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Walkmanの修理~その3~WM-EX666編

 WM-805の修理が難航して,いよいよあきらめるかと思っていたときに私が取った行動は,別のWM-805を手に入れてニコイチを作る事と,比較的年式の新しいWalkmanを手に入れる事でした。

 WM-805は調子に乗って入札しまくったことで,修理が出来てしまったにもかかわらず2台(どちらも黒色)も手に入ってしまい,合計3台という陣容です。いずれも塗装は劣化しているのですが,1台は前オーナーが根性で塗装を剥がしたらしくシルク印刷もなくなっていますが,もう一台はベトベトがなくなるまで放置されていたもののようで,白く粉を吹いたような状態になっていますが,印刷は綺麗に残っています。

 メカの様子は先日修理した赤色のWM-805が一番程度が良く,sきあもピンチローラーも新品ですので,一番性能が出ているように思います。残りの2台はキャプスタンが錆びていたり,ピンチローラーに変形があったりするので,これを修理しても今ひとつかなとモチベーションも上がりません。

 年式の新しいWalkmanを手に入れたいと思うのは,同じように年式の新しいパナソニックのRQ-SX35が修理が楽だったからなのですが,そうして手に入れたWM-EX666は予想に反して修理に大変手間のかかるじゃじゃ馬でした。

 WM-EX666・・・私はどんなモデルかさっぱり知らなかったのですが,どうもベーシックモデルで価格を下げたもののようでした。メカはプランジャを使わない興味深いもので,モーターを逆回転させることでモード切替を行い,そのためにリバース再生時でもモーターを正回転させるようにしてあるという,当時の設計者の創意工夫が感じられるものでした。

 プランジャは高価な部品ですので,コストダウンを動機とした斬新なメカだと思うのですが,修理後に使ってみると,モードの切り替えも滑らかで上品ですし,動作音も実に静かで,いいメカデッキだなと思いました。

 ただ,そこはコストダウンを目的にしたメカデッキだけに,耐久性というか,経年変化が起こる部品を肝心な部分に使ったりと,長く使うことは考慮されていないように思います。当時のソニー製品ならどれもそんなもんかも知れませんが。

 さて,そんなWM-666の修理の記録です。

(1)塗装の問題

 ゴムっぽい風合いの塗装は加水分解でベトベトになりますが,1990年代から2000年代にかけて流行しました。このころの製品は何十万円もするカメラでさえもベトベトになってしまい,現在の価値を下げてしまっているわけですが,当時の技術者は本当にこうなることを知らなかったらしく。罪悪感と言うよりも自ら被害者という意識が強いんじゃないかと思うほどです。

 WM-666も一部にこの塗装は使われていて,操作ボタンの周辺のプラスチックと,下ケースと蓋の間に挟まれる枠にべとつきがありました。

 気持ち悪いのでなんとかしないといけませんが,WM-805のようにクリアラッカーで仕上げると傷に弱い塗装になるので常用は難しくなります。そこで多少の傷は仕方がないとして(クリア塗装をすると小さなキズは綺麗に消えます),重曹でべとつきを抑えた状態で使うことを考えました。

 分解して該当する部品を取り外し,重曹に2時間ほど漬け込んで水洗いしたのですが,なんと操作ボタンの周辺の塗装が一部剥げてしまい,とてもみっともなくなってしまいました。

 こうなるともうクリアを吹き付けるしかありませんが,そのために元々の塗装を綺麗に剥がす必要があります。1500番の耐水ペーパーで塗装を剥がすことにしましたが,BATTとREPEATと書かれた印刷もなくなってしまいます。でもこれはあきらめましょう。

 枠も多少剥げていますが目立たないのでこのままとします。デコボコしているので塗装が剥がしにくく,しかもぶつけやすいのでせっかくクリアラッカーで仕上げても剥がれてしまうだろうと思ったからです。


(2)ギアが外れてガリガリ

 クリアラッカーの塗装が終わったら内部の修理です。ゴムベルトは使えそうなものが手持ちにあったのでこれを使うとします。電池の液漏れもないので基板は無傷ですから,ゴムベルトだけ交換すれば済むだろうと思っていました。

 ところがそう甘くはありません。早送りや巻戻しをすると,テープエンドでリールが止まる時に,ギアが飛ぶ激しい音がガリガリとしてからストップします。壊れてしまいそうな音ですから,おちおち使っていられません。

 分解してメカを確認しますが,動作状態を見られないので手で動かして想像するしかありません。分かった事は,再生時のリールの回転はスリップリングで空回りできる仕組みがありますが,早送りと巻戻しはどのギアもきっちりかみ合うので,リールが止まってしまうとモーターまで止まってしまうという,よく分からない仕組みだったことです。

