触ったこともありませんが,一度は触ってみたいものだと思っていました。

 先日,オークションで壊れているものが安く出ていたので落札。動作品だと8000円とか1万円とかするんですね,これ。そんな価値があるとも思えませんが,それでももう25年近く前のものですから,別の価値が出てきているのかも知れません。

 届いたものは,さすがにあまり程度がよくありません。キーボードも黄ばみがひどいです。問題は電池の液漏れです。これが故障の原因であることは明白でしょう。

 電池を入れてみますと,画面にゴミが出まくっていて,起動画面も出てきません。ただし,キーを押せばクリックがなりますので,完全に死んだわけではなさそうです。

 X-07は面白いメモリ構成のマシンです。Z80など80系のマシンは,リセット後0000H番地から実行されるので普通はROMを0番地から配置し,RAMはROMの後に置きます。

 しかし,なぜかX-07ではRAMを0000H番地から配置し,ROMをB000H番地から配置しているのです。これでは起動しないはずなのですが,面白いのはここから。

 X-07では,0番地から3バイトはC3Hが読み出せるようになっています。C3C3C3Hは,C3C3H番地にジャンプという命令ですので,ROMのありC3C3Hに飛んでいきます。試しにC3C3Hをダンプすると,DI命令で割り込みを止めて,スタックポインタの初期化をおこなっています。間違いないですね。

 起動してから0000Hを読み出してもC3Hにはなりません。起動してからはRAMが読み書きできるようになっているんでしょうね。

 さて,修理です。

(1)クロックとリセットと電源
 リセットとクロックはCPUにとっての神の手,と例えた人がいますが,まずこの2つをきちんと確認しないといけません。確認すると,メインCPUであるNSC800のクロックもサブCPUのクロックも問題なし。リセットも問題ありません。
 電源電圧も問題なし。回路図に書かれているとおりです。

(2)フレキの不良
 派手な液漏れのせいであちこちが腐食しており,コネクタ類もかなりひどいことになっています。導通のチェックを行うと奇跡的にすべてok。念のため錆びている部分を少しだけ磨いておきます。症状は変化なし。

(3)RAMの不良
 RAMはHM6117LFPが4つで合計8kByteです。チップの不良はあまりないでしょうが,基板の不良が心配です。導通を調べていくと,データバスが他のRAMにつながっていない場合があります。こりゃいかんとさらに調べると,D0とD1,といった具合に,別のピンにつながっているようでした。そうです,SRAMはROMと違って,別のピンにつなげても動作するのです。しかし,こういうのはトラブルの原因になるんだけどなあ。ブートの仕組みといい,かなりマニアが設計したマシンのようです。
 で,私はRAMの増設も頭に入れて,256kbitのSRAM1つに載せ替えました。このうち前半の8kByteだけをとりあえず使うことにします。試してみますが,症状は変化なし。

(4)ROMの不良
 ここまでくると,かなり雲行きが怪しくなります。ROMはマスクROMですから壊れていると交換できません。本当にROMが壊れているならあきらめるしかありません。(そんなケースはまれだろうって?いやいや,私のMatrix1000は電源投入後10分ほどすると暴走してしまいましたが,原因はマスクROMが10分ほどで読めなくなったからでした。あわててEPROMにコピーして今は問題なしです。)
 某サイトからX-07のエミュレータを手に入れたのですが,そこにはROMイメージが付属していました。(私は実機を持っているので限りなく黒に近いグレーと思ってください・・・)このイメージをROMライタで焼いてみることにします。
 X-07は,B000HからBFFFHまでを32kbitの,C000HからFFFFHまでを128kbitのマスクROMで合計24kByteを搭載しています。この両方のイメージを256kbitのEPROMに焼きます。
 交換して,アドレスデコーダを作り込んで動かしてみますが,ますます状況が悪くなり,画面になにもでなくなりました。冷静に考えると,B000H番地のデータをEPROMの0番地に書き込んでいるので,CPUがB000H番地をアクセスにいっても,アドレスがずれてしまうのですね。
 本来はオフセットをつけて焼くべき所を,いやーうっかりしていました。お恥ずかしい。
 そこで,オフセットをつけて焼き直しをしようと思いましたが,どういうわけか書き込みエラーが出てしまい,書き込めません。殺菌灯でROMを消そうと思いますが,なぜか殺菌灯も見あたりません。万事休す。
 しかしあきらめません。アドレスをオフセットする回路を3ゲートで作り,これを組み込みます。
 ところが,問題は解決せず。最初の状態になっただけです。念のためアドレスデコーダのICも交換しましたが変化はありません。しかし,最初の状態になったということは,ROMが壊れていた可能性は極めて低いということになります。

