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楽器仕込みのRIAAイコライザアンプを試す

  • 2007/07/10 15:21
  • カテゴリー:make:

 とあるところで耳にしたのですが,アナログレコードを聴くために必須となるRIAAイコライザアンプで,K&Rという会社のキットが良い評判のようです。

 このK&Rという会社,オーディオというより,ギターなどのエフェクタのキットで有名なんだそうです。

 あっちの世界(エフェクタの世界)はなかなか道険しい物があるようで,同じJRCのNJM4558でも表面がツルツルのパッケージとザラザラのパッケージでは音が違うとまことしやかに信じられており,その筋ではツルツルパッケージが高値で取引されているとかいないとか。

 音の善し悪しといっても,ピュアオーディオと違って,原音に忠実であることを一応の基準におくわけではなく,積極的に波形をいじる「エフェクタ」での話ですので,そこはもう測定もクソもなく,徹底的に感性の世界であるとしか言えません。

 手作りエフェクタは今でも根強い人気を誇っているようで,30年ほど前から革新的な技術が登場するわけでもなく,ほとんど確立された回路を磨き上げて今日まで続いているということですし,それに音楽を聴くという「受け身」の立場というより,音楽を作るという,より研ぎ澄まされた耳と感性を持つ人がその善し悪しを論ずる世界でもあるので,私個人はずっと好感を持っています。

 そんな世界に独自のこだわりと良心的な価格で評判になっているK&Rさんが,RIAAイコライザアンプを作っているそうです。価格はキットで6800円。うーん,中途半端な値段です。

 汎用OP-AMPを使ったイコライザアンプならキットで6800円はやや高い,かといって部品1つ1つに高級品を使ったディスクリートのものなら安すぎます。どう位置づけたらよいやら難しいところですが,ホームページには回路の特徴だけではなく,きちんと詳細な測定データを掲示してあり,その自信の程がうかがえます。

 RIAA偏差などは極めて優秀ですし,ダイナミックレンジやひずみ率も文句の付けようがありません。

 NE5532とOP07というおなじみのOP-AMPを使ったものではありますが,低域のカーブをNF型で,高域のカーブをCR型で作るというハイブリッド型。確かにCR型を使って仕上げるには回路上のの工夫や実装が難しいですし,NF型は低域と高域の帰還率が違うために特性の差が大きく,高域の歪みっぽさが抜けません。この両方のいいとこ取りをするというのは非常に理にかなっています。

 これにDCサーボをかけて完全DCアンプとしてあります。スペックも周波数特性が10~100kHz,RIAA偏差が±0.15dB(20~20kHz),SN比が84dB,歪率が0.0028% (1KHz 5mVrms)と,大変に現代的で立派なものです。

 私もこれまでに,とりあえず補正できますよ程度のものから,現在使っているディスクリートのものまでいくつかイコライザアンプを作ってきましたが,数値的にこれだけ優れた物を作ってきたことはなく,一度試してみようと思いました。価格も6800円ですからね,自分で部品を集めて基板を作ると,こんな値段では作れません。

 早速注文すると定形外郵便で数日後に届きました。代金は同封の振り込み用紙で行えばよいと言うことで,後払いなんですね。個人に近い形でやってらっしゃるはずなのに,前払いではないなんてきっと大変だろうなと思ったりします。

 部品を見てみると,実はかなり厳選されていることに驚きました。抵抗がすべて金皮であることはまあよいとして,温度特性がきちんと管理されているんですね。オーディオ雑誌などで多くの製作記事を見ますが,温度特性をきちんと管理している記事はほとんど目にしません。

 特にRIAAイコライザのカーブを決定する抵抗の精度と温度特性は0.1%・±15ppm/℃となっていて,個人レベルでは入手さえも難しいのではないかと思われる物を使っています。

 コンデンサもフィルムコンデンサを中心に組み立てられており,カーブ決定用のコンデンサは1%誤差のものです。これだって入手は簡単ではありません。

 電源に入る電解コンデンサも音響用のものを使っています。私などこんな高級な電解コンデンサだったら信号電流を流して使いますよ。もったいない。

 基板もFP-4に金メッキ,片面ですが分厚く機械的にもしっかりしています。パターンも綺麗で申し分ありません。

 これが6800円か・・・できるもんだなあと感心しました。

 例えば,これがよくあるピュアオーディオのキットだったら,やれ抵抗はDALEのなんだとか,やれコンデンサはスプラーグのなんちゃらだとか,配線材はベルデンのなにやらシリーズだとか,そういう「ブランド」が先行してお値段29800円とかになるんでしょうが,このイコライザアンプは部品のブランドよりその素質を重視し,お金をかけるところとかけないところをきちんと分けて,極めて合理的に作ってあります。これは設計者の良心でしょう。大いに共感します。