 これではホールセンサがリールが止まったことを検知するまでギアが外れてガリガリ音がするのは正しいですが,本当にそんな設計をするもんだろうか,と随分悩みました。

 もしかするとゴムベルトを緩くしてあって,ゴムベルトのスリップを使うのかもと考えて少し大きいものを試したりしましたがスリップするよりギアが外れる方が先で,どうにもなりません。

 そこで外れて音を出しそうなギアの取り付け高さを厳密に調整しようと考えて,ギアの台座の部分を少し削って高さを揃えました。この結果走行は安定しましたが,テープエンドでもっと激しくギアが外れるようになってしまいました。

 もっとよく観察すると,スリップリングを持つギアの高さが問題のようです。モード切替時,再生モードの時にはメカの一部の突起がこのギアの高さを下げてギアのかみ合わせをリリースし,このギアの下側のスリップリングを介した別のギアとかみ合うようになっています。

 一方で巻き戻しや早送りの時はギアが上がり,スリップリングのギアは外れてギアが直結するのですが,直結の時の高さが足りずに高負荷時に外れてしまうようです。

 スリップリングが経年変化で薄くなり,摩擦が増えたり高さが低くなったりするのは良くある話なので,かさ上げを考えます。一番良いのはメカをいじってギアのリフト量を増やすことなのですが,それはちょっと難しいですから,スリップリングを分厚くする作戦を立てます。

 そこで,ポリイミドテープをスリップリングに貼り付けてかさ上げを試みます。何度かカット&トライをしてかみ合わせが確実になるようにしたのですが,それでも高負荷では外れてガリガリをイオンをさせますし,しかもスリップリングの摩擦が増えたことでワウフラッタが激増し,もう使い物にならないレベルです。

 疲れ果てた末に私が下した判断は,スリップリングのテープを剥がし,元の高さに戻します。さらにおまじないとして,別のギアの台座を少し削っておきました。

 ポリイミドテープは糊が剥がれてスリップリングに付着していて,これを剥がすのも一苦労です。何度も空回りさせて糊を剥がして,軽くスリップするようになったことを確認してから組み立てます。

 期待していませんでしたが,これで再生すると恐ろしいほどワウフラッタが消えています。負荷が軽くなったのでBATTランプも明るく点灯しています。

 さらに巻戻しと早送りも,高負荷時にギアが外れることがなくなりました。これはおまじないの台座を削ったことがきいているのか知れません。

 そして緊張のテープエンドです。テープエンドになると,即座にストップしました。以前のようにギアが外れる時間もありません。なるほど,本来はこういう動作でギアが外れたり異音がしたり,ギアの歯が欠けたりすることを防ぐ仕組みなんですね。上品と言えば上品ですが,ギア欠けはいずれ起きるような設計だと思います。

 それでも条件が悪いと高負荷時にギアが外れてガリガリいいますが,以前のように100%ガリガリいうことはなくなりましたし,テープエンドでも高確率で止まってくれるので,もうこれでいきましょう。

 おそらくですが,スリップリングを綺麗にした時に,高さも復活,摩擦も軽減されたんじゃないかと思います。この結果初期の状態を取り戻したことで,ギアが外れにくくなり即座に停止できるようになったのと,ワウフラッタが大きく軽減されたんじゃないかと思います。


(2)他の問題

 ガリガリ音がする問題で心身共に疲れたのですが,問題は他にもありました。ヘッドから出ているフレキをコネクタに差し込むのに,どうにも刺さりません。どうもフレキの厚みがこのコネクタにあっていないようです。

 このままではフレキを傷めてしまうと考えて,おそらく元の付け方だと思われる(悪いことに写真を撮り忘れていましたし,パッパと外したので覚えてもいません)方法で差し込みました。方法ではクランプがしっかり出来ず,外れてしまうように思うのですが,フレキを綺麗に曲げてテープ(ヒメロンといいます)で固定してあるので,これでいきましょう。

 実は無理に正しい差し込みにこだわり,コネクタを基板から剥がしてしまいました。外れただけだったのでハンダ付けをやり直せば済む話でこれは大した問題ではなかったのですが,パターンが剥がれてしまうのはまずいので,もう正しい方法にこだわりません。

 モーターのフレキも壊れかけました。もう何十回も付け外しをしましたので銅箔が剥がれてしまうのは避けられませんが,これもなんとか壊れる前に修理完了です。


(3)リモコンの改造

 跡で気付いたのですが,このモデルは標準的な3.5mmのヘッドフォン端子を持たず,リモコン対応のために特殊な9ピンのコネクタを採用しています。リモコンから直接ヘッドフォンが出ているので交換出来ないのが当時から不評だったことを覚えていますが,30年も前のヘッドフォンを使うことは考えられないので,途中でケーブルを切断し,ここに3.5mmのジャックを取り付ける改造をしました。