(5)サブCPU
 とはいえ,ROMが壊れていないとなると,残るはもうサブCPUだけです。サブCPUはLCDの制御,キーボードの監視,RTCなどの機能を受け持っています。これが壊れている場合に考えられる症状と今起きていることは近いので,サブCPUの故障という可能性はかなり高いと思われます。
 しかし,サブCPUこそ交換する方法がありません。もし本当に壊れているなら絶望的です。
 回路図を見ながら,サブCPUと外付けの16kbitのSRAMとの配線を確認します。するとどうもD7とD8がつながっていないようです。このデータバスはLCDドライバICにもつながっているので,影響はかなり大きなものとなりそうです。
 SRAMを基板から剥がすと,SRAMで隠れていたパターンが切れているのがわかりました。こわいですね,電池の電解液によって,溶けてなくなってしまっているのです。
 実は,ROMの確認をする過程で,ROMのチップセレクトの配線が切れていました。これも電解液による腐食でした。
 ここを配線し直したところ,画面のゴミは消えました。しかし,相変わらず起動画面に至りません。

(6)そして・・・
 サブCPUのデータバスをオシロスコープで見ていくと,Lowに下がりきっていない信号がありました。こういうのは大抵データバスの制御が羽なく行っていないのが原因です。SRAMのチップセレクトを確認すると,ずっとHighになっています。これはおかしい。確認すると,チップセレクトを作るICの足がブリッジして,ずっとHighのままです。
 このブリッジを外してみると,データバスは正常になりましたが,それでもまだ起動画面は出てきません。

(7)やはりフレキ
 先程とは違って,直接ハンダ付けされているフレキがあるのですが,これをよく見ると,いくつかきれてしまっています。とりあえず導線で配線しなおしてみます。
 すると,うれしいことに起動画面が出てきました。


 いやー,うれしいものですね。この程度のマシンなら修理可能だろうと思っていましたが,1週間もかかってしまいました。

 高校生の時,故障したMZ-80kを修理した時には,飛び上がって喜んだものですが,こういう感動はいつ味わってもよいものです。

 暫定的な配線をすべて綺麗にやり直し,メインRAMを拡張する改造を行い,あらかじめ洗ってあった筐体を用意して,組み立てていきます。

 強力なBASICが使えるX-07が動作するようになり,付属してたTableカードというアプリケーションカードも動作することを確認しました。

 今回はなかなか厳しい修理でしたが,その分感激も大きいです。幸いにしてICの破損は1つもなく,液漏れした電池の電解液があちこちのパターンを切断していたことが原因でした。

 今回は3カ所の切断だけで済んでいますが,電池の電解液がこれほど強力なものとは思っても見ませんでした。基板がその信頼性を維持できないことを見せつけられたわけで,電池の恐ろしさを実感しました。

 80年代といえば,CMOSのSRAMがバックアップ出来るようになり,電池が100μA程度で消費されることが増えた時代です。しかし,電池にとってこの100μAというのはかなり厳しい使用条件で,この電流をずっと流し続けると,過放電になり簡単に液漏れするようになります。

 もっと少なくか,もっと多く流せば液漏れの可能性は減りますが,それが製品の設計に反映されるのは90年代も半ばになってからです。だから,この時代の製品を使っている方は,電池は面倒でもこまめに抜いた方がよいです。その被害は甚大です。

 というわけで,とりあえずX-07が手に入りました。ポケコンとは桁違いのパワーを持つマシンですし,使い道は考えれば出てきそうです。

 しかし今回は,何より修理が出来た,ということに価値があると思います。信号を追いかけ,1つ1つ原因を潰していけば,必ず修理は可能です。今回はそのことを改めて実感したいい機会でした。

ThinkPadX20のコンボカードを交換する

  • 2007/09/13 16:44
  • カテゴリー:make:

 先日内蔵Ethernet/Modemコンボカードが壊れてしまって,CardBusのEthernetで運用しているThinkPadX20ですが,以後安定動作で問題なく,特に困っていることもないとはいえ,やはり壊れたままというのも気になるところです。

 若松あたりで安くジャンク扱いのコンボカードを売ってないものかと思っていたのですが,さすがに5年以上前の製品ですし,あっても激安という事はないでしょう。

 こういう場合にすがるのがオークション。私はあまりオークションが好きではない(素人同士が善意を前提で楽しめていた大昔はよかったです)のですが,こういう場合はちょっと覗いてみることにしています。