 キットですが,部品点数も少ないのでサクサクと1時間ほどで完成してしまいます。小学生の時に初めて作ったキットのように,純粋に楽しいと思う作業を済ませたところで,ケースや電源回路用の部品を秋葉原で調達します。

 ケースはタカチのUC12でこれまで使っているイコライザアンプと同じ物です。電源回路はDC±9V~±15Vで20mA以上というスペックが必要ですが,面倒なので12Vの三端子レギュレータで済ませます。三端子レギュレータを嫌う人もいますが,ではその人がどんな電源回路を作っているかというと,ディスクリートでシリーズレギュレータを作ってあるだけだったりして,世の中どうなってるのかと思います。シャントレギュレータあたりを作ってあったりすると説得力もあるというものなんですが・・・

 トランスは手持ちの物を使いますが,実はちょっとケースが小さすぎて収まらなかったため,今使っているイコライザアンプに入れたクリスキットのRコアトランスを外して使います。外されたイコライザアンプには,今回使う予定だったものを入れておきます。

 電源回路は慣れたもので,特に回路図を書かなくてもさっさと作れてしまうほど簡単な物です。電圧は固定ですので調整も必要ありません。ただし,GNDだけはしっかり取っておきます。

 全体のレイアウトを検討しますが,今回はかなり窮屈なケースに押し込みますので,トランスや交流電源からの誘導によるハムがとても心配です。基板との距離を出来るだけ離すことはもちろんですし,小信号のラインは可能な限り短く,また誘導を避けるように引き回します。Rコアのトランスを使えたことも漏洩磁束対策としてはいい方向に向かうと思います。

 決まったら引き続きケースの穴あけを行いますが,これが楽しいやらしんどいやら面倒やらで,結局半日つぶれてしまいます。ACインレット用の角穴がいつも面倒なのですが,これだけでもシャシーパンチがないものかと,いつもいつも思います。

 今回は塗装はしません(もともとヘアラインにアルマイト処理ですので塗装などしても無駄です)から,このまま組み立てに入ります。

 ちょっとした配線ミスなどがあったりしましたが,組み立てと配線を終えて,確認作業です。電源電圧は問題なし,出力オフセット電圧の測定と調整も終わって,いきなりですが音を出してみましょう。

 まず無音です。びっくりしたのはノイズの少なさ。壊れているのかと思いました。また心配していたハムもほとんど出てきません。助かりました。

 ここまで来たらレコードを実際に再生してみたくなるのが,これ人情というもの。DL103を昇圧トランスにつなぎ,さらにイコライザアンプをつなぎます。

 音を出して一発目の印象は,何とも現代的な,きらびやかな音だろうということでした。シンバルやハイハットのシャリシャリが心地よく,きちんと定位します。ボーカルはすーっと頭のてっぺんから抜けて行く伸びやかさがありますし,1つ1つの楽器が見えるように鮮明です。

 CD的といえばよいでしょうか,ほんとにクリアな音がします。

 いや,気のせいかも知れない,そう思ってこれまでのイコライザアンプ(シェルターのmodel216のデッドコピーです,すみません)に戻してみましたが,こちらはやはり以前の音です。頭の上にフタをされたような抑圧感がある一方で,ボーカルはぴくりともせず中央で艶を放っています。まさに肉声といってよいその存在感は,私がこれまでアナログレコードに求めてきたものです。

 金属音は一気に奥に引っ込み,シンバルもハイハットも妙に耳障りになってしまいます。全体的に華がなくなり,小さなライブハウスを彷彿とさせる音は,善し悪しではなくもはや個性だろうと思います。

 もう一度今回のイコライザアンプに戻します。やはりクリアですね。ボーカルの艶はなくなりますが,その代わり伸びが加わります。スケールの大きさも出てきますので,ジャズよりクラシックなどの方が向いているのかも知れません。

 同様に,MCであるDL103とMMであるV15typeVxMRとで比べて見ましたが,今回のものはその差が出にくい感じです。MMとMCの個性の差を埋めるというか,どちらもとてもクリアに聴かせるので,私がMMに求めている中音域のエネルギー感は薄くなります。