 ちょうどよいサイズの熱収縮チューブがなくて不細工な外観になったのが残念ですが,当初の目標はクリアしたのでまあいいとしましょう。


 ということで,WM-666もなかなか手強い相手でした。電気のトラブルと違って見えるものが相手ですが,基板の下に隠れている以上は見えない相手みたいなものですし,交換部品が有るわけではありませんから,修理は本当に難しいなあと思います。

 あのままガリガリいったままつかっていたら,いずれギア欠けが起きて再起不能になっていたかも知れません。ギアが外れないことを前提に,即座にストップをかけるという電気回路の工夫でメカの破損を防ぐ思想は,一瞬でも大きなトルクがギアにかかるわけで,いずれ歯が欠けてしまうんじゃないかと思います。

 しかし,前述の通りプランジャを使わないモード切替は滑らかで動作音も小さく,とても上品で心地よいものです。ワウフラッタも気にならないくらい小さくて,後年の低消費電力モデルに見られる,低トルクのモーターと低マスのフライホイールのせいでワウフラッタが原理的に問題になるようなこともありません。

 外観も比較的綺麗ですし,テープの収まりも精度良く,使っていて気分のいいモデルだと思います。個人的にはこれを常用機にしてもいいかなと思っているのですが,それはこの後に続く,修理待機品の仕上がり次第というところでしょうか。


 さて,ここまででRQ-SX35,WM-805,WM-EX666と3台復活してくれました。次はどれにしようかなあ。

 

Walkmanの修理~その2~WM-805編

 さて,次に取り組んだのが本物のWalkman,WM-805です。

 WM-805は1990年の発売で,「ワイヤレスウォークマン」と呼ばれたシリーズの4代目にあたります。今ならそれ自身が音楽再生能力を持つくらいの大きなワイヤレスリモコンから無線で操作をしつつ,本体から無線で音もリモコンに飛ばすというはじめての双方向を実現した画期的な高級モデルでした。

 高級と言いつつ,当時の事ですので無線はFMラジオをベースにしたアナログ方式ですし,回路が大幅に増えるために大きくなり,無線ゆえに筐体はプラスチックでどうしても厚ぼったくなります。消費電力も大きいですし,リモコンにも電源が必要ということで,私は当時冷ややかな眼で見ていました。

 ある時,某オークションを見ていると,真っ赤な格好いいWalkmanが目に入ってきたので調べてみると,それがWM-805という当時無視していたモデルだったと知り,ジャンクを手に入れました。

 手に入れたWM-805は,表面のゴム塗装が加水分解でベトベトになるというWM-805の持病は当然として,電池の液漏れは派手に起きている(これがあとで地獄を見る)上,リモコンは付属していないというゴミのような状態でした。

(1)分解とベトベト対策

 分解は手がベトベトになるので大変だったのですが,幸い石鹸で落ちるのでこまめに手を洗いつつ分解します。分解が終わったらハンドソープで洗った後に重曹に2時間ほど漬け込んで対策します。重曹ですが,本当にベトベトがなくなります。これで加水分解の対策は決定だと思います。

 分解途中で筐体を割ってしまったのでこれを補修し,つや消しのクリヤーを吹き付けます。すると細かい傷も消えて,とても上品で新品のような見た目が甦りました。しかし,そこは模型用のスプレーラッカーですから,擦れば剥げてしまいますし,角から剥がれていってしまうことは覚悟しないといけません。

 分解して見ると,想像以上に電池の液漏れが広がっているようで,なかなか難しい修理になりそうな予感です。


(2)モーターの修理

 分解をして駆動系を確認しますが,モーターが軽く回りません。これは内部でローターのマグネットが錆びて膨らみ,ステータのコイルに接触しているのが原因です。こうなったモーターは交換しかないのですが,交換出来るものもないのでモーターそのものを修理します。

 モーターを分解し,ローターのマグネットの錆びた部分をヤスリで削り取り,接触しないようにします。マグネットが割れていないので助かりました。

 元通り戻し,エポキシ接着剤で固定して修理完了。モーターは滑らかに回るようになりました。


(3)でも全く動かない

 モーターを戻し,プーリーを綺麗に清掃してベルトを掛け,電源を入れてみますが,うんともすんともいいません。ここで数日足踏みしましたが,どうやらマイコンが動いていないみたいです。

 そこでセオリー通り電源とクロックとリセットを確認します。電源はDC-DCが動作していて3.2Vが出ています。OKです。

 リセットは解除されているのでここも問題なし。残念なのはクロックで全く発振していません。クロックは500kHzのセラロックで作っていますが,これが発振しないというのはセラロックの不良に始まり,果てはマイコンが死んだまで考えないといけないので,ちょっと大変です。