 予算は1000円まで。現状で困ってないのですから,これ以上は出す必要なし。

 すると,結構ごろごろ出ているものですね。ジャンクのパソコンは,分解してばら売りした方が実は儲かるんですね。だからこうやって小銭を稼ぐ。

 1つ目は入札した物の,値段が上がってしまったのでパス。2回目は記載されている情報が少なかったせいもあってか,私以外に入札者がなく,安価に落札出来ました。写真で見る限り同じ物ですが,安いだけに使えなくても文句を言わない覚悟で支払いを済ませます。

 数日して到着したのですが,梱包が結構いい加減で,輸送途中に壊れてもいい,という感じでした。ややこしいことは言いませんが,壊れていないものをわざわざ少しの手間をけちって壊してしまう事があるとすれば,それは経済原理というより人間性に根ざす問題かも知れません。

 早速ThinkPadに取り付けてみます。

 電源を入れてみると,起動時に「ぴーぴー」とブザーが・・・

 画面は真っ黒です。これはやばい。カスつかまされました。

 すぐに電源を切ります。もう一度分解して取り付け直します。接触不良とか取り付けミスとかあるかも知れません。

 ですが結果は同じ。ただ,画面が真っ暗のままでしばらく放置すると,ちゃんと起動します。OSが新しいハードウェアを検出し,起動後も正常に動作しているみたいです。

 謎です。

 サービスマニュアルにいると,画面が真っ黒で「ぴーぴー」いう場合には,マザーボードを確認せよという指示があるのですが,ググってみるとコンボカードの故障で同じような状況が起きているという話もあるようです。

 何度か再起動させているうちに,今度はなぜかアラームが全く鳴らなくなってしまいました。

 謎です。

 ただし,依然と挙動がちょっと違っていて以前はBIOS->コンボカードのメッセージ表示->OS起動画面と進んだのですが,今回はコンボカードのメッセージ画面が飛ばされています。

 それが普通ですし,別に困りませんからいいんですが,見た目で同じように見せたコンボカード(基板のマーキングなども同じです)も,なにか違うのかも知れません。

 ともあれ,以前の故障の原因はやはりコンボカードの破損にあったことと,交換して元通りに動くようになってとりあえずすっきり,という結論になりました。数百円で回復したので,よしとしましょう。

 そういえば,モデム機能は試してないです試すことすら面倒だし,使うことはおそらくないので,このままでいいです。

5998プッシュプルの復活

  • 2007/08/28 00:30
  • カテゴリー:make:

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 残暑が厳しい毎日にすっかりまいりつつある私ですが,B&WのCM1は夏の間,MOS-FETの半導体アンプにつながれています。さすがに強烈な熱源である真空管アンプを常用する気にはなれず,だからといってエアコンをいれて真空管アンプを使うというのも,さすがに気が引けます。もし見つかったらゴア元副大統領にフルボッコされかねません。

 ところが,やっぱしなんかパンチ不足なんですね。あまり楽しくない。で,ふと思ったわけです。CM1はドライブ能力の高いアンプが必要,半導体アンプのような優等生的なアンプでこんな風に面白くない音を出しているなら,いっそのことうちで一番強力な,5998プッシュプルを動員してみてはどうなのか,と。

 しかし,5998のプッシュプルは,2000年の秋頃に作ったアンプで,しばらくメンテもされていません。主役の座を300Bシングルに譲ってからは,まともに電源も入れられていない状態です。

 確か,プレートの赤熱が気になって,カソード抵抗を設計値から大きくして,アイドル電流を小さくしたんだよなあとかいろいろ思い出したのですが,まずはこれをオリジナルに戻してみようと考えました。

 806Ωという中途半端な値のメタルクラッド抵抗がオリジナルには使われているのですが,これを入手するのがちょっと面倒だなあと思っていたところ,名古屋の小坂井電子に在庫があるとのこと。

 ただし,よく聞いてみると,必要な本数である4本に対し,2本ずつしかメーカーを揃えることができないそうです。メーカー違いはちょっと気になるところではありますが,このメタルクラッド抵抗,異なるメーカーでも同じ番号が記載されています。

 気になって調べると,この番号はMILのナンバーとのことで,私は勝手に軍の調達基準を満たしたものであると考えました。つまり,同じ番号なら互換性が十分にあるというわけです。