 以前のイコライザアンプはMCカートリッジの繊細さを殺してしまう代わりに中音域のパワーをたくましく前に出してくれるので,V15typeVxMRでジャズやロックを聴くとその躍動感に心ふるえるものがありました。

 情報量は今回のイコライザアンプが圧勝です。特性も大変素晴らしく,文句の付けようがありませんが,前回のイコライザアンプのような個性がなく,それが良い場合と悪い場合に作用することは覚悟しておく必要があるかも知れません。

 ロックやジャスの鑑賞には以前のものを,保存版の録音やクラシックには今回のものを使うという使い分けになりそうです。

 実は,DL103というカートリッジの良さがこれまでよく分からなかったのです。日本の標準機であることは知っていますし,今なお根強いファンがいることも分かっていますが,どう考えても丸針で設計の古いカートリッジが現代に通用するはずはないと思いこんでいたのです。

 しかし,今回のイコライザアンプと組み合わせてみて,本当の力というのはこれなんだなと思うようになりました。何も引かず何も足さない,これがこのイコライザアンプの個性であり,それがDL103の方向性と一致するわけですから,これほどストレートに情報を拾い上げてくれる組み合わせもないでしょう。結果はその通りになっています。

 全部で1万円かかっていませんし,時間も手間もかかっていませんが,これは非常にいいものを手に入れることが出来ました。ますますもってアナログレコードが楽しくなってきます。

 うちはとりあえず,DL103とV15typeVxMRでいいです。それ以外は気分で使うことにします。

 いつも思うのですが,アナログのオーディオの世界は,一仕事終えると「ここまできたなあ」と感慨深くなることが多いです。お金をかけて一流品を揃えればことを,わざわざ遠回りして苦労しているだけの話で見る人が見れば馬鹿馬鹿しいことこの上ないのですが,それでもまだまだ中学生の時にその音に感激した叔父のシステムの足下にも及ばない現状に,またため息をつくのです。

さようならニノミヤありがとうニノミヤ

  • 2007/05/18 14:47
  • カテゴリー:make:

 こないだの連休に帰省した折,日本橋のニノミヤで買い物をした話を先日書いたところだったのですが,そのニノミヤが事業廃止を決めたようです。

 唯一残る店舗である旧本店の「ホビックス」は5月16日にすでに営業を終了,地下一階の「パーツランド」も6月10日に営業終了の予定だそうです。

 「ホビックス」についてはすでに中古家電とホビー関連の販売会社に売却されており,処分セールなどは行わない方針だそうですが,「パーツランド」については処分セールを行うという事ですので,どこにも売却はされずに完全に廃業となるようです。

 本店の最上階にあったパーツ売り場がなくって久しく,パーツがあの場所に戻ってきて75年の歴史に幕を下ろすというのも,なんとなく帰巣本能っぽい感じがして,しんみりとしてしまいます。

 調べてみると,ニノミヤって老舗もいいところなんですね。1932年に電子パーツの卸売りとして創業(1945年に創業という話もあります),戦後の1947年には法人として改組し,高度経済成長期に家電販売で成長を続け,1987年に株式会社ニノミヤに商号を改めます。

 創業の地である日本橋と近畿を中心とした郊外に店舗を展開し,ピーク時の2001年には約964億円の売り上げをあげて,関西系の家電量販店では第3位の規模を誇っていました。そういえば私の実家の近くにもお店があって,1983年ごろには無線機もパソコンもたくさん列んでいました。もっと昔にはパーツも売っていたそうです。

 しかし,ビックカメラやヨドバシカメラ,ヤマダ電機など関東系の量販店の相次ぐ関西進出に加え,家電,PC販売の冷え込みとバブル期の過剰投資から急速に業績が悪化し,2003年頃には4割近くも売り上げを落として大ピンチに陥っていたそうです。

 そこで2003年に資本提携を含む支援先を探していましたが失敗,金融機関への弁済も滞るようになりました。2004年にはメーンバンクも貸出債権を外資系サービサーに譲渡するに至り,支援を打ち切られてしまいました。

 最終的に債権を手にしたモルガン信託銀行は2005年1月に会社更生法を申請し,日本橋を除く全店舗の閉鎖と同業者への譲渡を行いました。

 アメリカの投資ファンドローンスターがスポンサーとなり,日本橋でのみ4店舗を新装開店させるのですが,素人目に見てもかき入れ時にもお客はまばらで,雰囲気から真面目に復活を考えているようには見えませんでした。