 セラロックの不良から疑ってみますが,似たような周波数のものと交換しても動きません。どうもセラロックではなさそうです。そうこうしているうちに,時々発振するようになったり,ゆっくりと発振が始まったりするようになりました。

 セラロックに繋がっているとコンデンサの不良を疑いますがこれはシロ。少し値を前後させますが変わりませんので,発振条件から外れたとかそういうことではなさそうです。

 どうも電池の電解液が悪さをしているような感じなので,疑わしいところをハンダゴテであたっていると,発振することが増えてきました。上手くするとソレノイドの初期化まで進むことも出てきました。

 さらにあたっていくと,あるスルーホールを触ると確実に発振することを見つけました。ここが怪しいので細い線材でバイパスしたのですが,これだと全く発振しなくなりました。

 このスルーホールとその周辺に熱を加えてやると,安定して発振するようになってきました。原因ははっきりしませんが,どうも電解液が染み込んで配線容量が大きく変わってしまい,発振しなくなっていたのではないかと思います。

 とりあえずこの段階でモーターが回り,テープが走るようになっていました。


(4)ミュートがかかっていない

 ヘッドフォンを繋げてみると,テープを止めてもノイズが出ていますし,FFやREWでも再生音がキュルキュルとなっています。ミュートがかかっていないようです。

 本来あるべきミュートのトランジスタのベースに繋がる抵抗(100kΩ)が外れていたので,これを取り付けるとミュートはかかるようになりました。しかし何でだろう,外した記憶はないんだけどなあ。


(5)音が割れる

 めでたく音が出るようになったのですが,電源電圧が1.4Vになると音が割れて,ボゴボゴという音になってきます。どうも電源の変動で発振しているようです。

 この場合,電解コンデンサがあやしいので回路図を見ていくと,DOLBYのICに繋がっている電解コンデンサがどうも臭います。外して見ると液漏れしていました。(本当に臭いました)これを交換すると音が割れるのはなくなりました。


(6)スタンバイのまま

 これでテープも走行し,音も出るようになったので組み立ててみたのですが,よく考えると一度テープを再生すると停止してもスタンバイ(リモコン操作可能な状態)のままなので,LEDもついたままですし,消費電流が70mAほど流れたままです。こんなに流れるとテープを止めたままでも電池が一晩でなくなってしまいます。これはおかしい。

 これがなかなか難問で,なかなか解決しませんでした。数日間またも足踏みしたのですが,最悪の場合も考えてもう一台WM-805を手に入れて,波形を比較していきました。

 そもそも取説がないので正しい操作も挙動も分からないままでしたが,ちゃんと動く基板を見てスタンバイのスイッチはONとOFFをオルタネートで切り替えるものとわかりました。

 おかしい基板では,このスイッチを動かしてもスタンバイがOFFになりません。波形を見ると,本来1.4Vにならないといけない波形が,3V近くでています。これもおかしいです。

 そもそも回路図を見ていると,ここに3V系は繋がっていないのです。どこからか3Vが回り込んでいるという事だと思うのですが,そのせいでスイッチ操作によって次のトランジスタを叩くほど電圧が下がらず,結果DC-DCコンバータを停止できないようでした。

 このおかしな回り込みを調べてみますが,なかなか尻尾がつかめません。部品を外したり違う値に交換したりして変化を見ますが,どうもわからないのです。トランジスタの故障,特にPNPのトランジスタはよく壊れるので外してチェックしますが問題ありませんし・・・

 そろそろあきらめようかと思った時にもう一度回路図を見て,この回路に3Vが回り込んでくる可能性を1つ1つ見ていきましたが,どうもDC-DCコンバータを停止するトランジスタの周辺からしか回り込みようがないことがわかってきました。

 そこでそのトランジスタのベースに繋がる時定数のコンデンサ(セラミックの1uF)を調べてみました。すると,容量が全然なくなっていて,コンデンサとして機能していません。しかも,外した基板を見てみると端子間にべっとりと電解液が染み込んでいて,これがどうも導通の原因のようです。

 この電解液によるショートで3Vがベースから入り込み,前段のコレクタから周辺の回路に3Vを与えるという事が起きていたようです。

 基板を綺麗にしてコンデンサを交換すると,あれほど苦労したスタンバイのON/OFFが上手く出来るようになりました。

 要約修理完了です。ふー。


(7)とはいえ

 組み立てて動かしてると,ワウフラッターも小さく(実はピンチローラーも新品に交換しています),最盛期としてとても優秀です。筐体も新品同様の綺麗さですし,電池接点などはもう一台のWM-805かと取り替えました。