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 左下は通販サイトの写真に出ていたもので,注文もこの商品の型番で行っています。右下はよく知られたDALEのもので,これは2本確保できるということでした。

 あまり知らなかったのですが,DALEはVishayの子会社になっているんですね。どちらのブランドでもメタルクラッドは生産されているようですが,少なくとも現在のDALEのものはメキシコ製だそうで,くだらないオーディオマニアは例によってアメリカ製のヴィンテージものをありがたがっているようです。(どうも806Ωというのは現在のカタログからは落ちてしまっています。)

 この写真にあるように,見た目も異なる4つに共通して書き込まれている「RE70G8060」というのがMILの番号らしく,この番号でググってみると,メタルクラッド,20W,806Ω,誤差1%という条件を満たした様々なメーカーの製品がひっかかります。(写真の黒いタイプは20Wではなく15Wなのですが・・・)

 ちょっとしたことですが,少し調べてみるだけで勉強になります。メタルクラッドなんて,普通使うことはありませんから。

 結局,少々高価だったのですが購入。806Ωはすでに生産されていないようですし,誤差が1%という点も,巻線抵抗らしい温度特性の良さも,その変動が直ちに真空管の暴走に繋がる重要部品だけに,安心を買うと思えば多少の出費はやむを得ません。

 数日後に届いたので組み込みを行おうと中を確認したのですが,さすがに初期の作品だけあって,信じられないような配線の引き回しが行われています。よくもまあ,これでノイズやハムを拾わないもんです。

 まず,メタルクラッドの取り付け場所を決めてビスの穴を開けます。次にオリジナルから変更された配線や部品を元に戻します。一通り元に戻したところで,各部の電圧測定です。

 だんだん思い出すのですが,回路図にある電圧と手元の実機で,特に初段が大きくずれるのです。このずれは1.5倍くらい違っているので,誤差とかそういうレベルではありません。

 回路を何度も確認しましたが間違いはありません。理論値を計算すると,実機の測定値とほぼ一致します。これはどうも回路図の間違いか,記載の電圧値の誤記のようです。

 とりあえず記載の電圧が正しいと考えて,電源回路の抵抗の値を調整してみます。少しいじるといい感じの電圧に調整が出来たので,これで確定とします。

 そうそう,ヒーター電圧が少々高いようなので,適正な値になるように巻線を選びなおし,配線もやり直しておきます。

 そして測定。

 出力は約14W。もう少し欲しいところですが,まあこんなものでしょう。ダンピングファクターは約7.4。これも真空管アンプとしてはなかなかの数字です。

 周波数特性は1W時に,上が140kHz(-3dB),下は10Hz以下です。下は10Hzでも-3dBにはなりませんでした。おかしなうねりもゲインのバラツキもなさそうなので,なかなか広帯域なアンプになっているようです。やっぱ出力トランスである旧タンゴのFX40-5の素性の良さでしょうか。

 簡易測定なので,この程度のデータしか取っていません。

 相変わらずものすごい発熱と,目覚めの悪さには閉口するのですが,低rp,そして6.3V-2.4Aという強烈なヒーターがたたき出す熱電子によって生まれる図太い音は,このアンプの最大の特徴ではないかと思います。

 幸いハムもノイズもほとんど聞こえず,いい感じに仕上がりました。早速CM1につないで音を出してみます。

 うーん,確かに太い。ベースがぼわんぼわんいわず,かちっとなります。おかしなクセもなく,結構ストレートに音が前に出てきます。大変よい感じなのですが,R-chのプレートがやはり少し赤くなっています。5998はこんなものだ,という先人達の意見を信じ,少々赤くなってもこのまま使うことにします。というのもカソード抵抗を大きくしてしまうと,その結果音がやせるんですね。

 そんなわけで,5998プッシュプル,復活です。ただ,さすがに熱が強烈。ヒーター電力だけでも59982本と6SN74本で合計45W以上,5998へのアイドル電流でカソード抵抗が消費する電力が12.5W,5998自信が消費する電力が約50W。電源を入れてあるだけで合計100W以上の電力が消費され,その大半(というかすべて)が熱になっているのですから,なんと恐ろしいことでしょう・・・

 汗をだらだら流しながら,いろんなCDを聴いてみました。30分もするとかなり伸びやかになってきて,とても聴きやすくなります。しかし,さすがに暑さの限界。2時間ほどでもうやめました。

 寒くなって,暖房器具の代わりに活躍してもらえる時が来るのを,今から楽しみにしたいと思います。

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