 昨年にはえびす店も閉店して家電販売から完全撤退,ホビーの専門店「ホビックス」とパーツ販売の「パーツランド」だけ旧日本橋本店に集約され,大幅に規模を縮小して営業していましたが,昨日「このまま続けても負債が増えるだけ」と,営業の終了をホームページに掲載しました。

 ニノミヤといえばいろいろ書くべき事がある会社で,郊外に多数のお店を出店するというビジネスモデルで急成長した先駆けであったし,ソフトウェア販売の重要性に着目してソフト専門店を,ホビーとおもちゃに注目してホビー専門店をいち早く立ち上げるなど,実は業界のパイオニアでもありました。

 同社の顔として長年CMキャラクターを務めた林家小染さんの突然の事故死もありました。

 個人的にニノミヤは,近所のニノミヤと日本橋のニノミヤで違った印象がありました。

 近所のニノミヤは,日本橋が遠く憧れの地であった子供の頃に,その日本橋の空気を田舎に運んでくれる貴重な基地でした。前述の通り,田舎の商店街の外れにある小さなお店にも,PC-6001やPC-8001,X1やFM-7にMSXといったパソコンが所狭しと並べられ,ソフトや周辺機器の品揃えも随一でした。アマチュア無線機も列んでいて,同じお店が冷蔵庫や洗濯機を売っているとは思えないほど,ラジオ少年最終世代であった私には,夢の空間だったのです。

 中学生になった頃から日本橋にはよく行くようになったのですが,近所の店の数倍の規模のニノミヤがいっぱい点在する日本橋のパワーに圧倒された記憶がありますし,その専門性と規模からますます近所のニノミヤに好印象を持った覚えがあります。

 ニノミヤはさすがに電子パーツで始まった店だけあって,当時は本店と北側に位置するエレホビー,そしてパーツだけを扱う専門店であったパーツ店の3つがパーツの販売を行っていました。

 パーツ店は1フロアの小さいお店で,私は一度行ったきりでなくなってしまいましたが,本店とエレホビーのパーツフロアはずっと営業を続けていました。本店のレジのお姉さんがとても綺麗だったことは以前書いたとおりで,その人が小さな部品を価格表など見ずにすごい速度でレジをうっているのを見て,大変に憧れたものです。

 始めて本店のパーツ売り場に足を踏み入れたときの感動は忘れません。地元のスーパーよりも広いフロアのすべてが電子パーツで埋め尽くされ,右を向いても左を向いてもキラキラと輝く宝物が所狭しと並べられています。種類ごとに列んだ棚がフロアの端まで整然と続き,初歩のラジオでしか見たことがなかったパーツが手に取れる所にあることに,日本橋のパワーを見せつけられました。

 夏休みには優待販売のチラシが届き,パーツや模型,測定器や無線機などが特価で販売されたりして,まるで近所のスーパーの食料品のチラシのような勢いで,滅多に安売りされない品々が並んでいることに,子供だった私はワクワクしていたものでした。

 そういえば,日替り限定販売で,デジタルテスターが980円で出ると知って,弟と日曜日の朝に本店に列んだりしました。結局私は惨敗,弟は自分の目の前で最後の1つを買われたという屈辱的な結果になり,10円だったカッターナイフをそれぞれ買って,すごすごと帰ったことがありましたね。いい思い出です。

 そのうち本店のパーツ売り場はエレホビーに集約されてしまったのですが,同業のジョーシンが1番館でのみ行っていたパーツ販売を取りやめるに至って,ニノミヤも時間の問題と思われていたのですが,一向にやめる気配もなく続いていました。

 というのも,実はニノミヤのパーツ売り場は各店舗に属しておらず,本社の法人営業の部門に属していたからです。

 在阪の電機メーカーなど,大手を長年にわたって顧客として持っていたパーツの法人営業は非常に安定した事業であって,現在に至るまでずっと黒字だったそうなのですが,これをもしやめてしまうと50年以上にわたる顧客に対する信用の問題もあったりして,やめるという事はなかったようです。

 確かに,ケースやスイッチなど半導体以外の部品において,シリコンハウス共立とニノミヤでは取り扱いメーカーに格段の差がありました。ニノミヤの方が有名メーカーのものを多数持っていましたから,やはり大きな会社は違うんだなあと思ったものです。

 今でこそシリコンハウス共立は規模も大きく,品揃えも豊富になっていますが,20年ほど前は実質1フロアで,限られた物しかありませんでしたから,ニノミヤと共立の2つでようやくすべての部品が揃ったものです。だから,ニノミヤは私にとっても欠かせないお店でした。