 電解コンデンサはすべて交換しましたし,これだけ手間をかけたのですから愛着もあり,これで使おうと思うのですが,心配なのはやっぱりクロックで,原因不明なままなんとなく直ってしまったという悪い状況です。

 この場合,大体あとになって問題が復活することになるので,その場合は基板も交換することになりそうです。


(8)次のテーマ

 新品で購入し(よく覚えていますが特価で1万円を切っていました),その後数年間私のオーディオ環境の一翼を担ったのにあっっさり捨ててしまったWM-EX60が欲しいのですが,兄弟モデルのWM-FX70を手に入れています。これ,当時欲しかったラジオ付きで,ラジオは動いているのですが,テープは動きません。

 これを直すのが1つ目,もう1つは新しめでWM-EX666です。回路はシンプルになっていますし,実用機としてはちょうど手頃ではないかと思います。問題はヘッドフォン端子が特殊なので,どうやって汎用の3.5mmジャックにするかを考えないといけないです。


 という感じで,WM-805は3桁の数字で命名されるモデルとしては後期のものになりますが,回路はこれでもかと思うほどバイポーラトランジスタが多用されていますし,部品の隙間もないほどびっしりと並んでいます。

 1980年代の小型化技法として見るべきものがあるなと感心しますし,これが2,3万円で売られていた事もちょっと感心しますが,この後部品は小さくすると同時に,点数を減らすことを中心に行われていきます。まだ点数が多い時代の小型化というのは,なかなか興味深いものがあり,手にしたときの密度感も,心なしか高い様に思えてくるから不思議です。これが1980年代の魅力なのかも知れません。

 

iPad2のLCDを再利用する

 先日,部屋を見渡して見ると,もう使う事のないタブレットが出てきました。3年ほど前に購入した中国製の安物で,その時は便利に使っていたのですが,1年もすると性能も追いつかず,画面も擦り傷だらけになってしまって,いつの間にやら使わなくなってしまいました。

 使わないタブレットというのもなかなか始末に負えないもので,どうやって処分するんだろうと首をかしげてしまいます。10年ちょっと前には存在しなかった家電製品だったわけですから,さもありなん,というところでしょうか。

 基本的には電池を抜いて,プラスチックは燃えるゴミ,金蔵などは燃えないゴミで出してしまえばよいと思うのですが,なにか再利用できないものかと考えていると,ふとタブレットのLCDをHDMI入力のディスプレイに改造している例を思い出しました。

 こうした情報機器が安価になっていくのは,最初はカスタム品で作られる部品が徐々に標準化され,複数の選択肢から部品を選ぶことが出来るようになることで競争が起き,部品の値段が下がるようになります。

 こうした標準部品を上手に使うことも設計者の力なわけですが,1万円ほどで買える中国製のタブレットなんて,もう標準品をぱぱっと組み合わせて作っているものだと思っていたのです。

 そういえば,LCDはLVDSからeDPにインターフェースが移行したと聞いていますし,これはLCDを再利用出来るかも知れません。

 どうせ持っていても仕方がないので,さっさと分解してLCDを取り出します。このLCDは1280x800の10インチなんですが,部品名を検索しても引っかかりません。この段階でもう雲行きは怪しいわけですが,コネクタはeDPでよくある30ピンです。

 ならばと,手持ちの11インチLCD(レトロPC界隈で有名になってしまったWIMAXITです)を分解して,中のコントローラ基板に,取りだしたLCDを繋いでみます。というのはこの基板はeDPの30ピンのLCDが繋がる基板で,もしかしたらなにか画面が出るかもしれないと思ったのでした。

 ただ,解像度が違いますので,まともな表示になるとは思えません。結果は電源すら入りませんでした。たぶんですが,ピン配置が違っているんだと思います。

 amazonやaliexpressで出ているこれらのコントローラ基板をよく見てみると,それぞれ対応するLCDの型名が書かれています。つまり汎用品ではなく,特定のLCD向けの専用品です。

 そりゃーそうだよなあと思いつつ,型名を検索してもなにも出てこなかったこのLCDはあきらめました。

 ならばと古いkindle Fireを分解してみましょう。Fireタブレットと呼ばれる前の製品で,もう10年近く前になるんじゃないかと思いますが,さすがに古いものは分解も楽です。

 しかし残念なことに,LCDを取り出すところまで進めることはしませんでした。というのは,すでにLCDのコネクタのピン数がピンと,標準的に使われている30ピンでも40ピンでもありません。ピン配置を調べなおす根性もなければ,ケーブルの自作をするような気力もありませんので,これもそのまま廃棄です。