 それに,半導体から抵抗からコンデンサからケースやスイッチまで,すべてのものが一箇所で揃うというお店は秋葉原でも珍しく,ニノミヤは便利で貴重なお店だったのです。

 どんなに大きくなっても創業の地である日本橋で創業の業種である電子パーツ販売を続け,それが子供にも優しい良心的なものであったことは賞賛されるべきことで,特に知識が必要な代替品を中心に探すことになるシリコンハウス共立とは違って,雑誌に出ているそのものの部品が(高価でも)手に入ることは,初心者にはとてもありがたいものであったはずです。。

 今年が2007年ですから,創業から75年。最後まで電子パーツの販売を続けたことはえらいなあと思います。

 日本橋から思い入れの深いお店がまた1つ姿を消しました。風前の灯火で,こうなることは既に想像していたことなのですが,実際になくなってみるととても寂しく,1つの時代の終わりを強く感じます。

 これで日本橋でもシリコンハウス共立とデジット,そしてマルツ電波の3店舗に電子パーツ店が集約されることとなりました。

 連休に,本当は共立で買う予定だったポケットベンダー(小型のアルミ板折り曲げ器です)を立ち寄ったニノミヤのパーツランドのポスターで見かけ,店員さんに問い合わせて買ったのが最後の買い物となりました。

 この時もらったロゴ入りの買い物袋を,なにか胸騒ぎがしたので捨てずに残してあったのですが,偶然とはいえお別れになってしまうことに,やはり悲しい思いがあります。

 私が一番楽しかった時代を共に過ごしたニノミヤに,お礼を言いたいです。ありがとうございました&ご苦労様でした。

日本橋を歩く

  • 2007/05/10 17:25
  • カテゴリー:make:

 そういえば,先日の連休に実家に戻る途中,例によって大阪・日本橋に寄り道してきました。携帯電話の買い換えはこの時に行ったものです。

 今回はAVRマイコンを買おうと思っていたので,シリコンハウス共立には行かないといけないと思っていたわけですが,その前にデジットにいかないわけにいかんなと考え,先に立ち寄ることにしました。

 デジットといえば日本橋でもよく知られたジャンク屋さんですが,シリコンハウス共立と同じ会社ですので,正規品も結構きちんと揃っています。

 そして何を隠そう,私が高校生の時にアルバイトしたお店でもあります。この時お世話になった店長さんには,いろんなことを教えていただきました。今でも彼の教えは,私の規範となっています。

 まあそれはそれとして,久々のデジットです。お目当ては激安の期限切れの糸ハンダ。15年ほど前まではいつでも売っていたのですが,さすがにもうないかも知れません。当時の物は日本ゲンマのもので,Sn60%・0.8mmのもので決して高級品とは言えませんが,価格の安さから湯水のごとく使える気楽さを味わって以来,これを使ってきました。

 ところが2リール目がそろそろなくなりかけてきたので,これに変わる激安ハンダを探しに来たというわけです。確かに期限切れはよくないのですが,個人で1kgもハンダを買えば,どうせ期限内に使い切ることなどできませんし。

 てなわけでデジットを探すと,まだありました。当時の物と全く同じものです。1kgで1000円。持って帰るのが苦痛なくらいの安さです。レジでは外側のフラックスがかなり飛んでしまっているので,外側は捨てて少し内側から使って下さいとのアドバイスをもらいました。さすがデジットの店員。私がいた頃の伝統は守られておりますね。そんな後輩達を私は目を細めて見ておりました。

 ついでにAVRマイコンATmega8515も買いました。カメラの修理に使いたかったOSコンも揃っていたのでここで購入。耐圧400Vのフィルムコンデンサ5本で200円にもついつい手が出てしまいます。

 さらに2SK30Aがランクごとに引き出しに入っていたのでこれも全ランクを2個ずつ購入。それとLCDのキャラクタディスプレイモジュールが350円。資料付きだというので2つ買って来ました。

 これでシリコンハウス共立に行く用事が済んでしまいました。シリコンハウスに行く時間をもう少しデジットで過ごすことにします。

 その後,気になっていたスーパービデオにいくことにしました。昔は恵美須町駅のすぐそばにあったのですが,いつの間にか移転していました。

 昔からなにやら怪しいお店で,それでもいつも数人のお客さんがいたりして,日本橋ではよく知られたお店だったのですが,そういえばお店の前の路地に売られていた払い下げのレーザーカラオケとか,いつの間にやら見なって久しいです。

 新しい店舗は,阪神高速側に歩いて,ディスクプラザの角を曲がったところです。

 看板も上がっているのですぐに分かったのですが,入ってみてがっかりしました。もうほとんどお店の体裁を保てていません。

 なにが売り物で何が売り物でないかがわからず,価格も出ていません。ほとんどの商品がホコリにまみれ,手に取るのも憚られるほど汚いです。昔のスーパービデオはこんなではなかったんだけどなあ・・・

 そういいつつ,私はスーパービデオで買い物をしたことはほとんどありません。ほとんどいうか全然ないかも知れません。

 確かに真空管のデッドストックなども元箱入りで在庫がありましたが,肝心の価格が全く不明で,聞く気も起きないような雰囲気だったので,そのまま出てきました。DENONの放送局用のターンテーブルやU-maticのビデオ,オープンリールのテープデッキなど,見ているだけでもニヤニヤしてしまうようなものは,なにもありませんでした。

 デジットで気をよくした私は,スーパービデオの凋落ぶりに肩を落とし,日本橋を後にしたのでした。

 連休中(とはいえ平日でしたが)ということもあって,これまでに比べて人も多く,にぎわっていたように思います。ただ,家電販売店,とりわけジョーシンが寂しく,今一番苦しいのはここではないかと思ったくらいです。

 ニノミヤは1店舗だけになってしまいましたが,昔から電子パーツ売り場だけはいつも同じ人数のお客さんがいる安定した商売で,それ以外の模型やおもちゃのフロアは閑散としていました。(余談ですが20年ほど前のニノミヤムセン本店の一番上のフロアにあったパーツフロアではとても綺麗なおねいさんがレジをにこにこしながらたたいておられました)

 あと,アナログレコードの中古屋さんが強烈でしたね。ビル1つが全部中古CD/LPという店で,特に2フロアが全部LP。探していた物は見つからず,結局手ぶらで帰ることになってしまいました。中古というのは利益率が高い商売ですが,それも売れてなんぼです。在庫があればあるほど体力が必要な商売なので,かなり心配になってしまいました。売れ残るととことん売れないのが中古です。

 秋葉原と違い,メイドさんの格好をした人がビラを配ることもなく,その代わり海賊版DVDを売る人がいたりと,地域差が出つつある両電気街ですが,やっぱり私は日本橋の方がいいなあと思いました。

 つくづく思うのですが,秋葉原はどうもお買い得感が薄い。確かに欲しい物は必ず手に入りますが,価格は高めですし,それにわざわざ高級品しか置いていなかったりしますので,気が付くと部品ばかりで何万円も使っていたりします。

 日本橋は,高級品はそれ程ないのですが,価格は安めですし,工夫して使いこなすと面白いものがたくさんあります。それに実は電子部品店が結構きちんと揃っているので,結局手に入らないということはほとんどないはずです。

 実のところ,関東にきて10年以上が経ちますが,ここに暮らして良かったなと思うことは,ほとんどなかったりします。こういう人間こそ,大阪にいるべきなんだろうなと考えたりするのですが,運命とは皮肉なもんです。

300Bシングルをまた改造

  • 2007/05/01 03:08
  • カテゴリー:make:

 300Bシングルですが,負帰還をかけて決着させた時に,無帰還の音にも随分未練があったのです。

 無帰還で楽しめるアンプは,基本的に真空管アンプ,それも特性の良い直熱形の三極管にほぼ限られてしまいます。だから,せっかく300Bという銘玉でアンプを作ったからには,無帰還でも楽しめないともったいないと思ったわけです。

 幸い,スピーカをCM1にしたことで,無帰還でも結構ならしきれるのではないかという期待もあり(余談ですが4312Mはやっぱり低インピーダンスの半導体アンプで協力にドライブすることが最低条件だったようで,MOS-FETのアンプで低域を持ち上げてならしてやると,なんとなく手がかりがつかめたような感じです。まだまですが・・・),無帰還にも切り替えられるようなスイッチをつけようと考えていました。

 せっかくですから,現在の約3dBに加え,6dBくらいかけられるようにもしておきましょう。そんな風に考えて,以前にスイッチは買ってあったのですが,こないだの土曜日に少し時間が出来て,ようやく改造に取りかかりました。

 改造そのものはとても簡単で,気楽に取りかかったのですが,いざ切り替えてみるとびーーーとやばい発振音が300Bからします。これはかなり強烈に発振しているようなのですが,正帰還になっているわけもなく,あわてて電源をきって確認をしてみました。すると,左側に右の,右側に左の帰還がかかっていて,それで見事に発振してしまっていたのです。いやいや,油断したらだめですね。