 もう1つ,これは結構覚えているのですが,iPad2がありました。

 iPad2は嫁さんが産休に入ったときに,ノートPCは大変だろうとプレゼントしたものだったのですが,その後彼女はiPad信者になってしまい,iPadminiから現在は最新のiPadProを使っています。

 このiPad2は,メモリも小さいですしOSもアップデート出来ませんから実用にならないだけではなく,娘が赤ちゃんだったときにヨダレがLCDに染み込んでいてもう使い物になりません。

 これを引っ張り出して早速分解して見ますと,LCDはsamsungのiPad用のおなじみのものが出てきました。これに対応したコントローラ基板は見た事があります。探してみると,amazonで3000円ほどで売っていました。早速購入。

 翌日届いたので試してみます。コントローラ基板から出てくるコネクタをLCDに差し込むだけなのでとても簡単なわけですが,電源を入れるとあっさり動いてくれました。

 iPad2ですので1024x768というXGAのLCDに過ぎませんし,3:4というのも今となっては違和感があります。しかし発色は素晴らしいので,これを汎用のLCDモニターとして使えたらなかなか良さそうです。

 まずHDMIは問題なし。VGAは31kHzから対応で,残念ながら15kHzや24kHzは表示されませんでした。うーん,PC-386BookLで使えたら面白そうだったんだけどなぁ。

 電気的に動作する事は確認出来ました。あとはケースに入れること,そして使い道を考えることが残っているのですが,このへんもぼちぼち考えていこうと思います。

PC-386BookLはいよいよ完成

 先日PC-386BookLの復活について書きましたが,その後さらによい方向に検討が進みました。なにかと問題を抱えていたコンパクトフラッシュの問題が根本的に解決したのです。

 MS-DOSや初期のWindowsといった20世紀のOS,むしろそれらが動作するシステムすべては,NANDフラッシュと言う半導体メモリが同じ場所に何度も連続して書き込むことで寿命を大幅に縮めてしまうことを考慮していません。

 というよりも,フラッシュメモリでシステム全体を運用することなど夢物語だった10年ほど前までは,専用につくられたSSDでさえシステム側での対応は十分とは言えず,なにかしらの問題を抱えた上で使われていたものです。

 特にスワップの発生する仮想記憶を持つOSでフラッシュストレージを使うことは,その書き込み頻度の多さから慎重でなければならず,きちんとした対策が行われている最新のOSを用いることのないPC-386BookLで私がコンパクトフラッシュを使うことにしていたのも,その運用がMS-DOSに限られていたからです。

 ですが,やはり原理的に壊れるものを使うことへの抵抗は大きく,できればハードディスクを使いたいと思ってはいました。それに当時のマシンですから,ハードディスクの遅さを味わうのも,また一興と言うところでしょう。

 残念なことに,PC-386BookLに内蔵して使えるハードディスクは当時のものを中古で探すしか手はありません。仮に手に入れることができたとしても,ドライブ自身は著しく信頼性を落としていると思いますし,適合する新品のドライブ探して入れ替えることは簡単ではありません。

 そこで私は思い切ってTrue-IDEモードを持つ,古い小容量のコンパクトフラッシュを使って40MBのIDE接続(DOSからはSASI接続に見える)のハードディスクとして使うことにしたわけです。手持ちのコンパクトフラッシュの大半はうまく動いてくれませんでしたが,256MBと32MBだけは動いてくれて,このうち256MBのもので40MBのハードディスクを再現して使うことにしました。

 この目論見は案外うまくいき,その高速性も手伝って快適なMS-DOSの環境を手に入れることがかなったわけですが,MS-DOSとはいえ古いコンパクトフラッシュには荷が重く,使っているうちに長時間反応を返さなくなったり,ハングアップしたりする頻度も増えてきました。

 これではいつ動かなくなってもおかしくはないと,使えるコンパクトフラッシュを探さねばと新品の64MBなども買って試してみましたがうまく動いてはくれませんでした。もし現在動作している貴重な256MBのコンパクトフラッシュが壊れてしまうと,PC-386BookLそのものが動かなくなるということが起きてしまいかねません。

 そこで目をつけたのが,もう二度と使うことがないであろうマイクロドライブです。一世を風靡したコンパクトフラッシュサイズの超小型ハードディスクは,まだIBMがハードウェアメーカーとして世界を牽引していた時代の製品で,確か最初は340MBからスタートしていたと思います。当時340MBと言えば大容量で,このサイズのコンパクトフラッシュは非現実でしたから,これこそハードディスクの生きる道であると話題になったことを思い出します。

 圧縮音楽を詰め込む音楽プレイヤーが丁度登場した時期で,にたようなサイズの超小型ハードディスクはIBM以外のものも含めて以外に身近にあったのですが,基本的には印刷と同じような技術である半導体にかなうはずもなく,6GBまで発売されましたがその後はその使命を終えました。