 配線を修正して,測定をします。今回は歪率まで計ると面倒臭いので,周波数特性とダンピングファクタだけ確認します。その代わり,ちゃんと左右を測定してその差をみてみます。

 以下,測定は4Ω,1Wです。

           L-ch           R-ch    
無帰還( 0dB) 16.8?18.8kHz:DF=2.30 16.0?19.2kHz:DF=2.22 
帰還小(2.7dB) 12.1?26.0kHz:DF=2.94 12.0?26.6kHz:DF=3.57 
帰還大(5.1dB) 10.0?33.8kHz:DF=5.13 10.1?33.6kHz:DF=5.00

 まず周波数特性ですが,無帰還ではちょっと左右に差がありますが,帰還をかけるに従ってその差が縮まります。無帰還では91Bタイプの個性がそのままでてますね。

 DFは4Ωという負荷の重さのせいもあってか,あまり良い数字とは言えません。それに左右の差が大きく,これは測定誤差も無視できないほど影響しているといえると思います。なにせ0.1Vの読み取り差で0.6くらいの差になってしまいますから。ON-OFF法による測定の問題点でしょうね。

 負帰還大とはいえ,たかだか5.1dBです。それでも随分特性は良くなるもので,周波数特性は十分でしょうし,DFも5を超えていますのでこれも実用範囲でしょう。

 早速音を出してみます。

 まず帰還小から。これはヒアリングで決めた前回までの特性そのままですので,これを基準に考えてみます。無帰還にすると,中域のエネルギーが増し,太くなります。特にボーカルは目の前に現れるかのようなリアリティが出てきますが,その代わり奥行き感がなくなり,解像度も下がります。音にざらつきが出てくるので,繊細さも失われてしまいます。ただ,私個人はこれはお気に入りです。

 帰還量を増やしてみますと,これが全く逆になります。全帯域のエネルギーが均一化し,細くなります。ボーカルは少々奥に引っ込み,周りの楽器に埋もれるような感覚があります。音が消えていく状態が分かるようになり,解像度が上がっているのがわかります。非常に繊細な音がするのですが,ソリッドな印象も同時に受けます。個人的には,ちょっとつまらないですね。

 てなわけで,結局帰還量小で使うことにしました。適度に太さを保ち,適度に特性も改善する,特にダンピングファクタの改善が好都合で,さすがに2.3程度では,低音が若干ポンポンいいます。CM1はそれほどアンプを選ばないと言われますが,小型スピーカですので,やはりダンピングファクタは大きい方がいいはずです。

 積極的な使い分けをするために用意したスイッチではないのですが,演奏している音をすべて聴きたい場合は帰還量を増やし,ボーカルの質感に身を委ねたいときには無帰還にするという使い方も面白いかも知れません。

 これで本当に最後。もう300Bのアンプはいじりません。
 

Make:02に本気を感じた

  • 2007/03/22 15:38
  • カテゴリー:make:

 昨年秋にオライリーから出た「Make:日本語版」の第一号は,多くの書店で平積み&店頭POPとかなり気合いの入ったものでしたが,内容がかなりアレゲだったこともあり,さっぱり売れなかったようです。

 オライリーといえば,印象的な銅版画の表紙に飾られた硬派な書籍にお世話になった人も多いでしょう。それに社長のティム・オライリーは「WEB2.0」という胡散臭い言葉を生み出した人でもあるし,私のような人間にとって,オライリーというブランドには大きな信用があるのです。

 そのオライリーも最近ちょっと方向性が変わってきていて,実用一点張りの役に立つ書籍だけだったものが,数年前から何の役にも立たない本もチラチラと出てくるようになりました。

 本国では別に珍しい傾向でもなんでもないんでしょうが,その最たる例がMake:という雑誌です。

 アメリカのホビーストには,日本人にはないマニアっぷりが炸裂していて,よくもまあそんなことをするものだと思うようなことを涼しい顔でやっていたりしますが,それを取り上げて紹介するのがMake:という雑誌です。

 ニュートンのような単なる科学雑誌でもなく,またラジオライフのようなマニア限定の雑誌でもなく,強いて言えばホビーストが互いの安否を気遣う雑誌という感じでしょうか。とにかく,こういう雑誌は日本にはないと思います。

 それが日本語版として出るというので,私は期待をしていたわけです。しかし昨年秋の第一号は,ちょっと内容が薄かったことと,本当に役に立たない記事ばかりで,知的好奇心を満足させるようなクオリティではなかったことがとても残念でした。

 案の定,大量の在庫がしばらくすると綺麗に返品され,まるでそんな本はなかったという黒歴史っぽい扱いを受けるようになっていました。

 第二号が昨年末に出るというアナウンスもふいにされ,Make:はもう永遠に日本では出ないのだと思っていたのですが,突如3月末に出るという情報が!