 私はデジタルカメラ用に1GBと6GBを買って使っていました。しかし,その後フラッシュメモリが安くなったこともあり,使うことはなくなっていたのです。

 この1GBのマイクロドライブがPC-386BookLに使えたら好都合です。書き込みよる劣化も基本的には起きませんし,もともと衝撃には十分な配慮をしてつくられたマイクロドライブをコンピュータの内蔵ストレージに使うと言うのですからまったく問題はありません。消費電力も小さいですし,遅いといっても当時のハードディスクに比べたら随分高速です。

 しかし,残念なことにこのマイクロドライブはうまく動いてくれず,このときは結局あきらめたのです。

 今回,もしかすると動くかもしれないともう一度試したところ,なんとあっさりフォーマットができて,MS-DOSが起動するところまで出来てしまいました。それならとバックアップしてあったコンパクトフラッシュのイメージをそのまま書き込んでみたところ,これもあっさり動作してしまいました。

 これでフラッシュメモリの劣化の心配をしなくても済みます。それに,ドライブの起動時間からくるタイムラグも,当時の使用感を思わせて個人的には懐かしい感じがします。
 ただ,使い勝手は確実に悪くなっているので,コンパクトフラッシュの時には使う必要がなかったディスクキャッシュを復活させました。2回目以降のアクセスでハードディスクにアクセスしないと言うのも当時の感覚そのものですし,当時のマシンを使うならこういうところも味わないといけないと思います。

 ということで,フリーズもなくなり,安心して当時の使い勝手をそのまま再現したPC-386BookLが出来上がりました。当時はこの環境でガンガン日本語を書いていたんだなあと思うと信じられない気がするのですが,ものは試しにとこの文章はPC-386BookLで書いています。

 FEPは懐かしのWX3,エディタはMIFESです。ちょっと遅いですし,変換精度もさすがに良くないのですが,普通に文章を書くくらいなら十分に使えると言う印象です。

 ただ,PC-386BookLのキーボードは今の水準で言えば良くないキーボードで,音はうるさいわ変なクリック音は出るわストロークは深いわバネは重いわで,正直疲れます。ここだけでも改良できれば随分使い勝手のいいマシンになるんじゃないかと思うのですが,うまく改造する方法が浮かびません。

 それともう1つ,冷却の問題です。PC-386BookLには小さな空冷ファンがついていますが,普段は止まっています。冷却が必要な内部温度になると勝手に回り始め,温度が下がると自動停止する賢いファンです。

 1年ほど前は問題なく動作していたこのファンも,いつの間にやら動作しなくなっていました。かといって故障したわけではなさそうで,電源を入れなおせば回転しますから,制御回路の問題かなあと思っていました。

 もし本当に制御回路の故障なら長時間の使用で電源ブロックが壊れてしまうでしょうし,壊れなくても熱による劣化が進んでしまうので,長時間使うのをためらっていました。

 この文章を書いているうちにも,どんどん温度が上がってきています。いよいよ心配になったその時,ようやくファンが自動的に回り始めました。どんどん温度が下がっていくのがわかりますし,基板をIPAで洗浄したため,あの嫌な臭いもしなくなっています。

 ということで,PC-386BookLは,本当に実用的に使えるマシンになってくれました。なんだかんだで1年かかりましたし,これはもう本当にだめだろうとあきらめそうになったことも一度や二度ではありません。爆発や出火の危険もありましたし,その意味では今も安全だとは言い切れません。

 次にやるべきことはこのキーボードをもっと使い易くすることでしょうけど,それはもう30年前のマシンにするような改造とは違うように思います。当時のマシンそのままに,いいところも悪いところもまとめて味わうことが,このPC-386BookLの正しい使い方のように思います。

 CPUはCX486SLCですからメモリのバスはなんと16ビットですし,クロックはわずかに25MHz,メインメモリはたったの640KBで拡張メモリも2MBに過ぎません。

 画面は640x400でVGA以下,LCDはもちろんモノクロですがそれもSTN液晶と言う,いまなら時計か電卓くらいにしか使われていないようなパッシブマトリクスの液晶です。モノクロも白と黒ならまだしも,青と白ですから目が疲れて仕方がありません。バックライトも当時のことですから冷陰極管という蛍光燈の一種でLEDではありません。

 マウスもトラックパッドもなく,これを今時の人にわたしても,きっとどうしていいかわからなくなってしまうでしょう。なにせ画面に出てくるのは,16ドットの荒く大きな文字だけなのですから。

 そんなマシンで動作するのはMS-DOSという原始的なOSです。今となっては本当に原始的としかいえなくて,コマンドを打ち込まないとなにも出来ません。しかし,こうして日本語の文章が書けています。キー配列ももう慣れて,すらすら書けるようになってきました。

 うーん,この用途には,これでもう十分なんじゃないでしょうか。

 有り余るCPUパワーや膨大なメモリは,結局見た目の美しさや操作に費やされているということでしょう。それは作業内容そのものにはそれほど関係はなく,商品として魅力的にみえるかどうかということに,大きな役割があるように思います。

 もちろん,使い勝手そのものに貢献した進化も多いでしょうし,目の不自由な方や手や指がうまく動かせない方に寄り添うような機能の実装も,昨今のCPUパワーやメモリがあったからこそといえるかも知れません。

 でも,やっぱり私は,今のPCやスマートフォンが,装飾過多になっているんじゃないかと,思わざるを得ません。

 一方で,同じように進化を劇的に遂げた自動車を考えてみると,本来の目的である移動をより快適に行うために進化してきたことに,私は疑問を感じません。

 同様にPCだって,例えば目的である文書作成を快適に行うための進化と捉えれば,このきらびやかな画面もまた納得せざるをえないのでしょうか。

 どうやら問題は,こうした進化の結果の選択肢が,我々ユーザーに少なすぎることにある用に思えます。自動車はそれこそ星の数ほど選択肢があります。しかしPCはOSを入れてしまえば,どんなマシンも向き合うのは結局OSです。

 自動車は基本操作はどれも共通で,PCも共通の操作系を持つことは当然でしょう。しかし見え方なんかは,もっと選択肢があってもいいんじゃないかと思います。

 その昔,PCはカスタマイズのためのツール類が商品として売られていました。それらは次第にOSに取り込まれていき,カスタマイズはOSを新しくしたときにまず最初に行う儀式になりました。

 しかしそれも下火になり,今我々が新しいPCに買い替えたときに行うことは,これまでの環境をそのまま移行させることです。いつからでしょうか,新しいマシンに買い替えたことがワクワクしなくなったのは。

 そうこうしているうちに冷却ファンが自動停止しました。これで一安心。もうこのマシンは大丈夫でしょう。




DiskIIコンパチ品の回転数が狂う

 お盆休みのある日の午前,30年も前に秋月電子で購入した韓国製のテスターに付属していたフロッピーディスクを見つけました。Goldstarの5インチで,なんと2Dです。IBM-PC用ですね。

 貴重な5インチ2Dですので,早速使えるかどうか試してみたくて,久々にAppleIIの電源を入れてみました。Locksmithを起動してチェックしますが,フォーマットをかけるとどうにもエラーばかりです。これはおかしいと,他のディスクをフォーマットしてみたところ,やはりエラーです。

 エラーが出ているのは松下製のドライブを使ったコンパチ品ですので,純正ドライブで試してみたところちゃんとフォーマット出来ました。ドライブの問題です。

 いやー,面倒なことになりました。フォーマットが出来ないというのをもう少し調べてみると,最初のセクターでエラーが出ているようです。こういう場合は回転速度がまずい場合が多いので回転速度を調べたところビンゴ!

 回転速度が狂っていて,随分速めになっているようです。わずか1年で狂うというのも変な話で,原因ははっきりしませんがとにかく速度を純正ドライブと同じ程度に合わせ直します。

 するとフォーマットもきちんと出来るようになりました。やはり回転速度の問題だったようです。この松下のドライブですが,その後の国産ドライブの隆盛が信じられなくなるくらい,SA-400の完全コピー品といっていいくらい,寸分違わぬコピーっぷりです。その割には回転ムラも大きいですし,シークの音も大きく激しいです。総じて品質は悪く,1970年代の日本の精密機器産業の実力を見る思いです。

 回転ムラが大きいことは書き込み品質を低下させるのでうれしくないのですが,これはモーターの問題かもしれませんし,スピンドルの軸受の精度や,ベルトの劣化が問題かも知れません。まあ,40年も前のものに文句を言うのも筋違いですが,純正品は未だに安定して動作していますし,当時の広告を見ても「信頼の国産ドライブ」と書いてあるわけですから,実際はこの頃のアメリカ製には見るべき者があるなあと思った次第です。(とはいえモーターなどは日本製だったりするわけですが)

 どっちにしても,コンパチ品は個体差も含めて程度はあまり良くなさそうです。回転速度もこまめにチェックをしないといけないでしょうし,書き込みが頻発する用途には使わないようにしないといけないと思います。

 それはそうと,AppleIIの調子も今ひとつだったりします。しばらく動かさないと起動しなくなるというトラブルはありましたが,今回初めて,動作中に突然画面が乱れてフリーズしました。暑いせいかも知れませんが,やっぱり私と同じように歳を取るものなんでしょう。

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