 マイナーな商品を買い支えることに心地よさを感じる私としては,もう買うしかないでしょうね。内容は正直,前回同様外しまくりであることはもう覚悟の上です。

 第一号を大量に返品した職場近くの大きな本屋さんは,2店とも入荷していませんでした。当然でしょう。仕方がないので家の近所の大きな本屋に出かけると,4冊ほど残っていました。

 期待しないで読んでいると,「こ,これは!」というまるで美味しんぼのような台詞が頭の中を錯綜します。

 そうなのです。かなりよい内容なのです。

(1)内容がかなり濃くなった

 ニュースやら製作記事やらインタビューやら,実は第一号から結構いろいろ書かれていたのですが,その内容はどれも「ふーん」で終わるようなものばかりでした。第二号ではセグウェイの発明者へのインタビュー,直径30cmのサイクロトロンを自作した人の話など,なかなかキャッチーなものが列んでいます。


(2)試してみるかと思う記事が増えた

 第一号では凧にカメラを付けて空撮とか,ビデオデッキを改造した猫の自動えさやり装置など,どうでもいい製作記事ばかりでしたが,第二号はジャム瓶で作るパルスジェットエンジン,空き缶で作るスターリングエンジン,廃物利用で瞬間撮影用のフラッシュを作るなど,自由研究として取り組んでも面白そうな製作記事が増えました。気合い入ってます。


(3)脳に染み入る知識

 第一号では常温核融合など,どっちかというと「とんでも科学」っぽいネタが出ていて,胡散臭さが漂っていたのですが,今回のネタは冷凍による仮死状態に関しての話です。一瞬「とんでも科学」っぽいところを見せながら,実はすでに実用化されて我々の生活にも組み込まれている事実や,最新の成果による可能性を堅苦しくならないように論じており,読み応えがあります。


(4)印象的なコラム

 グリニッジ天文台の博物館は撮影禁止になっているそうですが,その理由が釈然としない,というコラムが出ています。ミケランジェロのダビデ像を,スタンフォード大学が精密に三次元スキャンする研究で,そのデータを他に出さないという契約を必要としたことについても異論を述べており,すぐに著作権が版権が,という世知辛い世の中に対し,痛烈な批判を行っています。海外の知識人が述べるこうしたオピニオンを読むことが出来る機会というのも,なかなか貴重ではないでしょうか。そして,なぜこのコラムを選んだのか,そこにMake:日本語版の意図を読み取ることが出来そうです。


 てなわけで,第二号はかなり手間をかけて丁寧に作られた感じがあります。

 そもそも人間は知らないことに接し,それを理解したときに充足感を得るものです。第一号のMakeにそれはほとんどなかったわけですが,第二号は逆にそういう記事ばかり。しかもかなりのボリュームです。

 噂によると,店頭売りはぼちぼちでも,amazonなどでは大変によく売れているんだそうです。この調子なら第三号もほぼ確定という話もあります。

 日本語版独自の記事がないことを1つの問題点として捉えて第二号を出しているようですが,独自の記事があるかないかではなく,それが知的好奇心を満たすものかどうか,同時にあまりに尖りすぎて怪しいものになってはいないか,というごく当たり前の観点で記事を選べば済むだけの話のように思います。

 感心したのは,本国の記事を抜粋し,まとめただけではなく,きちんと日本のスタッフが追試を行い,動作することを確認してあるのだそうです。この作業に時間がかかってしまったことを,発売が何ヶ月も遅れた理由にしています。

 根拠がはっきりしない記事を見ることに対する不安感というのは,読者は敏感に察知するもので,今回の確かな手応えはこうした丁寧な作りから得られるものではないかと思います。どんなものでも手を抜いたら,その分のペナルティはあるものです。

 次はうまくいくと7月頃だそうです。年4回を目標にするそうですが,同じような方向と思われたCQ出版の「エレキジャック」があまりにひどい出来だったこともあり,Make:日本語版はうまく続いてくれるのではないかと思います。

 この調子で頑張れ。

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